第8回 勝兵塾月例会レポート

塾長・最高顧問 元谷 外志雄

 勝兵塾第8回月例会は1月19日(木)にアパグループ東京本社6F会議室にて開催されました。
 冒頭の代表による塾長挨拶では、昨日まで訪問していたイスラエルの話から、「イスラエルはイランの核開発を阻止するため、核科学者を爆殺した。そこには断固として核の開発を許さないという姿勢が窺える。そのイスラエルは、核武装をしていると言われているが、そのため中東戦争が第四次以降は起こっていない。イスラエルには男女とも徴兵制度があり、自分の国は自分で守るという強い信念がある。念じていれば平和が守られるとは思えない。この先、東アジアは力の鬩ぎ合いになる。イスラエルのやり方は必ずしも賛同できるものではないが、国を守るという姿勢を、日本は少しは参考にすべきである。」と、国を守る姿勢の大切さについて語られました。

バーレーン王国 特命全権大使 ハリール・ハッサン

 バーレーン王国のハリール・ハッサン大使は、スライドを交えながら、「バーレーンは島国であり、湾岸諸国の一員である。識字率が100%と教育水準が高く、大臣や大使に女性が多数登用され、女性の社会進出が進んでいる。またバーレーンは中東の金融、医療、教育の中心である。」と自国の紹介をされました。さらに、「バーレーンには日本のイザナギ、イザナミと全く同じ神話があり、ディルムン文明のシンボルである太陽は『日出づる国』を意味している。また、時間厳守、沈黙は金なりと日本人と共通の習慣を持っている。」と日本との共通点に触れ、最後は「教育は問題解決型学習を重視している。現在はIT技術を使って、若者が自ら進んで知識を求めていくので、知識を使ってどう問題を解決するかが重要である。」と教育の在り方について語られました。

 

桐蔭横浜大学教授 ペマ・ギャルポ

 桐蔭横浜大学のペマ・ギャルポ教授は、チベットで生まれインドで育ち、日本に来た生い立ちに触れながら、「中国の台頭に対して日本だけでは対応できない。アジアで100万人以上の兵と核を持つ国のうち、唯一日本に好意的なのはインドである。それは、インドの独立のため、日本軍は一緒になってイギリス軍と戦ったからである。その後、アメリカがパキスタンを応援したため、インドはやむを得ずソ連に近づいた。その結果、アメリカによって日本とインドが距離を置くように仕向けられ、インドは一方的に日本に好意的であったが、日本の方がインドを相手にしなかったのである。それが森首相の訪印をきっかけに関係が強化され、小泉首相時代にグローバル・パートナーとなった。国連を改革して日本とインドが常任事理国入りして、平和に貢献すべきである。」と日印関係の重要性について語られました。さらに、「中国は国の金で日本の領土を買っている。このままでは日本は中国の自治区になってしまう。日本は自国を守ることをやってほしい。チベットでは毎日のように焼身自殺しているが、日本のメディアはほとんど取り上げない。私の著書である『最終目標は天皇の処刑』では中国の対日工作要綱について説明しているので是非読んでほしい。」と中国の脅威について警鐘を鳴らされました。
(注)「中国共産党『日本開放第二期工作要綱』」については、アパグループ月刊誌「Apple Town」平成22年10月号に、そのほぼ全文が掲載されています。

 

チュニジア共和国 特命全権大使 エリエス・カスリ

 チュニジア共和国のエリエス・カスリ大使は、「2011年は多くの国々にとって挑戦の年であった。日本は大震災や津波、原発事故に見舞われ、チュニジアで起こった激震は近隣諸国に広まった。チュニジアは現在問題解決の途上にあるが、そうした中でもチュニジア国民は日本に対して共感の意を表した。「ジャスミン革命」に対して、民主化が進んでいない国々は民主化運動を恐れ、メディアをコントロールし、情報を遮断している。ジャスミン革命は、一部の人が権力を掌握するためのものではなく、自然に発生した民衆運動である点において、特定のイデオロギーに基づいたものではなく、平和、自由、民主主義を求めたものである面で新しい形の革命であり、コミュニケーション技術を使って若者が巻き起こした。日本とチュニジアは共に天然資源はほとんどなく、人的資源に頼らざるを得ない。野田総理は国連総会でアラブに10億ドルを投資すると表明した。今年はさらなる挑戦の年になる。」と、チュニジアで発生し周辺諸国へ伝播した「アラブの春」について語られました。

 

第二十九代航空幕僚長 田母神 俊雄

 第29代航空幕僚長の田母神俊雄様は、「原発事故の処理について、中央から間違った指示が来て、責任を全て現場に負わせていた。吉田所長は全て自分の責任で部下に仕事をさせていた。その統率力が素晴らしかったからこそ、危険に飛び込んで行った人が多くいた。リーダーは組織の目標を達成するために現場に任せ、責任は自分が取るものであり、知ったかぶりをして現場に間違った指示をしてはいけない。菅総理はリーダーとしての心構えが全くできていなかった。」と原発事故に関連してリーダーの在り方について語られました。さらに、「政府の指示通りにやらなかったことについてどう考えるべきか。明らかに正しいことになるのなら許されるのではないか。」と、問題提起をされました。またこうした問題について、「問題は戦後、リーダー教育をやってこなかったことだ。帝国大学のカリキュラムの3分の1はリーダー教育だった。どの職についても国のリーダーとなる意識を持っていたのである。先の震災で日本人のモラルは世界より遥かに高いと言われたが、それは一般の人のことであって、リーダーになる人のレベルは世界の方が遥かに高い。」と戦後のリーダー教育の問題について語られました。さらに、「世界は富や資源の分捕り合いであり、現在は武力ではなく、嘘やデマで合法的に富を奪っている。政治家は自分のことだけを考えている。日本を守りたいという保守派が声を上げるべきである。左翼は間違ったことを言っているが、言い続けた結果、日本が左傾に変わった。だから保守派も言い続けていくしかない。あきらめたら終わりである。」と声を上げ続けることの大切さを強調されました。

 

デヴィ・スカルノ

 デヴィ・スカルノ様は君が代不起立による停職・減給処分は違法とした最高裁判決について、「教員は公務員であり、税金で雇われているのであるから、国のために働くのは当然である。学校では民族の誇りを養うために国歌斉唱、国旗掲揚は絶対必要なことである。入学式や卒業式といった生徒たちにとって節目の大切な行事で、国歌斉唱時に起立しなかったり伴奏を拒否したりするのは、思想信条の問題ではなく単なる身勝手であり、加害行為である。停職処分された教員はこれまで再三にわたり処分を受けてきたが改められなかったのであり、最高裁の判決によりこうした教員に対して適切な指導ができなくなる。」と、判決の内容を批判されました。最後に、「私は皇室を大変敬っており、皇室問題について意見を掲載しているのでブログを読んでほしい。」と、結ばれました。

 

新しい歴史教科書をつくる会 副会長
岡野 俊昭

 「新しい歴史教科書をつくる会」副会長の岡野俊昭様は、「教育において国の在り方、日本人の在り方という視点が欠けている。多くの生徒は社会主義者が作った教科書で学んでおり、その結果、共産党の志賀義雄が言ったことが現実となり、民主党政権が誕生した。」と、教育の問題点を指摘されました。さらに、本日配布された、つくる会の月刊誌の「史」掲載の元谷代表、岡野様、諸橋事務局長の三者対談について紹介されたほか、「ドイツのアデナウアー元首相は、連合国に対してドイツ人の教育はドイツ人にしかできないと主張した。さらに在職期間中、執務室には教育勅語のドイツ語訳を飾っていた。」とドイツと日本との戦後の姿勢の違いを説明されました。最後に、海外の学校で校長を勤めた経験から、「外務省は邦人保護と国家としての誇りを諸外国に示すべきものであるはずであるが、天皇陛下のことを何とも思っていないという者が多くいる。」と外交官の姿勢に対して批判されました。これを受けて、デヴィ・スカルノ様も、「飛行機で隣り合わせた日本公使がまるで外交官が皇太子妃より上であるかのような発言をしたのを聞いて大変驚いた。」というエビソードを披露されました。

 

拓殖大学教授 藤岡 信勝

 拓殖大学の藤岡信勝教授は、「つくる会」が創立されたきっかけについて、「きっかけは従軍慰安婦問題である。当時強制連行説が各社の教科書に掲載された。間違ったことが文部省の検定を通ったことを許せないと思った。渡部先生を始めとする偉い先生方が教科書を批判してきたが、それだけでは変わらないので、対案を作ることになった。」と語られました。さらに、「従軍慰安婦については産経と朝日が大論争を展開し、最終的には朝日の主張の根拠となった吉田清治の著書について、秦郁彦氏が済州島に行って調査をして、それが嘘だとわかり、そのことを本人も認めている。こうして国内では中学生の教科書からは従軍慰安婦の記述が消えたが、とどめを刺すためには河野談話を撤回しなければならない。安倍内閣で撤回するはずだったが、安倍首相が河野談話及び村山談話を引き継ぐと言ってしまった。さらに、安倍首相とブッシュの会談の中で、本当は従軍慰安婦の問題について触れられなかったが、会談後の記者会見では、ブッシュが従軍慰安婦問題について安倍首相から大変心のこもった謝罪があったと言ってしまい、これに対して日本政府は抗議をしなかった。安倍氏は従軍慰安婦問題について最も理解がある政治家であったが、それでもそのような対応しかできなかった。」と慰安婦問題の根深さについて語られました。

 

戦後問題ジャーナリスト 佐波 優子

 戦後問題ジャーナリストの佐波優子様は、「河野談話が出されたときは、国がお詫びをするのだから確たる証拠があるものだと思っていた。1992年、93年に日本が調査した結果、強制連行はなかったことが分かった。初めは韓国から、『賠償を要求しないから、あったことにして謝罪してほしい』と求められたので、それに応えてしまったということが松木國俊氏の著書に詳しく書かれている。」と、従軍慰安婦問題について語られました。さらに、「ペマ・ギャルポ教授の講演の中にもあったように日本は中国の自治区にならないようにしなければならない。中国には日本の領事館が6つあり、相互主義として日本国内に中国の領事館が6つある。中国にある日本の領事館は全てビルの中にあるのに対して、日本にある中国の領事館は4カ所が土地を購入している。つまり合法的に日本国内に中国の領土がある。重慶が領事館に格上げされるため、中国は仙台を狙っている。そのため、パンダのレンタルで仙台に親中ムードを作っているのではないか。こうして日本の中で中国の領土が増えている。」と中国による領土の侵食に警鐘を鳴らされました。

 

 最後に代表より、「どうして分かっている人が多いのに日本は変わらないのか、それはメディアが反日だからである。日中記者交換協定によりメディアは中国の悪いことは書かない。しかも不安を煽れば売れると考える。だから日本の新聞やテレビだけ見ても本当のことは分からない。チュニジアは独裁国家であり、メディアの規制は厳しかったはずであるが、IT革命により、ウィキリークスやツィッター、フェースブックなどの新しい手段によって大統領一族の不正が暴露され、民衆に広まった。我々も新しいITを使い、例えば『君が代不起立による停職減給処分は違法とした最高裁判決はおかしいね!このままあなたのメル友10人に送ってください。これは抗議のチェーンメールです。』というメールを10人に送っていけば一気にその考えが広がるだろう。」と新しいIT技術を使った運動を提案されて、会を締めくくられました。