勝兵塾第98回月例会が、7月18日(木)にアパグループ東京本社で開催されました。
冒頭のアパグループ元谷外志雄代表による塾長挨拶では、「2008年に『報道されない近現代史』を出版したが、今月号のエッセイの執筆に当たって読み返してみると、11年前と状況は全く変わっていないと感じた。一つだけ大きく変わったのは、この11年間で中国が大変な力を付けてきたことである。日本の周りを取り巻く、ロシア、中国、北朝鮮は核保有国であり、北朝鮮はいずれ韓国を併合して、人口8、000万人の、核を保有する軍事国家となり、日本に圧力をかけてくるかもしれない。そうなってからでは遅すぎるため、憲法改正を今やるべきだと何度もエッセイで書いてきたが、何となく参議院選挙となってしまった。おそらく改憲勢力で三分の二以上の確保は厳しいだろうが、国民民主党の中の多くを改憲支持議員とすることができれば、まだ可能性はある。そこまで計算された上でのことであってほしい。危機が迫っているにもかかわらず、最も能天気なのが日本だ。新帝国主義時代を迎え、トランプが大統領になり、自国第一主義を掲げて、自分の国のことは自分でやれということになった。トランプは日本の国防費がGDPの1%では少なすぎると言っているが、彼の発言を聞くと日本は早く憲法を改正しろと言っているように受け取れる。このチャンスを逃すと、日本が真っ当な国になることは絶望的になる。しかし、メディアは無視戦略で、憲法改正が話題になることは非常に少ない。アメリカとイランの鬩ぎ合いの結果、ペルシャ湾を通って日本に輸出される原油が途絶えれば、かつてのオイルショックのようなことになりかねない。これも日本にとって身近な危機であるが、そのことさえもあまり報道されていない。アメリカを頼りにしていた今までとは違い、トランプは自国の利益にならないことのために行動は起こさない。それは当然のことであり、どの国も他国のために金を出し、血を流すことはしない。だから、日本も軍事力を持ち、自分の国を自分で護る真っ当な国にならなければならない。安倍政権の下で、憲法を改正し、非核三原則を廃止し、ニュークリアシェアリング協定を結んでほしい。『敵が攻めてくれば降伏をすれば良い。』と言う人もいるが、昔であれば、降伏すれば虐殺される。中南米に原住民はほとんどいなくて混血が多いのは、ヨーロッパ人がやってきて原住民の男を皆殺しにしたからである。人種構成を見ただけで、そうした過去の歴史がわかる。世界中に広がった白人キリスト教国家による植民地支配をぶち壊したことは、日本の功績である。先の大戦の功罪を総括して、日本人に誇りと自信を持たせる為に、誇れる国日本の再興を目指して言論活動をしている。中国が海洋覇権を目指している中、日本はどう対応していくのか考えなければならない。」と、危機感のない日本の現状に対して警鐘を鳴らしました。
朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊様は、「先日、ジュネーブの国連人権理事会に出席して徴用工について日本の立場を主張してきた。国際司法裁判所(ICJ)やWTOなどの国際機関ではどんなに正確なデータに基づいて正論を主張してもロビー活動で負けることがある。ICJで負けると、韓国の主張が世界的に認められ、日本に請求される賠償金額が天文学的になる。徴用工問題に関して、すでに韓国の弁護人は国連にアプローチしている。韓国が嘘を並べたてて国連人権理事会が騙されて勧告が出たら、ICJでも負けてしまう。負けないためには今から日本もアプローチしなければならない。そこで国際歴史論戦研究所(IRICH)が、私の他、軍艦島の元島民の坂本道徳氏や落星台経済研究所(ソウル)研究員の李宇衍らをジュネーブへ派遣した。7月1日には、国連人権理事会本会議で、李宇衍氏より、日本で働いた朝鮮人は日本人と同一賃金であり、朝鮮人に対する差別はなかったことや、監禁状態や強制収容所のような抑圧体制ではなく、朝鮮人は自由であったことをスピーチした。2日には国連欧州本部内でシンポジウムを開催し、私から軍艦島を紹介し、韓国が制作した映画『軍艦島』の歴史的捏造を糾弾した。坂本道徳氏は、軍艦島の実態を説明し、故郷である軍艦島が、韓国による歴史的捏造によって名誉と誇りを深く傷つけられていることを訴えた。さらに、李宇衍氏より、同氏の研究に基づき、日本では朝鮮人労働者への差別がなかったことを説明し、私から請求権問題は1965年に国際条約で決着済みであり、戦時徴用は国内法及び国際法に照らして合法であることを説明した。3日には、国連人権理事会本会議で私がスピーチを行い、90秒以内という時間であったが、韓国の最高裁の判決は歴史的事実に全く反していることであり、韓国に対して、1.韓国の未熟な司法システムを悪用して日本人の人権を侵害する行為を中止すること、2.1965年に締結した二国間条約(日韓基本条約)を遵守すること、を勧告するよう要求した。政府は毅然とした態度で韓国に対して経済制裁を行うとともに、国際舞台で真実を主張していかなければならない。」と、徴用工問題に関する国連での活動を報告されました。
史実を世界に発信する会会長代行の茂木弘道様は、「日本は鯨に助けられた。戦後食糧不足の時代、動物性たんぱく質の46~47%は鯨が占め、戦後復興は鯨のお蔭だったと言える。日本は縄文時代から鯨を捕っていて、室町時代には組織的な捕鯨が行われ、1606年には紀州の太地に『鯨組』が作られ、3、000人を抱える大組織へと発展していった。鯨はあらゆる部分を利用でき、捕鯨は世界にはない日本独特の文化である。日本人は鯨に対する感謝の心を忘れず、ほとんどの鯨基地にある寺には、一頭ごとの過去帳が残され、供養碑が建てられている。海は環境の変化が少ないため、鯨は長生きする。長命なこともあり、毎年4~7%ずつ増えていると推定されている。鯨類は300万頭以上いると推定され、シロナガスクジラのように、一部数が減少している種類はあるが、全体では非常に大きな数である。1948年に資源保護を目的にIWCが発足した。条約条文には、『鯨類の保存と適切な利用』『捕鯨産業の秩序ある発展』が明確に謳われているが、地球環境保全や野生動物保護の風潮が高まり、IWCは反捕鯨の方向に向かい、1963年にはシロナガスクジラとザトウクジラの捕鯨が禁止された。1972年の国連人権環境会議において、アメリカの提案で商業捕鯨の10年間モラトリアム勧告が採択された。当初IWCはこれを拒否したが、アメリカなどによる多数派工作により、1982年に10年間のモラトリアムが決定された。1992年までに科学的な調査を行って見直すことになっていたが、調査捕鯨による科学的な調査結果を無視して、アメリカやオーストラリアなどが反捕鯨をIWCで主張するようになった。2014年3月、ICJが日本の調査捕鯨の中止を命じたため、昨年12月、日本政府はIWC脱退を表明し、この7月から商業捕鯨を再開することになった。アメリカやオーストラリアは、捕鯨は悪と断じて日本などに強制しようとしているが、これは人種差別的独善である。地球環境保護という観点では、鯨こそエネルギー効率の高い食料源である。牛肉を生産するのと鯨を捕るのとでは、鯨の方が、1、200倍エネルギー効率が良い。将来食料不足危機といった事態が自然現象その他の理由で発生する可能性があるが、エネルギー効率の高い鯨を捕ることで凌ぐことができるかもしれない。」と、鯨の有効性と捕鯨問題について語られました。
産経新聞東京本社夕刊フジ編集局報道部政治担当部長の矢野将史様は、「夕刊フジは今年で創刊50年になる。日本初のタブロイド紙で、今はうちと日刊ゲンダイがある。この2紙はきわめて対照的な紙面づくりをしている。夕刊フジは保守系で、基本的には安倍政権を支持する立場にあるが、ゲンダイは、反権力、反体制を徹底している。夕刊フジの特色として、現役の政治家のコラムを掲載している。これまで多くの歴代首相も掲載したが、その中で一番本物だと思ったのが安倍総理である。拉致問題や憲法改正に対する真剣さを強く感じた。安倍総理は、幹事長から官房長官を経て総理になるまでの間に、一度目の連載をした。体調不良で1年で総理の座を退き、その後福田政権、麻生政権と1年毎に政権が替わり、悪夢のような民主党政権になった。はじめは国民も熱狂したが、そのうち大変なことだと気付いた。そこで私は安倍さんを訪ね、『このままでは日本は滅びますよ。もう一度連載をやりましょう。』と、二度目の連載をお願いした。そのうち元気になられて、もう一度総裁を目指すことになり、2012年の政権奪還につながった。安倍総理の、この国を取り戻す挑戦に応援団が必要であり、次の連載には実社会で活躍され愛国心のある方がいないかと考え、元谷代表に連載をお願いして始まったのが、『誇れる国、日本』である。多くの企業家は政治のことを話したがらないが、元谷代表は腹を括って連載を始めてくれた。そうして歴史戦をやっている中で出てきたのが、『朝日への「広告やめる」』という、2014年8月16日の記事である。安倍政権が始まり半年くらい経つと、歴史を見直そうという動きが出てきた。慰安婦問題に関して、やっと朝日が吉田清治の証言が間違いだったと認めたが、当時の木村社長は謝罪もせず、誰も責任を取らなかったため、夕刊フジは『朝日の大罪』という連載を1カ月以上続けた。それでも朝日は謝らなかったので、元谷代表の登場になった。こんなことをできる経営者はいない。元谷代表にはこの国を何とかしたいという覚悟がある。その後しばらくして、木村社長が謝罪し、辞任した。次に起こったのが、2017年1月20日の『アパ代表 猛反論』という記事である。中国のユーチューバーがアパホテルに泊まり、元谷代表の本を見て、南京大虐殺を否定する本を置いているホテルはおかしいと言い、これに中国の外務省が記者会見で批判し、それを受けて日本の朝日や左翼メディアも、アパホテルはおかしいと報道するという、いつものマッチポンプであった。普通の経営者はそこで謝ってしまうのだが、元谷代表は『絶対に謝らない。逆にお客さんが増え、激励の声が毎日たくさん届いている。』と言っていた。これも日本が変わってきている証拠である。昨年には、『トップ直撃』というコーナーに登場して頂き、事業家になられた経緯や事業のノウハウなどについて語って頂いたが、一番感動したのが、家族について、『家族は人生にとって最も大切なものです。私にとっては成功の証。「家族は仲良く」は元谷家の教えでもある。日本は大家族国家。家族の絆が弱ってくると、国もおかしくなってくるのではないか。』と話されたことだ。夕刊フジは保守系新聞としてこれからも頑張っていく。」と、夕刊フジの編集方針と元谷塾長との関わりについて話されました。
英霊の名誉を守り顕彰する会会長の佐藤和夫様は、「今日は先住民族問題について話したい。国連で、アイヌはすでに先住民族の指定がなされているが、沖縄の民族についても先住民族とする勧告が出された。先日、アイヌ系日本人の砂川陣さんは講演会で、『私はれっきとした日本人だ。天皇の赤子だ。アイヌというアイデンティティは全くない。』とおっしゃった。『アイヌ』というのは北方の諸民族の総称であり、自分が『アイヌ』だというアイデンティティはそもそもない。先住民族とは、アメリカのインディアンやオーストラリアのアボリジニのように、白人によって土地を奪われ、虐殺された結果、かろうじて生き残った人たちのことを言う。アイヌも琉球も先住民族だと言うと、日本は酷いことをしてきたことになってしまう。8月4日に大東亜聖戦祭が石川県の護国神社であるが、これは英霊の方々がアジアの植民地解放のために戦ったことを顕彰するための行事(慰霊祭)である。アイヌ、琉球の先住民族化は、日本人が侵略戦争をやったのだと国際社会に訴えることに繋がってしまう。メルボルン五輪では、アボリジニが聖火を持って登場し、アボリジニの踊りをした。来年の東京五輪で同じようなことをしたら、世界が過去に日本は酷いことをしたと思ってしまう。これは何としても阻止しなければならない。日本は朝鮮や中国、アジア諸国に出ていったが、八紘一宇とは、その国の人々が悲惨な生活をしていたため、技術等を提供して、より豊かに安定した社会を築くために統治しようとするものであり、欧米の植民地支配とは全く違う。国連は完全に戦勝国の機関であり、日本を何とか貶めたいということでやっている。私は、東京裁判は終わっていないと思う。だからこそ、元谷代表の、勝兵塾で近現代史を見直す活動は、益々重要だと感じる。」と、先住民族問題の危険性を指摘されました。
武心教育経営塾塾長の近藤建様は、「国連を大事なものと思っている日本人が多すぎると感じる。日本がまだ敵国条項に入っていることだけを見ても、国連を重要視してはいけないと感じるが、どう考えるか?」と質問をされ、佐藤様は「国連に勤務されていた方も、『日本人は国連が素晴らしいところだと思っているが、国連は各国の利害の格闘の場であり、いかに自国の利益を獲得する為の場である。』と言っていた。」と答えられました。さらに松木様は、「国連は何もわかっていない。だから言いたい放題で、嘘を並べてでも人権理事会の委員を信じ込ませれば勝ちである。それをやってきたのが日弁連など日本の左翼である。日弁連はジュネーブに代表部を置いて人を常駐させているようである。そこから日本の政治を変えていこうというのが左翼の企みである。だから我々保守系の人間も、国連に乗り込み、変なことを言われたら、すぐに反論していかなければならない。」と補足されました。
株式会社KBM代表取締役会長・勝兵塾事務局長の諸橋茂一様は、「台湾には日本人を神として祀っている場所が2つある。1つは日本海軍パイロットの杉浦茂峰兵曹長を祀った飛虎将軍廟である。杉浦はアメリカ空軍と戦闘し、墜落したが、民家を避けるため、被弾した戦闘機を操縦して郊外まで飛び、そのために脱出が遅れて戦死した。もう1つは森川清治郎巡査を祀った富安宮である。森川は1897年に台湾に派遣されて巡査になったが、警察官としてだけではなく、地元の子供達の教育やボランティアも行い、地元から尊敬を受けていた。税制が改正されて1902年から漁業税が課されることになると、森川は貧しい村民の生活を見かねて、漁業税を課さないよう上司に掛け合ったが、逆に上司から叱責され、村民の力になれなかったことの責任を感じて、銃で自決した。1895年に台湾統治が始まってしばらくすると、台湾では教育が遅れていたため、6人の教師が派遣された。彼らは1896年の元旦の催しに参加しようとして、抗日ゲリラ100人に襲われ惨殺された。この事件は日本でも報じられたが、その後も『私も殺されてもよいから教師として台湾に行きたい。』という希望者が多く出てきた。八田與一技師は、東京帝国大学卒業後、1920年から30年の10年間、台湾で、当時東洋一の烏山頭ダムを建設し、16、000㎞の灌漑用水路を整備して、不毛地帯だった嘉南平野を台湾最大の穀倉地帯に変えた。台湾では八田の命日である5月8日に毎年墓前祭が行われ、参列者の数は年々増えている。」「5月にポーランドを訪れた。日本とポーランドの関係は深い。日露戦争でロシア軍として戦い、日本軍の捕虜となったポーランド人を、松山収容所では地元の人々が丁重に遇した。さらに、1920年には、シベリアに逃れてきた、多くのポーランド人孤児を日本軍が救った。第二次大戦中は、樋口季一郎が満州に逃れてきたユダヤ系ポーランド人数千人を救ったほか、リトアニア日本領事館の杉原千畝も約6、000人のユダヤ系ポーランド人に対してビザを発給して救った。このような歴史から、ポーランドは親日的な国であったが、第二次世界大戦、ヨーロッパ戦線勃発の地であるグダニスクにある『第二次世界大戦博物館』では、中国や韓国の反日展示館のような酷い展示がされていた。ガイドの説明は、あたかも日本がドイツと同じ様に、一方的に侵略戦争をして多くの民間人を虐殺したかのようであった。このように、親日的と思われているポーランドでさえ、反日的な展示をしている。私は帰国してから、馳代議士にこの事を伝え、外務省が現地大使館に確認して、適切な対応をするよう依頼した。」と、台湾での日本人の功績と称賛並びにポーランドでの反日的な展示について語られました。
最後に塾長は、「今月の座右の銘は、『信念は行動を支配する 願望を明確化せよ』である。かつて日本に足りないのは情報戦に対する備えであり、3、000億円の予算と3、000人の人員で、誤ったことを言われたら即座に反撃する情報省を設置するべきだと主張してきた。国連などで日本が謂われなきことを言われても、我々民間人の行動を待っているが如く外務省は何もしないし、情報省を設置するような動きも見られない。それなら、少なくとも1、000億円くらいは使って、中国や韓国が謂われなきことを言ってきても、激しく抗議をして言論戦を徹底的に戦うべきだ。日本は憲法の制約があり、軍事力を行使して他国を攻撃するようなことはできないが、言論戦においてはそのような制約はない。徹底的な言論戦ができる人、モノ、カネを用意して、誤ったことを徹底的に訂正させるべきである。以前、南京大虐殺はなかったと書いた本を客室に置くのはけしからんと中国は抗議してきたのだが、『事実に基づいて誤りをご指摘して頂ければ、参考にさせていただく』と言ったところ、そこから抗議が止まった。私は誰が何を言おうが思うところを貫く。日本を強い言論戦ができる国にしないと、益々謂われなきことで追い詰められる。1、000億円の予算など、世界第3位の経済規模から言えばはした金である。今貶められていることで被る損失は何兆円にも及ぶだろう。この損失を取り戻すためには、1、000億円くらい使ってでも、徹底的に言論戦に臨めと言いたい。」と、強い言論戦の必要性を説かれて会を締め括りました。