勝兵塾第108回月例会が、6月18日(木)にアパグループ東京本社で開催されました。
冒頭のアパグループ元谷外志雄代表による塾長挨拶では、「武漢ウイルスと呼ぶべき新型コロナウイルスの蔓延で、僅か半年の間に世界で44万人の死者が出た。人口100万人に対する死者数は、中国が3人、日本が7人、韓国が5人と1桁であるのに対して、ヨーロッパは3桁で、最も多いベルギーが835人、イギリスが621人、スペインが580人、イタリアが570人、スウェーデンが499人、フランスが453人である。アジアとヨーロッパで100倍もの差がある理由を考えると、ウイルスが生物兵器として人工的に開発されたもので、DNAの僅かな差で致死率が大きく変わったのではないかと思える。これが当初から欧米を狙う意思があったとなると、第三次世界大戦がすでに始まっていると言える状況であり、恐ろしいことである。したがって、コロナウイルスを良く分析して、もし人工的に開発されたものであれば、徹底的に中国の責任を追及しなければならない。トランプ大統領もそのようなことを言っているが、なかなか尻尾を掴めていないようである。半年で死者が44万人というのは相当な数であり、この数からだけでも第三次世界大戦が既に起こっていると言える状況である。本当はどうなのかを知ることが勝兵塾の目的であり、コロナウイルスについてもしっかり分析し、この難局を乗り切っていかなければならない。コロナで世界経済がおかしくなっているが、他社が多くのホテルを休館する中、アパホテルは休まず営業を続けた。経営的には厳しい状況ではあったが、宿泊を希望される方がいる限りホテルの営業を続けろと言ってきた。」と、新型コロナウイルスによる死者数の格差に関する仮説を提示されると共に、コロナ禍での経営理念について語りました。
内閣総理大臣補佐官・衆議院議員の秋葉賢也様は、「国会が閉会したが、1つの国会で予算編成を4回やったのは初めてである。コロナ対策で1次補正、2次補正合わせて事業規模が300兆円となり、これらをしっかり執行させていくことが大事である。対策会議では、明日から県境をまたぐ移動の制限を解除することが決まった。各国間の入出国制限も、ベトナム、タイ、オーストラリア、ニュージーランドとの間で緩和を検討している。ハワイの太平洋航空博物館にあるドゥーリットル空襲に関する展示の中で、『25万人近い中国人が日本軍によって殺害された』という記述があり、3年前に元谷代表から指摘を受け、すぐに外務省を通じて現地の領事館から訂正の申し入れをさせた。その結果訂正されたが、まだ不十分なので、より正確な表記に変わるよう改めて申し入れる。」「中国のプレゼンスの拡大で、国際秩序は大きく変容している。経済政策について、アメリカはオバマ政権時代から中国に対して厳しく取り組んできた。アメリカは、2019年度国防授権法を成立させ、エマージング・基盤技術として14の技術分野について輸出管理を強化することとした。具体的には、イラン制裁違反、機微技術窃取、人権侵害等への対抗、軍民融合の進展などの理由から特定企業向けの規制を強化し、特定国向け許可例外の廃止等の措置を実施した。また、新興技術(エマージング技術)等に関し、リスト規制の強化を進める一方、中国等における軍民融合の進展を背景にエンドユーザー等に着目した規制の強化に着手し、ファーウェイ及び関連114法人が米国の技術やソフトウェアを用いた半導体製品等を第三国経由で獲得することを防ぐため、直接製品規則を変更し、即日施行した。経済安全保障については、日本でも自民党が提言し、経済産業省が中心に対応してきた。産業構造審議会安全保障貿易管理小委員会の中間報告では、『知る』『守る』『育てる』の3つから統合的にアプローチするとしている。対内直接投資管理について、外為法を改正して、2017年10月に軍事転用可能なリスト規制品目の対象範囲を拡大し、2019年8月に情報・通信関係の業種を規制対象に追加した。さらに事前届出の対象に、株式の取得だけでなく、経営への影響力行使につながるその他の行為が追加された。医薬品や医療機器関連についても外為法の指定業種に加えていく。」と、ハワイの太平洋航空博物館での誤った展示への対応に触れられた後、経済安全保障への政府の取り組みについて解説されました。
一般社団法人日本平和学研究所理事長の小川榮太郎様は、「今般のコロナで、専門家会議は全く科学的に機能していなかった。私は2月上旬から安倍総理と直接連絡しながら、この問題に影武者として取り組んできた。新型コロナウイルスは人獣共通のウイルスなので、獣医学の知見が重要であり、35年前から日本では一般的に知られている猫コロナと症状が極めて酷似している。しかし、日本では専門家の壁が非常に高く、他の専門家や学閥を排除している。また疫学については、日本は感染症を克服して久しいので、専門家が少ない。当初から日本政府も各国のCDCから情報を取るべきだと総理に進言したが、日本のカウンターは厚労省の結核課である。CDCのトップは大統領にも直言できる立場であるが、そのカウンターが結核課長では交渉できない。京都大学の上久保靖彦特定教授の集団免疫モデルによれば、11月から100万人単位の人の移動で、日本では非常に早い段階で54%の集団免疫を達成したが、その後武漢でG型という変異が1月に発生して、日本には1月の第3週に入って来た。この状況をインフルエンザとの相関性で見ると、今年のインフルエンザは当初ものすごい勢いで始まったが、12月下旬に突然感染者が減少した。これはウイルス干渉によるものである。1月に再びインフルエンザの感染者数が伸びたが、1月の中下旬に日本全国でインフルエンザが突然消え、例年の三分の一の流行で終息し、同じ時期からコロナウイルスの感染者が急増した。つまり、インフルエンザがより強いR0値を持ったコロナウイルスに負けたのである。上久保教授によると、3月4日の段階で、日本は武漢の様にはならないが、アメリカは酷いことになると予測し、6日には、ニューヨークは第二の武漢になり、アメリカでは武漢並みの騒ぎが各州の州都で続出すると予測した。私も当初は半信半疑だったが、日が経つにつれて、彼の言う予測数値がすべて当たってきた。日本は3月中に終息してその段階での死者数は50人~100人と予測し、さらに26日には、欧米から第2波が来て死者数は第1の波の7倍になるという予測値を出したが、これも当たっている。このモデルは大変信憑性が高いと考えたので、私も発信し、政権にも報告した。専門家会議の報告書では、武漢の第1波と欧米の第2波を専門家会議は正確に予測したため適切に対処したと書いているが、これは嘘である。私は3月26日に上久保教授の予測を伝えたが、加藤大臣は、麻布や六本木で夜飲み歩いている人々の感染がクラスターで追い切れないためで、夜遊び禁止だと言っていた。専門家会議は夜遊びが原因だと言っていたのである。確かにそういう場所でクラスターが発生したのは事実であるが、その原因は欧米からの帰国者である。さらにクラスターが追えなくなると、専門家会議では突然40万人死ぬという人が出てきたり、8割行動制限だと言い出すようになった。これが科学だろうか? 防衛については安倍政権の下で相当の水準まで来ているが、医療安全保障については無防備であり、このような状況を放置していては秋の第2波に備えられない。第2波に備えるためには、抗体と自然免疫しかなく、今のうちに社会を動かして感染に晒されておいた方がよい。この説について多くの専門家の知見を早く政府に纏めて頂きたい。」と、新型コロナウイルスへの対応を通じて日本の医療安全保障の問題点を指摘されました。
元国務大臣・衆議院議員の松原仁様は、「先日横田滋さんが亡くなられた。日本政府の北に対する発信が乏しい。私は以前から、ストックホルム合意や日朝平壌宣言を破棄しろと言ってきた。北は約束を全て破っている。岸田氏は破棄すれば北との糸が切れると言っているが、北とは絶対に切れない。彼らにとって日本との関係はドル箱だから、一つのパイプが切れても、別のパイプがすぐにできる。ストックホルム合意を破棄しなければ、日本が怒っていないように見える。彼らと交渉するときは本気で怒っていることを示す必要がある。ストックホルム合意を結ぶときも家族会から大ブーイングがあった。拉致、核、ミサイルの理由で経済制裁をしていたのに、日本人妻や遺骨のことで制裁を弱めるのかという批判である。北は感情を重視しており、交渉でも感情移入をして、怒りを明確にする必要がある。安倍総理は頑張っていると思うが、横田滋さんが亡くなり、これまで日本政府は何をやっていたのかと思う。」と、拉致問題に対する政府の対応を批判されました。
国土交通大臣政務官兼内閣府大臣政務官・参議院議員の和田政宗様は、「新型コロナウイルスに関して、多大なお力を頂き、アパホテルの皆様に感謝したい。私は国土交通大臣政務官として観光を担当している。ホテルは観光庁の所管であり、武漢から日本人がチャーター機で帰国する際にはホテル三日月にもお世話になった。コロナ対策では多くのホテルの力をお借りしている。今はGo To Travelキャンペーン構築に力を入れている。コロナ対策について、メディアは根拠もなく政府の対応は遅い、世界で評価されていないと報じている。布マスクについては、日本政府が全戸に配布したことを受けて、これにアメリカのCDCが反応して米国民に布マスクを推奨したり、シンガポールでは全国民に1枚ずつ配ったり、フランスでもパリ市民に1枚ずつ配り、他の自治体にも広がっている。東京都ではなかなか不織布マスクが手に入らなかったときに布マスクが配布されて本当に助かったという声もあった。休校要請をしたときも批判を受けたが、欧州やアメリカもこれに追随しており、日本が世界に先駆けてやったのである。メディアから見れば、政府批判に不都合なのかあまり取り上げない。メディアの不正確な情報やネット上のデマに対して、正確な情報を発信して、デマの芽を摘んで来た。ネット上の情報の正確性を見極める際に、その情報の引用元として具体的な名前が出ていれば信憑性が高く、曖昧なものは信憑性が低いと言える。デマが拡散すると、これを利用して、危険な情報を混ぜて流し、本当に医療崩壊を招いたり、日本を混乱させる危険性がある。これはインテリジェンスの世界では常套手段である。Go To Travelキャンペーンでは旅行代金の二分の一を、一泊二万円を上限として政府が補助する。国内旅行消費の8割は日本人によるものなので、この政策はこの先効いてくるだろう。地方のホテルや旅館の景気が良くなれば、日本経済の浮揚に繋がる。」とコロナに関する政府の対応と正確な情報の発信について語られました。
衆議院議員の木村次郎様は、「本日『武士道に生きる』という書籍をお配りしたが、著者の川口泰英氏は私と同郷である。武士道には日本の古い魂が宿っている。平易に書かれた本なので是非読んで頂きたい。また川口泰英氏は、『はやぶさ』プロジェクトの川口淳一郎氏の弟である。」とご挨拶をされました。
日本戦略情報研究所所長の林文隆様は、「経済格差が拡大して不況になれば、ポピュリストが煽り、独裁者が生まれる。現在のアメリカは古代ローマ帝国と似ている。いずれも民族国家ではなく、普遍国家である。普遍国家は自由、平等、資本主義を共有しており、民族国家は、歴史や文化、習慣を共有している。普遍国家の場合は多民族であるから、法制化しないと理解できない。現在のアメリカは、経済格差や一部の富裕層が政治を支配する点で古代ローマ帝国末期と同じである。ミネソタ州で起こった黒人抗議デモも、その背景には貧富の格差があり、コロナによって人々の経済的な不安が増幅された。アメリカで貧富の差が拡大したのは1979年の年金法改正からである。上位1%の所得は急速に上昇し、超富裕層はストックオプションなどの株で富を得て、莫大な政治献金で格差を守っている。アメリカでは30万人の富裕層が政治を支配し、労働者には1カ月生活できるぎりぎりの賃金しか与えられない。ここに貧困の悪循環が成立している。武漢ウイルスによって10万人以上が亡くなったが、アメリカでは医療制度における貧富の格差が大きく、低所得者がどんどん死んでいる。アメリカではインフルエンザで毎年2万人が死んでいる。アメリカは国民皆保険制度のない唯一の先進国である。国民皆保険制度については2年間にわたって議論されたが、ウォール街によって建国精神を煽られ、結局潰された。多民族国家のアメリカは、人生の成功者と落伍者との間に凄まじい格差が生まれる。今のアメリカのエリート層は、集められるだけの富を懐に入れようとしている。システムが変えられたため、アメリカの大衆は、今は貧しくても親の代よりも経済成長とともに豊かになると思っていたが、いくら働いても豊かにならない。」とアメリカにおける経済格差の問題を指摘されました。
東京国際大学学長・慶應義塾大学名誉教授の塩澤修平様は、「経済安全保障は重要ではあるが、一方で対内直接投資の促進も重要である。問題のない投資を促進して、そうでない投資に対して対処することは具体論としてはかなり難しいことであるが、安倍政権はどのような方策を考えているか。」と質問され、小川様は、「アベノミクス第三の矢の成長戦略について、観光立国化などは着実に進んでいるが、どうしても8年やってきて合理的な成長可能性が見極められないままここまできたという印象がある。構造的には財務省主導から経産省主導に移したのは良かったが、より自由な投資環境を整えようとすると、様々な形で霞が関とマスコミが一緒になって潰したり、特定の企業や人物が仕切ったりして、4年目くらいから停滞している。投資と地方創生は理念だけで掛け声倒れで終わっている。」と答えられました。
インドセンター代表のヴィバウ・カント・ウパデアーエ様は、「新型コロナに関して、同じ様な問題をこれまで何度も見てきた。1918年にはスペイン風邪が流行し、終息するまでに3年かかったというが、新型コロナの終息に3年かかったら、今は経済が壊れてしまう。アビガンという薬は新型コロナに効くのが分かりながらなぜ日本国政府は承認を下ろさないのか。特許が切れているのでインドのある会社が作ってテストをしたところ、すでに成果が出ている。120カ国が外務省に提供の要請をしているのになぜ許可を下ろさないのか、政府は明らかにするべきである。」とコメントをされ、馳様は、「アビガンについては、厚労省からの当初の報告と現状との間に乖離があることは安倍総理も認識している。厚労省には薬害エイズのトラウマがあり、安全性に慎重になっているのだろう。薬事行政の長年の壁がまだある。」と答えられました。
勝兵塾事務局長の諸橋茂一様は、「マスコミも含めて『拉致問題』という表現を使っているが、表記そのものが間違いだと強く思っている。本来なら『国際凶悪拉致事件』と呼ぶべきものであり、日本の主権が侵されているのである。国家が国民を守れず、取り返すこともできないようでは、独立国家の体を成していない。何事も過去の成功体験に学ぶことが大切であるが、拉致事件に関しては、小泉内閣時代に成功体験がある。時の総理が北朝鮮に行って、金正日と直接対峙したことで、拉致被害者を取り戻すことができた。何故その経験に学び、活かさないのか? 拉致事件を本気で解決したいのなら、総理が殺されても良いという覚悟で北に乗り込むべきである。横田めぐみさんが拉致された年、レバノンでは4名が北に拉致されたが、レバノン政府が北に対して強い怒りをぶつけたことで、その4名は返された。日本は本気で怒っていない。6月5日に横田滋さんが亡くなられた。拉致被害者の親御さんで御存命なのは、横田めぐみさんのお母様の横田早紀江さんと、有本恵子さんのお父様の有本明弘さんの2名だけとなった。石川県では宇出津事件という事件があった。拉致の手引きをした北朝鮮工作員が石川県警によって検挙され、拉致の実態について詳細な供述を得て、石川県警は警察庁長官賞まで受けたが、結局政治家から圧力がかけられ、起訴されなかった。その結果、その後全国で多くの日本人が拉致されるようになったのである。」と拉致問題について、政府に強い対応を求められました。
最後に塾長は、「勝兵塾を毎月東京、金沢、大阪の3ヶ所で開催してきて、日を追うごとに保守化が進んできた。本当のことを知れば、皆保守になり、愛国者になる。これまでメディアも教育も間違ったことを教えてきた。私は誇れる祖国日本の再興を目指す活動として、勝兵塾を開催し、懸賞論文を募集し、アパ日本再興大賞を創設した。勝兵塾をやっていて言われるのは、こうして多くの人々が集まって話す場がこれまでなかったということである。懸賞論文にも是非応募頂きたい。」と勝兵塾の意義を述べ、会を締め括りました。