第60回 勝兵塾月例会レポート

塾長・最高顧問 元谷 外志雄

塾長・最高顧問 元谷 外志雄

 第60回勝兵塾月例会が、5月19日(木)にアパグループ東京本社会議室で開催されました。
 冒頭のアパグループ代表元谷外志雄塾長によるご挨拶では、「私は衆議院議員の木村太郎氏の東京後援会の会長をしているが、本日の木村氏のパーティーで、『今年は変革の年で、台湾では民進党の蔡氏が総統になり、アメリカでも大統領選が行われる。トランプが大統領になれば日本は真の独立国家への道を歩むこととなる。私は衆参同日選挙になると予想している。この選挙で自民党が大勝し、改憲勢力で衆参とも三分の二を確保し、安倍政権が党則を改正して3期9年続くことが日本にとって望ましいと考えている。さらにその次の総理は男性だと安倍総理と比較されるので、女性総理を選ぶべきだ。第一回勝兵塾の時から勝兵塾から総理を出すと言ってきており、福井選出の稲田朋美議員が適任だと考えている。衆参同日選挙には消費税増税の先送りの信を問うという大義名分もあり、野党はこうした動きを見越して、共産党まで一緒になって内閣不信任案を出そうとしている。日本の針路を決める大事な選挙になるので頑張って欲しい。』と挨拶をした。次の選挙は大切であるから、皆さんも改憲勢力に投票してほしい。ソ連は共産党革命から74年で崩壊したが、日本は敗戦から71年が経つ。そろそろ誇れる祖国、日本の再興を目指す時期だろう。」と、本年に実施が予想される衆参同日選挙の意義を説かれました。続いて6月2日に開催される塾長の『理論近現代史学Ⅱ』出版記念パーティーのオープニング動画を視聴しました。

ベナン共和国大使館特命全権大使 ルフィン・ゾマホン様

ベナン共和国大使館特命全権大使 ルフィン・ゾマホン様

 ベナン共和国大使館特命全権大使のルフィン・ゾマホン様は、「日本に来て23年目になるが、日本で学んだことで一番大切なことは、『お陰様で』という言葉である。皆さんのお蔭で我々が生きているということを感じながら、熊本の地震で亡くなられた方々に黙祷を捧げたい。」と呼びかけられ、出席者全員で黙祷を行いました。さらに、「日本はどんな国かと言えば、おかしな国である。なぜなら地震や津波、台風などの自然災害が多く、地下資源がないのに先進国になっているからである。アフリカには地下資源は何でもあるのに、きれいな水を飲むことが難しい。日本が先進国になったのは、教育を大切にしてきたからである。しかも日本は先進国の中で一番安全で、安心して暮らせる国である。日本文化は人間性と愛情によって成り立っている文化である。日本人は相手のことを先に考える。皆さんにはどうすればこの素晴らしい志を世界の人々に伝えることができるのかを考えてほしい。先ほどの動画の中で『歴史は勝者が創る』という言葉に感動した。この勝兵塾に参加して大変勉強になった。日本人は世界の救世主であり、アフリカのことも考えてほしい。日本人はアフリカでの問題を解決する力を持っている。」と、日本の持つ力を世界のために活かすよう訴えられました。

ブルキナファソ大使館一等参事官 バンジャマン・ナナ様

ブルキナファソ大使館一等参事官 バンジャマン・ナナ様

 ブルキナファソ大使館一等参事官のバンジャマン・ナナ様は、「ブルキナファソは西アフリカに位置し、周囲は山に囲まれた内陸の国である。西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)と西アフリカ諸国通貨同盟(UEMAO)に加盟している。綿花の生産はアフリカで第一位であり、主な輸出品は金や綿花、ゴマ、シアナッツ、カシューナッツなどであり、自動車や電化製品、通信設備などを輸入している。農業やエネルギー分野、インフラ整備、鉱業などで成長の機会が多く、観光も盛んである。また投資を促進しており、会社設立の手続が簡単で、外国人でも土地の所有ができ、利益を自由に海外に持ち出すことができる。」と、ブルキナファソの産業と成長の機会を紹介されました。塾生よりブルキナファソの宗教について質問があり、ナナ様は、「ブルキナファソには60を超える民族があり、それぞれに信仰がある。イスラム教やキリスト教もあるが、クリスマスのミサにイスラム教の幹部が参加したり、イスラム教の行事にキリスト教の幹部が参加したりするなど、共存している。先日、外務大臣がローマ法王に謁見したとき、ローマ法王から宗教に寛容なところが素晴らしいと称賛された。」と答えられました。

ダクド株式会社代表取締役社長 愛新覚羅溥儀の末裔でもある愛新覚羅啓宇様

ダクド株式会社代表取締役社長 愛新覚羅溥儀の末裔でもある愛新覚羅啓宇様

 ダクド株式会社代表取締役社長で、愛新覚羅溥儀の末裔でもある愛新覚羅啓宇様は、「この『勝兵塾』は孫子の言葉に由来し、『よく準備をして戦いをしろ』という意味である。私は日本に20年間住んでいる。中国の瀋陽で生まれ、中国医科大学で学んだ。日本に来て自治医科大学で学び、現在は医療機器の開発をしている。日本にいると、『日本は準備しているか』と感じる。経済戦争、エネルギー戦争、金融戦争など、様々な危機があるが、日本人は表面的にはゆっくりしている。若い人には欲がなく、民族や国のために考えることをせず、危機感を持っていない。日本は島国で、資源はなく、食料も少ない。何か起こったら大変なことになる。トランプが大統領になったら、自衛隊は日本を守れるのか。女真族のヌルハチが金を興し、明を倒したとき、女真族は100万人しかいなかったが、漢民族は1億人いた。明王朝はちょうど今の日本と似ていた。平和を守るためには実力が必要であり、誰が守るかと言えば、自分で守るしかない。どの国でも自分の国益が大事である。日本は素晴らしい国であるが、この平和な生活を維持できるかが心配である。若い人も国のため、アジアのため、世界のために何ができるか、よく考えてほしい。そして素晴らしい日本の文化を守り、世界に発信していくべきである。」と、危機感の薄い日本人に対して警鐘を鳴らされました。

議院議員 古川康様

議院議員 古川康様

 衆議院議員の古川康様は、「1958年に佐賀県唐津市で生まれた。佐賀県が大変好きで、もっと元気になるような仕事をしたいと思い、自治省に入省した。2003年に佐賀県知事になり、新しい地方のモデルの県にしたいと12年間頑張ってきた。これからの地方の可能性は3つあると考えている。一つ目は、地域でなければできないことをする。地方では第一次産業が中核の産業であるが、多くの人々が離職し、若者が就こうとしない。農業は人類最古で最後の仕事だと思っているが、生産性が他の産業と比べて低い。ICTをはじめ、新しい技術を導入して生産性を上げ、所得を増やしていく。二つ目は、どこでもできることをする。私はICTが好きで、先日のAIのアルファ碁がプロ棋士のイ・セドルに勝ったというニュースに興奮した。これからはデータ中心の時代であり、データを使いこなせばどこで仕事をしても同じである。だから佐賀県ではいち早く小中学校に電子黒板を導入し、高校生にPCを持たせるようにした。しかし、この政策は思ったほど評判は良くなかった。PC購入費として5万円が必要だったからである。しかし5万円のうち2万円分くらいは辞書の価値で、3年間で3万円がそんなに惜しいのかと思う。こうした技術、スキルを持った子供が必ずこの国を支えると信じている。三つ目は観光である。これはどの地域も主役になりうる。世界中から人々が訪れるよう取り組んでいく。」と、佐賀県知事の経験から、地方活性化のための方策について語られました。

衆議院議員で衆議院東日本大震災復興特別委員長 今村雅弘様

衆議院議員で衆議院東日本大震災復興特別委員長 今村雅弘様

 衆議院議員で衆議院東日本大震災復興特別委員長の今村雅弘様は、「熊本で大きな地震があり、佐賀でも大きく揺れた。今も余震が続いているが、余震が続いた方がエネルギーが発散されるのでむしろ良いことだろう。今の時代、国際、国内とも大変な時代であり、今の状況を見据えてどうやって生き抜いていくかを考えていく必要がある。政治の役割は決めるべきことを決めることであり、強い政治を創っていく。」と、これからの政治に対する意気込みを強く語られました。

慶應義塾大学経済学部教授 塩澤修平様

慶應義塾大学経済学部教授 塩澤修平様

 慶應義塾大学経済学部教授の塩澤修平様から、「日本の第一次産業は潜在的な競争力はあると思うが、集約化していくにあたり、固定資産税や参入形態についてどのように考えているか?」と質問が出され、古川様は、「生産性向上という観点から、活用されていない農地の固定資産税の引き上げが実施された。農地が使われていないことが問題であり、活用を促進する上で有効である。集約化に当たり会社が入ることに不安を持つ人も多い。一方で農家には兼業農家が多く、こうした方々の農業以外のノウハウを生かしながら地域で集約化できないかと考えている。また新しい機械を導入していく。ドローンやパワースーツが注目されている。」と、答えられました。さらに、塾生より「佐賀県のホットバルーン会場を災害訓練センターや災害対応の拠点として利用するべき。」という意見に対して古川様は、「私は佐賀空港を災害対応の拠点にするという考えを持っていた。佐賀空港は就航率が最も高く、利便性が高い。ピースウィンズ・ジャパンというNPO団体がヘリを佐賀空港に持ってきて被災者支援を行っていた。」と答えられ、今村様は、「オスプレイを佐賀空港に持って来る話がある。オスプレイの最大の利点は空中給油ができることであり、活動範囲が広くなる。」と補足されました。

新しい歴史教科書をつくる会副会長 岡野俊昭様

新しい歴史教科書をつくる会副会長 岡野俊昭様

 新しい歴史教科書をつくる会副会長の岡野俊昭様は、「日本のあらゆる出来事は教育に帰着する。昔の日本の教育は世界でNo・1だった。教育とは国のために役立つ人材を育てることであり、教師は生徒の能力を発見し、その能力を発揮できるように指導していくものである。教育の目的は人格の形成であり、歴史と風土が人格をつくる。こうしたことを、勇気を持って言う人は無視される。しかしこのままでは根無し草のような人間ばかりになる。このままでは経済的に豊かになっても国が衰退していくと三島由紀夫は予言した。オリンピックでは外交儀礼をきちんとしないと大変なことになる。表彰式で日本人選手の中には、国歌をきちんと歌っていない者がいる。それは学校で正しい歴史を教えないからである。これでは子供たちが真似をしてしまう。国歌を歌えないような選手を日本代表にするべきではない。また、日本のメディアは、表彰式で他国の選手が国歌を歌っているときに、本国へ記事を送るために着席したままである。メディアにも常識のない者が増えている。憲法前文には『平和を愛する諸国民の公正と信義に委ねようと決意した』とあるが、日本の周りにそのような国があるだろうか。日本の憲法は自分たちで作らなければならない。日本を取り戻すということは歴史を取り戻すということである。日本は戦後WGIPで自虐史観を植え付けられたが、自分の国は自分で守り、自分の国の教育は自分たちでやらなければならない。その点でドイツは譲らなかった。『歴史と伝統文化を失った民族は滅びる』とトインビーは言っている。勝兵塾は素晴らしい組織であるので、皆さんも保守というものを真剣に考えてほしい。」と、戦後教育の問題点を指摘され、保守への覚醒を促されました。

衆議院議員・予算委員会常任理事 原田義昭様

衆議院議員・予算委員会常任理事 原田義昭様

 有限会社ジャパンコンサルタンツ社長でフリージャーナリストの宮田修様が、オバマ大統領の広島訪問とトランプ氏について、塾長や衆議院議員・予算委員会常任理事の原田義昭様、ハーバード大学Igノーベル賞受賞教授のサー中松義郎博士に意見を求められました。原田様は、「オバマ大統領が現職の大統領として広島を訪れることは素晴らしいことである。原爆投下に対する謝罪をするのか注目を集めているが、アメリカは謝罪できないだろう。しかし、謝罪はできなくても非核に向けて前進するだろう。トランプ氏については、まさか共和党の候補者になるとは思っていなかったが、今ではヒラリーと人気が五分五分となり、自民党でも対応の検討を始めている。トランプは日本の安全保障に関して十分費用を負担していないと言っているが、理解が足りない。日本は米軍の駐留費の80%を負担しており、在日米軍の役割も日本のため以上にアメリカの安全保障のためである。トランプが大統領になる可能性が出てきたことで、この国を守るのは誰か、今のまま米軍に守られるのはおかしいのではないかと真剣に議論されるようになり、良いチャンスになっている。」と答えられました。中松様は、「トランプはアメリカでも日本でも馬鹿にされていたが、特に日本の新聞の書き方が酷かった。アメリカ大統領選にとって6月は重要な時期であり、トランプは軌道に乗ったと言える。」とコメントをされました。

 続けて塾長より、「私は3年前にオバマ大統領が広島を訪れることを予想していた。核廃絶を訴えてノーベル平和賞を受賞したオバマは核セキュリティサミットを開催しただけで、それ以上の核廃絶への働きは見られない。そこで、彼ができることは現職の大統領として初めて広島を訪問することしかないと確信し、広島にホテル用地を取得した。その起工式の記者発表で、『広島にこれだけの規模のホテルを造って誰が泊まるのか』という記者からの質問に対して、『来年にはオバマが来る』と答えたら失笑を買った。トランプが大統領になることは日本が真の独立国家になるために良いことである。アメリカは日本を封じ込めるために日本国憲法とセットで日米安保条約を作った。トランプは日米同盟が片務的であり、日本に駐留費を負担しろと言っているが、米軍が日本から撤退することはない。アメリカは太平洋を握ることが念願であり、ペリーが来航したのもそのためだった。ミズーリ号での降伏文書の調印式に、ペリーが使用したサスケノハナ号の星条旗を掲げたのがその証拠である。現時点ではクリントンがやや有利であるが、これからは組織の戦いになる。共和党が民主党に勝つために、真っ当な政策を掲げるブレーンを揃えるとともに、副大統領候補がキーになる。クリントンが女性に人気がないことから、トランプは副大統領候補に女性、しかも非白人で若くて魅力的な人物を選ぶだろう。サウスカロライナ州知事のニッキー・ペイリーが有力だ。また、共和党主流派の支持を得られる人物が副大統領になることは共和党主流にとって保険にもなる。なぜなら、トランプが大統領になって、万一自らの主張に固執して暴走した場合には、ケネディの二の舞になりうるからである。ケネディはベトナム戦争の拡大に反対したため、軍産複合体は意のままに動く副大統領のジョンソンを大統領にするためにケネディを暗殺したという説もある。」と、オバマ大統領の広島訪問の予言やアメリカ大統領選に対する鋭い洞察を披露されました。

名城大学非常勤講師で戦記作家 久野潤様

名城大学非常勤講師で戦記作家 久野潤様

 名城大学非常勤講師で戦記作家の久野潤様は、「国を護った人物の足跡を訪ねて全国各地の神社を周っている。国防と神社は密接な関係がある。明治維新とは王政復古であり、その政策の柱は殖産興業、富国強兵に加えて日本の再定義であった。神社には特定の人物を祀っているものもある。湊川神社は楠正成を祀った別格官幣社である。米沢の上杉神社も別格官幣社であるが、ここには上杉謙信が祀られている。上杉謙信は朝廷に寄進し、寺社仏閣を大切にした功績が称えられた。京都の建勲神社には織田信長が祀られている。これも別格官幣社であるが、この背景には本居宣長の歌がある。すなわち乱れた世の中を鎮め、途絶えていた伊勢神宮の式年遷宮を復活させた功績が明治天皇に認められたのである。このように神社にはその足跡が残っている。教科書や本の歴史は戦後書き換えられたが、神社の由緒は変わらず残っている。我々は正しい歴史を知るために、どういう方々が称えられてきたのかを知るべきである。」と、神社の由緒を通して正しい歴史を知ることの大切さを訴えられました。

 

 最後に塾長より、「今回で勝兵塾は第60回となり、丸5年が経った。今は変革の時であり、次の選挙は衆参同日選挙になるだろう。現在内閣支持率は50%を超えており、改憲勢力で三分の二を確保できるよう頑張ってもらいたい。次の選挙で日本がどう変わるかが決まる。」と改めて次の選挙の意義を説かれて、会を締め括られました。