勝兵塾第114回月例会が12月17日にアパグループ東京本社で開催されました。
冒頭のアパグループ元谷外志雄代表による塾長挨拶では、「本日も沢山の方々にお越し頂き、大変良い月例会になると期待している。学校では間違った教科書で教えられ、社会に出れば新聞もテレビも間違った報道をしているため、多くの人々が間違っていることを正しいように思い、正しいことを言われても間違っているように感じてしまう、嘆かわしい状況が続いている。勝兵塾では議論を通じて何が本当なのかを見出していくために、多くの方々にお話しいただけるよう、時間を10分間に区切っている。時間が短い方が、密度が濃くなって良くなると思う。」と勝兵塾の意義について述べ、続いて、12月8日に開催された第三回アパ日本再興大賞・第十三回「真の近現代史観」懸賞論文表彰式並びに受賞記念パーティーの模様を動画で視聴しました。
前環境大臣・衆議院議員の原田義昭様は、「先週開催された素晴らしい表彰式に私も出席して、本当に感激した。日本が日本であるために、主権、国土、国民をどう守っていくのかという視点で、私も国会では外交、安全保障、人権問題を中心に25年間活動してきた。昨日の産経新聞の1面に、尖閣諸島の極めて貴重な地図が見付かったという記事が掲載され、私と秘書の高田も取材を受けている。尖閣が我々の固有の領土だということはわかりきっているが、相手方は自分のものだと言っているようである。国際的には、日本が1895年に尖閣が日本の領土であることを内外に宣明して、条約上も認められたのだが、中国は日清戦争で奪われたものだと主張している。先日も王毅外相が来日して自民党の前でそれを言った。しかし、1895年の20年も前にドイツとイギリスの地図会社がそれぞれ作成した日本地図を我々が手に入れたが、その地図でも尖閣は日本領となっていた。日清戦争の20年も前に、しかも日本以外の国も尖閣が日本領であることを認めていたのである。さらに5年前に、私は予算委員会で尖閣が日本の領土だということを中国政府が作った地図にもちゃんと書かれていることを指摘した。この地図は、毛沢東の裏書のある立派なものである。したがって、尖閣については議論はとっくに終わっている。」「メールが普及して電報が最近あまり使われないかもしれないが、選挙に当選すると祝電が500通くらい届く。読んでいて、本当に心のこもった電報を受け取ると、その場で御礼を言いたくなるが、電話番号がわからないため、その場で電話が掛けられなくて困る。電報の数が多いと後から調べるのは難しい。そこで14〜15年前にNTTの担当を呼んで、『祝電、弔電を打つときになぜ発信者の電話番号を入れないのか?』と言った。担当者は、『いままでやったことがない』、『個人情報の問題がある』、などと言っていたが、『窓口の職員が嫌がる』、『労働組合が嫌がる』というのが本音のようであった。私は2、3年毎に担当を呼んで話してきたが、15年目にしてようやく来年から電話番号を記載するようになったと報告があった。結婚式やお葬式でお互いに喜び、悲しみを分かち合うのは昔ながらの電報しかないと私は思う。」と、尖閣問題や電報の意義について語られました。
東京国際大学学長・慶應義塾大学名誉教授の塩澤修平様は、「経済状況が厳しい中で、感染症対策とのバランスをどのように考えているのか?」と質問され、原田様は、「Go To事業に対する評価が変わっていることは事実であり、政府がどこかでGo To事業を切らないと感染が減らないだろう。Go To事業によって感染が拡大したという証拠があるわけではないが、悪循環を止めるために一度事業を止め、経済が悪化したところに対して補償をしていくべきだと個人的には思っているが、政府はなかなか踏み出せない。」と答えられました。
新しい歴史教科書をつくる会副会長の皿木喜久様は、「文科省による『つくる会』潰し、教科書検定の不正ぶりについてはこれまでも話があったが、今日は文科省がいかに日本の古典や古代時の心を抹殺しようとしているのかを話したい。まず、古事記にある国造りの話を紹介する。大国主神(おおくにぬしのかみ)が美保の岬にいた時に船に乗った小さな神が来たので、誰かと名前を聞いたが答えず、多邇具久(たにくく=ひきがえる)が『久延毘古(くえびこ=案山子)なら知っている。』と言い、久延毘古に聞くと、『神産巣日神(かみむすひのかみ)の子の少名毘古那神(すくなびこなのかみ)だ。』と答えた。そして神産巣日神の命によって大国主神と少名毘古那神とで力を合わせて国を造り、その後少名毘古那神は常世に去った。このように、神々には豊かな個性がある。少名毘古那神は小さな神で、協力した途端にどこかに消えてしまい、久延毘古は案山子で、歩けないが世の中のことを何でも知っているとされ、さらにひきがえるまで神様のように扱っている。古代の先祖がいかに想像力豊かで神話を創って楽しんでいたことがわかる。原文は漢文であるが、万葉仮名という、古語に漢字を当てはめた独特の言葉であるため、解読するのが難しかった。古語が読めるようになったのは、本居宣長の功績である。そこで、自由社の歴史教科書に本居宣長が古語を解読した話を掲載したところ、文科省はこれを欠陥箇所とした。文科省は当時から誰でも読めたと指摘したが、宣長が古語を解読しなければ古代の日本人の心はわからなかっただろう。文科省は唯物史観に染まっているため、神話である古事記を教科書に持ち込みたくなかったのだ。」と、日本の神話の豊かさを紹介され、文部科学省の姿勢を批判されました。
日本戦略情報研究所所長の林文隆様は、「白髪三千丈の中国について話したい。中国は産業ロボットで日本を追い抜くことを目標として、2019年には出荷台数が14万5千台で世界第一位になったが、内部部品やソフトは日本製である。アメリカが宇宙ロボットを開発する際にも提携したのは東京大学である。また、iPhoneの部品の90%は日本製であると言われている。中国は計画経済であるが、建国以来一度も国政調査をしたことがない。国家予算について、日本が101・5兆円、アメリカが528・9兆円に対して中国は184・9兆円であるが、一人当たりではアメリカが172千円、日本が79千円であるのに対して、中国は13千円に過ぎない。さらに、国家予算の内訳は、日本で最大の項目は社会保障費の33%で、その次が国債利払いの23%であるのに対して、中国は地方財政が45%、公共事業が35%となっている。中国は社会保障費が小さく、中央が税収の75%を握って地方をコントロールしている。一方、先進国は資金を国債の発行によって調達しているが、中国は国債の発行額が少なく、その代わりにお金を刷っている。中国は人民元を刷っているのに、2020年になって国営企業による債務不履行が増えている。それは外貨準備高が枯渇しているため、お金が刷れなくなってきているからである。2003年に日本がはやぶさを打ち上げたとき、これに対抗して中国は有人衛星を打ち上げたが、欧米はこれを冷笑した。中国では宇宙開発に年金の財源を充てたため、暴動が起こった。大都市であっても民衆は貧しく、豊かになるためには共産党と癒着しなければならない。二酸化炭素の排出量は世界一であり、その結果、酸性雨が降り国土は砂漠化し、中国の水不足は中東並みである。」と、中国社会の実態について解説されました。
在日本ルーマニア商工会議所会頭の酒生文弥様は、「日本には様々な伝統芸能があり、それらを保存、伝承、発信していきたいと考えている。Free‐Dという会社は、映像圧縮技術を持っていて、映像のクオリティを保ったまま従来の半分から三分の二にデータサイズを圧縮する技術がある。この技術を使えば、伝統芸能をデジタルアーカイブとして保存することができる。さらに3Dモーションキャプチャー技を使って人の動きを『見える化』する技術もある。この技術を使えば伝統芸能の動きを3Dデータで保存することができ、伝統芸能をAIトレーニングとして体験することで、伝統芸能の伝承に繋がっていく。このように、伝統芸能をデジタル化することで、日本の心、魂を全世界に届きやすくすることができる。」と、最新技術を活用した日本の伝統芸能の保存、伝承、発信への取り組みについて語られました。
勝兵塾事務局長の諸橋茂一様は、「第一次、第二次安倍内閣では憲法第96条に則って憲法改正を進めてきたが、遅々として進まなかった。憲法を守るために国があるわけでなく、国を守るために憲法がある。現憲法が成立した経緯を振り返ると、昭和21年3月6日に大日本帝国憲法改正のための勅語が発表され、同じ日にマッカーサー声明が発表された。現憲法は大日本帝国憲法第73条に則って改正されたことになっている。この条項では、勅命を以って改憲案を国会に付すことになっていたが、原案が示されたのは同年2月13日であり、勅命の前にすでに原案ができていた。また、この条項はあくまで各条項の改正を想定したものであり、全文を入れ替えることは想定していなかった。さらに、憲法改正の原案は英文で作成された。これら3つの点で旧憲法第73条に違反していると言えるだろう。また旧憲法第75条では、摂政を置いている間は憲法改正ができないと定められていた。これは、摂政を置いているときは、天皇が主体性を十分に保持できる状況とは言えないからである。占領下では摂政を置いている状況以上に天皇の主体性が制限されていたことからも、旧憲法第75条にも違反していると言える。さらに、ハーグ陸戦法規第43条では、占領者は被占領国の法律を尊重しなければならないと定められており、この間に憲法を改正したのはこの条項にも反する。このように、現憲法は国内法にも国際法にも大きく違反しているため、国会で衆参両院の過半数の賛同をもって無効決議を行うと共に、同様にして『新憲法(案)』の承認を行うべきである。」と、現憲法無効論を主張されました。
最後に塾長は、「今日の勝兵塾も非常に内容があった。いろんな観点について、いろんな人から少しずつ話を聞くのがより良いと考え、運営してきた。質問の時間も設けてきたが、今後はもっと活発な議論ができるようにしていきたい。」と感想を述べて、会を締め括りました。