第27回 勝兵塾月例会レポート

塾長・最高顧問 元谷 外志雄

勝兵塾第27回月例会が、8月8日(木)アパグループ東京本社6階会議室にて開催されました。
冒頭のアパグループ代表、元谷塾長の挨拶では、「産経新聞の『原爆問題、日本も攻めの主張を』と題した記事によれば、安倍首相は、原爆投下を首相として初めて『非道』という言葉で非難した。当時の日本は、ソ連やバチカン、国民党政府などあらゆるチャンネルを通じて講和をアメリカに働きかけていたが、アメリカは天皇制存続を曖昧にして、その間に開発した原爆を日本に投下した。人類史上、原爆投下ほど非道なことはない。だからこそ日本は原爆を持つ権利がある。」と、安倍首相の発言の意義と原爆の非道さを強調されました。さらに、「CIAのスノーデンが香港からロシアへ行き、1年間のロシア亡命が認められた。この背景には中国とロシアとの連携がある。プーチンは支持率が低下し、習近平も内政で問題を抱えている。そこで中ロが再び連携し始めた。衰退するアメリカと膨張する中国との間で、アメリカは日本にパワーを求めてくるだろう。安倍首相は『アメリカの壁』を迂回しながら、靖国参拝などの争点となる問題は避け、保守化を進めている。海上保安庁長官や内閣法制局長官の人事を見ても、一つ一つ着実に手を打っていると言える。」「アベノミクスで2%インフレターゲットと言っているが、すでに資産インフレに火がついている。東京都心では地価が高騰し、これから先はなかなか土地を買えない。ただ、日本経済に明るいムードが漂っている。そこで地方ホテルの買収にも力を入れ、この2ヶ月間で3つのホテルを買収した。日本は観光立国となり、今年は訪日外国人が1、000万人を超える見込みであるが、いずれ2、000万人にまで増えるだろう。日本は、何を食べても安全、時間通りに電車は来て、夜は一人で安心して歩ける。このような素晴らしい国は他にはない。」「先日フィリピンを訪問し、ホセ・デベネシア氏と対談したが、中国をいかにソフトランディングさせるかと語っていた。そこで日本の果たす役割は大きい。安倍首相は村山談話、河野談話を踏襲し、靖国参拝はしないと言っているが、まずは長期政権となって力をつけるのが先決である。私が今主張していることは、かつては少数派だったが、今では多数派になった。田母神論文騒動から日本が変わり始めて、第二次安倍政権が誕生した。安倍首相は、5年間は政権を維持し、その後院政を敷いて次は女性総理を、というのが私の持論である。」と、日本の素晴らしさと安倍政権への期待について語られました。


農林水産大臣政務官兼復興大臣政務官・衆議院議員 長島忠美

 農林水産大臣政務官兼復興大臣政務官で衆議院議員の長島忠美様は、「私は旧山古志村の村長だった。9年前の新潟県中越地震で、政治や国の力を感じた。故郷では、『女性は女性らしく生きろ。男性は男性らしく生きろ。』とよく話した。この『らしく生きろ。』というのが差別用語だと言われたが、私は止めなかった。全村避難では思いを共有することが一番必要である。震災の後、『山古志村はどうするのですか?』と多くのマスコミから聞かれたが、私は『みんなで帰ろう、山古志へ。』と村民たちに伝えた。復興には7年、10年かかると言われたが、高齢者も多く、2年が限界だと思った。そこで、村民に帰村の目標を2年後にしたいと言ったら、議会からは『できないことを言うな』と反発された。結果的には3年2ヶ月かかったが、2年という目標がなければ無理だっただろう。思いを共有したときに強いのが日本の誇れる文化である。家族や故郷を愛することには誰も異論はない。国を愛することにアレルギーを示すことが信じられない。私たちは縦横の鎖で繋がっている。それが災害の時には力になる。」と、9年前の震災の体験と、そこで思いを共有することの大切さを訴えられました。

衆議院議員 馳浩

 衆議院議員の馳浩様より、「東洋大学の理事長をされていたときに、体育会をどう盛り上げてきたか」と質問があり、長島様は、「まず東洋大学で『箱根駅伝に優勝させる会』の会長になったときに、選手を山古志村で合宿をさせた。その年に柏原選手が入学して翌年の箱根駅伝で優勝することができた。板橋にスポーツセンターを作って水泳に力を入れるなど、その他のスポーツにも力を入れている。」と答えられました。さらに馳様からは、この後、2020年の東京オリンピック招致に向けての思いを語っていただきました。

衆議院議員 岸本周平

 衆議院議員の岸本周平様は、「私は民主党に所属しているが保守派である。保守主義とは、人間が不完全であることからスタートする。左翼は人間には理性があり、理想的な制度・仕組みができると考える。それが不可能であったことは歴史が証明している。復古主義でも反動主義でもなく、未来に向かって少しずつ改善していくのが保守である。まずは家族、故郷を愛する心が愛国主義である。」「子供たちに神話を教えている。日本には何千年もの歴史があり、神話には後世に伝えたいメッセージが込められている。出雲のオオクニヌシノミコトは、お兄さんの神々に殺されそうになるが、紀伊の国まで逃げて来た時、イタケルノミコトに命を救われる。伊太祁曽神社のご神体がそのイタケルノミコトというご縁で、出雲大社の宮司様からは、伊太祁曽神社を大事にしていただいている。出雲大社の60年に一度の式年遷宮で、出雲大社で特別参拝した時も、伊太祁曽神社一行には特別な配慮をしていただき、神話が生きていることを実感した。また、出雲の国譲りの神話では、タケミカズチノカミがオオクニヌシノミコトに対して統治の概念の違いを説き、『格の違い』を見せ付けて交渉に勝った。日本も外交交渉において、『格の違い』を見せ付けていくことが必要である。」と、保守政治家としての姿勢と、神話の大切さについて語られました。

衆議院議員 上野ひろし

 衆議院議員の上野ひろし様は、「1年前にみんなの党を離れ、日本維新の会を立ち上げた。7人のメンバーは結束を誓って血判状を作成した。当時、民主党政権に対して国民の不満があり、その受け皿となる政党を目指した。みんなの党は結党して3年の時点で既成政党となり、設立当初の理念は忘れられていた。この国のために捨石になる政党のはずが個人商店になり、議席を守ることが目的化していた。だから私はみんなの党を離党した。」「毎月Apple Townのエッセイを読ませていただいている。『安倍首相に対して改憲勢力が連携しながら改憲をテーマに衆参同時選挙をすべき』『橋下発言で維新の会の支持率が低下したことで衆参同時選挙ができなくなった』と書かれていた。私自身は、橋下代表の慰安婦発言は一部を切り取られて報道されており、説明をすれば支持者には理解されていたので、あまり影響はないと思っている。ただ、党内が分裂してガタガタしていたから支持されなかったのだろう。反対のための野党になるつもりは無い。支えるべきところは支えながら、言うべきことは言っていく。憲法改正については党の綱領に明記している。党派を超えて憲法改正に取り組んでいく。」と、日本維新の会結党の背景とこれからの取り組みについて語られました。塾生から、「石原代表が憲法破棄を主張し、橋下代表は自虐史観を持っているが、党としての統一見解はどうなのか」と質問が投げかけられ、「憲法、原発、TPPについては党内でも意見に幅があるのは事実である。憲法については統一見解をつくるべきだという話をしたばかりであり、これから議論をしていかなければならない。」と答えられました。

日本チュニジア協会会長 小野安昭

 日本チュニジア協会会長の小野安昭様は、「日本は、世界の中で非常に重要な中東、イスラム世界に関して情報量、質ともに不足している。イスラム諸国連合に加盟している国は57カ国ある。国数では世界の四分の一、人口では五分の一を占めている。2年前に起こったアラブの春について、欧米のメディアによれば民主化に向けた国民の希望となっているが、中東に関する情報は欧米のメディアにコントロールされている。」と、日本での中東に関する情報不足を指摘され、「エジプトの前大統領は民主的な方法で選ばれたが、軍のクーデターによって降ろされて暫定政権ができた。エジプトが、前大統領を支持するムスリム同胞団と暫定政権の2つに分かれて対立、衝突の危機にあり、事態が深刻になってきた。ムスリム同胞団は1928年、純粋なイスラム社会をつくることを目指して、エジプトで組織された。ナセル大統領がエジプト王制を倒して1952年に社会主義政権を樹立したが、そこではムスリム同胞団の力が大きかった。しかし、その後ナセルによって弾圧され、地下に潜った。シリアでも反政府勢力の中心にムスリム同胞団がいる。中東情勢を理解する上で、ムスリム同胞団の状況を把握することが重要である。」と、中東情勢を読み解いていただきました。さらに、「Apple TownのBig Talkを大変すばらしいと思いながら読んでいる。世界197カ国のうち、小さな国はなかなか知ってもらう手段がないが、元谷代表が表面的な国の紹介だけでなく、大使とかなり突っ込んだ対談をしている。元谷代表には全世界の大使と対談していただき、世界に対して情報を発信していただきたい。」と塾長の活動を賞賛されました。

第29代航空幕僚長 田母神俊雄

 第29代航空幕僚長の田母神俊雄様は、「8月15日の終戦記念日が近づいてくると、反日運動が盛んになる。大東亜戦争は日本にとって、アジアにとって聖戦だった。この誇りを取り戻したい。中国や韓国は歴史を外交のツールとして利用しているだけであり、日本は侵略戦争を認めてはいけない。戦争をやれる体制をつくることが戦争をなくすことになることがわかっていない。核兵器を持たない方が安全だという理屈は、日本以外では通用しない。核兵器こそ防御用の兵器であり、攻撃用兵器ではない。なぜなら核戦争になれば両方負けるからである。その証拠に、これまで核武装国同士での戦争は無い。また、核兵器は認識の兵器である。持ったと宣言して、周囲の国が認めれば持ったことになる。核兵器は戦力の均衡の必要のない兵器であり、安上がりな兵器である。そのことを北朝鮮やイランは良くわかっている。核兵器に対する認識も戦後レジームである。日本は素晴らしい国であるにも拘らず、日本が悪いことをしなければ世界の平和は続くと勘違いしている。話すだけで格の違いを見せ付けるということは、国際社会では通用しない。武力に対しては武力、情報に対しては情報で対抗する準備をすべきである。政治家には国際社会では腹黒くなってほしい。」と、軍や核兵器に対する認識の誤りを指摘されました。

勝兵塾事務局長 諸橋茂一

 勝兵塾事務局長の諸橋茂一様は、「日経新聞の編集委員である西田睦美氏による7月29日付の記事『(安倍首相に対して)安全運転を切に願う』は、東京裁判も村山談話、河野談話も正しいかのような前提でこの記事を書いている。しかし、東京裁判はハーグ陸戦法規第43条に違反している、事後法で裁いている、マッカーサーの単なる指示書である『チャーター』に基づいて行われたものである、ウェッブ裁判長は管轄権について答えることができなかったことから、全く無効であり、マッカーサーや裁判長のウェッブ、主席検事のキーナンは後に、『東京裁判は誤りであった。』と認めている。」「『正論』9月号に、『かくも気高き大東亜戦争』という私の文章が掲載された。平成15年3月にインドネシアを訪れ、インドネシアの独立戦争を戦われた二人の元日本兵にお会いしてお話をうかがった。彼らは、『大東亜戦争はアジアの植民地を解放するという大義の下に戦ったのであり、インドネシアの青年たちがこの大義に共鳴して立ち上がったのに、日本が負けたからと言って彼らを見捨てて日本に帰るわけにはいかない。そう思って彼らと共に戦った。』と語っていた。インドネシア独立のために戦った元日本兵が約1、000人、うち約700人が戦死した。他の国の独立のためにこれだけ多くの人達が命を掛けて戦ったのは、日本人しかいない。」と、東京裁判の無効性と大東亜戦争の大義について語られました。

最後に塾長より、「安倍政権の誕生は神懸り的なことである。発表されている以上にひどい状況が明らかになる中国と、予想以上にプーチンの支持率が厳しいロシアが連携する中、衰退しつつあるアメリカは、今後日本のパワーを必要としてくるだろう。安倍政権が5年間続けば、日本にとって黄金の5年間となる。この間に、アメリカでは大統領選挙があり、民主党のオバマ政権は終わる。そこで共和党が勝利すれば、弱るアメリカに手を貸す日本という関係になれる。日本は過去も現在も誇れる国であり、多くの国からは日本はすぐ核武装できると思われている。安倍政権がこの先どう運営していくかで日本の将来が決まる。今は一つ一つのことに目くじらを立てず、安倍政権の残り4年半の間に日本が経済力を付け、アメリカの見えない壁を迂回しながら着実に保守化を進めていくべきである。世界は昔も今も情報謀略戦であり、狩猟民族による弱肉強食の世界では、惻隠の情は通用しない。」と、安倍政権の今後の取り組みに大きな期待を示され、会を締め括られました。