勝兵塾第17回月例会が10月18日(木)にアパグループ東京本社6階会議室にて開催されました。
冒頭のアパグループ代表、元谷外志雄塾長による挨拶では、「本日第5回懸賞論文の審査会が行われ、最優秀賞以下が決定され、来週月曜日にリリースされる予定である。」と、第5回懸賞論文の審査に触れられた後、「先の自民党総裁選では、安倍氏が出馬を躊躇していたのを、来月号の『Big Talk』に登場する下村博文代議士が安倍氏に打って出るように強く主張したことで出馬に至った。5人の候補者が出て、石破氏が多くの票を集めたが、決選投票は議員票のみで決まるということで、町村派を割って出た安倍氏ではあったが、決選投票後も町村派を維持するために結束して安倍氏を支持するよう私も働きかけ、安倍総裁が誕生した。第1回の懸賞論文で田母神氏が最優秀賞に選ばれ、バッシングを受けたことで英雄として各地で講演され、さらに頑張れ日本行動委員会で朝日新聞へ抗議デモを行い、多くの人に影響を与えたことで世論が変わりつつあることも、安部総裁誕生の背景にはあるだろう。この勝兵塾もその様な流れの中で昨年6月に発足し、これまで多くの方々に素晴らしい講演をしていただいた。こうした活動を通じて、私も幾ばくか安倍総裁誕生に貢献したのではないかと思っている。下村博文代議士には、東京裁判史観、河野談話、村山談話を見直し、新生自民党としてこれまでの与党時代に約束したものを全てリセットして、新たに安倍談話を発表すべきであると伝えた。ランチェスターの法則にもあるように、少しずつ小出しにすると全て潰されるが、全てを一気に出せば潰されることはない。次の総選挙でメディアを全面的に敵に回せば、圧倒的に国民の支持を得られる。私はこれまで連立政権で真正保守の政権をと言ってきたが、安倍氏が総裁になったことで、自民党単独で圧倒的多数を取ってほしいと考えている。日本人はバランスを取ろうとするので、次の衆院選で自民党が勝てば、必ず次の参院選で負ける。衆参同時選挙が望ましいが、衆議院の解散が年内であれば、3分の2を獲って圧勝しなければならない。次の総選挙は日本の将来を決める選挙である。安倍氏は1年とは言え、首相時代にかなりの実績を残した。今回は日本のために死んでも良いという気でやってほしい。」と、安倍総裁による新生自民党に対して強い期待を示されました。
東ティモール民主共和国特命全権大使のイジリオ・コエーリョ閣下は、「今年は独立10周年で、同時に日本との国交樹立10周年という大変喜ばしい年である。東ティモールは500年間海外からの支配を受けてきた。10年前には公的施設は何もなく、国造りを一から始めた。2011年には議会で戦略的開発計画(SDP)が策定され、中所得国以上になることを目指して様々な分野でプログラムが進められている。人的資源においては基金を創設して高度な教育を受けるために海外派遣をしている。こうした人材が3、4年後に国の成長のために活躍してくれるだろう。インフラの開発に政府財政を集中し、道路や港、石油やガスの精製所が造られている。東ティモールは石油経営の透明性においてアジア第一位、世界第三位の評価を受けている。さらに経済開発においては、農業、観光、漁業に重点を置いている。農業では有機農業などで商業的な分野に特化し、コーヒー豆はフェアトレードとして有名である。漁業では、違法な漁により3,000万米ドルの損失となっており、取り締まるために援助をしてほしい。観光では、東ティモールはバリとの二者択一となっている。未開発な自然、温暖なビーチ、温泉もある。東ティモールはポテンシャルを秘めた国であり、多くの方々に来てもらいたい。」と東ティモールの国づくりに対する取り組みについて紹介されました。
ベラルーシ共和国特命全権大使のセルゲイ・ラフマノフ閣下は、「ベラルーシでは、26年前チェルノブイリで悲惨なことが起こった経験があり、できるだけ日本をサポートしたい。」と福島の原発事故に対して深い同情の念を示された後、「現代のベラルーシは旧ソ連の中心にあり、一大工業地帯である。工業的財産を旧ソ連から引き継いで成功した。生産の65%は海外に輸出している。特にトラクターは日本、アメリカと並んで世界の三大輸出国となっている。輸出額は経済的危機にも拘らず3%増えた。また文化水準も高く、旧ソ連の中で、ロシアより140年も前に印刷技術が開発され、旧ソ連で最も進んだ国である。日本とベラルーシが組めば、互いにパートナーとして相互補完できる。工業分野では、工作機械、計器類、化学製品が主要製品である一方で、農業大国でもあり、ヨーロッパで最も品質が高く、バター、チーズ、肉製品の生産が盛んである。海外からの投資に関して、投資環境では世界で5指に入る。政治的に安定し、経済も安定的に成長している。輸出志向で、地理的にも交通の便が良く、ロシア、カザフスタン、EUへのアクセスが良い。また、治安が良く、科学分野で進んでおり、教育レベルが高い。伝統的な建築物がたくさんある一方で、近代的な建築物もたくさんある。スポーツが盛んでヨーロッパでもトップレベルである。日本人は水準が高く素晴らしいので、日本とのタイアップを進めていきたい。」とベラルーシの技術的水準、文化的水準の高さと投資環境の良さについて紹介されました。
軍事ジャーナリストの鍛冶俊樹様は、「先週沖縄に行って、オスプレイ賛成派の集会で講演をした。沖縄にはオスプレイ賛成の方も多い。沖縄で基地と県民との関係は極めて良好で、基地反対というが、メディア、学校だけが反対を繰り返している。沖縄から帰った翌日に米軍兵士の暴行事件が起こったが、反対派はこれを使って反対運動を盛り上げようとしている。オスプレイの件については、安全性に問題があると言われているが、素晴らしい飛行機である。朝日新聞の記者も、私的な場では素晴らしいと言っている。基本性能を従来のヘリであるCH-46と比較すると、オスプレイが遥かに優れている。安全性については、そもそも軍用機と民間機とは比較できない。アメリカ議会で予算がついているのだから安全である。反対派が気球や凧を上げて妨害しているが、気球に水素が入っていると事故を起こし、沖縄県民に犠牲者が出る可能性もある。このことからも、反対派は沖縄県民の命を心配しているわけではないことがわかる。」と沖縄における反対運動の本当の姿とオスプレイの性能の高さについて解説されました。さらに、「オスプレイの航続距離は台湾の一部をカバーし、尖閣諸島もその範囲に入る。これが極めて重要であり、オスプレイがあれば尖閣が守れるということになる。福建省から尖閣まで370㎞、沖縄から尖閣まで420㎞あり、中国からの方が尖閣に近い。中国にはZW9というフランス製のヘリがあり、時速300㎞、航続距離1,000㎞と高性能であり、大量の不法漁民が尖閣を占拠した場合、これらを逮捕しようとしても、中国の攻撃ヘリが先に尖閣に上陸すると、日本の警察のヘリは近付くことができなくなってしまう。これを奪還するためには自衛隊35,000人の兵力が必要となる。一方、オスプレイであれば、中国より先に尖閣に到着することができる。そうした点で10月に無事配備されて良かった。中国の航空母艦『遼寧』は、スキージャンプ方式であり、戦闘機は強いエンジンがないと船上から飛び立つことができず、ロシア製のエンジンを使わざるを得ないだろう。また、空母のエンジンのパワーが弱く、単体では恐るるに足りない。しかし、ZW9を積むことは可能であり、尖閣にゆっくり近付いてヘリが島に不時着したらどうなるか?日本は逮捕できず、ずるずる居座る可能性がある。」と尖閣防衛におけるオスプレイの重要性について、中国ヘリの性能と比較しながら解説されました。また、「今回の女性暴行事件を見ると、1995年の少女暴行事件を思い出す。あの事件の後、日米安保体制は強化された。当時は村山首相であり、翌年橋本龍太郎首相に変わった。橋本首相はモンデール大使、クリントン大統領と会談し、日米共同宣言を出し、アメリカは普天間基地返還を約束した。事件をきっかけにアメリカは親日的な対応に変わったのである。したがって、うまくやると日米安保強化になる。現在も政権が変わるタイミングにあり、17年前の状況とよく似ている。したがって、今回の事件もうまく対応すれば日米安保体制を強化することができる。」とこれまでの日米安保の歴史を振り返り、米兵による事件にうまく対応することで日米安保が良い方向に進む可能性を示されました。
馳浩衆議院議員よりセルゲイ・ラフマノフ閣下に対して、「放射性廃棄物の処理について、科学的処理に加えて、風評被害などのリスクマネジメントの視点で教えていただきたい。」という質問が出され、閣下は、「チェルノブイリ事故の後、汚染に素早く対応しなければならなかったため、陸軍と連携して対応した。早く対策を取ったために、最小限の汚染に抑えることができた。汚染された地域の全部ではなく、決められた場所、人が住んでいるところ、働いているところに集中してやることが大切である。農業製品が問題となったが、汚染の程度を下げることはできる。特別な技術を開発し、土壌を処理することが最も効果があった。また食品に対しては放射能を測定する装置を開発して、口に入れる前にチェックした。さらに輸送する場合には、汚染された地域を避けて輸送した。26年後、全体としてはより快適になったが一部の汚染された地域は100年間立入禁止区域となっている。こうしたリスクについても十分な情報を開示しているので心配はない。」と、素早い対応と情報開示の重要性を強調されました。
第29代航空幕僚長の田母神俊雄様は、「日本ではマスコミを中心に反日が強くなっており、世界最大の反日国が日本である。沖縄では年間80件の婦女暴行事件が起きているが、それらに対しては全く騒がず、米兵が事件を起こしたときだけ大騒ぎする。安倍下ろしを朝日新聞は始めている。頑張れ日本行動委員会では朝日新聞に対してデモを行い、750人が集まった。先週の土曜にも400人のデモを行った。デモを繰り返すのは、それを左翼がやって成功してきたからである。とにかくメディアは米軍、自衛隊の犯罪を叩く。日本人の1,000人のうち警察に捕まるのは20人であるが、航空自衛隊では1,000人のうち2人であり、割合は10分の1である。1995年の少女暴行事件が起きたのは午前4時であるが、その事実は徹底して隠されている。情報封鎖が行われており、左翼が都合の良い部分だけを報道している。沖縄では反戦地主がいるが、軍用地主30,000人のうち3,000人が米軍に土地を貸さないと言っている。そのうち半分は沖縄に住んだことはなく、持っている土地は合わせても100m×20mで、最も小さいのが5cm四方である。沖縄には本土の新聞の朝刊が夕方にしか着かないので、皆沖縄の極左の新聞を読んでいる。実体は共産党が沖縄に行って反政府運動をやっている。日本のマスコミは嘘ばかり報道している。世田谷区でラジウムによる放射線が発見されたときも、その上に住んでいる92歳のお婆ちゃんが元気だとわかるとすぐに報道を止めた。それは福島が危なくないことがわかってしまうからである。本来マスコミは公平な立場で批判的に報道すべきであるが、日本を潰したい人に対して好意的になっている。しかし、ネットが普及してきて若い人達はマスコミに惑わされなくなった。」とメディアの偏向報道、情報操作の実情について語られました。さらに、「日本はデフレがずっと続いている。学校を出ても二人に一人は就職できない。GDPを伸ばすことが政治の使命である。GDPは国力の源泉であり、GDPが伸びない政治は間違いだ。韓国は情報宣伝省を作って、税金で韓流ドラマを売り込んできている。日本も情報戦にもっと強くならなければならない。」と政治の使命としてGDPの成長の重要性を訴えられました。
兵庫県議会議員の和田有一朗様は、「8月19日の早朝に尖閣の魚釣島に上陸した。学生時代から末次一郎先生の事務所に出入りしていたことから領土問題に関心を持っていた。そのため尖閣へ行ってみたいと思っていた。頑張れ日本行動委員会では、尖閣の漁師を応援に行くためにツアーが企画され、今回が10回目であったが、これまでは上陸することはなかった。普段は海が荒れて島に近づける状況ではないが、今回は天候に恵まれ、全く凪の状態であった。その数日前に香港の活動家が上陸した。さらに我々地方議員の乗った船が最前列になった。これらの条件が重なり、これは何としても飛び込まなければいけないと感じた。今回の上陸はこうした幸運が重なってできた偶発的な出来事である。魚釣島の西側に船が着き、反対側から朝日が昇る情景が神々しく、この島は日本のものであるという思いが湧いてきた。個々は日本人の土地であることを世界へアピールしなければならないと思った。大半の方からは良くやったという声を頂いている。大きく日本の世論に訴えることができたと思っている。上陸した10人のうち、5人の地方議員は外国人特派員協会で会見し、クライン孝子氏のブログでは、『これまで中共に連戦連敗してきた宣伝戦での反転攻勢の切っ掛けとなるかもしれない。』と取り上げて頂いた。外交はいろんなカードを使って駆け引きするものである。尖閣上陸によって歴史の歯車が動き始めた。現場ではずいぶん悩んだが、あの瞬間、あのときにしかできなかったことであった。このことをきっかけに、日本人の外交意識が明確な形になってきたと思う。」と尖閣上陸の体験を通して、領土に対する思いや世論あるいは世界へのアピールの重要性について語られました。
有限会社若葉保険コンサルタンツ代表取締役の稲飯博史様は、「45年前に21歳でデンマークに行き、そこで結婚し、生活した。一人でナホトカ号に乗り込み、ロシアを経由して9日間かけてコペンハーゲンに到着した。着いて感じたのは戦勝国としてのプライドを持っているということである。肉屋で働いていたとき、1968年に同僚がメキシコオリンピックに出場して銅メダルを獲ったが、帰国してメキシコシティもきれいだがコペンハーゲンが好きだと言っていた。外国に行くと自然に祖国愛が生まれてくる。街に出て日本人であることがわかると英語を教えてくれと言われた。なぜなら日本はアメリカの植民地と思われていたからである。実際に現在は言葉の侵略が進んでおり、日本語の中に英語が増えてきた。コペンハーゲンでは市会議員選挙を見たが、向こうはマニュフェストに基づく契約選挙である。候補者は固定資産税廃止を掲げ、その後実現している。実現しないと次の選挙で落選するからである。相続税、固定資産税は二重課税であり、世界的には廃止の方向に向かっている。日本ではガソリンは三重課税になっている。政治家は外国で見聞を深めると日本のことが良くわかる。1980年の日本の国際競争力は世界第1位だったが、2011年には第27位になっている。日本人はどこか狂っているのではないか。向こうは議論を徹底的にやるが、感情的にはならない。」と海外経験から感じた日本について語られました。
セントルイス大学教授のサー中松義郎博士は、アメリカからの帰国後、成田空港から直行して参加され、「アメリカ人と話をすると、日本の憲法が日本の国民によって作られたとアメリカでは教えられていることがわかる。それは日本の政治家がいかに事実をアメリカに教えてこなかったかを示している。政治家はアメリカ人に真実をもっと伝えていくべきである。」と政治家によるアメリカへの啓蒙活動の必要性を訴えられました。
最後に元谷塾長は、「今月の座右の銘は、『選択は運命を創る 常識を養い 誇れる人生を』である。自民党は安倍総裁を選択したことで日本の運命を創ることになる。バーレーン大使から国王、首相、各大臣と対談してほしいと要請があり、来週バーレーンとサウジアラビアを訪問する。大使が座右の銘の英訳を読んで感銘を受け、バーレーンの指導者にも知ってほしいということから今回の訪問となった。大使は先行して帰国し、座右の銘集(赤本)を一人ずつ事前に配って説明したいと言っておられた。座右の銘はまさに私の生き様を言葉にしたもので、毎月座右の銘を生み出せる人もなかなかいないだろう。これに英訳をつけると8割程度しか意味が伝わらないと思うが、それでも素晴らしいと評価していただいた。私も世界75カ国を訪問し、いろんな人と話すことで日本の良さを知った。」「11月のハノイでの海外研修は、世界広しと雖も、アメリカ、中国に勝った国はベトナムしかないだろう、ということで、この国に学ぶことが多いと考えた。是非皆さんも参加してもらいたい。」と今月の座右の銘と11月の海外研修に触れられ、会を締め括られました。