勝兵塾第9回月例会が2月16日(木)にアパホテル〈東京潮見駅前〉にて開催されました。
冒頭の元谷代表による塾長挨拶では、「2月11日の建国記念日について、主要五紙がどのように取り上げているか比べてみた。一切表記がないのが日経新聞であり、その他朝日、読売、毎日も題字付近に小さく表記しているだけで、産経のみが社説に取り上げていた。世界で国の誕生を祝わない国はないが、日本だけが祝いもせず、新聞でも書かない。」と国の誕生を祝わないことの異常さを指摘し、さらに、「現状のままでいいと考える人はいなくなった。次の選挙で民主は過半数を取れないだろうが、自民も返り咲きはできない。真正保守の勢力が結集して政権を取るべきである。日本はこのままではダメであり、この勝兵塾をその様な事を考える機会にしてほしい。」と今の日本に対する危機感を示されました。
第4回「真の近現代史観」懸賞論文で優秀賞を受賞したセントルイス大学教授のサー・中松博士は、「今年で84歳になるが、戦争を知っているという歳であるとともに、海軍の中枢にいた経験者として、先の大戦当時の日本の本当の姿を伝えたい。私は海軍機関学校の最後の、第58期生で、戦争の本当の姿を体験している。さらに東京帝国大学最後の卒業生である。当時の日本は大帝国であった。敗戦と言われるが、敗戦ではなく終戦である。すなわち、まだ力があったのに天皇陛下の命令で止めたのである。海軍軍令部には8月16日にニューヨークを爆撃するという作戦もあった。当時の日本では世界最速、最新技術の粋を集めた兵器が多数開発されており、食料、弾薬は十分あり、士気も高かったので、アメリカが本土を攻めてきても十分勝つ見込があった。したがって、敗戦と言うのは間違いで、この敗戦思想を正し、日本人が日本の力を信じて誇りを持つことが日本の再生の基本となる。」と、実際に開発されていた兵器の貴重な写真をスライドで紹介されながら、語られました。
鳥飼総合法律事務所の鳥飼重和弁護士からは、幕末の備中松山藩の財政を立て直した山田方谷(ほうこく)について、「幕末の備中松山藩は今の日本の状況よりひどい債務を負っていたが、方谷はそれを8年で立て直した。財政再建をするために、まず政道を正し、信頼を取り戻すことから始めた。藩の財政の実態を明らかにして節約を進め、藩の借金を50年返済とする一方で、成長戦略を取り、結果的には借金を8年で完済した上に、余剰金を作り、軍隊も作った。これが後に長州藩の奇兵隊の手本となった。」と解説されました。さらに、方谷の言葉を引用して、「『義は利の元なり、利は義の和なり』と言う言葉があるが、政治が機能しなければ財政政策は効果がない。また、『天下の事を制する者は、事の外に立ちて、事の内に屈せず。しかるに今の理財者は悉く財の内に屈す。』というように、目の前の混乱に目を向けているだけではなく、その外に立って物事を見れば、その混乱に取り込まれることはない。それにも拘らず、現在の財務担当者は皆財政のことしか考えることができずに行き詰まっている。」と現在にも通じる財政問題の考え方について紹介され、先人に学ぶことの大切さを示されました。
元イスラエル特命全権大使のエリ・コーヘン様は、「今年はイスラエルと日本との国交樹立60年である。日本とイスラエルは共に高い技術を持っており、協調していけば世界に強い影響を与えることができるだろう。」と日本とイスラエルとの関係に対する期待を述べられました。また、「日本とイスラエルとでは教育スタイルが違う。例えば、日本人は授業中にあまり質問をしないが、イスラエルでは必ず質問しなければならない。また日本では授業中は静かであるが、イスラエルでは授業中は騒がしい。」と両国の教育の違いについて話されました。さらに、「伝統の上に英知があり、その上に知識がある。もし伝統を失えば、英知や知識がバラバラになってしまう。また,国家は三角形でできている。1に伝統、2に国土、3に人である。どれが欠けても力を失い国が崩壊する。だから伝統を忘れてはいけない。」と国における伝統の大切さについて語られました。
ガーナ共和国特命全権大使のウィリアム・G・M・ブランフル様は、「昨年5月に来日したため、震災を直接体験していないが心から哀悼の意を表するとともに、力強く日本の復興に取り組んでいる人々に敬意を表したい。」と述べられた後、「ガーナは赤道とグリニッジ天文台を通る経度0°の線と交差している辺りにある。人口は23百万人で、金やダイヤモンド、ココアを産出し、森林がたくさんある。政治的には安定している。サハラ以南では一番早く独立した。これはエンクルマ元大統領のリーダーシップによるものである。歴代の大統領は日本に何度も来ており、日本からも小泉総理がガーナを訪問しており、政治的に強い連携をとっている。」と日本とガーナの政治的な強い結びつきについて語られました。
第29代航空幕僚長の田母神俊雄様は、「東日本大震災で復興がなかなか進まないのは緊急事態法制が整備されていないためである。国が復興構想を3ヶ月かけて作ってから各自治体に計画を提出させ、予算を付けるというように許認可行政になっている。しかも発注に当たっては一般競争入札を行っているので、ものすごく時間がかかる。緊急時には官制談合のようなことも合法としなければ回っていかない。」「被害を受けたならすぐに生活ができるよう状態にすべきであり、復興がどうなるかわからないと、そこで生活していた人は他の地域に移ってしまう。人がいなくなれば復興もできなくなる。すぐに元通りに復旧し、元通りの生活ができるようにすべきである。」「震災の被害により漁業や農業ができなくなった人に対しては3年間国家公務員とすればよいが、今はただ金を配り続けている。働かずに金を与えるのではなく、仕事を与えるべきである。例えば、自宅の瓦礫の撤去なども国の仕事としてやったらよい。」と、緊急事態法制が未整備であることが復興を遅らせていると指摘されました。さらに、「どこの国でも緊急時には軍を中心とした指揮組織が機能する。緊急時に大臣が官邸に集まっても普段指揮をしたことがない人が集まっても指揮なんてできるわけがない。軍を使えばうまく機能する。しかし日本には自衛隊に決めさせるとろくなことにならないという考えが刷り込まれている。」「ミャンマーに関して日本では軍事政権が悪く、アウンサン・スー・チー氏が正しいように報じされているが、実際には軍事政権の方が国民の支持を得ており、スー・チー氏は人気がない。」と、日本における軍隊への偏見について指摘されました。また、「アメリカの軍事戦略では日本を軍事的に独立させないとしている。日本に金がある間は利用価値があるが、金がなくなったら捨てられ、中国の属国になるだろう。アメリカはアメリカの利益のためにしか動かない。だからアメリカは絶対に日本のために他国を攻撃はしない。特に核保有国である中国に対して攻撃することはありえない。通常兵器は戦力の均衡が成り立つが、核兵器は成り立たない。数に関係なく持っているだけで力になる。軍事力は外交交渉のために必要であり、核兵器は防御のための兵器である。政治家は国際社会の情報謀略戦を理解し、自分の力で自分の国を護って損をしないようにしなければならない。」と軍事的にアメリカに隷属し続けることの問題点を指摘されました。
衆議院議員の高邑勉様は、「震災以来、南相馬市には80日滞在している。被爆した牛などの家畜を300頭集めて『希望の牧場』という牧場を造った。現在放射能の影響について科学的なデータとして研究者に実証してもらっている。当初は勝手にやっていたが、今ではその価値が認められ、文部科学省から予算が付いた。牛たちのセシウムの血中濃度は高いが、これまでのところ全く異常は見られない。我々はこの牧場から得られるデータを通じて震災から学ばなければならない。」と、これまでの避難区域内における家畜の保護に対する取り組みの進捗について語られました。さらに、「震災復興が進まないことの要因の一つに瓦礫の処理の問題がある。静岡県島田市で燃焼実験をしたところ、瓦礫の表面は0.07マイクロシーベルトであり、放射線量も1kgあたり15ベクレルと相当低い。しかし反対運動が起こり、理詰めで話しても全く聞く耳を持たない。福島、宮城だけで2,000万トンの瓦礫があり、うち400万トンは他の地域での処理が必要である。全国で手を上げてもらいたい。」と、瓦礫処理には多くの自治体の理解と協力が必要であることを訴えられました。さらに、硫黄島の遺骨帰還事業について、「平成21年以降国の態度が変わり、予算が10倍になった。しかし昭和27年の閣議了解以外に法的根拠がない。現在も百数十万もの遺骨が海外に眠っており、こうした活動に法的根拠をつくろうと活動している。」と語られました。
衆議院議員の岸本周平様の御挨拶の後、龍馬プロジェクト会長で吹田市議会副議長の神谷宗幣様は、「海外で学んで、それまでの自分の間違いに気付いた。帰国後、自分の国に誇りを持ち、教育に疑問を持つという話をしてもなかなか受け入れられなかった。そこで2009年から全国60カ所を回って地方の若手政治家に呼びかけ、龍馬プロジェクトを立ち上げた。超党派の組織であり、国家観、歴史観を共有して日本の未来を創っていこうと活動している。」と龍馬プロジェクトのきっかけと取り組みについて語られました。
新しい歴史教科書をつくる会会長の杉原誠四郎様は、「本日の産経新聞で『外国人参政権を認めないのは差別』と記載している公民教科書の採用中止を求めて、福島県の医師らが提訴したという記事があった。公民の教科書を作る際に、天皇制について立憲君主という言葉を使おうとしたら使ってはならないとして削除させられた。憲法に反する記載が検定に通り、内閣法制局長官が国会で答弁したことを書いても検定に通らない。教育はいかに左翼の独壇場になっているか。」と訴えられました。
戦後問題ジャーナリストの佐波優子様は、「千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館では沖縄戦での強制自決や韓国併合、南京事件といった事実に基づかない偏向展示が行われている。南京事件の展示の傍にある『軍人の心得』について、日本軍がひどいことをしたから作られたと解説されていたが、調べてみたら、日本人が自分に対して、身内に対して厳しいことの表れであることが分かった。しかし日本人の心が今では悪用されている。」と、中国や韓国だけでなく、日本国内にも偏向展示があることを話されました。
勝兵塾事務局長で(株)KBM代表取締役の諸橋茂一様は、「消費税を8%、10%にするのではなく、全ての取引に関して1%とすれば税収は14~15兆円になる。また法人税は最終利益に課税されるものであるが、1億円の売上で利益が500万円あるとすると、節税で簡単にゼロにすることができる。約7割の企業は赤字で法人税を払っていないが、これを売上高の1%課税という税制にすれば、現在の法人税収入が約9兆円であるのに対して、14~15兆円になる。こうした発想は中小企業の経営者ならすぐにわかる話であるが、政治家に企業家出身者が少ないため、このようなことを理解している人物が殆どいない。」と企業家の視点から税制について提言されました。さらに、「GHQによって押し付けられた日本国憲法は国際法違反であるばかりか、大日本帝国憲法の改正という体裁が取られていたが、同第75条の規定により本来改正できない状況にあった。つまり、国内法違反でもあったのだ。日本国憲法にはおかしな日本語や矛盾点などが多々あり、あるべき姿に改正すべきである。」と、日本国憲法の問題点について、資料を用いて指摘されました。
最後に代表は、「既存の価値観を一度ご破算にして、本当はどうなのかという観点でゼロから見直していくことが必要である。小さい観点で物事の良い悪いを判断するのではなく、大きな観点で物事を観るべきである。世界は情報謀略戦であり、冷戦まではアメリカの庇護の下で、冷戦漁夫の利を得ていたとしてもよかったが、冷戦が終わって20年以上も経った今、そろそろ日本は独り立ちしていかなければ。」と会を締めくくられました。