勝兵塾第15回月例会が8月17日(金)にアパグループ東京本社6階会議室にて開催されました。
冒頭のアパグループ代表、元谷外志雄塾長による挨拶では、先日の香港活動家の尖閣諸島への不当上陸について、「テレビで元外交官の解説を聞いていて情けないと思った。」「おかしなことが言われているのは、尖閣諸島問題についてよく知られていないからではないかと考え、ネットで調べてみた。1953年1月8日の人民日報では尖閣諸島について日本名で記載されており、1970年までは中国も台湾も日本領と認識していた。しかし1968年に海底調査が行われ、石油埋蔵の可能性が指摘され、1969年及び1970年に国連が行った海洋調査では大量の石油埋蔵の可能性が明らかになった。その結果、1971年には台湾が領有権を主張、その半年後に中国が領有権を主張するようになった。7月17日の産経新聞で尖閣が琉球王国の領土であるとする明の文書が発見されたという記事があった。中国は石油埋蔵がわかってから勝手に線を引いて領有権を主張し、中国固有の領土と主張するようになった。日本が中国に対して強く主張できないのは、日本に反日日本人がいるからである。このままではそのうち沖縄まで中国固有の領土と言われてしまう。」と尖閣諸島問題の歴史を振り返りながら、政府の対応を批判されました。さらに、「滋賀県でいじめの問題があったが、一度でも反撃すれば死に追い込まれることはなかっただろう。日本も反撃しなければ追い込まれることになる。尖閣上陸という目的が明確であったのだから無害航行権を保証する必要はなく、警告を無視した場合には、領海侵犯として撃沈するべきである。撃沈したとしても中国と戦争になることはない。むしろ再びこういうことをしなくなるだろう。領海を侵犯されて阻止できなかったのは情けないことである。いずれ尖閣も竹島と同じことになる。日本は交戦権がないため、勝手に上陸されたらそれを排除するのが難しくなる。警告を無視して国境を侵せば殺されるのは世界の常識である。問題は憲法にある。真っ当に戦える憲法が必要である。今は尖閣に人を常駐させることが必要である。今回の件で憤慨した人も多いだろう。」と毅然とした態度で反撃することの必要性を訴えられました。
カメルーン共和国特命全権大使のピエール・ンジェンゲ様は、「ギニア湾の海賊行為について話をしたい。アフリカで石油を最初に採掘し始めたのがギニア湾であり、日産500万バーレルあり、石油の他にも漁業、林業、鉱業が投資対象となり、3億人の消費者がいる。ギニア湾は世界的にも海賊行為の多い地域である。ナイジェリアとの国境付近にバカシ半島があり、ナイジェリアが自国領として主張して軍隊を常駐させた。カメルーンは平和志向であり、国際司法裁判所に提訴、カメルーン領として認定された。2006年に両国の大統領がニューヨークで調印し、軍隊は撤退したが、ナイジェリア内の反対勢力が襲撃するようになり、2007年にはカメルーン兵が殺され、2008年からはタンカーを攻撃し、外国人を拉致した。彼らの襲撃はバカシだけでなく他の地域にも拡大していった。こうした問題に対して近隣諸国と一致団結して対処しようとしている。そこで日本にも協力してほしい。日本はソマリアなど東アフリカには協力的であるが、西アフリカにも協力してほしい。日本は大きな国でそれだけの力を持っている。まず、沿岸警備隊を訓練し、訓練所をカメルーンに作ってほしい。またハイテク兵器についても協力してほしい。日本が協力してくれれば、資源開発で日本も恩恵を受けることができるだろう。」と尖閣問題で中国がやっている行為とギニア湾の海賊問題について解説され、日本の協力に期待感を示されました。
トルコ共和国大使館参事官のジャン・アイギュン様は、「トルコはヨーロッパ、アフリカ、アジアの真ん中にあり、シルクロードの通過点であった。日本と同じ緯度で四季がある。トルコの経済規模は世界で17番目、ヨーロッパで6番目であり、この8年間で平均4.8%の経済成長を遂げている。その間の直接投資は940億ドルになり、外国から見て最も魅力的な15の国に入る。2011年の成長率は8.9%で世界第2位の経済成長であり、今後7年間の経済成長はOECDの推計で年平均6.7%となっている。近年緊縮財政策により、政府債務の対GDP比が39.8%で、財政赤字の対GDPは1%である。このためトルコの銀行はヨーロッパ危機でも悪影響を受けなかった。トルコは若い国で平均年齢が29歳であり、GDPの成長性が高く、有望な国内市場を持っている。一方、輸出もヨーロッパ、ロシアを始め広い地域に行っており、トルコに投資すれば国内市場だけでなく輸出のメリットもある。観光セクターも重要な役割を担っており、2011年には3,100万人の外国人訪問者がいて世界第6位である。トルコはヨーロッパ諸国が組織するEU以外の団体に加盟しており、現在EU加盟を目指している。NATOの活動に対しては加盟国として積極的な役割を果たしており、西側諸国と不可分な存在である。一方国民の大半はイスラム教徒であり、イスラム諸国とも良好な関係である。文明の同盟、宗教間の対話により、地域の安定に貢献したい。」とトルコ共和国の経済や外交について解説されました。さらに、日本とトルコの関係について、「19世紀のオスマントルコ時代、日本に派遣した軍艦エルトゥールル号が沈没して587名が死亡したが、69名が日本人によって救助された。このときの感謝の気持ちをトルコ人は忘れることはない。友好と連帯の精神は両国の大地震の際にも活かされた。東日本大震災はトルコ人にも深い悲しみをもたらした。震災後宮城県に救援隊を派遣した。一方トルコ東部地震で日本は大きな援助をしてくれた。このとき亡くなられた宮崎淳さんは友好のシンボルである。また日本はトルコに大きな影響を与えた。日露戦争で日本がロシアに勝利したことはトルコにも大きく伝えられた。オスマン帝国も戦況を確認するため人を派遣していた。トルコ国民は日本に対する大きな愛情を持っており、両国関係が前進することを願っている。」と日本との深い友好関係を強調されました。
参議院議員で外務大臣政務官の浜田和幸様は、「竹島問題について本日国際司法裁判所への提訴を決定した。韓国側は拒絶することが間違いない。これまで日韓関係への配慮から曖昧にしてきたが、ここに来て毅然とした対応が必要である。正義が日本側にあることは明らかであり、真実を世界にアピールする機会となる。尖閣への上陸も事前にわかっていたことであり、中国、台湾とも日本がどのような対応をするか固唾を呑んで見守っていた。強制送還について賛否両論あることは承知している。中国側は不法上陸した中国人が拘束され裁判にかけられることを想定して、日本に圧力をかける準備をしていた。前回フジタの社員が拘束されたように、交渉を有利に進めるためのカードを準備していた。日本が強い態度を取ると現地の日本人がまた拘束されることになり、水面下で交渉することが必要である。放っておけば決められない日本、侮られる日本になってしまうので、国の意志をしっかり示す必要があるが、闇雲に事を構えるのは得策ではない。中国、北朝鮮、ロシアは独裁政権であり上位下達はスピードや決断の重みという点では強みとなるが、一方で弱みもある。日本は国際社会を味方に付け、彼らの行為が彼らにとっていかにマイナスになるかをわからせることが必要である。日本人には2つの武器がある。一つは倫理観である。中国は資源や食料を求めてアフリカ諸国をはじめ、世界中に進出しているが、金の力で収奪するだけで世界中から不信、不満を持たれている。一方、日本はODAやJAICAを通じて技術支援、人材支援を行い、世界中から日本に信頼の重きを置く声を聞く。日本は中国とは違い現地のニーズに応えていく。もう一つは創造的な技術力である。日本は世界の課題を解決するための技術の蓄積があるが、正当な対価を得て提供することが出来ていない。それはバックに国がないからである。きっちり国が企業を守っていくという姿勢が必要である。相手国が国内に抱えている課題、問題点を把握し、不満を持つ人達と共に戦っていく。課題があるから軍事力を背景に世界に進出しているのである。バフェットは中国のエネルギー事情にビジネスを見出し、BYDの株を買い占めて世界中で電気自動車を売ろうとしている。他にもアメリカは中国の環境問題の解決となる技術に対して、人も金も投じてビジネスチャンスにしようとしている。このようにアメリカは中国との間で対立はあるが、中国の課題に対してうまくやっている。日本は中国が欲しがる技術を持ちながら、吸い取られているだけである。電気自動車について言えば、北京でBYDの車が事故を起して死傷者を出したが、リチウム電池は発火性が問題である。注目されているのはシリコン電池で、日本が最先端技術を持っている。成功すれば世界のエネルギー事情を大きく変えることになる。電池の開発が7月から日米経済協力の重要な柱となった。」と竹島問題に関連付けて、日本の持つ高い倫理観と技術力で国際社会を味方に付け、領土問題を解決していくべきであるという考え方を示されました。
浜田様の話に対して、武心教育経営塾塾長の近藤健様より、「エネルギー技術などよりももっと大切なことがあるのではないかと思いながら話を伺っていた。武士道で最も大切なことは義を通して戦うことであり、毅然とした態度を取らなければならない。是非政界 で筋を通す人物が出てきてほしい。」という意見が出されました。これに対して浜田様は、「毅然とした態度が必要という認識は私も野田総理も持っている。日本が持っている良いものを生かしながら国際社会を味方に付けていく。尖閣に自衛隊を置くにしても予算が必要であり、今予算を含めて議論しているところである。」と答えられました。
第29代航空幕僚長の田母神俊雄様は、「世界の国々は平時においては国際法に基づいて領土、領海を警備しているが、日本だけが特別である。中国と韓国の間でも、中国とパラオの間でも領海に侵入した中国船は銃撃され死者が出ているが戦争にはなっていない。日本はなぜ国際法に基づいた対応ができないのか。結局、政治家の言うことは自己保身でしかなく、声が大きいだけで中身がない。理論と現実では現実が正しい。浜田先生のおっしゃることは理論的には非の打ち所がなく正しい。しかし、日本はずっとそうしてきたが、事態はどんどん悪くなってきたのである。」と国際法に基づいた毅然とした対処の必要性を訴えられました。さらに、「明日から150名程で尖閣諸島に行く。当初は戦没者を慰霊するという名目で上陸申請を出したが政府は許可をしないので、漁師として行くことになった。拉致の問題も全く同じであり、曖昧な解決をすれば目の前のその人は助かっても他の人が犠牲になるだけである。日本がきちんとやることがわかれば彼らは止める。日本は情報戦で負けっぱなしである。領海に侵入した船を撃沈させれば戦争になるとか、オスプレイが危ないというのも情報戦である。絶対に落ちない飛行機などはない。オスプレイ配備に反対することは中国を利するだけである。中国の意を汲んだ人達が反対しているだけである。沖縄の話は嘘ばかりである。米軍に土地を貸している人が3万人いて、その約1割の3千人が反対しているが、そのうち半数は沖縄に住んだことがない。テレホンカード地主と呼ばれるわずか5cm四方の土地を持っている人が76名いる。しかし、報道では農民が土地を取り上げられてかわいそうとされている。こうしたことを大臣が問題にしたがらない。ここで目覚めてもらいたい。そのためには国民が政治家に言っていくしかない。」と情報戦に隠された真実に目覚めることの必要性を強調されました
釘島総合法律事務所所長の釘島伸博弁護士は、「1年前に島田紳助さんが引退を発表した。その背景には10月1日にできた暴力団排除条例がある。全国の都道府県でその年に成立している。平成3年に暴対法が成立しているのに、なぜ今頃全国一斉に暴排条例が出来たのか疑問に思い調べてみた。平成23年7月25日にオバマ大統領が国際犯罪組織に対する大統領令を出し、テロリストなどの国際犯罪組織の資産凍結を決めた。そこでオバマから日本の暴力団もテロリストだから取り締まるよう日本に指示があったのである。日本の法律を見ると、ここ10年の間に日本の国民性に合わない法律がどんどん作られている。法律とは社会の安全を確保し経済をスムーズにさせるためにあるべきものであるが、多くの法律が経済をギクシャクさせ、国民生活をギクシャクさせている。警察や企業などからよくコンプライアンスについて講演を頼まれる。コンプライアンスは良いことだと思っている人が多いが、日本の大和魂と相反するものである。個人情報保護法はアメリカに指示されて作った法律だが、皆やりにくいと言いながら、誰も変えようとしない。日本とアメリカとは国民性が違う。日本人は真実を求めるが、アメリカの弁護士は真実追究ではなくゲームになっている。だからアメリカの弁護士はトラブルメーカーと呼ばれる。」とアメリカの指示でできる新しい法律の問題点について指摘されました。さらに、「アメリカの占領政策によって日本人は大和魂の根本を忘れてしまっている。戦後67年間、政治家や高級官僚はアメリカの言いなりになってきた。東日本大震災で復興財源が30兆円あれば足りると言われていたが、国債を発行せず増税を決めた。その間、為替だけでそのくらい日本はアメリカに貢いでいる。アメリカの国債を売って復興財源に充てようと言った政治家はいない。なぜなら、かつてアメリカ国債を買うのを止めたいと言った首相はアメリカに殺されたからである。現行憲法は無効であり、憲法という名前であるが日本人が作った憲法ではない。憲法が間違っているからいくらでも変な法律ができる。しかも日本人はどんな法律でも守ろうとする。最近、自分の罪は認めず人の罪を攻撃する人が増えている。これはクレーマーである。アメリカのような訴訟社会が良いのだろうか。日本人は『和を以って尊しと為す』と言うように、問題があれば譲り合って解決してきた。日本政府は1,000兆円の借金があるが、日本がこれまでアメリカに貢いできたのは1,000兆円である。日本が破産しないのはほとんどが日本国民からの借り入れであるからであり、日本は世界一の債権国である。日本のマスコミは全てアメリカの言いなりであり、アメリカに都合の悪いことは報道しない。独占禁止法は日本の国土に全く合わない。電通は独禁法違反ではないか。しかし誰も批判しない。オリンピックの柔道を見ていたが、まるでレスリングであって、あれは『道』ではない。『道』を極めるのが日本人である。戦後日本の武道を全てなくしてしまおうとしたのがアメリカの政策であった。」とアメリカによって日本人らしさが失われている状況に警鐘を鳴らされました。
武心教育経営塾塾長の近藤健様は、「いじめられている子供に対して多くの人は同情するが、なぜ戦わないのか、さらにはその親に対してなぜ戦うことを教えないのかと感じる。今は日本という国が世界からいじめにあっている。この背景には日米同盟の劣化で隙ができたことがあり、米政府の後ろ盾がない日本の抗議は怖くないのである。したがって、『領土の守りを固め、同盟を立て直していくしかない』と本日のある新聞で書かれていた。この記事を書いたのは産経ならわかるが、実は日経である。日経でさえもこんな記事を書くのだと感心した。誰かが勇気を持って戦わなければ、認めてしまうことになってしまう。私は平成20年に田母神氏の論文を誰も擁護しなかったことから自民党を棄てた。代表は自民党が政権を取ろうとするなら田母神氏にまず謝るべきだと書かれていたが、まさにその通りだと思う。」「『義を見てせざるは勇無きなり』という言葉を今の若い人で知らない人が多い。吉田松陰の士規七則に「士道は義より大なるは莫し。義は勇に因りて行はれ、勇は義に因りて長ず。」という言葉がある。勇気のない人間が多くなっている。義を知っていても勇気がないから実行できないのである。」と戦うことの大切さとそのための勇気の必要性を訴えられました。
勝兵塾事務局長の諸橋茂一様は、「1905年にポーツマス条約によって日露戦争が終結した。翌年の1906年に、米国は日本を仮想敵国としたオレンジプランを策定し、その後幾度も見直しを重ねていた。1924年に排日移民法を成立させ、日系移民の土地wp7取り上げ、1941年7月25日には日本の在米資産を凍結、8月1日には石油を完全禁輸した。これにイギリス、オランダが追随した。同年8月にルーズベルトとチャーチルの大西洋洋上会談が行われた。それに先立つ7月23日にルーズベルトは7月18日付で提出された対日攻撃計画書(JB355計画)にサインした。これは350機の戦闘機と150機の爆撃機を中国に供与して日本を爆撃させる計画であったが、欧州戦線が急迫し大型爆撃機をそちらに回したため実現しなかった。しかし、その代わりにフライング・タイガースと呼ばれる偽装ボランティアの米軍兵士が中国大陸で日本軍を攻撃したのである。したがって、真珠湾攻撃はアメリカの攻撃に対する反激戦でもある。」と真珠湾攻撃以前に計画されていたアメリカの対日攻撃計画並びに対日攻撃について解説されました。
最後に元谷塾長は、「アメリカが本当に怖いのはロシアではないか。ロシアの核戦力はアメリカに匹敵する。瓶の蓋論のように、日米同盟は日本の軍国主義を復活させないためにあるという見方もある。北方領土問題、竹島問題、尖閣問題は全て日本がアメリカを必要とするように、あえてアメリカが残してきた問題である。米中関係は以前から続いており、キッシンジャー・周恩来会談でキッシンジャーが、『もし日本に強力な再軍備拡張計画があるならば、伝統的な米中関係がものを言うだろう』と発言したことが明らかにされている。このように大前提から疑ってかからないと真実がわからない。」と背後に隠された真実を知ることの大切さを改めて強調され、会を締め括られました。