勝兵塾第24回月例会が5月16日(木)アパグループ東京本社6階会議室にて開催されました。
冒頭のアパグループ代表、元谷外志雄塾長による挨拶では、「安倍首相が村山談話を踏襲するような発言をしたのは、そう言わざるを得ないアメリカからの強い圧力があるためだ。今は『寝たふり』をして衆参同時選挙を行い、憲法改正を実現しようとするのが安倍首相の戦略だと見ている。衆参同時選挙を断行すれば、民主党も維新の会も惨敗し、この先一強全弱となって、自民党政権が長く続き、自民党政権内で派閥による擬似政権交代を行いながら、日本は黄金時代を迎えることになるだろう。日本の強みはソフトパワーであり、経済力である。軍事費がGDPの1%であったとしても、先端科学技術立国と観光立国を目指し経済成長を続ければ、防衛費を増やすことができる。しかも無駄な予算の使い方である防衛兵器の購入を止め、攻撃兵器に集中して予算を使えば、これが戦争抑止力となる。先日接続水域に国籍不明の潜水艦が侵入したといった報道がなされていたが、現在日本の自衛隊は米軍と連携して中国の全ての船の位置を把握しており、戦争となれば簡単にこれらを全滅させることができる。安倍首相は前回の失敗の反省から、『寝たふり』をするような老獪さを身に付けたのだと思う。」と、安倍首相の取る戦略と今後の見通しについて語られました。また今回は、元谷塾長の近現代史観の要点を纏めた、『勝兵塾近現代史観』が塾生に配布されました。
デヴィ・スカルノ様は、「橋下氏の『従軍慰安婦』に関する発言について、まずは日本の面子を守ることをすべきであるのに、日本のメディアも政治家も、中国や韓国と一緒になって橋下氏を非難している。また、川口氏が中国からの帰国を1日延ばしたことで環境委員長を解任されたが、日本の政治家は小さなことばかり問題にしている。」「マッカーサー元帥が、『日本が戦争をしたのは自衛のためだった』と証言しているにも拘らず、『村山談話』を安倍首相が踏襲するのは、とても残念なことである。靖国神社は日本人の心、伝統、文化であり、参拝を非難する中国や韓国に対して、『内政干渉するな』と大きな声で言える政治家が出てきてほしい。日本の正当性、歴史認識の誤りを正していくために、ネットでどんどん情報を発信していくべきである。」と、政治家やメディアの姿勢を批判されました。
駐日アルメニア共和国大使館特命全権大使のグラント・ポゴシャン様は、「アルメニアは長い歴史を持つ国であり、紀元前3000年の青銅器時代からこの地域には人々が住み、宗教や民族の交差点であった。またアルメニアは世界で一番早くキリスト教国になった国である。世界中を訪れているが、日本は永遠に新たな発見ができる国である。アルメニアと似ている点も多く、アルメニアも山国で火山もあり、地震が多い。1988年の大地震では2万人が亡くなった。そのため、2年前の東日本大震災を、アルメニア国民も非常に身近なことと感じていた。また、資源がないことも共通しており、そのため勤勉であり、科学技術を重視している。」と、流暢な日本語で、日本の素晴らしさと、アルメニアとの共通点について語られました。
厚生労働副大臣兼復興副大臣で衆議院議員の秋葉賢也様は、「世界の中で日本ほど医療制度がうまくいっている国はない。それを支えているのが国民皆保険である。医療制度を持続可能な制度として次世代へバトンタッチしていくために、負担と受益の関係について正面から取り組む必要がある。日本は世界一の長寿国家であるが、健康で長生きすることがより大事である。社会保障費は年間100兆円を超えているがその半分は年金である。しかし、社会保障費のGDPに占める割合は国際的な比較では高くはない。また、健康寿命の延伸のためには予防及び早期発見が重要となる。さらに、現在自宅で最期を迎えるのは1割であり、病床医療を再編し、自宅で自立した生活を目指す。被災地の医師不足も深刻である。医療費を抑制するためにはIT技術を駆使してカルテの共有化を進める必要がある。まず石巻・気仙沼から始め、仙台へ展開していく。さらに難病対策や再生医療にも取り組んでいく。」と社会保障制度、特に医療問題に関する課題と取り組みについて語られました。
秋葉様の話に関連して、元谷塾長より、「社会保障の問題を解決するためには、大家族制度を復活させればよい。そのために税の誘導によって、大型住戸の取得を支援すべきである。さらに、一番の問題は孤独死である。三世代が同居し、知恵の伝承がなされ、子が親の面倒を見れば問題は解決する。問題の背景には共産主義思想による家族の分断がある。」と意見が出されました。また、第29代航空幕僚長の田母神俊雄様より秋葉様に対して、「5人で1人の高齢者を支えていたのが1.2人で1人の高齢者を支えることになるということだが、健康寿命が70歳であれば、常に5人で1人を支えるようにできないのか?」と質問が出され、秋葉様は、「そのために、この4月から定年を60歳から65歳に延長した。」と答えられました。
参議院議員の中山恭子様は、「国際社会では『自らの国の国境を守る』『国民は自分の国を守る』といった国の意識がしっかりしていないと、うまく付き合っていけない。」「ウズベキスタンにあるナヴォイ劇場の壁面には、『日本国民が建設に貢献した』と記したプレートがある。現地の方の話では、当時日本人は捕虜としてラーゲリに入れられていたが、皆で助け合いながら、監視がいなくても良いものを造ろうと協力し合い、嘘をつかず、物をもらったらできることで返そうとする律儀な人々であったという。軍事力や経済力が大事ではあるが、その元にある文化は必ず理解されるものである。世界では未だに日本人を尊敬してくれる人々がいることを知ってほしい。」と、中央アジアの特命全権大使をされていた経験から、日本人がいかに世界中の人々から感謝されているかについて語られました。
公益社団法人国際経済交流協会代表理事の米田建三様は、「政治家や専門家は真実の議論を避けている。国際社会において敵地を攻撃する力がなければ発言権はない。かつては、主権国家は自らの意志に基づき戦争に訴えることができ、戦争に勝った方が領土と賠償金をとることができた。1945年に国際連合ができ、国際社会の枠組みができたが、その中では個別戦争が原則禁止とされ、国連安保理が必要な措置をとるまでの間、個別的自衛権と集団的自衛権を保持するとされている。憲法9条は改正すべきだが、それでは間に合わない。憲法9条は国連憲章の精神を謳ったものであるという理論もあり、政治家は勇気を持って、国家を守る必要性において解釈を変えるべきである。アメリカは重要な同盟国ではあるが、尖閣、北朝鮮問題ではブレ続けており、極東アジアを最重点地域にしていない。自国を守るためには日米同盟に加えて自前の攻撃力を保持すべきである。」と、わが国の安全保障体制の問題点について国際法の観点から指摘されました。
田母神様は、「米田先生が『アメリカは、日本が考えているほど日本のことを考えていない』という話をされていたが、これは本当のことである。自衛官がアメリカに留学すると、そこではヨーロッパや中東を舞台にした演習はあっても極東を舞台にした演習はほとんどないという。日米安保は日本が攻撃を受けたらアメリカが自動的に参戦するわけではなく、アメリカの自由意志によって決まる。大統領が参戦を決意しても有効期間は2ヶ月で、その後は議会の承認が必要となる。毎年反日法案を通しているアメリカ議会が承認するはずがない。したがって、自分の国は自分で守るしかない。そのために攻撃力を持たなければならないが、ミサイルや爆撃機を持つだけではだめで、運用のためにはソフトが必要になる。自衛隊は米軍のGPSや暗号を使っているため、アメリカが反対すると兵器が使用できなくなる。実際に湾岸戦争では、米軍がGPSのモードを変えたために、イギリス軍はミサイルを撃てなかった。軍事的な自立が国家の自立であり、武器を国産化するためには武器輸出解禁をまずやるべきである。」と、独立自衛の国を目指す必要性と、そのための武器輸出解禁の必要性を訴えられました。
勝兵塾事務局長の諸橋茂一様は、「支那事変は1937年の盧溝橋事件から始まったと教科書に書かれているが、これは嘘である。同年7月29日に中国通州市で日本人223人が虐殺される事件が起こり、これが支那事変の大きな背景となったが、日本では教えられていない。その後8月9日に上海で大山大尉惨殺事件、8月13日に張治中の謀略による日本軍への攻撃、同14日には上海租界へ無差別空爆が行われた。日本は上海に居留する民間人を守るため2個師団を派遣した。大東亜戦争の背景は、1906年に日本を仮想敵国とした『オレンジ・プラン』が米国で策定されたことに遡る。1924年にアメリカで排日移民法が成立し、日系米人が迫害を受け、1939年には日米通商航海条約をアメリカが一方的に破棄し、1940年にくず鉄の輸出をストップ、1941年7月25日に日本の在米資産を一方的に凍結し、8月1日には石油を完全に禁輸した。そして同年11月26日にハルノートが突き付けられた。日本は無謀な戦争を戦ったと言われているが、日米開戦時の戦力を比較すると、戦艦と空母等を合わせた数では日本はアメリカに勝っていた。したがって、対米戦争は必ずしも無謀な戦争であったとは言えない。」と、支那事変と大東亜戦争の背景と、開戦時の日米戦力等について語られました。
セントルイス大学教授のサー・中松義郎博士は、「マッカーサーの指令により、戦後東大工学部航空学科は廃止された。そのため現在、航空機、戦闘機は全て外国から買ってくるようになった。かつて日本の航空機技術は優れていた。航空機を国産化し、輸出することが、日本が自立する一歩である。」と航空機の国産化の必要性を訴えられました。
戦後問題ジャーナリストの佐波優子様は、「先日、魚釣島に行き、集団漁業活動に参加した。漁を始めようとしたときに、海上保安庁から中国の公船が近づいているため、石垣島に避難するよう指示があった。実際に漁船が中国公船に追いかけられ、間近に迫り、大変怖い経験をした。日本と台湾が漁業協定を結んで中国を牽制するようになり、少しでも日本のためになるのではと思っていたが、漁師の方々は、台湾が入ってくることで漁業圏が狭まってしまい、はえ縄漁ができなくなると言っていた。日本の領土を守ることが大切であるが、それによる不利益を被らないようしていく必要があると感じた。」と、領土を守ることと国民の生活を守ることの両立の必要性を訴えられました。
最後に元谷塾長より、「世界は全て情報謀略戦であり、どちらが強いか弱いかで全て決まる。強い日本を取り戻すために、安倍首相は衆参同時選挙を行い、三分の二の改憲勢力を確保すべきである。平和には3つの平和がある。『支配する平和』、『支配される平和』、『力のバランスによる平和』である。これまで数多くの外国大使と話してきたが、どの大使も日本は良い国だと言い、日本は潜在的核保有国だと思っている。それならば、日本は潜在核保有国として、核兵器のパーツを造り、いつでもそれらを組み立てて核兵器を造れるようにしておき、イスラエルのように核を持っているとも持っていないとも言わない戦略をとるべきである。核は使われることのない兵器であり、持っていると思わせるだけで抑止力となる。衰退するアメリカと膨張する中国の間で、アメリカは日本の力が必要になってくる。衆参同時選挙は6年前にも安倍首相に進言したが、そのときは安倍首相にそれだけの勇気がなかったが、今回はやりそうである。安倍首相は村山談話を踏襲すべきではないという意見があるが、本気で踏襲すると言ったわけではないはずだ。今はアメリカとの間で争点を作るべきではなく、アメリカが歴史の見直しを許さないと言えば、それに従わざるを得ない。プラグマチスティックに考えれば、『寝たふり作戦』で衆参同時選挙に持ち込み、日本が力を付けてから本当に言いたいことを言うべきだろう。しかし、これでもし衆議院を解散しなければ、安倍首相の資質が疑われることになる。」と、安倍首相への期待と日本がとるべき戦略について語られ、会を締め括られました。