第19回 勝兵塾月例会レポート

塾長・最高顧問 元谷 外志雄

 勝兵塾第19回月例会が12月20日(木)にアパグループ東京本社6階会議室において開催されました。
 冒頭のアパグループ代表元谷外志雄塾長による挨拶では、「先日の衆院選では自民党が圧勝したが、この先の参院選で憲法改正をしても良いという勢力をいかに多く集められるかが重要である。自民党は今回の圧勝の揺り戻しも考えられるが、維新の会が伸び、公明を巻き込み、民主党の中の真正保守が賛成すれば憲法改正も可能となる。このチャンスを逃すと憲法改正ができなくなるから、真正保守が結束して頑張ってほしい。毎年、『年頭所感』を発表しているが、来年は『日本再興元年 民族の悠久の歴史に誇りと自信を 祖国日本の再興を目指し 限りないロマンに全力でトライし 願望は自ら実現する』とした。民族の悠久の歴史を持つのは日本人しかいない。」と新政権への期待とともに来年の年頭所感を発表されました。

元海上保安官 一色正春

 第5回「真の近現代史観」懸賞論文で最優秀藤誠志賞を受賞された、元海上保安官の一色正春様からは、「昨日隣の部屋に泥棒が入った。隣は女性の一人暮らしだったが、泥棒は入りやすいところを狙っている。同じように我が国も泥棒に狙われている。十年、二十年も前から狙いを付けてやっているのであり、石原前都知事が尖閣を買い取ると言って問題が大きくなったのではない。先日中国の飛行機が領空侵犯したが、これは中国建国以来初めてのことであり、事態はそこまで切迫している。中国は当初香港や台湾の活動家を使って魚釣島に上陸させ、次に民間漁船に違法操業させてきたが、、これを我が国は放置してきた。ここまでは海上保安庁が対応できるが、今はさらに中国の公船が領海に侵入しても治外法権があり、海上保安庁は手を出せない。警察がダメであれば軍が出ることになるが、残念ながら自衛隊は軍ではない。法律上、自衛隊は警察の扱いである。普通は泥棒が家に入ってきたら撃退するが、憲法では相手に生命の安全を委ねている。また、領海と領空とは別の次元のものである。領海は無害航行権が認められ、通過するだけでは問題はない。しかし領空は入ること自体が問題となる。今回は中国機が領空に侵入した。本来なら撃墜しても良いものであり、それだけ厳しいものである。憲法を変えなければならないが、最大の問題は軍隊がないことである。警察官が国を守っている。警察官には武器比例の原則というものがあり、相手に応じた武器しか持てず、必要最小限しか使えない。しかも攻撃は正当防衛、専守防衛でしかできず、どんなに優秀な兵器を持っていても圧倒的に不利である。自民党は国防軍を創設すると公約に掲げたが、自衛官や国民の命を守るために必要なことである。尖閣諸島を5~10隻の巡視船が守っている。日本政府は巡視船がいるから実効支配していると言っているが、今後領海に侵入する中国船が増えたらどちらが実効支配しているかわからなくなる。日本の自衛隊が常駐せず、尖閣に施設も造らなければ、中国人が上陸しなくても簡単に実効支配が崩れてしまう。尖閣を守るためには、憲法を改正して軍隊を持つとともに、島に人が住み、自衛隊が常駐し、施設を造る必要がある。」と、尖閣を巡る中国の動きに対する危機感を示されるともに、尖閣問題の本質を分かりやすく解説されました。

 

エルサルバドル共和国特命全権大使 マルタ・セラヤンディア

 エルサルバドル共和国特命全権大使のマルタ・セラヤンディア様は、「エルサルバドルは中央アメリカで一番小さい国で四国くらいの大きさである。資源はなく、人が一番の資源であるため、皆勤勉である。たから中米の日本と言われることがある。自然が豊かで温泉もある。今は地熱発電に利用されているが、いつかは日本人の観光客が来られるように開発していきたい。また今年は内戦終結から20周年である。1992年に内戦が平和的に終結した。ゲリラ側と政府側がある日、武器を棄てて、これから国をどうしていくかを話し合った。世界中で様々な紛争があるが、このような解決ができたことは誇れることである。昨年エルサルバドルはパレスチナを国として認めた。イスラエル大使館からは抗議があったが、政府は自国の考えを説明して、イスラエルは納得した。今では世界の国々からエルサルバドルの体験を語ってほしいと言われる。人間の世界で紛争、戦いは起こるものであり、人間に備わった一つの要素であるが、それをどのように解決するかが重要である。日本の安定は日本人にとってだけではなく、世界の平和のために重要なことである。また、是非エルサルバドルに遊びに来てほしい。もてなす心、きれいな景色、おいしい食事の他、マヤ文明の地でもある。」とエルサルバドルの魅力を紹介されたほか、内戦の平和的解決の経験について語られました。

 

アゼルバイジャン共和国特命全権大使 ギュルセル・グドラト・オグル・イスマイルザーデ

 アゼルバイジャン共和国特命全権大使のギュルセル・グドラト・オグル・イスマイルザーデ様は、「アゼルバイジャンは若い国で、知らない人も多いと思うが、21年前に独立し、それ以前はソビエト連邦の一部であった。カスピ海と黒海の間に位置し、ヨーロッパとアジアの交差点にある。さらに遡ると15世紀に建国され、その後ロシアに占領されたが、1918年にイスラムで初めての民主共和国となり、女性も投票権を持っていた。19世紀後半には石油開発も行われるようになり、首都バグーは油田としても有名である。また、アゼルバイジャンという名称は火の国という意味であり、2000年前にゾロアスター教が生まれた地である。独立後6年間でGDPが4倍に増え、2年前の金融危機の影響はなかった。また一人当たりGDPは7,000ドルになっている。石油やガスのGDPに占める割合が10年前は9割を占めていたが、今は50%である。アゼルバイジャンは領土の20%をアルメニアに占領されており、領土問題についても日本の立場に共感を持っている。」とアゼルバイジャン共和国についてスライドを交えて紹介されました。

 

ネパール連邦民主共和国大使館参事官 タパス・アディカリ

 ネパール大使館連邦民主共和国大使館参事官のタパス・アディカリ様は、「勝兵塾には大変レベルの高い人達が集まっており、将来大きな力を発揮されると思う。この塾から将来の首相や時代の変革者が現れてくるだろう。ネパールと日本の関係は、1899年に日本の僧侶である河口法師がネパールに来て、文化や技術の交流が始まった。人的交流によって技術や富がもたらされた。また、日本もネパールもともに仏教国であり、仏教をベースにこれから大きく発展していける。二国間の関係を深化させるために、これまで日本の皇族や森元首相をはじめとする政治家も賓客としてネパールを訪れている。社会インフラや農業は日本の技術をベースに発展してきた。社会システムにおいても日本を手本にしていきたい。これから勝兵塾が日本を引っ張っていくことを期待している。」とネパールと日本の深い関係について紹介されたほか、勝兵塾に対する期待を示されました。

青山学院大学 タランガ・クマーラ

 第5回「真の近現代史観」懸賞論文で学生部門優秀賞を受賞された青山学院大学のタランガ・クマーラ様は、「私は両親がスリランカ人であるが、生まれも育ちも日本である。中学生の頃、歴史教科書が偏っていた。教科書だけではなく、歴史の教師が独自に資料を用意して教えていたが、南京での中国人捕虜に対する拷問や従軍慰安婦の生々しい描写を生徒に読ませていくものだった。自民党が勝利した。安倍新首相が国防軍を創ると言っていたが、世界の中で日本が国防軍を創るべきだと唱えたのはスリランカ人であったことをここで紹介したい。サンフランシスコ講和会議にスリランカは当時イギリスの自治領セイロンとして参加したが、セイロンのジャヤワルデネ大蔵大臣は15分間演説をして次のように述べた。『アジア諸国民は日本を保護者として高い尊敬の念を持ち、共存共栄のスローガンに対して、ビルマ、インド、インドネシアの指導者達は自分達が愛している国が開放されるという希望を持った。我が国が連合国に供出する自然ゴムの唯一の生産国であった時に於ける、我が国の主要産物のひとつであるゴムの枯渇的樹液採取によって生じた損害賠償を連合国に請求するつもりはない。何故なら我々は大師の「憎しみは憎しみによっては止まず、ただ愛によってのみ止む」という言葉を信じているからである。ゆえにこの条約において日本を自由にするとともに、国防軍を保持する権利を認め、賠償を強要すべきではない。』当時イギリスの支配下にあったスリランカの代表がこのような演説をしたのは、アジア諸国が日本は侵略ではなくヨーロッパの侵略に対抗していたと捉えていたからである。私は日本における歴史教育が、韓国や中国の見方に偏っていることに疑問を持って論文に応募した。アジアが日本のことを思っていたことを知り、誇りを持ってほしい。」と、サンフランシスコ講和会議におけるスリランカ代表の演説を紹介し、当時アジア諸国がいかに日本を尊敬していたかを示されました。

 

第29代航空幕僚長 田母神俊雄

 第29代航空幕僚長の田母神俊雄様は、「先日台湾に行って台湾が親日的な国であることがよくわかった。東日本大震災の際に200億円もの多額の義捐金をくれたのもよくわかる。尖閣で活動している台湾の活動家は中国からけしかけられているだけで、中国から日当をもらってやっているだけである。台湾では李登輝元総統と2時間半に亘って面談した。90歳であるが、台湾を思う情熱や日本に対する愛着が強く、政治家としてあれだけ国や国民のことを思っている人は他にはいない。李登輝元総統は『22歳までは日本人であり、日本で学んだことが血となり肉となっている。日本から学んだのは自立の精神で、人の世話になるな、人の世話をしろというものである。』と話されていた。八田與一は鳥山頭ダムを造って嘉南平野が肥沃な農地になったことで、台湾に銅像が建てられ、毎年5月8日の慰霊祭には総統も参加している。また、杉浦茂峰はゼロ戦のパイロットだったが、墜落する際に台湾の市街地を避けるため自分の命を犠牲にしたことで廟が建てられ、小冊子になって台湾の学校で教えられている。さらに、森川清治郎巡査は、台湾の貧しい町での増税に対して人々の窮状を見て上司に減税を進言したところ逆に懲戒免職になったが、人々との約束が果たせなかったことで自ら命を絶った。このことで廟が建てられ今なお祭られている。このように台湾では、日本人が台湾のために頑張ってくれたことを各地で教えられている。台湾人の中には中国の意を受けて動いている人もいるが、9割は親日である。台湾は日本の安全保障上重要な国であり、同盟を結べば日本の安全保障は安定する。もともと台湾は国連の常任理事国であったが、中国が核開発に成功したことで、アメリカは中国に擦り寄った。日本はこれだけ親日的な台湾ではなく、文句ばかり言っている中国のいうことばかり聞いている。これからは台湾との関係を強化していく必要がある。例えば尖閣において台湾には漁業権を与えてもよいのではないか。こうして中国と台湾を分断すべきである。また、日本では日本の偉い人のことを教えていない。教育は20年、30年の間にかなり効いてくる。だから教科書問題は戦っていかなければならない。」と台湾を訪問された際の李登輝総統との話や台湾の親日的な態度の背景について語られました。

 

衆議院議員 馳 浩

 衆議院議員の馳浩様は、「選挙が終わって4日しか経っていない。選挙の日はちょうど金沢勝兵塾の日と重なったが、8時15秒には当確が出た。先日は懸賞論文の審査員として一色さんの論文を最優秀賞に選んだが、国会議員こそがあの論文を読むべきである。議論を封じ込めるのではなく、活発な議論ができるよう、問題提起をしていき、民主党と違い最後に必ず結論を纏めるようにする。できれば私が勝兵塾出身で初めての大臣になりたい。」と今後の抱負を語られました。馳代議士の話を受けて、多くの塾生からは「大臣ではなく総理を目指せ」という声が上がりました。

 

新しい歴史教科書をつくる会 副会長 岡野俊昭

 「新しい歴史教科書をつくる会」副会長の岡野俊昭様は、「先日台湾に行って一番感じたのは教育の重要性である。間違った教育をすると中国や韓国のように間違った歴史認識をお持ち、正しい教育をすれば、台湾のように正しい歴史認識と高い教養を持つようになる。台湾の老人を見ると戦前の日本の教育のおかげで日本人より高い教養、見識を持っている。台湾人が、昔教えてくれた先生に会いたい、助けてくれた軍人を探したいと言っており、最も心を動かされたのが、90歳のご老人が、生まれ変わるなら日本人として生まれたいと言ったことである。それだけ戦前の日本の教育が素晴らしかったのである。また、李登輝元総統に対して、台湾が東日本大震災で200億円もの多額の義捐金を日本に送ってくれたことに対して感謝の意を伝えるとともに、追悼式典で日本政府が台湾に対して献花を認めなかった非礼を詫びた。」と戦前の日本の教育の素晴らしさを語られるとともに、台湾に対する日本政府の非礼を強く批判されました。

 

戦後問題ジャーナリスト 佐波優子

 戦後問題ジャーナリストの佐波優子様は、「専守防衛、正当防衛では国は守れないということを予備自衛官としての訓練を通じて感じた。訓練の中で、銃を持って敵が侵入してきたときのシミュレーションをするわけであるが、敵が入ってきてもそれだけでは何もできず、大声で呼びかけることしかできない。敵が空に向かって銃を撃つとこちらも空に向けて撃つことができ、こちらに向かって撃ってきてはじめてこちらも相手に向けて撃つことができるが、致命傷を負わせることができない。致命傷を与えられないと、敵は二度目も撃ってくるが、そこで初めて敵に致命傷を負わせることができる。日本の自衛官は、して良いことが決まっているポジティブリストに従って動くが、他の国の軍隊はやってはいけないことが決まっているネガティブリストに従って動いている。教官に対してこれでは不公平ではないかと質問したが、教官は、『自衛隊は警察であり軍隊ではない。』と答えた。このような訓練を通して、ポジティブリストでは自衛官の命は守れないと感じた。」と自衛隊の訓練の経験から、戦場における専守防衛、正当防衛の問題点を指摘されました。

 

勝兵塾事務局長 諸橋茂一

 勝兵塾事務局長の諸橋茂一様は、「先日台湾へ行き、李登輝元総統と二時間半に亘ってお話をすることができた。李登輝元総統からは、『台湾と日本との関係についてアメリカのように「台湾関係法」を作るべきである。尖閣列島は日本の領土で間違いはない。台湾は漁業権だけ認めてほしい。日本はアメリカに対して不平等の関係であるが、今こそ対等の関係を構築するよう真剣に動くべきである。3.11の際に台湾は救援隊の派遣を申し出たが、日本政府に断られたため200億円の義捐金を送った。今の日本にはリーダーが欠けている。日本精神が忘れられている。日本人は戦前戦時中の素晴らしいところを学び、誇りを持つべきである。』という話があり、また李登輝元総統は第2代総統の蒋経国から指名を受けて総統になったが、『二人の間に人的関係はなかった。蒋経国が私を後継に指名した理由は、私が日本の教育を受け、日本精神を持っている人間だったからだ。』『日銀は誰のために仕事をしているのか。中国人は大きなことを言って驚かせる。そういう民族である。日本には武道、茶道、華道といった、その道を極めるという素晴らしい伝統がある。アメリカは日本を必要としている。日中は現在冷戦中であり、いつ熱戦が始まってもおかしくないという認識を持つべきである。』と話された。尊敬する日本人は八田與一、西田幾多郎、鈴木大拙であるが、いずれも石川県出身である。八田與一は当時三十代前半であったが、若い八田與一に当時世界一の規模であったダムの建設を任るとともに、莫大な予算を投じた当時の日本政府も素晴らしかった。」と、李登輝元総統の日本に対する思いを紹介され、合わせて自身の見方を示されました。

 

 最後に元谷塾長は、「先の総選挙で自民党が圧勝した。安倍氏が次の総理になるのは確実であるが、麻生元総理が安倍氏に対して、『この先経済一本でやれ、他のことは参院選後にやれ』と言ったというが、今の圧勝ムードの中でこそ言いたいことが言える。『断じて行えば鬼神も之を避く』というように、このタイミングで安倍談話を出して、これまで日本を貶めてきた南京事件や従軍慰安婦強制連行を否定し、近隣諸国条項を廃止するなど、一気に言いたいことを主張すれば、メディアの攻撃が分散される。今はネット世論の時代であり、メディアを敵に回せば国民が味方につく。麻生氏の言うとおりにやれば今までの内閣と同じで一年で終わるだろう。今日は馳代議士も来ているが、周りから安倍氏に勇気を与えてほしい。思いは同じであってもやり方が問題になる。一番強い時に言いたいことを言わずして、後で言おうと思っても言えなくなる。安倍政権が長期政権となり、日本を立て直してくれることを期待している。」と安倍政権に対する期待と激励の言葉を述べられ会を締め括られました。