第46回 勝兵塾月例会レポート

塾長・最高顧問 元谷 外志雄

勝兵塾第46回月例会が、3月19日(木)アパグループ東京本社会議室にて開催されました。
冒頭のアパグループ代表元谷外志雄塾長による開会のご挨拶では、「安倍総理が自民党総裁に就任した2012年9月26日の日経平均株価は8,906円だったのに対して、現在は19,500円前後と約2.2倍になり、為替は1ドル77円から120円へと急速な円安が進み、景気がかなり上向いている。毎日の全国のホテルの稼動率と単価がわかるので、景気の波が東京から大阪、さらには全国へと波及しているのがわかる。これまで不当な円高によってデフレが続いてきたが、為替レートがまともな水準になった途端、韓国経済、中国経済は行き詰った。前回李登輝元総統と対談した際も、李登輝氏は、『不当な円高によって日本は十数年に亘りデフレが続いた。為替が適切な水準になれば日本経済は復活する』と話されていた。TPPにはメリットもデメリットもあるが、交渉で有利にするべきであり、反対ばかりしていては孤立するだけだ。レームダック化したオバマ政権に対して、安倍総理は戦後70年談話で河野談話、村山談話には言及せず、真実を全て語るべきだ。誤った情報には即座に反論する必要がある。本当のことはいずれわかると思っているうちに、嘘が事実として定着してしまう。あり得る話かあり得ない話かを考えれば本当のことがわかる。『理論近現代史学』とでも言うべく、近現代史を理詰めで考えるべきだ。人口20万人の南京で30万人を虐殺し、その2ヶ月後には人口が25万人になることなどはあり得ないし、慰安婦20万人を強制連行したと言うのなら、そのときの韓国の男性は何をしていたのか、ということになる。70年談話をチャンスに変えるべく、否定すべきは否定し、主張すべきは主張しなければならない。そのことでたとえ日米関係が一時的にギクシャクしても、次に共和党政権が誕生すれば日米関係は修復できる。安倍政権がどこまで続くかに、日本が真っ当な国になれるかどうかがかかっている。自民党末期政権が田母神氏を解任したことで世論が覚醒し、一度総理の座を退いた安倍氏が再び総理になった。世の中が保守の方向に徐々に変わりつつある。本日『美しい日本国憲法をつくる会』の会合に出席したが、若手の政治家の中にも改憲の意志の強い人たちがたくさんいる。議論を通じて本当のことを追求してほしい。」と、事業の中で実感するアベノミクスの成果と戦後70年談話への期待について語られました。


慶應義塾大学経済学部教授の塩澤修平様

慶應義塾大学経済学部教授の塩澤修平様は、「日本を取り戻すためには国民の誇りと気概、強い経済の両方が必要であり、両者は密接に関係している。アベノミクスは経済活動における『期待』の重要性をあらためて実証した。GDPは有効需要の大きさによって決まり、その中の消費需要は『期待』に依存する。さらに消費の活性化は投資の活性化をもたらす。一方で消費の活性化は大量の天然資源を使い、環境を悪化させ、長期的に持続不可能ではないかという懸念がある。そこで日本社会に必要なのが「『清富』の思想」である。『清』は天然資源をあまり使わず、物的な生産量が比較的少ないことを意味し、『富』は経済規模が大きく、失業率が低く、ある程度の物的な厚生は保障されることを意味する。この『清』と『富』は遊び心、すなわち文化、芸術に基づく需要によって両立できる。物的には節約しながらも遊びに大いにカネを使う。積極的に人生を楽しむことが世の中のためになり、経済が活性化し、強い経済が国際社会における日本の立場を強める。そのことが国民の誇りと気概を高め、独立自尊の精神に繋がる。」と、持続的な経済成長のための「遊び心」の重要性を指摘され、「『清富』の思想」という新しい考え方を披露されました。

衆議院議員の秋元司様

衆議院議員の秋元司様は、「我が国では少子化が問題となっているが、周りの人々を見ると、経済的余裕があっても子供や家族に対する意識が希薄である。少子化対策には取り組んでいく必要があるがなかなか進まない。戦後70年の安倍談話について議論されている。事実は一つしかないが、解釈はその時代やパワーバランスで変わってくる。だから過去の歴史に遡るのではなく、これまで世界のため、国際平和のために日本が貢献してきたことをしっかりPRしていくべきだ。これまでODAや国連、世銀等の国際機関の分担金で日本は大きな国際貢献をしてきたが、多くの途上国の国民はその事実を知らない。日本は情報発信力が弱かった。PRしないことが日本人の美徳でもあった。」「地方創生と言われているが、東京一極集中を経済合理性に反して逆流させるためには大きなコストがかかる。地方で産業を興してもどれだけの人が残るのかは疑問である。日本は観光立国を目指すべきであり、日本の文化や芸術に憧れ、世界の人々が日本に行きたいと思っている。”Visit Japan”では、2020年には訪日外国人2, 000万人を目標にしているが受け皿が足りない。カジノの話題ばかりが先行しているが、大型ホテルやコンベンションホールなどを含めた統合型リゾートを目指している。さらに、風営法の改正にも取り組んでいる。海外から日本に来ても、夜に遊ぶものがない。風営法の背景には『夜は寝るもの』という日本の文化がある。ダンスは『風俗』とされているが、今は自己表現の手段として授業にも取り入れられている。クラブ営業の24時間化をしていきたい。」と、日本の国際貢献に関する情報発信の必要性と、IRや風営法改正への取り組みについて語られました。

衆議院議員・予算委員会常任理事の原田義昭様

衆議院議員・予算委員会常任理事の原田義昭様は、「尖閣諸島について日本が領有していたことを中国が認めた地図を2月23日の予算委員会の質疑の中で見せたところ、週刊新潮がこれを報じた。戦後70年談話について、その中で安倍総理が思う存分言えるのならやるべきだが、一月に発表して早々にアメリカ、中国、韓国から注文が付き、このままでは総理は何も言えなくなる。有識者懇談会を作って話す内容を決めてもらうと言っているが、実にお粗末なことをやろうと言ったと思う。70年経っても戦争の反省などと言っている国はない。尖閣は1895年に日本の領有権が確定し、爾来その主張を誰にも妨げられなかった。ところが1971年12月に中国が中国領だと主張し出した。その背景には、1969年に国連の機関であるECAFEの調査で海洋資源が豊富だとわかったことがある。ほとんど毎日中国の公船が尖閣の接続水域や領海に侵入しているが、それが当たり前になってしまうのが一番怖い。これは安全保障とガバナンスの問題であり、多くの国民は嘆いている。1969年の地図では中国政府が、尖閣が日本領であることを認めているが、この地図が神田神保町の古本屋には全くない。以前誰かに買い占められたという。中国政府は地図に対して即座に捏造だと反応してきた。外務省はいやいやながらこの地図をHPに載せた。これだけの侵略行為をやめさせるためには国民が怒らなければダメだ。」と、尖閣問題での取り組みの進展について語られるとともに、戦後70年談話に対する懸念を示されました。これに対して元谷塾長からは、「70年談話をチャンスにするべきであり、そのために安倍総理を応援する議員団を作るべきだ。安倍総理に意を決して本当に言いたいことを言わせるようにしなければならない。それが日本の将来を変えるのである。」と、原田様をはじめとする国会議員へ強いエールが送られました。

第29代航空幕僚長の田母神俊雄様

第29代航空幕僚長の田母神俊雄様は、「週刊文春には私が政治資金を使い込んだかのような、全くの嘘が書かれていた。真相は会計責任者による政治資金の横領であるが、文化チャンネル桜の水島氏が執拗に私を攻撃してきた。東京都知事選で政治資金が1億2千万円集まり、選挙が終わった時点で6千万円残っていたが、これを水島氏が『頑張れ日本行動委員会』に移して欲しいと言ってきたのに対して、私が今後の政治活動に必要だからと断ったことから水島氏の態度が変わった。私が新党結成を発表したときはネガティブキャンペーンを張り、この事件に関する彼の主張に私が反論すると、特番を組んで公共の電波を使って私を攻撃してきた。これは芸能プロダクションから独立しようする俳優の邪魔をするのと同じ構図だ。水島氏は都知事選では選対本部長としてよくやってくれて大変感謝しているが、私が彼の思い通りにならなくなったから私を攻撃しているのだ。横領した会計責任者を告訴しているが、私は来年の参院選に出ようと思っているので早くこの問題を解決させたい。」と、会計責任者による政治資金の横領問題の真相について語られました。また、「戦争は準備しないとできないが、中国は戦争を準備していない。中国の軍事力が強いという過大なイメージを作っている。中国は日本が武器を使えないことを知っているから挑発してくる。韓国でも領海侵犯した中国船を沈めており、日本では国内で騒ぐのが問題であり、国際法上は沈めても全く問題ない。靖国参拝や安倍談話で日本がしっかりしないと、中国や韓国からまた責められることになる。」と、中国に対して国際法に基づき毅然とした態度で臨む必要性を訴えられました。この問題について元谷塾長や諸橋茂一事務局長からも、「パラオ共和国は領海侵犯をした中国船を撃沈したが、パラオ共和国ができたことを日本ができないのは国家意志の問題である。」と、指摘がありました。

前衆議院議員の松田学様

前衆議院議員の松田学様は、「先の衆院選では極右政党と思われ、外国人排斥を主張するナショナリストだと思われていた。我々の主張が十分浸透していなかったと反省している。先日野党再編について各党と話をした。再編の軸として、次世代の党は『憲法改正』を掲げ、各党はそれぞれ『分権化』、『官から民へ』、『将来世代の利益』を掲げていた。しかしこれらは全て安倍政権が取り組んでいることである。真正保守について、一般国民から見てどんなメリットがあるのかというところまで落とし込んでいかなければならないが、経済政策において保守の中で混乱が見られる。私はマーシャルの言葉をもじって”Warm Heart, with Cool Head”と言っているが、冷静な思考が必要である。アベノミクスには反対ではないが、今のままでは成果が出せない。為替が1ドル80円から120円になるということは日本という国がそれだけ安価になったということである。円高の方が有利な運用ができる。日本は戦略的投資国家として国際新秩序の主催者たることを目指すべきであり、TPPの位置付けもそこにある。私は『TPP興国論』という本を書いたが、グローバリゼーションという現象は止めようがなく、その中でいかに国家のアイデンティティーを守るかというのが保守の主張である。」と、保守の立場から経済政策について論じられました。

東京近現代史研究所代表の落合道夫様

東京近現代史研究所代表の落合道夫様は、「安倍談話に望むものは村山談話からの解放である。村山談話の本質は、エセ歴史観によって日本人の独立心を妨害し、日本の核自衛を妨害することである。世界の現状は危機的状況であり、その中で日米安保は機能せず、日本は丸腰で無策で危機感が希薄という危機に陥っている。日米安保は張子の虎であり、それを知らないのは日本人だけである。ある調査では、日本人で国防への参加を希望する割合は11%であるという結果が出ている。村山談話を否定すると孤立すると脅迫されるが、独立とは孤立のことであり、恐れる必要はない。クルド人独立運動では女子決死隊が組織されている。日本も独立心を回復させなければならない。国防の原理は『平和が欲しければ戦争の準備をせよ』というローマの諺にある。地政学的には『隣国は敵』、『敵の敵は見方』、『隣国を助ける国は滅ぼされる』のであり、欧州、インドとともに、中共、ロシアを挟撃する戦略が有効である。核武装によって報復力を保全し、国土や人口といった古典的大国の利点を無意味化する。国内問題では民力衰退を防ぐため、家制度を回復し国体を回復する必要がある。」と、日本を取り巻く危機的状況を解説され、その対応策について語られました。

ルーマニア大使館一等書記官のアレクサンドル・フザ様

ルーマニア大使館一等書記官のアレクサンドル・フザ様は、「ルーマニアはEUで7番目の大きさであり、EUで上位5位以内に入る高い経済成長率であり、2004年にはNATOに加盟した。経済的には安定しており、財税赤字はGDPの2.5%未満であり、国債発行残高はGDPの40%未満である。また為替も安定している。過去10年間でEUの中で輸出が一番伸びており、事業コストがEUで最も安い。さらに国民は勤勉であり、高い工業技術を持っている。財政政策では減税を進め、配当を非課税にした。EU基金によりインフラが整備されるとともに汚職を徹底して排除した。ルーマニアと日本は価値観を共有しており、日本のアベノミクスの勢いをルーマニアにも呼び込みたい。」と、ルーマニアの経済について紹介されました。また、在日本ルーマニア商工会議所会頭の酒生文弥様は、「ルーマニアは原油や天然ガス、金の埋蔵量が多く技術力が高い。ローマとゲルマンの血がうまく交じり合っている。ITソフトに優れており、日本と共存共栄を図ることができるだろう。」と、補足されました。

 

最後に元谷塾長より、「論理的におかしなことが報じられ、教えられているが、誰も反論しない。論理的に近現代史を語っていく必要がある。安倍談話では、誰もが否定できない論理的な点だけを挙げて、思いのところを『私見』としてでも発言すべきである。今がラストチャンスであり、河野談話、村山談話を否定せずとも、安倍総理の思いを全て話せばよい。」「全てはアメリカが原爆を落としたことから始まっている。アメリカが良い国であるために、日本を悪い国にしなければならなかった。しかし日本もアメリカが原爆投下をせざるを得なかったことを認め、原爆投下の呪縛を解くことで、日本が本当のことを言えるようにしていくべきである。レームダック化して再選のないオバマのときだからこそチャンスである。そこで、『安倍総理に本当のことを語らせる会』を立ち上げ、国会議員をはじめ国民全体で応援して、安倍総理が思いのところを全て語ることができれば、安倍政権の支持率は上がり、磐石な体制となるだろう。」と、近現代史を論理的に読み解く必要性と安倍談話への期待を改めて述べられて会を締め括られました。