第38回 勝兵塾月例会レポート

塾長・最高顧問 元谷 外志雄

 勝兵塾第38回月例会が、7月17日(木)、アパホテル〈東京潮見駅前〉にて開催されました。
 アパグループ代表元谷外志雄塾長による開会の挨拶では、「先月末に海外視察研修としてベトナムのホーチミンを訪れた。丁度その直前に発売された月刊『正論』7月号で、ベトナムにおける韓国軍の蛮行についての北岡俊明・北岡正敏両氏の論文が掲載されていた。ホーチミンに行くなら是非その現地を見たいと思い、ホーチミンからクイニョンまで飛行機で行ってきた。そのときの話は先日の夕刊フジにも掲載されたが、アメリカはソンミ村虐殺事件で世界中から非難をされ、カリー中尉は罪に問われたが、韓国は1万人ものベトナム人を虐殺しながら、全く罪に問われていない。私は現地を訪れ、現地の方々が大きな怒りを持っているのを感じた。しかし、共産党政権は韓国から莫大な金額の賄賂を受け取っており、韓国を非難しようとしない。『人道に対する罪』には時効はないと言われており、いずれ問題にされるだろう。韓国はありもしない性奴隷20万人説を唱えて日本を貶めているが、まずは自分達のやったことを反省すべきだ。このことは今月号のエッセイにも書いており、英訳して海外にも発信される。これまで保守が弱かったのは、海外に向けて発信してこなかったからだ。国際社会では『惻隠の情』は通用しない。言うべきことをしっかりと発信すべきである。」と、韓国のベトナムでの蛮行について語られ、海外に向けた情報発信の重要性を強調されました。
 続いて、6月24日(火)に開催された勝兵塾関西支部例会での、旧日本陸軍主計曹長の織田文雄氏の講演とその講演に対する塾長と諸橋茂一事務局長からの指摘を纏めた動画を視聴しました。動画の中で、織田氏からは、「兵士には自決用の手榴弾を布で巻き、いつでも自決できるように持たされたのです。」「兵器と軍服以外の物資は全て現地の中国人から略奪して確保した。」「戦場の奥地で『無条件降伏』となったが、蒋介石は『以徳報怨』と言って日本兵を殺さず日本に帰してくれた。」「湖南省の宝慶には何万という戦死者を捨て置いてきた。」といった話もありました。これに対して、まず諸橋事務局長より、「非常に強い違和感をもって聞いていた。日本軍が兵器と軍服以外は全て略奪で賄ったと言ったが、それは違う。また何万人も戦地で眠っているとの話があったが、中国戦線で何万人も日本軍が戦死した戦地は具体的にどこなのか? 日本軍が酷いことをしたという話をする意図がわからない。」と指摘がありました。さらに塾長からは、「『現地調達』とは『軍票で現地で購入した』という意味ではないか。占領下では軍票が効力を持っていたはずだ。仮に略奪を1回したとしても継続はできないし、それで何十万人もの軍が賄えるはずがない。あなた個人がしたと言うのなら、軍法会議ものだ。全てを略奪し続けたという話は事実ではない。また数字が誇張され、事実と違う話が多い。戦友は略奪して亡くなったと、自分の戦友を貶めることを言って全国をまわり、職業にしているのはけしからんことだ。『兵器と軍服以外は全て略奪した』ということをあなたの立場で言うと皆信じてしまう。今後このような事を話してまわってはいけない。真実ではないことを言っていれば大変な罪悪を犯すと共に、戦友を貶めることになる。靖国神社に行く資格もない。」と厳しく糾弾され、「あなたの言ったことを訂正しなさい!」と言われたところ、織田氏は渋々「訂正します。」と言った。そこで塾長は織田氏に対して、「帰りなさい」と言われ、織田氏が「帰ります。」と言って席を立ちかけたところ、塾長は足が悪いのだから気を付けて帰りなさいとアパグループの社員に送らせました。


セントルイス大学教授 サー中松義郎博士

この動画を見て、セントルイス大学教授のサー中松義郎博士からは、「ああいう話が今の日本では受けるから悪循環になっている。こうした語り部は他にも沢山いるので皆でどんどんやっつけていきましょう。」という感想が出されました。

駐日コートジボワール共和国大使館特命全権大使 ジェローム・クロー・ウェア

駐日コートジボワール共和国大使館特命全権大使のジェローム・クロー・ウェア様は、「2年前に来日したときはコートジボワールについて知っている人は少なかったが、ワールドカップで同じ組になったことで興味を持った人が増えた。コートジボワールは南アフリカに位置しており、首都はヤムスクロ、経済の中心はアビジャンである。アビジャンにはサブサハラで2番目に大きな港を有している。日本とは長年に亘って友好関係を築いてきた。昨年横浜で開催されたTICADの際にアラサン・ワタラ大統領が来日したことを受けて、今年の1月に安倍総理がコートジボワールを訪問した。初代のフェリックス・ウフェ=ボワニ大統領時代に、日本を手本に急速な経済成長を遂げ、その後政情不安や内戦があったが、2012年には9・8%、2013年には8・7%と高い経済成長率であり、今年も10%前後の成長を見込んでいる。新しい投資法の改正も進み、投資家に利益を還元する仕組みができた。主要産業は農業であり、カカオ豆は世界第一位の生産量で、カシューナッツは世界第二位、パームオイルはアフリカで第一位の生産量である。また、石油やガスを産出し、金をはじめとする鉱業も盛んである。さらに、観光分野では、ノートルダム大聖堂は世界最大のカトリックの建造物である。既に多くの日本企業も進出しており、さらなる進出を待っている。」と、日本との友好関係やコートジボワールの経済について紹介されました。

衆議院議員 原田義昭

衆議院議員の原田義昭様は、「私は国際情報検討委員会の委員長をやっている。日韓関係、日中関係は現在厳しいところにあるが、韓国、中国の反日宣伝は目に余るものがある。日本は今までまじめに正しいことを言っていれば良いとしていたが、これからは情報戦略をしっかりやっていくべきである。集団的自衛権については、憲法第9条はあるが、自国を自分で守り、同盟国への最小限の手助けをするのは当然であり、そのことで抑止力が強まり、戦争がなくなる。日米安保条約改正のときも野党は若者が戦場へ行くと言って反対したが、その後誰一人として戦場には行っていない。」と情報戦の重要性について触れられた後、「かつて公共事業に民間活力を導入するため、PFIという仕組みを作った。それまでは公共事業は全て税金でやるべきだとされていたが、財政が厳しければ公共事業ができなかった。サッチャー政権時代のイギリスから学んだ仕組みがPFIである。PFI協議会をつくり、民間の資金や技術を導入した。『金のない市長よ、来たれ!「やる気」さえあればよい。』というキャッチコピーで全国の自治体に呼びかけ、多くの反応があった。これまで第三セクター方式で事業が行われてきたが、失敗したものがたくさんある。それは管理がずさんであり、国や自治体が全て金を出すことになっていたからである。PFIではPFI協議会が厳しい管理をし、民間が事業の責任とリスクを負っている。議員会館はPFI事業としてやったものであり、空港や刑務所など、用途がどんどん広がっている。」と、自ら制度設計を手掛けられたPFIについて解説されました。

人民日報日本支社長 韓曉清

人民日報日本支社長の韓曉清様は、「日中関係は悪化しているが、私は生まれたのは中国、育ててくれたのは日本だと思っている。日本と中国は今までお互いに理解しないからけんかしている。日本は民主主義で自由にモノが言えるが、中国では放送は国を守るために規制されている。中国では小学生になると誰が偉いか、誰に奉仕すべきかを教えられる。日中戦争に関するドラマが連日放送されている。こうして愛国心が生まれる。1897年に来日した当時はドラマや教育のせいで日本人に対して恐怖心を持ち、日本兵の悪い夢を毎日見たが、半年経ってだんだん心が晴れていった。日本に来て驚くのは、学校で国旗を掲げず国歌を歌わないことである。この国にいれば幸せになる。国旗や国歌に反対する先生はそれをわかっていない。日本がなくなったら日本人は皆、世界で相手にされない。日本は孔子の思想を守ってきている。日本には中国の古い文化が残っている。中国人の中で譲り合うと出番が永遠に来ない。だから中国人は前に出ようとする。日本ももっと声を大きく誇りを持って主張するべきである。中国は面子の国であり、金銭の損得より面子を重んじる。だから相手の顔を立てることも必要である。」と、日中関係と愛国心について語られました。

新しい歴史教科書をつくる会副会長 岡野俊昭

新しい歴史教科書をつくる会副会長の岡野俊昭様は、「『つくる会』が窮地に陥ったときに、元谷代表は2度救ってくれた。日本は雇われ社長が多くなって、企業からの援助がほとんど無い。慰安婦問題は、慰安所はあっても従軍慰安婦は無い、ましてや強制ではない。それにも拘らず、貶められ日本人は苦しんでいるが、日本政府はほとんど何もしていない。日本人に誇りを持たせるためには教科書を変え、教育を変える必要がある。かつてドイツでは、自虐教育を行ったことで、生徒の学力が落ち、非行が増え、大人の犯罪も増えたが、自虐教育をやめると改善した。イギリスでもかつては『海賊の国』と教科書に書いて教えていたら、国への忠誠心や親への尊敬を失い、学力が低下した。そこでサッチャーが教育改革を行い、誇りを取り戻した。自分の民族がいかに素晴らしかったかを教えれば誇りを持てる。しかし、東京では98%以上は社会主義者の作った教科書を使っている。これで自民党や保守政党を支持する人が増えるだろうか? 集団的自衛権の議論は幼稚すぎる。世界で集団的自衛権を持たない国があるだろうか? 竹島は、かつては海上保安庁で守れたが、揉め事を避けるために時の政府が行くなといったために今は自衛隊でも守れなくなった。河野談話についても韓国と擦り合わせたために、ありもしないことで韓国に責められている。日本人学校の校長もしたことがあるが、アメリカで日本の子供達が唾をかけられたという話を聞いて日本の政治家に対して怒りを感じた。以前、スペインで無宗教の日本人がなぜ阪神・淡路大震災で忍耐強く援助を待つことができたかについて講演を依頼された。しかし日本人は無宗教ではなく、八百万の神々に感謝する神道があり、そこに仏教が入ってきたのだと答えた。日本は外国から良いものを換骨奪胎して日本の文化に取り入れてきたのである。自衛隊を国軍とすべきであり、自衛隊員が常に制服を着て街を歩けるようにならなければならない。また社会主義者を採用するべきではない。頑張った人と頑張らなかった人を区別するのは当然である。福沢諭吉は『脱亜入欧』を唱えたが、元々は中国や朝鮮を教育しようとしたのである。しかし、留学生達が帰国しても汚職ばかりで国を変えられないことがわかったから『脱亜入欧』を唱えたのである。」と、歴史教育の重要性と教育のあり方について語られました。

東京近現代史研究所代表 落合道夫

東京近現代史研究所代表の落合道夫様は、「歴史問題とはプロパガンダである。語り部の問題では、『略奪』とは個人のやることであり、軍の用語は『徴発』である。また、蒋介石が日本人を帰国させたことについて、『以徳報怨』と言っていたが、終戦後中共との戦争が始まっており、日本軍の武器が中共に渡ることを恐れた蒋介石が早く日本人を返そうとしただけのことである。また、朝鮮人は最近、日本人は古代朝鮮人の末裔であると言い出している。古代史はプロパガンダの草刈場になっている。」と、織田氏の発言について歴史的事実を指摘された後、「『国体』について話したい。『国体』とは、天皇を中心とする日本固有のあり方であり、日本民族の生存システムの総体である。そして保守とは国体を守ることである。『国体』に気付くのは、危機に直面したときであり、歴史的には飢餓、疫病、戦争、天災地変を体験して形成されてきた。しかし1945年、アメリカの民主化、反封建化という言葉で『国体』が破壊された。天皇崇拝、先祖崇拝は連続性を、国民国防、家制度は連帯性を構成する。そしてその中心に国民共通の価値観である教育勅語があった。社会的に結婚を位置付け、結婚を促進すれば人口は増加していく。外国人労働者を受け入れると、日本で稼いだ外貨を自国に送金し、権利を要求するようになり、治安が悪化するだけで、何も良いことはない。」と、「国体」の概念について解説されました。


最後に塾長より、「韓国や中国、アメリカがいろいろ言ってくるが、まずは冷戦終結時の日本の立ち位置をしっかり認識しておく必要がある。アメリカは常に敵を求めている。ソ連が崩壊した後、日本が仮想敵国となったことを認識している日本人は少ない。アメリカは莫大な費用をかけて冷戦を戦ってきたが、その間に日本が漁夫の利を得てきた。このままではアメリカが日本に経済で負けるかもと危機感を持った。BIS規制の導入によって日本のバブルが崩壊したが、これもアメリカが仕掛けたことである。今は情報戦争の時代であり、世界がどうなっているのかを考えながら対応していくべきである。私はこれまで78カ国を訪れ、各国の要人達と本音でディベートをしてきた。日本が弱いことが問題であり、バランスオブパワーを確立できるように強くなれば互いに尊重し合える関係になる。」と、日本が強くなる必要があることを強調されて、会を締め括られました。  研修会の後は、レストラン「ラ・ベランダ」に会場を移して懇親会が行われ、研修会での流れのまま活発な議論が尽きず、予定時間を大幅に超過する盛況ぶりでした。