塾長・最高顧問 元谷 外志雄
勝兵塾第26回月例会が7月18日(木)アパホテル〈東京潮見駅前〉にて開催されました。
冒頭のアパグループ代表、元谷塾長の挨拶では、「西鋭夫先生の『國破れてマッカーサー』を贈呈されて一読したところ、素晴らしい一次資料に基づく著書で、『マッカーサーの占領政策が未だ今日の日本を縛っている』ことを良く示している。その抜粋を紹介すると、『日本の伝統文化は、歴史の長さ故に可能な、深い洗練を受け、世界に誇るべき燻し銀の華として開花している。』『アメリカ政府は、日本が朝鮮半島やアジア大陸へ侵略をしたから日米戦争になったとアメリカ国民と世界中に言い触らしているが、世界地図を見れば、どの国がアジアへ進出したか、歴然としている。』『アメリカは、勝つことの解っていた戦争に日本を引き摺り込み、日本を徹底的に破壊し、力尽き果てた日本兵と一般市民を殺しまくり、勝敗のついた後でも、原子爆弾を二発も使い、さらなる大量殺戮を実行した。占領下、GHQは狂気の軍国主義日本を民主平和国家にすると独善的な言葉を使っているが、すばらしい文化と長い歴史を持っている日本に武力でアメリカ様式を押しつけた。』『日本国民が誇り高い民族であることは、この戦争で恐ろしいほど解った。再び強力になった日本は、アメリカに復讐を仕掛けてくるのではないかと、占領で最も重要な成果「新憲法」を天皇の命と交換に押しつけ、敗戦直後の虚脱状態にあった日本国民から、平和という甘い言葉を使い、「愛国心」と「誇り」を誘い出し、マッカーサーは素手で扼殺した。その死体が第九条だ。』とある。」と、本日の講師でもある西鋭夫教授の著書を紹介されました。
愛知県知事 大村秀彰
愛知県知事の大村秀章様は、「2011年2月の知事選の前に、名古屋でのアパホテルの開業式典で芙美子社長から激励を貰った。正に勝利の女神である。」とご挨拶された後、「愛知県は日本の三大都市圏の一つであるが、愛知の役割は『ものづくり』の中心であり、工業出荷額が38兆円と日本一である。2年前の全国知事会で、『円高をどうにかしないと工場が皆、海外に行ってしまう。国に求めるのは補助金ではなく、円高デフレ対策だ。』と主張し、政府や日銀に対しても提言を持って行ったが、そのときは何も動かず、政府は2年前に言っていたことを今やって、円相場が1ドル100円になった。」「中央集権でやる時代は終わった。内政は地方政府に全部任せるべきであり、国は外交、防衛、通貨、金融の分野をしっかりやるべきだ。愛知県は航空宇宙産業に力を入れている。最先端のボーイング787の部品の35%は愛知県が造っている。名古屋は、戦時中に零戦を造っていたため、先の大戦で無茶苦茶に空襲を受け、戦後はアメリカによって航空機の製造を禁止された。しかし、日本初のビジネスジェット機であるMRJの試験機ができ、これから大きな需要を生み出す。県が用地を用意し、工業団地を誘致することで多額の投資と雇用が生まれる。成長戦略というものはこういうものであり、産業政策やインフラ整備は地方に任せ、政府は国益に関わることを、覚悟を決めてやってほしい。」と、国と地方の役割のあり方と愛知県での取り組みについて語られました。
スタンフォード大学フーヴァー研究所教授 西鋭夫
スタンフォード大学フーヴァー研究所教授の西鋭夫様は、「平成日本、日本の歴史上初めて裕福な国になったが、金持ちになればなるほどこの国は弱くなっていく。自分で自分の国を守れない国は滅ぶ。今は食べ物があり、物があふれかえっている。それなのになぜ満足感がないのか? この国で、心を騒がす夢とロマンを打ち出すリーダーは誰なのか? なぜ近隣諸国から小突かれ、殴られ、唾を吐きかけられているのか? これだけODAでお金をばら撒いてきて、日本の友達は誰なのか? これだけ豊かで、これだけ虚しさが漂っている日本は誰に守られているか? それはアメリカである。かつて日本人を殺しまくった兵隊がこの国に4万人いる。日本が負担する年間経費は6、000~7、000億円である。このかたちをいつまで続けるのか? マッカーサー元帥から『憲法を受け入れないと天皇に何が起こっても知らない。』と脅され、吉田と幣原は憲法草案を持って泣いた。憲法を審議する国会で、日本共産党の野坂参三は、『自衛権くらい持っていないと大変だろう』と言ったのに対して吉田茂は、『あなたのような論理が戦争を起こすのだ』とマッカーサーの言ったとおりに反論した。その考えが今でも続いている。根本的な問題は、『この日本は私たちの命や財産を守ってくれるのか?』ということである。なぜアメリカ兵が皆さんの命を守らなければならないのか? 恐ろしい時代になっているが、平和憲法で育てられ、守るという発想がないから、この国は断崖絶壁にいる。」と、日本の現状に対して、強い口調で問いかけられ、警鐘を鳴らされました。
民主党衆議院議員 松原仁
民主党衆議院議員の松原仁様は、「最近『アニマルマインドと新・帝国主義』という書籍を出版した。民主主義はハードとしての多数決という仕組みだけでなく、ソフトとしての情熱があって成り立つ。」「物理的な敗戦の後の精神的な敗戦こそ、恥ずべき敗戦であり、それが今も続いている。自民党が保守なら、なぜ東京裁判を認めるのか? インドのパール判事は無罪を主張した。人道に対する罪なら東京大空襲や原子爆弾はどうなのかを全く議論せず、一方的に断罪するのが正義なのか? 国際法の学者は、未だに誰も東京裁判を否定していない。日本は、慰安婦問題や南京大虐殺といった、あらぬ疑いを仕掛けられてきた。慰安婦の像についてある国の大使は、『議論することは相手の術中に嵌ることになり、注目を与えないのが良い』と言っていたが、南京大虐殺について、『無かったと思っているが、あったと決まってしまったものは覆せない。』とも言っていた。日本は情報戦で負けたのだ。これをどう是正していくのか?」「国家の人格的存在が外交である。個人が自信を持っていれば国家にも自信が持て、国家に自信があれば個人も自信が持てる。外交は人格的存在として国家に自信を与える装置である。自信を持つところから活力が生まれる。」「ケインズは『アニマルスピリッツ』という言葉を使ったが、これは、企業家は情熱によって行動するということである。情熱は個人のドラマの中にある。神話の無い国家は滅びる。だから国のドラマである神話を再構築しなければならない。」「帝国主義は、かつては武力で制圧し、搾取するものであった。日本では英語を勉強するために、多くの時間・費用を掛けているが、アメリカ人にはその必要がない。また、アメリカがドル紙幣を刷れば、それが世界中で使われ、アメリカに富をもたらす。ルールを作り、グローバルスタンダードを押さえることで、相手の富を搾取するのが現代の帝国主義である。EUでは、ドイツの工業規格をEUの工業規格にすることで、ドイツはヨーロッパを制覇した。ルールを押さえれば、ルールを変えることで相手を攻撃することができる。BIS規制がそのよい例である。」と、国家のあり方や現代の帝国主義について語られました。
拓殖大学日本文化研究所客員教授 黄文雄
拓殖大学日本文化研究所客員教授の黄文雄様は、「日本人の意識が変わり、領土問題や歴史問題への関心が高まってきたと感じる。今年に入って出版社から、歴史や領土問題に関する書籍の執筆を43冊も頼まれた。仕事で毎年世界中を回っているが、空港でのボディチェックは北アイルランドとフランクフルトが厳しい。フランクフルトの入国審査で『私は日本人だ』と言うと、係員は『サムライ』と言ってすぐに通してくれた。日本には『地球人』になりたい人がいるが、贅沢なことである。」「日本文化は善と悪を超越している。日本社会の仕組みの中に道徳があり、日本で道徳を教える必要は無い。また、日本は何でもある国である。例えば古代ギリシアには彫刻はあったが絵画は無かった。しかし、日本にはあらゆる国々の書籍が日本語に翻訳されて、それらの多くが書店に並んでいる。また日本にはあらゆる国の料理がある。いかに日本の伝統文化を守り、世界に広げていくかが大切である。」と、日本人であることと日本文化の素晴らしさについて語られました。
軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹
軍事ジャーナリストの鍛冶俊樹様は、「7月10日に『領土の常識』を出版した。本書は歴史的、地政学的に領土問題を考えたものである。鳩山元総理は中国に行って中国の見解を支持する発言をした。鳩山氏は、中国から戦争になるぞと脅されており、言うことを聞くしかないと思っているのだろう。これは軍事的無知から来ている。中国の軍事力には中身がなく、今戦争をやれば日本が勝つ。」「6月7日、8日に米中首脳会談が行われたが、通常はその準備に6ヶ月かかるのに、発表から2週間後に、しかもカリフォルニアで行われたことは、緊急事態であることを意味する。アメリカにとって世界で一番問題なのはイランとイスラエルの関係である。アメリカの世界戦略の中心は航空母艦であるが、常時動かせるのは4、5隻しかなく、中東で戦争が起これば航空母艦を東アジアから中東へ移さざるを得ない。その間に中国は尖閣を取ろうとするかもしれない。だから米中会談を開き、中国に尖閣で日本を挑発することを止めさせようとした。一方、中国側は経済支援を要求したが、両者は折り合わなかった。」「大国には海洋国家と大陸国家があるが、両方を兼ねることは財政面からできない。中国は本来妥協するべきであるが、尖閣での挑発が続いているのは、習近平が国家を統括できていないからである。軍を掌握していないから軍事費削減ができず、将軍たちは軍事予算のほとんどを賄賂として受け取っている。だから共産党支配がいつまでも続くことは無い。しかし、中国が滅ぶと武器が流出し、武装難民が大量に動き出す。ロシアが最大規模の軍事演習をしたのも極東情勢が極めて不穏だと見ているからである。」と米中会談の背景や、中国崩壊の危機について語られました。
戦後問題ジャーナリスト 佐波優子
戦後問題ジャーナリストの佐波優子様は、「これまで続いてきた東京裁判史観が慰安婦問題に繋がっている。慰安婦とは業者が娼婦を集めて営業し、兵士が対価を払って利用していたものだが、今では、13歳の少女が強制的に連行されて暴行されたことにされてしまっている。こうした状況を打破するために、京都で講演会が開かれ、2人の元兵士に慰安婦について話していただいた。93歳の元陸軍兵士の話では、戦地の慰安所では現地の業者が商売しており、日本人、朝鮮人、中国人がいて、多くは20代後半の女性だったという。彼女たちは多くのお金を稼いで国に送っており、嬉々として働いていた。それが、話が全くすり替わっているのが悲しいと話していた。91歳の元海軍兵士は、全ての日本人兵士が少女を暴行したように言われていることに強い憤りを感じていると話していた。慰安婦問題は一言で言うと性犯罪の冤罪である。大東亜戦争で国を守るために死んでいった祖父の名誉を守ることができるのは現代の私達である。こうした問題は、発言すると問題をすり替えられて攻撃されてしまうので、ますます発言しにくくなる。しかし私達は冤罪に取り組んでいくべきである。」と、従軍慰安婦問題という冤罪に取り組み、兵士達の名誉を守ることの必要性を訴えられました。
最後に塾長は、「日本人は黙っていてもいずれ真実をわかってもらえると考えがちである。平和な島国で培ってきた連帯感や惻隠の情は、世界では通用しない。世界の常識は情報謀略戦であり、世界中の情報を分析、解析する情報省を設け、日本を貶め、事実に反する報道に対しては、即座に反撃し、真実を闘い取る必要がある。『闘い取る その覚悟と使命感が 勝利を得る』が来月号の座右の銘である。韓国は日本よりはるかに経済規模が小さいにも拘らず、徹底した情報謀略戦をやっている。それを見過ごしてきた日本政府の姿勢は問題である。憲法の制約によって武力は持てなくても、情報を収集分析して反撃するのであれば全く問題ない。」「先月の東洋経済のリチャード・カッツ氏のコラムでは、極端な修正主義者を大臣に選んだ内閣に対して6カ月も経ってなおメディアが批判しないことを非難していた。参院選では自民党が大勝利するだろう。これまで維新の会が砕氷船の役割を果たしてきたが、維新の会の凋落により砕氷船を失ったため、安倍政権は発言に慎重になっている。参院選の後、3年間選挙はないが、その間に民主党が分裂し、他の野党も集まって第二保守党ができれば、自民党の中の反原発派、護憲派、親中派が動き、自民党が分裂するかもしれない。そうなると3年後の衆参同時選挙では改憲勢力で三分の二を確保することが難しくなる。そこで安倍氏は現行憲法を破棄するべきだ。橋下叩きは、衆参同時選挙を行って改憲勢力で三分の二を確保し、日本が真の独立国家となることを恐れたアメリカの謀略である。」「先日フィリピンを訪れた際に、キングメーカーと言われているホセ・デベネシア氏から会食に招かれた。そこで私は、『フィリピンは立派である。アメリカ軍基地を一掃して、国内に外国軍がいない。それで厳しく中国と対峙している。』と伝えた。日本も真の独立国家となるべきである。日米安保条約の改正は憲法改正より難しいが、アメリカと喧嘩をするのではなく、力をつけながら互恵対等の関係にしていくべきである。」と、会を締め括られました。