塾長・最高顧問 元谷 外志雄
勝兵塾第117回月例会が3月18日にアパグループ東京本社で開催されました。
冒頭のアパグループ元谷外志雄代表による塾長挨拶では、「勝兵塾を始めて10年になるが、その間も中国は力をつけてきた。習近平は国家主席の任期を撤廃して皇帝化を図っている。ウイグル人の収容棟がどんどん増えて、100万人のウイグル人が収容されていると言われている。中国は14億人という数の力を背景に経済力をつけ、軍事力に変えてきた。中国は陸ではすでに隣国と国境を巡って紛争をしてきたが、これからは海洋覇権を狙っている。中国から見れば日本は太平洋への出口を塞いでいるので、これを排除したいと思っている。このままではいずれ日本は中国日本自治区になってしまう。今の憲法のままでは、日本は危うい。力の均衡に基づく平和こそが真の平和であり、平和とは戦争と戦争の間にあるものだと考えるべきである。今はまだ深深度潜水艦などの技術で海上自衛隊が制海権を維持しているが、中国も海軍力を強化している。中国は一国世界支配を狙っており、日本は中国包囲網で力のバランスを保っていかなければならない。しかし、日本のメディアはこうした問題をほとんど報じない。メディアが報じない間に中国が力をつけてきており、このままでは中国による世界支配は時間の問題である。日本は警戒心を持ち、これに備えておかなければならない。そのためには現行憲法を改正し、アメリカに依存せず、まずは自分の国は自分で守れるようになる必要がある。」と、膨張する中国に対する備えの必要性を訴えました。
経済産業副大臣・参議院議員 江島潔様
経済産業副大臣・参議院議員の江島潔様は、「本日首相官邸で新型コロナ感染症対策本部が開かれ、21日に1都3県の緊急事態宣言が解除されることが決定された。今後も迅速かつ円滑な経済支援を行っていく。安倍政権から菅政権には、東日本大震災からの復興も引き継がれている。私も現地対策本部長として福島の復興にも携わってきた。物理的な復興はほぼ終わっているが、福島第一原発、第二原発の事故をマスメディアが大きく報じたことによる風評被害が残っている。福島県産品の放射能対策はしっかりやっており、味の面でも高い評価を受けている。日本酒は金賞数が7年連続で1位であり、米も特A数が4年連続で1位、海産物はプロの目利きから高い評価を受けており、桃は毎年皇室に献上している。放射性物質の厳しい基準を設けて検査をしているので、福島県産はむしろ最も安全だと言える。また、福島第一原発のALPS処理水について、新聞によっては汚染水と書いているものもあるが、原子炉の冷却や雨水などの水を、多核種除去設備(ALPS)を通して多核種を除去している。ALPSはトリチウムだけが除去できないが、トリチウムの放出する放射線は紙1枚で遮ることができるほど弱いもので、世界中で放出されており、安全性に全く問題ない。しかし、マスメディアが意図的に不安を煽るように報じている。トリチウム水の放出は全く問題がないことを理解してほしい。」と、福島の風評被害の問題について語られました。
「史実を世界に発信する会」会長代行 茂木弘道様
「史実を世界に発信する会」会長代行の茂木弘道様は、「私は『放射線の正しい知識を普及する会』の理事を務めている。この会の初代会長は渡部昇一先生で、現在は加瀬英明先生が会長である。電源として原発が最も安全であることは科学的に証明されている。正しい知識を普及させるため、福島で10年間情報を集めてきた。」とコメントをされました。
国際歴史論戦研究所(iRICH)所長で大阪市立大学名誉教授・経済学博士 山下英次様
国際歴史論戦研究所(iRICH)所長で大阪市立大学名誉教授・経済学博士の山下英次様は、「配布した1997年3月30日の読売新聞の社説は、日本の大手新聞で初めてGHQによる言論統制が行われていたことに言及したものである。日本が独立国でない根本原因は、日本人がGHQの洗脳から脱出できていないことである。脱出できているのはおそらく国民の10%程度だろう。その背景には、大手メディアがGHQによる言論統制を公式に認めておらず、自分から情報を取りにいかなければ真実を知ることができないことがある。唯一GHQの言論統制に触れた読売新聞の社説も、『言論管理下の戦後民主主義』という表現に留まっている。2015年8月に朝日新聞は慰安婦報道について誤報を認めた。これに倣って、大手メディアはGHQによる厳しい言論統制があった事実を告白、懺悔するべきである。それも一回限りではなく、例えば日本の独立記念日である4月28日にちなんで、毎月28日にあたかも月命日のように告白・懺悔シリーズを掲載し続けるべきである。そうしないと日本はれっきとした独立国家にはなれない。しかし、最も保守的な自由社の中学歴史教科書にも、明成社の高校歴史教科書にも、GHQの洗脳については検定不合格となることを恐れて記述できないのである。」と、GHQによる洗脳からの脱出方法を提示されました。
第3回アパ日本再興大賞優秀賞受賞者で東京近代史研究所代表 落合道夫様
第3回アパ日本再興大賞優秀賞受賞者で東京近代史研究所代表の落合道夫様は、「日本には危機到来の機運がある。尖閣の領海は侵犯され、国民が拉致されたままである。拉致は個人の問題ではなく戦争である。また石平氏によれば、中国ではエセ南京事件の報復として東京で30万人を大虐殺してもよいと教えられている。対応は再軍備しかないが、それには憲法改正が必要である。しかし時間がない。日米安保は、日本人が戦わなければ機能せず、自衛隊は軍法がないため無力であり、加憲をしても外国は日本国憲法に縛られないので無意味である。憲法第九条について、戦争を自衛と侵略とに分けて考えれば、1953年11月にアメリカは日本の自衛のための軍備を認めており、1954年12月には日本国政府も自衛のための武力の行使は憲法に違反しないと答弁している。したがって、解決法は簡単で、憲法改正は不要であり、特例法で軍法を付加すればよい。軍法とは、戦闘規則としての軍法、軍法会議、憲兵隊の3つセットが世界共通である。軍法により自衛隊は正規軍となり、軍事抑止力が発生する。イタリアは戦争禁止であるが、正規軍を保有している。そこで国民は連帯して、与野党に即時再軍備を要求するべきである。国防は子供を守る最大の福祉政策であり、反対は許されない。国防は国際基準に則るべきであるが、自衛隊制度はルール違反であり、世界の迷惑である。また、生存はすべてに優先するものであり、マキャベリは『政治は結果で評価される。結果が良ければ方法は正当化されてきた』と言っている。」と、再軍備の必要性とその方法について論じられました。
元航空自衛隊空将で国家戦略研究所所長 織田邦男様
元航空自衛隊空将で国家戦略研究所所長の織田邦男様は、「ドイツも軍隊を海外に出すときにはじめて軍法を作ったが、軍法会議は認められなかった。軍隊が海外に出れば国際法に則らなければならない。自衛隊は現在PKOとして4名しか派遣していないが、それは隊員が銃を持っていて誤って現地の民間人を殺傷してしまった場合に裁く法律がないからである。日本は交戦権を認めていないため後方支援として自衛隊を派遣したが、それでもそのような問題はある。2015年の国家安全保障会議で国際協調主義に基づく積極的平和主義を打ち出したが、軍法がないため自衛隊を海外に出すことができない。」と、コメントをされました。
前環境大臣・衆議院議員 原田義昭様
前環境大臣・衆議院議員の原田義昭様は、「コロナに関して今は大事な時期であり、菅内閣は緊急事態宣言をまず解除して、リバウンドを防ぐために自主的な努力でコロナ対策を強化していこうとしている。内閣も都知事も大きな賭けであり、力を合わせて頑張りたい。中国の動きが度を外れて厳しくなってきている。尖閣やジェノサイドについて国としての対応が生ぬるい。対中政策についてバイデン政権になって心配していたが、むしろしっかり対応している。クアッドに加えて、英仏も深刻に考えている。国際協力で中国を抑え込んでいく。」とご挨拶をされました。
東京国際大学学長・慶應義塾大学名誉教授 塩澤修平様
東京国際大学学長・慶應義塾大学名誉教授の塩澤修平様は、「軍法を特例法として作るというのはかなり現実的な話だと感じたが、軍法を特例法で作ることへの動きや考え方がどこまで浸透しているか?」と質問され、原田様は、「軍を統括するために新たな法律が必要だと思うが、今の自民党での憲法議論ではそこまで進んでいない。いずれはやらなければならないと思うが、前提としてまずは憲法改正をやっていくべきである。我々は憲法改正をしなければ独立国家にはなれないと感じているが、様々な政治状況の中でやや中だるみしている。」と答えられました。さらに江島様は、「先日ある会合で私が、『自衛隊の陸、海、空の3軍が』と発言しただけで、終わった後にマスコミが殺到して、『さっき3軍と言いましたね』と言って新聞に載せた。今は自衛隊を『軍』と言うだけでマスコミも野党も熱くなって大騒ぎするような状況である。」と補足されました。
元文部科学大臣・衆議院議員 馳浩様
元文部科学大臣・衆議院議員の馳浩様は、「自民党の教科書問題PTで同PT座長の義家議員を中心に、教科書における『いわゆる従軍慰安婦』に関する記述について、論点整理が行われ合意した。そこでは、政府及び教科書発行者に対して次の点を求めていくことが必要だとしている。まず、政府として『従軍慰安婦』という用語を使用することは不適切である旨を政府の統一見解として明確に示すべきであること、である。さらに、自国に誇りと自信を持ち、我が国と郷土を愛する子供たちを育てることに繋がるのか、生徒の発達段階に照らして適切なのか、といった観点から、教科書記述の見直しを行うべきであること、である。文科省や教科書発行者に対してあまり強く働きかけると政治的圧力と言われかねないので慎重に対応する必要があるが、引き続きこの問題に取り組んでいく。」と、教科書問題への取り組みの進捗を報告されました。
イスラム評論家、ジャーナリスト フマユーン・ムガール様
イスラム評論家、ジャーナリストのフマユーン・ムガール様は、「私は日本に40年住んでおり、これまでアントニオ猪木のプロデュースなどもやってきた。イスラムや中東問題について、『朝まで生テレビ』というディベート番組に何度も出演したことがある。日本に住んでいて、家族主義、平和主義の国だということを肌で感じる。私の名前に『ムガール』とあるように、私はモンゴル帝国の末裔である。モンゴルがインドを侵略して新しい国を創ったが、当時モンゴル人がアーリア人と結婚してできた新しい民族が『ムガール』である。私はその18代目の子孫であり、世が世なら王子様です(笑)。私のもう一つの仕事はパキスタンの国営テレビの特派員で、先日天皇陛下の即位の礼に大統領に同行して、はじめて皇居に行った。その儀式を見て大変感動した。どんな帝国もなかなか100年以上は続かないが、日本の皇室が2600年続いているのは、背景に神がいて、目に見えない不思議な力があるからだと思う。神武天皇が初めて儀式を行ったのが熊本の幣立神宮で、5年毎に五色神祭が行われるが、そこではいろんな人種から5人が選ばれる。私も先日選ばれて同神宮でイスラム式の御祈りをした。世界平和は神道から始まっている。侵略主義は必ずしも悪いことではない。本来侵略とは、民族を支配するのではなく、その民族を育て、文化を育てることである。人を殺したり奴隷にしたりするのは間違った解釈である。だから日本が戦争をしたのは正しかった。私は日本の美しいところを世界に発信していきたいと考えている。日本人にも誇りを持ってもらいたい。」と、日本の素晴らしさについて語られました。
「新しい歴史教科書をつくる会」会長 高池勝彦様
「新しい歴史教科書をつくる会」会長の高池勝彦様は、「現代仮名遣いも占領政策の一環である。憲法、教育基本法、弁護士法、学術会議法、放送法等は全て占領軍の命令で作られたものであるが、現代仮名遣いも占領軍の命令に日本人が乗っかって作られたものである。話し言葉と書き言葉があるが、仮名遣いは書き言葉をどのように書くかという正書法の一種である。書き言葉がある国では、正書法は自然に形成されてくるものであり、日本語ではそれが歴史的仮名遣いである。占領軍は、日本が非民主主義で軍国主義なのは仮名遣いが原因だと言った。日本語には漢字があったり、ひらがながあったりで、これを学ぶために精力を使い民主主義を学ぶことができなかったと考えたのである。しかし、日本は明治時代から立憲君主制の民主主義国家である。昭和21年1月27日の朝日新聞は『少国民へローマ字を』と書いている。さらにアメリカ教育使節団が来日したが、その報告書には、『我々は決して征服者の精神を持って来たのではない。日本人は、自由主義、民主主義、科学・人道主義という言葉は知っているが言葉の根本的な意味は必ずしも感得していない。我々は深い義務感から日本の書き言葉の改革を求める。』と書かれていた。これに迎合した日本の学者がいて、火事場泥棒的に審議の時間もなく現代仮名遣いができた。日本はGHQに占領されて、WGIP(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)で洗脳されたが、日本人がそれを受け入れやすい体質を持っていたのも事実である。鈴木孝夫の『閉ざされた言語・日本語の世界』の増補版では、日本人が明治以来、日本語に対して『進歩の遅れた、学習に不便で社会の発展を阻害する様々な欠点を持った良くない言語だといったような、極めて否定的自虐的な評価を抱いている』と指摘している。現代仮名遣いは表音主義を掲げながら、中途半端な形のまま様々な矛盾を抱えている。」と、現代仮名遣いの背景とその問題点について解説されました。
公益財団法人モラロジー研究所研究員・令和専攻塾塾頭・情報戦略アナリスト 山岡鉄秀様
公益財団法人モラロジー研究所研究員・令和専攻塾塾頭・情報戦略アナリストの山岡鉄秀様は、「今月24日に『世界の未来は日本にかかっている 中国の侵略を阻止せよ!』という書籍が出版される。著者のアンドリュー・トムソンは、オーストラリアの元シドニーオリンピック担当大臣である。私は『サイレント・インベージョン』の翻訳に関わったことでこの元大臣から連絡を受け、オーストラリアが日本をどう見て何を期待しているかを日本人に読んでもらおうという話になった。『サイレント・インベージョン』は、クライブ・ハミルトンという学者が、オーストラリアがいかに中国に侵略を受けたかについて書いたものだが、本書には、元閣僚という政治家の観点から、今の世界の置かれた状況の中でのオーストラリアから日本への熱いメッセージが込められている。」「アメリカ大統領選挙について、不正があったかどうか大変な議論になった。アメリカ大統領選挙を分析することで、アメリカ社会が置かれている状況を理解することができる。不正があったと述べると陰謀論者というレッテルが貼られて弾圧され、プラットフォーマーが大統領のアカウントまで消した。まともに考えれば、バイデンが8、000万票も取れるのかと疑問に思うのは当然である。しかし、具体的にどのような不正があったかを言うのは容易ではない。確かにトランプ支持者の中に陰謀論者もいたが、真面目に分析する人もいた。それらを十把一絡げにして、アメリカのビックテックや主要メディアを中心に、陰謀論者として排除した。コーネル大学の大学院生が、陰謀論がツイッターでどのように拡散したかリサーチをしたところ、日本に陰謀論のクラスターがあったことを発見し、それを『Jアノン』と名付けた。特に有力なアカウントが20ほどあり、その中には聞いたことがある名前が出てきていた。一流のジャーナリストも陰謀論者として否定され、しかも権威あるコーネル大学のリサーチとして流布されたことで、トランプを応援している人は皆陰謀論者にされてしまった。そこで私はコーネル大学の指導教授に、『あなたのリサーチは今回の大統領選挙で全く不正がなかったという前提で行われているか? トランプ支持者には様々な人がいるがそれらを全てJアノンというように極端な一般化をしているのではないか?』とメールで質問をした。するとすぐに返事が来て、『不正が全くなかったことを前提にこのリサーチを行っているわけではないが、一人のアメリカ市民としては大きな不正はなかったと考えている。また、過度な一般化については、このリサーチを読んだ人が過度な一般化をしないことを願っている。我々はいかにツイッターアカウントを通じて拡散したかを論じているだけであって、内容の一つ一つについて吟味しているわけではない。』という回答だった。タイム誌が特集記事で、この選挙で勝つためにどれだけ左派の活動家が大金持ちから資金を得て活動して、選挙のあり方を根本的に変えて、トランプからこの国を救ったかという自慢話を書いたが、その内容は、ピーター・ナバロ氏がこの選挙はこうして盗まれたと告発したナバロ・レポートの内容と酷似している。つまり、行われたことをどちらから見るかがポイントである。アメリカという社会が弱体化、左傾化している、そのような国を唯一の同盟国と見なして中国に対抗できるのかと思う。」と、オーストラリアから日本へのメッセージと、アメリカ民主主義の弱体化について語られました。
原田義昭様は、「アメリカ大統領選挙について長い間議論されたが、1月20日が来てバイデンが当然のように大統領となった。4年前にトランプが出た時、日本人もアメリカ人もトランプが勝つとは思っていなかったが、日本では唯一元谷代表が、トランプが勝つと公言されていた。政治家はどんな選挙でも正しく行われていると徹底的に信じている。もちろん不正はあると思うが、全体としては正しく行われている。だからアメリカ大統領選挙について今なお日本でもアメリカでも不正の議論がなされているのが不思議でならない。予備選挙があり、バイデンが立候補者になったのは選挙のわずか1年前である。私はバイデンが勝てるはずはないと思っていた。しかし、本選挙までの間、トランプは支持率で一度もバイデンに勝っていない。我々は実際に選挙をやっていると支持率をものすごく気にしている。新人候補が出てきていきなり10ポイントも支持率で勝つというのは、トランプに問題があったということである。だからあの支持率でトランプが勝てるとは思っていなかったし、結果はその通りになった。その通りの結果に対して陰謀論云々が出てくるのが不思議でならない。挙句の果てに民衆が議会まで押し寄せて、結果的にトランプが暴徒を議会に入れたという大変な歴史を残した。選挙は結果が全てであり、それが議会主義である。民主主義の権威であるアメリカが、不正を認めて大統領を取り替えることはありえない。この選挙に不正があったかもしれないが、そのことを以って判断が間違っていたということにはならない。トランプの方が良かったかもしれないが、選挙そのものに対して絶対的な信頼を置くのが先進国民主主義の理念であり、陰謀論には与しない。」と、民主主義の根幹である選挙に対する絶対的信頼を強調されました。
最後に塾長は、「本日は素晴らしい議論になったが、ずっとこのような塾にしたいと思っていた。何が正しいのか、何が本当なのかをそれぞれが考えて自分の中で見出していくべきであり、そうしてこの国を良い方向にもっていって欲しい。」と挨拶をして会を締め括りました。