勝兵塾第22回月例会が3月22日(木)アパグループ東京本社6階会議室にて開催されました。
冒頭のアパグループ代表、元谷外志雄塾長による挨拶では、「先日田原総一朗氏の講演を聴く機会があったが、その中で田原氏は、『ジャーナリストの日中交流会議をやってきたが、中国側の言論も自由になってきている』と言っていた。しかし、相手はジャーナリストではなく政府機関であり、これまで日中記者交換協定の撤廃を主張してこなかったのかと質問したかったが、質問の受付がなかった。また、いわゆる南京事件について、『中国は力のないときには南京事件を持ち出して日本を非難していたが、最近は力を付けてきたので南京事件を持ち出さない大人の対応をするようになってきた』と言っていた。しかし、中国が南京事件を持ち出さなくなったのは、根拠がないことが明らかになってきたからである。河村発言(「いわゆる南京大虐殺はなかったのでは・・・・・・」)の時の対応では、日本のメディアは南京虐殺を否定する発言だと大騒ぎしたが、中国からの抗議は少なかったところに端的に現れている。さらに靖国参拝について、『安倍総理は、次は中国に行くはずであるが、中国訪問前には靖国参拝をやめた方が良い』と言っていた。しかし、どこの国でも、国のために命を落とした人を弔うのは当たり前のことではないか。前回の安倍政権が誕生した時に、田原氏は総理に対して、『総理は保守で右翼と思われているのでそれを払拭するために、まず中国を訪問するべきと進言し、それが採用されて、安倍総理が就任後、まず中国を訪問した。』と言っていたが、戦後レジームからの脱却を主張していた安倍総理がアメリカより先に中国を訪問したということもアメリカの意に沿わず、総理を辞任することになったのではないかと言える。」と田原総一朗氏の講演での発言を論評されました。また、「昨年12月に国連科学委員会は、『百ミリシーベルト以下の放射線の被曝で健康被害を受けた事例はない』『福島第一原発の事故による健康被害はない』という報告書を発表している。メディアはこうしたことを大々的に報道すべきであるが、不安を煽る報道ばかりしている。環境省の定めた5ミリシーベルトではなく1ミリシーベルトを除染の基準としたために、除染が進んでいない。この基準を20ミリシーベルトにまで上げれば、除染はほとんど必要なくなるだろう。リスクの確率計算をせず、メディアは毎年テーマを変え、ワイドショー的な無責任報道で不安を煽り、風評被害を巻き起こしてきた一方で、風邪をひいたり階段から落ちたり自殺したりして死ぬ人が毎年何万人といるが、ほとんど話題にならない。メディアは視聴率を稼ぐために毎年大騒ぎをしているとしか思えない。」と、不安を煽るメディアの姿勢を批判されました。
衆議院議員の高鳥修一様は、「私は自民党の中では最も右の議員の一人である。最も親しい議員は稲田朋美氏であり、当選同期で思想的にも近い。現在、憲法審査会が国会で開かれている。そこで各党が意見を述べるが、世の中には2つの考え方があることがわかった。ひとつは我々のように、『現実の世界を見て、現実に憲法を合わせる』という考え方であり、もうひとつは『憲法を見て、現実を憲法に合わせるべきだ』として、非現実的なことばかり主張しているものである。さらに家制度について、我々は、『家族の価値が崩壊しているため、憲法に家制度について書くべきだ』と主張しているのに対して、左の人達は、『憲法には権利だけを書けば良い』と言っている。自民党の存在理由は、独立国にふさわしい憲法をつくることであり、それは結党の理念でもある。独立を守るための軍備を持ち、それを憲法に書き込むことが必要である。さらに、今やらなければならないのは歴史を取り戻すことである。中国や韓国は歴史を捏造し、日本がそれに対して謝るから事実として固定化される。この悪循環を断つ必要がある。オリンピックでレスリングが外された。テコンドーも外されかけたが残った。韓国は、テコンドーは2,000年の歴史があると言っているが、戦前に日本に留学した韓国人が日本で空手を習い、韓国に持ち帰って後にテコンドーと呼ぶようになったのが事実である。しかし、日本で出版されている本にも、テコンドーは2,000年の歴史を持ち、空手の母体となったと書かれている。これも歴史の捏造である。従軍慰安婦も南京事件も同じ構造である。中国や韓国に対して、日本は騒げば怯む、押せば引くという間違ったメッセージを与えてはいけない。」と憲法改正の必要性と、歴史の捏造について語られました。
駐日ギリシア大使館特命全権大使のニコラウス・ツァマドス様は、「来週月曜日はギリシアの建国記念日であるとともに、ユーロ諸国の代表が日本に集まり、大切な条約の調印をする。これは自由貿易協定締結に向けた交渉開始を明記したものである。ユーロ諸国は、日本がグローバリゼーションの中で一歩を踏み出したことは好ましいことだと評価している。自由貿易によって、農作物については確かにマイナスの点があるかもしれないが、日本の自動車が欧州でもっと売れるなど、プラスの面もたくさんある。」と日本とユーロとの自由貿易協定について触れられました。また、「日本にはたくさんの神と神話があるが、ギリシアにもたくさんの神と神話がある点では共通している。ギリシア神話の中には、日本のアマテラス・オオミカミと同じような話があり、とても不思議だ。さらに地政学的にも日本との共通点がたくさんある。ギリシアには3,000以上の島があり、国土の80%以上が山であり、地震もある。『津波』という言葉をヨーロッパに伝えたのは小泉八雲である。彼はギリシア人である。また、ミノコス島は与論島と姉妹都市の関係にある。」とギリシアの文化や日本との共通点についてスライドを交えて解説されたほか、「外交官、大使の仕事は何のためにあるのか?大使は国の代表であるのに加えて、公的なスパイでもある。私はギリシアの口であり耳である。つまり大使の仕事は日本の皆さんにギリシアのことを伝え、皆さんの意見をギリシアに伝える役目を持っているのである。」と大使の役割について語られました。
高下謹壱法律事務所の高下謹壱弁護士は、「現行憲法は戦後の日本の外交、安保を規定した。自民党の結党の理念、党是は憲法の改正であったが、高度成長でなおざりになった。憲法は国会で採択されたので、日本の自由意思で受け入れたと言われることがあるが、自由意思とは拒否できることが前提であり、当時の日本は拒否できる状況ではなかった。韓国併合のときの韓国の自由意思とは違う。韓国は拒否することもできた。竹島についても、日本が領有権を主張したときに異議を唱える自由が韓国にはあったはずであるが、韓国は異議を唱えなかった。また尖閣についても、日本が領有を決定した際の清の態度についても同じことが言える。日本は帝国主義に基づいて他国の領土を奪ったと考えるのは間違いである。民事の問題であれば裁判所が決める判決を出せるが、国際司法裁判所には強制力がない。竹島を実力で奪還した後で国際司法裁判所に提訴するのはどうか。その場合、韓国の国旗や建造物には手を付けないという配慮は必要だろう。国家としての決断力、実行力が必要である。さらに国際社会へプレゼンをしていく必要がある。小人国家(韓国)、傲慢国家(中国)、やくざ国家(北朝鮮)に毅然として対抗する。そのためには、政治力、軍事力、経済力が必要。」と憲法改正の必要性を訴えられ、領土問題への対処方法について持論を展開されました。
経済ジャーナリストの小澤昇様は、「日本には40年周期説というものがあり、1868年に明治政府が発足し、『富国強兵』をスローガンにしたが、1905年、日露戦争に勝利し、富国強兵から軍事大国へ進むようになった。さらに1945年、日本は敗戦し、その後軍事大国から経済大国を目指すようになった。そして1985年には宮沢首相が生活大国を目指すと曖昧な目標を掲げたが、その後バブルは崩壊し、失われた20年となった。偶然の連鎖という意味では、ナチスドイツが1936年にベルリンオリンピックを開催し、1945年に崩壊し、ソ連が1980年にモスクワオリンピックを開催し、1991年に崩壊しているように、全体主義国家がオリンピックを開催して10年前後で体制が崩壊している。もうひとつの全体主義国家である中国は2008年に北京オリンピックを開催していることから考えると、後4、5年で体制が崩壊するのではないか。」と歴史における偶然の連鎖について触れられたほか、「私が台湾に赴任したのは李登輝氏が始めての民主的な総統選挙で勝利したときである。当時中国からの圧力がものすごく、私は李登輝氏に対して、『中国に対して恐怖を感じないのか』と質問したところ、『恐怖心を見せないのが中国とのけんかのやり方だ』と答えられた。私は日本が自虐史観から脱するために、日本の子供たちを台湾人に会わせたいと思い、日台青少年スカラシップを始めた。日本の若者を台湾に連れて行き、李登輝氏と会わせたり、烏山頭ダムを訪れたりしている。できるだけ多くの若者を台湾に連れて行きたいと思っているが、やっと10年で164人である。日本の選択肢は3つしかない。①日米同盟の強化、②中国の軍門に下る、③日本の核武装である。日本はもっとずるくならなければならない。少なくとも核を持っている雰囲気だけでも見せなければならない。」と日台交流への取り組みとその想いについて語られました。
第29代航空幕僚長の田母神俊雄様は、「今の日本には、中国の軍事力が強くて、戦争になれば中国に支配されてしまうと思っている人が多いが、核兵器だけ抑止すれば日本は勝てる。国際情勢は瞬時に変わるが、軍事情勢はそう簡単には変わらない。現実は、『戦争をやるぞ』と言っていれば戦争にはならない。中国の公船が日本の領海に侵入し、日本の漁船を捕まえたら日本はどうするのか考えておかなければならない。中国に対して自衛隊を強化する姿勢を見せることが必要である。大人の対応、冷静な対応を30年間続けてきた結果、状況はどんどん悪くなってきた。日本の決意を示すことが必要である。中国も本当は日本と戦争をしたくないはずである。日本は日中貿易がなくなってもどうってことはないが、中国は経済が成り立たなくなる。国際社会は腹黒いものである。アメリカが尖閣問題について中国を悪く言うのは日本のためではない。日本をTPPに参加させるために、日本に味方した発言をしているのではないか。アメリカのやってきたことを分析すれば腹黒いことがわかる。どの国も軍を国の財産として活用しているが、日本ももっと危機対応の企画の段階で活用するべきである。国家の歴史上の知恵が軍隊には蓄積されており、非常時対応を政治主導で首相官邸が直接現場をコントロールするのは危険である。」と、中国に対して毅然とした態度を取ることの必要性を訴えられました。
戦後問題ジャーナリストの佐波優子様は、「日本に生まれてよかったと思う」というテーマで、「平成19年に天皇陛下がスウェーデン、エストニア、ラトビア、イギリスをご訪問される前の記者会見で、記者から、『身分を隠して行きたいところは』と質問された際に、陛下は葉山での散策の思い出に触れられ、『身分を隠すのではなく、私たち自身として人々に受け入れられているときに、最も幸せを感じている』とお答えになられたというお話を聞いて、とても感動した。日本が2,600年もの間続いてきたのはこうした天皇陛下の御存在があったからだと思う。」と語られました。
「新しい歴史教科書をつくる会」副会長の岡野俊昭様は、「元谷代表と話した時に、総理大臣に最もなってほしい人はという質問に対して、李登輝元閣下と答えて頂き、意見が一致した。本当にこの方こそ、真の愛国心を持った方だと思う。さらに台湾の方々を見ると、戦前の日本の教育がいかに素晴らしかったかと感じるが、戦後の日本の教育は間違っていた。国のために命を落とす軍人を敬わず、国益とは何かを教えない。ハーグ国際司法裁判所を訪れた際に、竹島問題について意見を聞いたが、日本政府が自分の領土を必死で守ろうとしていないのが問題だと感じた。だからこそ、本当の歴史を国民に知らせていかなければならない。」と、歴史教育の重要性を訴えられました。
衆議院議員の原田義昭様は、「6年前と比べて安倍総理は生まれ変わったようにしっかりしている。我が国は、尖閣諸島や竹島は日本古来の領土と言い続けているが、中国も台湾もそのことを認めてきたものである。尖閣諸島は1895年に日本が領土に編入した後、異議を唱えず、中国や台湾の教科書や地図帳、人民日報にも日本の領土とはっきり書いてあった。それが1969年3月に台湾が、8月に中国が自国の領土だと言い出した。これは海底資源が豊富にあることがわかったからである。日本は固有の領土と主張するだけで、中国も台湾も日本の領有権を認めてきたことを指摘していない。英米法では同じ人が違うことを言ってはいけない。また、先日台湾人が尖閣に上陸したときに、日本の警察がそのまま残れば良かったと思う。尖閣を日本は実効支配をしていると言っているが、日本人が行くことを外務省が嫌がるようでは実効支配とは言えない。」と英米法の概念を取り上げながら、尖閣や竹島の領有権をもっと強く主張すべきと訴えられました。
元谷塾長は、「先日、人民解放軍に属していた友人と会った際に、彼は、『国力とは(経済力+軍事力)×政治力』と言っていた。日本にもっとしっかりした政治家を育て、政治力を付けていかなければ力にならないと感じた。折角衆議院で改憲勢力が三分の二をとったが、参院選で勝利しても三分の二は確保できない。事実上の改憲不能条項がある限り、今の憲法の改正は無理である。そこで勝兵塾特待生でもある南出弁護士が主張する憲法無効論、これは石原慎太郎氏にもレクチャーし、石原氏が先日の国会質問でも主張されていたが、この憲法無効論に基づき、過半数の賛成で現行憲法を破棄し、大日本帝国憲法を改正するべきである。次の参院選で勝利すれば3年間は選挙がないのであるから、そこで憲法廃止並びに憲法改正をやり抜けば、最終的には大変な賞賛を受けるだろう。竹島も尖閣も、結局は力であるが、現行憲法下での自衛隊では力が発揮できない。どんな国でも防衛のためには抑止力が必要でるが、攻撃できないのでは抑止力にならない。今のチャンスを逃したらもうチャンスはない。安倍総理にはこのことを伝えたい。」と語られ、会を締め括られました。