勝兵塾第18回月例会が11月15日(木)にアパグループ東京本社6階会議室にて開催されました。
冒頭のアパグループ代表、元谷外志雄塾長による挨拶では、「衆議院の解散が決まり、いよいよ安倍政権が誕生することになる。先日の国民新聞では、安倍総裁の『領土領海については1ミリたりとも譲らない』という発言が取り上げられていたが、安倍政権に期待している。」と、衆議院解散にあたり、安倍政権誕生への期待感を示されました。さらに、「先日バーレーンに国賓として招かれた。駐日バーレーン大使が私の座右の銘の英訳を読んで、『代表は哲学者だ。是非代表の人生観をバーレーンの要人に語ってほしい。』と言ったことがきっかけで訪問し、国王、皇太子、総理大臣その他閣僚、財界人など多数の方々とお会いした。バーレーンは5,000年の歴史を持ち、交易の中継点であるばかりか、近年では金融立国として栄え、中東で石油が初めて採掘された国である。しかし、石油は後40年で枯渇すると言われており、金融ではドバイなどのライバル国が台頭してきた。そこで私は、『バーレーンは観光立国を目指すべきだ。そのためにはホテルの料金が高すぎる。アパホテルのような、3分の1の料金で利益の出るホテルを造っていくべきであり、アパホテルも湾岸6か国に5年間で10ヵ所以上の展開ができる先とであれば組んでFC展開をしていきたい』と伝えた。これに対して有力財閥だけでなく国王からも是非投資したいというお話があった。バーレーンは大金持ちで、相続税、所得税、法人税、消費税といった税金は全くなく、資金はあっても投資先がないから事業のノウハウを教えてほしいと言っている。」と、バーレーンを国賓として訪問した模様について、スライドを交えながら話されました。
アフリカ開発協会会長理事の矢野哲朗様は、「アフリカ開発協会は設立42年目を迎えた。岸信介が総理を辞めた後に、アフリカとの民間の交流が必要ということでスタートした。BRICsの後はアフリカだとわかっていても現実には遠い存在である。しかし、今やらなければ中国の後塵を拝してしまう。」と、アフリカとの交流の必要性を語られました。さらに、「アラブの春では、30年、40年独裁体制が続き、自由がなかったことに対して民主主義を求めたが、結果的に残ったのは政治的混乱である。日本は民主主義の優等生である。しかし政権交代したことで結果的に政治的混乱を招いた。人間の欲には限界はなく、ベストというものはない。時には独裁が必要であり、時には民主主義が必要である。人類は同じことの繰り返しを続けてきた。しかし、今の日本の政治的混乱は国にとってマイナスである。日本には素晴らしい歴史や伝統がある。保守はこれらを大切にしていくために、改革すべきところは改革すべきである。アフリカから帰ってくる度に日本は良い国だと思う。これだけ日本に良いものがあるのに仕分けをして前に進もうとしない。」と、日本の良さと改革の必要性を訴えられました。また、アフリカ開発会議(TICAD)について、「TICADを始めた1990年代は世界中の目が東欧に向いていたが、日本はいち早くアフリカに目を向けた。しかし、中国が日本の真似をして2000年にアフリカとの会議をスタートさせている。4年前に第4回会議(TICAD Ⅳ)を開催したときは、日本のメンツにかけて取り組み、その前に行われた中国での会議を超える41か国の国家元首が日本に集まった。しかし、日本は第4回会議でアフリカ開発のために90億ドルの予算を用意したのに対して、中国は第5回目の会議で1兆5,000億円の予算を計上している。アフリカにおける中国の外交は、中国から人を連れていき、仕事をさせて、現地に中国人街をつくらせるというように、現地の人に何の恩恵もたらさない。アフリカの元首は中国からの積極的な支援に対して冷静になろうとしているが、中国というカードを捨てることができない。一方で日本に対する期待が大きい。第5回会議(TICAD V)を何としても成功させたい。」と次回会議への抱負を語られました。最後に、「エチオピアは農業振興のため、外国にも農地解放をしており、中国やサウジアラビアが進出している1haの農地の地代が年間7ドルであり、5年間は無税である。日本の若者には、この可能性にもっと関心を持ってもらいたい。最近外に向かって行こうという息吹が感じられない。アフリカには疫病や貧困などの問題もあるが、経済成長率は6%である。しかしその成長は天然資源の活用によるもので、日本の技術で工業を発展させたいと考えている。多くの方に新天地アフリカに関心を持ってもらい、可能性を追求してほしい。日本の外交は日米同盟が基軸ではあるが、共有できる価値観を持てる国をつくり、国際社会の中で日本が確固たる地位を築いていく必要がある。日本の若者には自信と誇りを取り戻してほしい。」と若者に対する期待を述べられました。
戦後問題ジャーナリストの佐波優子様は、「教官が発想の転換について話しをしてくれた。ハーバード大学で行われた学生の授業では、与えられたお金と時間でどれだけ稼げるかのプレゼンテーションを行うという課題が出された。与えられたお金は6ドルで時間は2時間だった。ジュースの販売や靴磨き、パンクの修理ではあまり稼げず、最も稼いだのは、プレゼンテーションの5分間を企業にCMとして売ったチームだった。これが発想の転換である。」「予備自衛官になるためには50日間の訓練を受ける必要がある。そこに参加する人達の中には戦車マニアや引きこもりだった人がいて、始めは意外に国防の意識は低い。しかし、訓練が始まってみると皆の目つき、姿勢が変わり、人柄も換わっていくのがわかった。それは自衛官の日常的な面を見て心を動かされたからである。その中でも自衛官の掃除に対する態度に大きく心を動かされた。自衛隊の隊舎は古いが、どこにも埃がないくらい隅々まできれいに掃除がされている。なぜそこまで掃除をするのか尋ねたところ、教官は『敵地で自分の痕跡を残さないためにする訓練として掃除をしている』と話した。きれい好きだからではなく戦闘の訓練として掃除をしていることを知り、ここまでして国を守ろうとしていることに感動した。こうした自衛官の姿を見て、これまで引きこもっていた人も今までの人生を変えようと思ったのだろう。」と、予備自衛官の訓練に参加した時の体験を語られ、最後に、「一部の人達からは憲法違反と言われ、自衛官は辛い思いをされているが、国を守る自衛官を応援していきたい。」と自衛官へエールを送られました。
第29代航空幕僚長の田母神俊雄様は、「尖閣諸島の話が静かになっているが、ほぼ毎日中国船が接続水域に入ってきている。中国は一歩前進してきているのに、日本はそれを放置している。国際法は実績主義であり、今のまま放置していると、いずれ尖閣は中国に取られてしまう。日米合同演習で離島の訓練を岡田克也が止めろと言ったと言われているが、こうした訓練をやり、政府が尖閣を守るという意志を示すことが必要である。」と、尖閣に対する政府の対応に危機感を示されました。さらに、「財政難から緊縮財政で財政を立て直そうとしてきたが、15年経ってもだめなのであるから、積極財政派に任せるべきである。そこで自衛隊の戦力強化を公共事業としてやればよい。中国は今、日本と真っ向からぶつかろうという意思はない。なぜなら中国は日本を軍事的に支配する能力はないからである。日本はもっと謀略活動をすべきであり、自衛隊が尖閣周辺で演習、活動するべきである。そうすればそのうち中国は諦めるだろう。日本人はリーダーとなるべき人がしっかりするべきである。リーダーは自分は殺されてもいいというくらいの覚悟で物を言わなければならない。自民党の安倍総裁も総裁選の時のような勢いがなくなってきているので心配している。次の選挙で勝っても、3分の2は取れないから強い意志を持たないと何もできない。リーダーは勇気を持って将来のために発言し、行動すべきである。」と、リーダーシップの必要性を訴えられました。
田母神様の話を受けて元谷代表から、「私の座右の銘に、『勝てるときに勝てるところで勝て』という言葉がある。中国は江沢民と胡錦涛の勢力争いの中で、反撃しない日本に対する攻撃合戦をしている。新生安倍政権では、これまでの自民党をリセットし、言いたいことの全てを一気に出すべきである。争点を増やせばメディアの攻撃が分散し、集中砲火を浴びせることができなくなる。またメディアを敵に回せば国民を味方に付けることができる。最初に安倍氏がどう出るかが少し心配であるが、慎重になって妥協すると日本は大変なことになってしまう。まずは田母神氏を更迭、解任したことについてきちんと謝罪すべきである。そこで河野談話、村山談話を否定し、安倍談話を出すべきである。」と安倍政権誕生に向けての期待を改めて示されました。
「新しい歴史教科書をつくる会」理事で拓殖大学教授の藤岡信勝様は、「『新しい歴史教科書』の採択数が1,000にも届いていないが、市販されているものを読んだ方からは高い評価を頂いている。歴史認識は全ての基礎であり、国の歴史に対する誇りが民族のアイデンティティを育成する。広く日本人の間に正しい歴史認識を普及させるために、検定講座を始めた。検定試験は単純な暗記から一歩踏み込んだ内容となっているので、興味のある方は是非申し込んで欲しい。」と「新しい歴史教科書をつくる会」が主催する日本史検定講座を紹介されました。さらに、田母神様の「中国は日本を軍事的に支配できない。」という話に対して質問されました。田母神様は、「中国が日本を軍事的に支配するためには陸軍戦力が必要になるが、そのためには輸送能力が必要となる。日本の海軍力が強いため、中国の輸送能力は限られている。中国は30年前の戦闘方式を採用しており、持っている戦力の2,3割しか発揮できないだろう。ただし、これからこの差は小さくなっていくため、日本も情報謀略戦が必要となる。しかし日本のスパイ網は諸外国と比べて10分の1程度しかない。」と回答されました。
セントルイス大学教授のサー中松義郎博士は、「衆議院の解散が決まった。民主党はダメであるが、田母神閣下の首を切るようなことをした自民党もダメであった。しかし、次の選挙で自民党が勝つことが日本にとって良いことになるだろう。一方、都知事選が衆議院選の影に隠れているが、候補者を見ると皆、左ばかりである。日本の首都の長を決めるのにこれではいけないと危機感を持っている。」と都知事選に関して危機感を示されました。
参議院議員の西田昌司様は、「民主党政権は3年間、民意の名の下に国家解体をやってきた。しかし、自民党政治の中に民主党政権を生み出す要因があった。田母神氏の罷免について、当時自民党は支持率低下の中でマスコミの論調に反することができなかったという事情があった。政治改革によって小選挙区制が導入され、政権交代が実現できるようになったが、民主党はマニュフェストにデタラメな事を並べ立て、マスコミの『一度民主党にやらせてみたら良い』という論調に国民が騙された。小選挙区制により政策で政治家を選ぶというのは一見正しいようだが間違っている。マニュフェストにない非常事態が起ったときにどういう判断をするかでは、政治家の人格が問われるものである。しかも、デタラメなマニュフェストで選挙をされたら選びようがない。議員定数削減についても、なぜ国会議員の数を減らすのが良いのか?私は反対である。政治の使命はいかなることがあっても国家国民を守るための仕組みを作ることである。大臣、政務官を含め、100名くらい内閣に入ることになる。国会議員の数を減らしてしまうと、行政をコントロールできなくなり、内閣の外で議論できる国会議員もいなくなってしまう。さらに、一院制にしたら良いと言われるが、ねじれがあるから良いと思っている。参議院は直近の民意が反映される。小選挙区制によって過剰な議席の割り当てがなされる。民意は過剰な反応をして間違うことがある。例えば郵政民営化は一度参議院では否決されていたのである。こうした誤りを修正するために二院制は必要である。」と、政治に関する一見正しいように見えるマスコミの論調に対して、持論を展開されました。さらに、「戦争に負けてアメリカの占領下で憲法が変えられ、国を守るために血も流せば汗も流すということを考えなくてもよいことにした。目の前のことだけを議論している。民主党は自民党の矛盾点を指摘した。そこについては真摯に受け止める。民主党の間違いは、例えば、アメリカと対等の関係になり、基地は国外にということなら防衛力の増強が必要であるが、防衛力は削減し、格差是正が大事だといって、やったことは貧しい人にお金を渡すだけのものである。格差が出てきたのは経済のせいであり、経済の建て直しが必要である。民主党はこうしたデタラメな事をしてきた。私は安倍総裁が出馬することを最後まで反対していたが、やるなら徹底した財政支出をしてデフレを脱却しなくてはならない。維新の会は保守のようなことを言っているが、真の保守ではないから連携するなと言っている。自民党政治を改める。憲法では集団的自衛権を認めるなど、タブーになってきたことを直してくれると期待している。12月16日には勝たなければならない。さらに、次の参議院でも勝たなければならない。衆参の両方で多数を取らないと安定政権にならない。安定政権になればマスコミは反対するがそれで良い。3年間民意を気にせずできる。その結果、景気が良くなり実績を示すことができる。」と、自民党による安定政権の誕生へ意気込みを語られました。
衆議院議員の馳浩様は、「明日衆議院解散となるが、改めて国会議員としてふさわしいか問われることになる。月曜日に予算委員会で田中眞紀子大臣に質疑をした。大学が粗製乱造され、大学教育が機能しているのか、高等教育にふさわしい内容なのかという問題意識は共有しているが、やり方、手順が間違っていると指摘させていただいた。教育について、教科書検定の段階から教育基本法、学習指導要領に沿ったものとなるようにしていかなければならない。教育の方針を国が定め、それに従って現場の教育が行われなければならない。地方分権法の影で日教組が暗躍している。現場から直していかなければならない。当たり前の教育内容、教育目標を現場に浸透させる。占領でむちゃくちゃにされた伝統を取り戻す。そのためには、古典が重要である。政治化になったときから日本主義の国会議員になりたく、歴史や伝統を学びたいと考えていた。国の成り立ちを教育の原点、倫理感の原点に据えていきたい。自民党が田母神氏を解任したことは政権運営のためやむを得なかったものであるが、それが誤っていたと主張していく。」と教育現場の改革の必要性を訴えられました。
勝兵塾事務局長の諸橋茂一様は、「教育は国家100年の大計と言われる。ほとんどの教科書は日本は悪い国だったと書いている。河野談話、村山談話は我国を貶め、国益を損なっている。そこで、私は河野洋平元官房長官と村山富市元首相に対して、それぞれ、『河野談話、村山談話に正当性があるとすれば根拠を示すよう求めた』が、両名からの回答がなく、やむを得ず、東京地裁に提訴した。『アジア女性基金は』は12年間続き、慰安婦をしていたと称する285人の女性達に合計5億6,500万円を支払ったのみならず、運営費として50億円の国費を費やしていた。河野談話、村山談話は裁判等の中でその正当性を全く証明することはできなかった。そのような根拠のないものを、その後の内閣が踏襲してきたのは実に馬鹿げているばかりか、田母神元空幕長を解任したのは全くとんでもないことである。」と河野談話、村山談話の問題点を示されました。
最後に元谷塾長は、「ディベートを通じて本当のことを知ることが大事であるが、偏差値教育はデジタル記憶勝者を作ってきた。世界77カ国を訪問し、要人とディベートをすると、皆日本は素晴らしい国だと言う。そこで私は各国の大使に会うと、国連の旧敵国条項の撤廃と東京オリンピック招致への投票をして欲しいと依頼している。こうしたお願いをすると皆、誰からも言われたことがないと言う。もっと国際社会にアピールすべきである。」「安倍政権では旧自民党のことをリセットして安倍談話を出すべきである。全ての主張を一気に出せばメディアの反撃が分散される。これはランチェスターの法則に基づく合理的な戦略である。メディアを敵に回せば国民が目覚めて味方に付く。政権を長く続けようとして妥協するのではなく、政権を棄てても良いくらいの気持ちで臨めば、かえって長期政権になるだろう。だから政権を取ったら妥協することなく、全ての主張を一気に出してもらいたい。」と改めて安倍政権誕生への期待を示され、会を締めくくられました。