第11回 勝兵塾月例会レポート

塾長・最高顧問 元谷 外志雄

 勝兵塾第11回月例会が4月19日(木)にアパグループ東京本社6階会議室にて開催されました。
 冒頭のアパグループ代表、元谷外志雄塾長による挨拶では、「先日の北朝鮮の衛星と称するミサイルの打ち上げは、日本にとって格好の訓練チャンスだ。中国に向けてこれだけの自衛隊の配備をすれば内外から強い批判を受けるが、相手が北朝鮮だから批判されない。北がならず者国家である今が、日本を独立自衛の国にしていくためのチャンスである。」と北の脅威をチャンスと捉える一方で、「昔の日本男児は胸を張って男らしく生きていたが、今は草食系どころか冬眠系と呼ばれる人達もいる。外国へ行くと、皆自分のお国自慢をするが、日本人だけは謝るだけで何も語れないのは不幸である。どこへ行っても自分の国を誇れるように教育していかなければならない。」「先日、孫の小学校の入学式に出席したが、国旗の掲揚のなければ、国歌や校歌の斉唱もなく、校長の話は立派な子になれではなく、良い子になろうというものであった。日本を代表する小学校でもこのような状況では国に誇りを持つことはできない。」と自らの国に誇りを持つことのできる教育の必要性と、現状に対する危機感を示されました。また、勝兵塾の活動について、「5月には金沢支部を立ち上げ、年内には大阪支部も立ち上げたいと考えている。また、勝兵塾についてはFacebookでも動画を配信している。」と活動拡大の計画を発表されました。

コートジボワール共和国 特命全権大使 ジェローム・クロー・ウェア

 コートジボワール共和国のジェローム・クロー・ウェア特命全権大使は、「日本とコートジボアールの国交は、1962年に始まり、今年で50年となる。初代大統領は昭和天皇とも親交があり、両国の関係は古く親密なものである。」と日本との親密な関係について触れられた後、「かつてはコートジボアールの奇跡と呼ばれたように目覚ましい経済発展を遂げたが、1999年から2010年にかけて政治的に不安定になり、経済的にも停滞した。2010年にアラサン・ワタラ大統領になって、政治的に安定し、現在は治安の強化や対話を通じた国内の和睦を進め、経済の再興・発展を目指している。」と現大統領になってからの取り組みついて説明されました。さらに、「農業ではカカオ豆が生産量世界第一位であるほか、カシューナッツや天然ゴム、パームオイル、ココア豆などの生産量が多い。また、天然資源も豊富で、天然ガスや石油を産出するほか、金、銅、ダイヤ、鉄、ウラニウム、ボーキサイトなどの鉱石も豊富にある。こうした天然資源の採掘のため、海外資本の誘致を求めている。今後の展望としては、未開拓の土地が多いため、社会インフラや学校、病院といった社会施設、観光施設など、海外、特に日本からの資本を求める建設プロジェクトが多数あり、政府間のみならず、官民パートナーシップに期待している。」とコートジボアールの産業のポテンシャルをアピールされ、日本からの積極的な資本参加に期待を示されました。

 

衆議院議員 元内閣府特命担当大臣 高市早苗

 衆議院議員の高市早苗様からは、「もう一度日本人が自立と勤勉を取り戻し、強い国土と強い国民による国の繁栄を目指さなければならないと考えている。地元奈良県の母子家庭では、頑張って子供を育てている方がたくさんいる。そうした方から、『政権交代によって復活した生活保護の母子加算が不公平だ』という不満の声を耳にする。また、民主党政権になって、生活保護の不正受給の件数が倍増しており、現在は偽装離婚が深刻な問題となっている。政権交代後の2年半を見ていると、バラマキ政策により、国民が過剰に国に対して依存を強めてきている。本当に困っている人を支援するためには、勤勉に働き、広く薄くコストを負担していく必要がある。昔の人には日本人としてこうあるべきという倫理観があり、人様に迷惑はかけられないという意識が強かった。」と、民主党政権のバラマキ政策により、日本人の倫理観が失われてきていることへの危機感を示されました。さらに、「安倍政権時代は、大臣として科学技術政策を担当していたが、『福祉から就労へ』という基本方針がはっきりしており、科学技術に関しても長期戦略を策定した。あわせて、キャリア教育の推進にも力を入れ、税収を増やすための経済政策に取り組んでいた。政権交代後、税収は減り、国債発行額が40兆円を超えても足りず、特別会計から何とかやり繰りをしている状況であるが、こうしたことが長く続けられるはずがない。消費税増税の議論の中で、低所得者への還付という話もあるが、これ以上、貰う人と稼ぐ人の二分化を進めてはいけない。」と国に依存しない強い国民をつくる必要性を訴えられました。

 

札幌医科大学教授 理学博士 放射線防護センター代表 高田 純

 昨年12月に第四回「真の近現代史観」懸賞論文制度において最優秀藤誠志賞を受賞された、札幌医科大学教授で非政府組織放射線防護情報センター代表の高田純様は、「震災後1年以上も経っているのに20㎞圏内は全く復興していない。福島の20㎞圏内で放置されている和牛がたくさんいるが、放射線で死んだ牛はいない。和牛畜産業の再建なくして復興はない。」と福島の問題について触れられました。続けて核の脅威について、「日本は核武装国に囲まれているが、ミサイルが目の前に見えないため、その脅威に気付かない。中国の保有する核弾頭は273メガトンで広島の17,000発分であり、世界第3位である。北朝鮮はロシアの技術を背景に、既に日本を射程とする弾道ミサイルが配備されている。ただ、まだ核弾頭はできていないだろう。したがって、ミサイルの失敗を笑ってはおれない。」と警告されました。さらに、「北の核の潜在的リスクは核兵器の密売とダーティー・ボム弾道ミサイルである。福島の原発事故を巡ってこれだけパニックを起こす国民性を見れば、核弾頭が爆発しなくても放射性物質で東京を核汚染させるだけで十分な効果がある。核弾頭が爆発するとはじめに熱戦で火傷を負い、次に衝撃波で高層ビルを押し倒す。私のシミュレーションでは、20キロトンの小型核で、2キロ圏内が炎上し、50万人が急性死亡する。中国のメガトン級の核であれば、山手線内部は壊滅し、330万人が急性死亡する。今回は予告があった方向に備えてイージス艦を配備していたが、実際には予告はなく、迎撃は困難だろう。国防は政治主導ではできず、科学的に取り組まなければならない。」と自身の研究によるシミュレーション結果を示され、核兵器の威力の大きさを示された他、福島で行った現地調査の結果を紹介され、「福島県浪江町を平成23年4月に訪れ、黒毛和牛の調査を行った。2日間の調査で私が受けた放射線量は0.1ミリシーベルトに過ぎず、そこに1ヵ月以上いた牛は元気だった。広島の黒い雨には強烈な放射性物質が含まれていたため急性症状があったが、福島ではそのような急性症状はない。むしろ問題なのは、放置された病院の患者で少なくとも70名以上が亡くなっていることである。24年2月4日に浪江町の牛の放射線量の検査を行ったが、0.2~0.7キロベクレル/㎏で、飼料をきれいにすれば暫定基準値内に収まる。3月には2泊3日で民家に泊まり込んで調査を行ったが、そこで計測した放射線量は年間で20ミリシーベルト未満である。そこは政府発表では50ミリシーベルト超で帰還不可能とされている地域である。さらに家の周りと牧草地を除染すれば年間10ミリシーベルト未満にすることができ、和牛業を再建することができる。あわせて防波堤を造りながら瓦礫や除去した土を埋め立てる方法を官邸にも提言している。この20キロ圏内の復興なくして福島の復興はない。」と20㎞圏内の復興の可能性について、科学的根拠を示されながら説明されました。

 

自治調査研究会 代表 苅部嘉仁

 自治調査研究会 代表の苅部嘉仁様は、「心理学者クルト・レビンによれば、『大衆が自発的意見であると思い込むのは、ただそのように思っているだけ』であり、『一部のエリートが一般大衆を自由自在に世論操作し得る』と主張している。さらに『大衆を動かす最初の衝動は、その集団の中で信頼出来得るリーダー(現代においてはマスメディア)である』と述べている。欧米人は人間の精神を単なる機械と見なし、大衆心理に工学的処理を加え自在に大衆心理を操作する『心理政治学』が政治学の主流であるが、日本人はこの心理政治学に全く無知である。」と欧米で主流の心理政治学に触れられ、続けて、「大東亜戦争の敗戦によりマインドコントロールしやすい国民を作られたが、元を正せば明治5年の欧化政策に遡る。欧化政策の結果、エゴイズムが蔓延し、言語や文化の退廃が進んだ。小泉政権のワンフレーズ政治の手法は正に大衆操作であるが、これに1兆円もかけていたことを誰も知らない。心理政治学が世界秩序の根底にあるが、そうしたことに無知な素人が政治をやっている日本が良くなるわけがない。」と大衆操作に対する無知と社会の退廃に対して警鐘を鳴らされました。さらに、「この国は国家目標がない。国家とは何か、それは民の家である。それをどうするのかというものがあってしかるべきであるが、国家目標がないから手足がバラバラである。人間の体はいろんな部分から成り立っているが、全体の総合力で活動する。ところが、今の状況では国家が機能しない。人生実働20,000日であり、人生は死の旅とも言える。人はなぜ生まれ、なぜ死んでいくのか、人生の意味が分からない者が国家目標を作れるわけがない。」と国家目標の必要性と、政治家に必要な素養を示されました。最後に、「なぜ日本は500兆円も稼いでいるのに貧しいのか。それは英米のファイナンスをずっとやらされているからである。つまり富が収奪されているのである。歴史を学び、裏側から歴史を見なければならない。」と物事の本質を理解するために歴史を学ぶことの必要性を訴えられました。

 

衆議院議員 早川久美子

 衆議院議員の早川久美子様は、「18歳でアメリカに留学し、当時の日本はバブル時代であったが、天安門事件で国に帰ることのできなくなった中国人やベトナムのボートピープルなど、国を捨てて命を懸けて学びに来て、国のために貢献したいと考えている留学生を見て、日本の立ち位置や自分が国にどう貢献していくかを考えるようになった。それが政治を志したきっかけである。」と、政治の道を志したきっかけについて話された後、「IPU国際会議に出席したがそこでは飢餓がテーマであった。日本はアフリカに対して農業技術やインフラ整備など支援を行っているが、国際社会での地位向上に繋がっていない。国連での票の取り纏めにも日本は失敗しているが、それは日本が支援を行っている国に対して票を依頼していないからである。人道的支援として日本に感謝をしているし、敬意も示しているが、国際社会にはバーターが当たり前であり、他の国に票を取られてしまう。日本人は、バーターで依頼することを恥ずかしいと思ってしまう。現場ではピュアな気持ちで支援を行っており、見返りを期待しているわけではないが、政治家はそれを国益に繋げていかなければならない。新興国を味方にするために戦略的に考えていくべきである。」と、国際支援を国益につなげていくことの必要性を訴えられました。さらに、「IPU国際会議では他の国の出席者は毎回同じであるが、日本は出席者が毎回変わるため継続的な議論ができないと批判される。それは出席者をご褒美として人選しているところがあるためである。継続的な議論をしていく必要がある。日本の経済成長のためには、原発や新幹線など、海外へ日本の産業を輸出していく必要がある。一方内需を拡大するためにカジノを東京や沖縄だけでなく、全国で5、6カ所造れば良いと思う。カジノにはショッピングモールなどの施設も付帯するため、雇用を生み出すことができる。IPU会議は日本で30年以上やっていない。国際会議を開催すれば、多くの人が動き需要を生み出すこともできる。国際会議を日本でやるためには政治主導で進めていく必要がある。」と国際会議に対する取り組みと内需拡大の方策について持論を展開されました。

 

第29代航空幕僚長 田母神俊雄

 第29代航空幕僚長の田母神俊雄様は、「アメリカ、ロシア、中国でもミサイルを発射しているのに、どうして北朝鮮だけが騒ぎになるのか。それは、日本を軍事的に独立させないのがアメリカの対日戦略の基本であり、そのために、北のミサイルの脅威を煽っている。自衛隊が攻撃力を持たなければ、それだけアメリカに依存度が高まることになり、アメリカの国益のためにミサイル防衛強化を促している。」「ミサイルや核兵器は政治的恫喝に使われるものであり、本当に被害を出せば金を貰えなくなる。迎撃するためには今の装備で十分であり、むしろ抑止力のために攻撃ミサイルを持つべきである。日本は独立国であり、自分で自分の国を守るべきである。アメリカと喧嘩するのではなく、アメリカと仲良くしながら1歩ずつ自分の国を守る体制にしていくべきである。」「政府はアメリカの言いなりになればうまくいくし、自衛隊にとっても沖縄に自衛隊が展開することで国民の自衛隊アレルギーを弱めることになればよいことであり、マスコミは騒げば儲かる。皆の利害が一致して、今回の騒ぎになっている。」と北朝鮮のミサイルを巡る騒動の背景を分析されました。さらに、「GDPが伸びない政治は間違っている。歴史上、緊縮財政で国を建て直そうとしてうまくいった事例はない。日本は、この10年間以上緊縮財政を続け、公共事業は15年前の半分以下になっているが、国の借金は増えるばかりである。このままデフレが続けば外国は喜び、日本の会社は中国やアメリカに乗っ取られる。改革と言いながら、伝統的なものが失われて悪くなっている。」と日本の経済政策の誤りを指摘されました。また、「日本の政治は国を守ることが欠けている。特に日本には多くの外国のスパイや工作員がいるが、日本はスパイ体制をほとんどもっておらず、情報体制が弱い。正確な情報分析のためには、衛星写真や通信傍受など機械で情報と人伝に得る情報の双方が必要である。軍事バランスを取らなければ外交交渉にならない。日米安保は自動参戦ではない。大統領の決定が必要であるが、その有効期限は2ヶ月であり、その後は議会の承認が必要である。果たして、日本のために戦うことをアメリカの議会が承認するだろうか。独立国家は自主防衛が基本である。」と、情報体制の強化と自主防衛の必要性を強調されました。

 

新しい歴史教科書をつくる会会長 杉原誠四郎

 新しい歴史教科書をつくる会会長の杉原誠四郎氏は、「南京事件が捏造であることは、この10年間の研究で明らかになっている。そのことを一番よくわかっているのは中国共産党である。河村市長の発言は、日本の名誉を回復するチャンスであり、渡部昇一先生を『よびかけ人代表』として国民運動が発足している。」と、南京の真実を明らかにし、名誉を回復する必要性を訴えられました。

 

 最後に元谷塾長は、「国際社会では古今東西情報謀略戦が行われていることを日本人は知らないのではないか。ひとりひとりが真贋を見極める力を身に付け、国を守る意思を持つことがまず必要である。それがなく、バラバラだから日本は貶められているのである。国際社会では国益のためには嘘もつけば人も殺すという現実がある。北のミサイルは正常に飛べば迎撃の必要もなく、方向が狂えば自爆させるし、空中分解すれば迎撃不能で、もともと迎撃することはないと見ていたが、日本はこれを機会によい訓練をしたと思う。今後も勝兵塾では、国を守る気持ちを持った人を増やしていきたい。」と会を締めくくられました。