勝兵塾第106回月例会が、3月19日(木)にアパグループ東京本社で開催されました。
冒頭のアパグループ元谷外志雄代表による塾長挨拶では、「政府から会合の自粛要請が出されたことで、あらゆる行事やイベントが中止や延期となっており、ホテルも稼働率はガタ落ちである。しかし、新型コロナウイルスは、他の感染症との比較で考えれば大した問題ではない。日本では毎年3、000人以上の方がインフルエンザで亡くなっており、新型コロナウイルスの致死率は決して高くないのに、メディアは大々的に報道して不安感を煽り、あらゆる経済活動がストップしてしまった。実際にはこうした風評被害の方がはるかに大きい。アパはこれまでも決めた行事は全てやってきた。今回も感染防止に十分注意をしてやっている。あらゆる行事を中止すれば経済的損失も大きい。10年に1度くらいは何かが起こるのだから、何が起こっても普段通りやっていきたい。本日は高岡で、17日には千葉でホテルがオープンし、開業式典には多くの方々に集まって頂いた。かつて、大雪の中でゴルフコンペをやったことがある。中止してしまえばせっかく用意した食事は無駄になり、出勤しているスタッフにも申し訳ない。ゴルフコンペも、ゴルフそのものを楽しむというより親睦の場であると考え、大雪で球が見えなかったので池に向かってドラコンをやり、それがまた良い思い出になった。いろんなことがあるが、めげずにやっていきたい。今月の座右の銘は、『人生とは時間の使い方である 賢く使えば 人生は有意義である』である。」と、新型コロナウイルスに対する冷静な対応の必要性を説かれました。
参議院議員の加田裕之様は、「昨年7月の参議院議員選挙で兵庫県選挙区から初当選した。出身は神戸で、大学卒業後は神戸新聞マーケティングセンターで兵庫県広報誌や兵庫県議会広報等を担当した。阪神淡路大震災で人生が一変し、政治を志すようになった。周囲からは反対されたが、県議会議員から衆議院議員になられた奥谷通先生の秘書になり、平成15年に兵庫県議会議員に初当選した。このとき長田区から立候補したが、生まれは灘区だったので、他党からはよそ者扱いされたが、拉致被害者の有本恵子さんのご両親に応援して頂いた。今年の1月12日には有本恵子さんの還暦パーティーが行われたが、恵子さんのお母様の嘉代子様が2月3日にご逝去された。しばらくしてから恵子さんのお父様にお会いしたが、そのとき『がっくりきた』と言われた。奥様を亡くされたことだけでなく、拉致問題が進展していないこともあったと思う。ただ拉致問題を解決するために安倍総理を支えるよう励まされた。新型コロナウイルスについては正しく恐れることが必要である。自民党本部では、毎日狭い部屋で大人数の会議をしているが感染者は出ていない。まずは手洗いを徹底することである。これから中国一辺倒だったサプライチェーンを再構築していく必要がある。新型コロナウイルスは我々に課せられた宿命であり、これを克服して新しい令和の時代を創っていく。危機に瀕した時にこそ人間の本性が出るが、日本の国民性を誇りたいと思う。道義国家としての日本をしっかり打ち出していく。」と、拉致問題や新型コロナウイルスへの対応について話されました。
第二回アパ日本再興大賞優秀賞受賞作品の著者で、新しい歴史教科書をつくる会顧問の杉原誠四郎様は、「日米開戦の際、ワシントンの日本大使館の失態により日本海軍の真珠湾攻撃が無通告の攻撃となったことは周知の事実である。これは日本の名誉にかかわる問題だけであるわけではなく、日米戦争を最大限に凄惨なものにした。大統領ルーズベルトの巧みな誘導もあり、日米海軍が計画的に『騙し討ち』をしたと思い込んだアメリカ国民は激怒して、原爆投下をするまで日本国民を許さなかった。トルーマンは広島と長崎に原爆を落とした後、『これで真珠湾の騙し討ちの復讐をした』と言っていた。吉田茂は当時の外務省の責任者を事務次官に昇格させ、この失態を国民の目に触れないよう隠してしまった。その結果、戦後外務省は自己の戦争責任を隠さなければならなくなり、かの戦争を公正に、客観的に扱うことができなくなり、占領軍の押し付けた自虐史観を奉ずる以外になくなった。そのため、日本の外交はすべて、自虐史観、贖罪意識の下で行わざるを得なくなった。占領軍の押し付けた憲法第九条について、占領軍の解釈では、自衛戦争に限っては戦力も交戦権も保持できる、ということを明確に知りながら、吉田茂は自衛戦争であっても戦力も交戦権も保持できないという、占領軍よりさらに悪い解釈を日本政府の解釈にした。そのため今日では、自衛隊の海外での平和維持活動でも、自衛隊は直接武力攻撃を受けていない地域に留まり、危険な地域は他国の兵士に任せている。これは一国エゴの平和主義であり、本当の意味での平和主義ではない。吉田茂は、日本の歴史から見れば、日本をして、全く不名誉な変則国家にしてしまったのである。安倍総理は、第九条を解釈も現状のままとして、自衛隊を追加明記する憲法改正を提案しているが、改正の動きは止まったままである。このままでは何の前進もないまま安倍内閣が終わる可能性が大きくなりつつある。第九条の改正は、まず吉田茂の遺した誤った解釈を正し、日本は自衛戦争に関する限り戦力も交戦力も保持していることを明らかにして、その上で、自衛隊を明記する以外にないだろう。この改正の仕方は吉田茂への批判を通さなければならないので、吉田茂の孫である麻生太郎氏がいる限りできないのではないかという意見もあるが、平成30年に阿羅健一氏との共著『吉田茂という反省』(自由者)をある人を通じて進呈したところ、麻生氏が『よく調べてできている。必ず読んでみる。2人の著者によろしく言ってくれ。』と言っていた、と聞いており、そのようなことはないだろう。」と、吉田茂と憲法第九条の解釈の問題点を解説されました。
元文部科学大臣・衆議院議員の馳浩様は、加田様に「最近国会でどのような質問をしたか?」と質問され、加田様は「経済産業委員会で、サプライチェーンの再構築と、新型コロナウイルスに係るセーフティーネット保証制度について質問をした。これまで指定されていなかった業界についても対象を拡大していくよう求めた。また、景気対策についても異次元の対策が必要である。」と答えられました。さらに馳様は、「私は4月1日にからスタートする働き方改革について、今厳格に適用すると中小企業の現場にダメージを与えることになるため、しばらくは厳格に適用しないよう求めた。教科書問題については、時期を見てご報告したい。」と付け加えられました。
東京国際大学学長・慶應義塾大学名誉教授 塩澤修平様
東京国際大学学長・慶應義塾大学名誉教授の塩澤修平様は加田様に対して、「サプライチェーンの再構築について、具体的にどのような議論があるか?」と質問され、加田様は、「今回の件で、思っていた以上にサプライチェーンを中国に依存していたことが分かった。電子部品だけでなく、私の地元で生産が盛んなケミカルシューズや、住宅関連ではドアノブなども中国に依存している。これをアジア圏内に移していこうと支援融資を検討している。これは中長期的な戦略になる。」と答えられました。
歴史学者・大阪観光大学国際交流学部講師の久野潤様は、「東京オリンピックと日本書紀について話したい。日本書紀は1300年前に編纂された。日本書紀の中にも疫病で多くの人々が倒れたという話はある。神様の子孫が国を造ったとされ、天照大神の孫の瓊瓊杵尊が天照大神から三種の神器を授けられた。瓊瓊杵尊のひ孫が神武天皇である。この時代は皇居=神殿とされたが、崇神天皇の時代に疫病が流行して多くの人々が亡くなったことから、皇居に天照大神の象徴である鏡を祀ったことが天照大神の怒りを買ったと考え、垂仁天皇の娘である倭姫命が現在の伊勢神宮内宮である皇大神宮に天照大神を祀った。このように、我が国では国難があるごとに政に誤りがなかったか反省してきたのである。今年は東京オリンピックの年であるが、実はこれが三回目である。前回の昭和39年の前に、昭和15年の東京オリンピックが決まっていた。これを招致したのが当時の東京市長の永田秀次郎である。この方は関東大震災の時にも市長として復興に尽力された。紀元2600年の特別な年に東京で何かやろうと考えていたときに、市長秘書の清水照男のアドバイスでオリンピック招致の打診をしていくことになった。当時オリンピックの開催はアメリカやヨーロッパばかりだったが、山本忠興が当時国際陸上競技連盟の会長だったエドストレームと会談して好感触を得たことで、正式に招致に向けて動き出した。一方、岸清一は紀元2600年の記念すべき年にオリンピックが失敗に終わったらどうするのかと反対したが、当時の朝日新聞の下村宏や加納治五郎が説得して、徳川家達を委員長として東京オリンピックの招致活動が始まった。ロサンゼルスオリンピックの際にIOC総会も開かれ、当時の強力なライバルはイタリアだったが、外交ルートでムッソリーニを説得して諦めさせ、ベルリンオリンピックの前月のIOC総会で東京オリンピック開催が決定された。当時のメディアも諸手を挙げて賛成した。これは、日本で国際的なイベントを開催するということだけではなく、オリンピックが日本の建国の精神と合致していると考えられたからである。しかし、支那事変が始まり、オリンピック開催権を返上した。オリンピック中止になって誰が喜んだか、日本が国際社会でどれだけイメージダウンしたかを考えてほしい。オリンピックはその国の歴史や文化を発信する大きなチャンスであったが、その機会を失った。今回コロナだからオリンピックを中止しろと言っている人もいるが、こうした歴史を知った上でしっかり議論してほしい。令和二年、日本書紀ゆかりの年にオリンピックを招致することができた。日本人が日本書紀についてきちんと伝えることが出来るか、自問自答しなければならない。1300年前の日本人が今の日本を見たらどう思うだろうか。見た目は変わっても、今も歴代天皇が皇位を継承され、古事記、日本書紀の神々が神社で祀られていることに日本を感じるのではないか。」と、日本書紀と東京オリンピックの関係について語られました。
産経新聞客員論説委員の皿木喜久様は、「四年前に産経新聞を退職した後、杉原先生から声が掛かり、『新しい歴史教科書をつくる会』の理事になり、『新しい歴史教科書』の執筆、編集を手伝った。昨年文部科学省から検定不合格の通知が届いたが、不合格とした理由を聞いているとだんだん腹が立ってきた。調査官の指摘のどこがとんでもないかはお配りしたリーフレットにまとめているが、そこに書いていないことをひとつ紹介する。古事記の原文には万葉仮名で書かれた古語がたくさん出てくるため、普通は読めないものであったが、これを読めるようにしたのが本居宣長である。そのことをコラムに書いたら、生徒に誤解を与えるとして不合格とされた。理由は、当時神主の中にも古事記を読める人がいたらしい、というあやふやなものだった。調査官の魂胆は、そもそも古事記は神話であって歴史ではないのだから教科書に載せるべきではないということである。そのため、天皇を敬う表現もダメで、西郷隆盛を英雄視するのもダメなのである。検定調査官は明らかに左傾化している。しかも4人の調査官のうち1人は毛沢東思想の研究家である。不合格にもめげず、教科書検定の不当性を訴えていきたい。『新しい歴史教科書』の市販本が4月に出版されるので、是非ご協力頂きたい。」と、教科書検定の不当さを訴えられました。
元東京五輪担当大臣・衆議院議員の櫻田義孝様は、「日本の教育は昔から左傾化していることは純然たる事実である。しかし、そのことをここで話しているだけでは世の中は変わらない。自民党の部会で話をすれば影響力は違うだろう。世論を喚起することも大切であるが、政策を変えるためには政権政党を動かす必要があり、そのためには自民党の中に理解者を増やしていくべきである。ここだけの話にするのは勿体ないことだ。教育は国家百年の計であり、将来の日本の姿を考えていく必要がる。そのためには本当のことを話し、広めていかなければならない。そうした点で勝兵塾の存在を尊敬している。」と、政策を変えるために政権与党を動かす必要性を指摘されました。
史実を世界に発信する会会長代行の茂木弘道様は、「教科書検定の調査官がかなりひどい左翼であるというが、国家公務員に準じて仕事をしているのであれば、どのような思想を持っていたとしても公正中立でやるべきである。本来教科書検定とは、内容が学習指導要領に沿っているか、書かれている内容が事実かどうかのみで判断すべきであり、右も左も関係ないはずである。それを自分の好みで判断しているとすれば、これは法律違反の犯罪行為である。」と、意見を述べられました。
在日本ルーマニア商工会議所会頭の酒生文弥様は、「5週間にわたってハンガリーとルーマニアを訪れた。妻の一族はハンガリー系ルーマニア人で、故郷はトランシルバニアである。ハンガリーの首都ブタペストの英雄広場にあるアッチラ大王の騎馬武者群像には戦国時代の武士とそっくりの鎧を着けたものがある。日本人とハンガリー人のルーツは同じ騎馬民族であるという説にも頷ける。トランシルバニアは豊かな穀倉地帯で、ルーマニアでは人口の4倍分もの食料が生産されている。ローマの伝統を最も受け継いでいるのがルーマニアであり、本来はローマニアと発音すべきである。日本はグローバル伝統主義を掲げ、伝統を大切にしながらも国際的に開かれた国になるべきである。」と、ハンガリー、ルーマニア訪問のエピソードを紹介されました。
勝兵塾事務局長の諸橋茂一様は、「私が中学一年生の時に、担任教師が『世界には自由主義・民主主義と共産主義・社会主義がある。』という話をしたので、私は『どういう国家体制が理想と考えますか。』と質問したところ、担任教師は『共産主義・社会主義が理想だ』と答えた。私は『皆が平等になれるから共産主義・社会主義の方が優れているというのは単純すぎるのではないか。どちらの体制にも良い点、悪い点があり、それらを補っていくべきではないか。』と発言したら、怒り出し、最後は何も言えなくなった。教師の言うことが正しいと思い込んではいけない。また、憲法第十五条に『すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。』とある。さらに刑法193条には、『公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、2年以下の懲役又は禁錮を処する。』とある。不当な教科書検定は法律違反である。また学び舎という共産党系の教科書は文部科学省の検定を通っている。」と、教育や教科書検定の問題点を論じられました。
武心教育経営塾塾長の近藤健様は、「教科書検定に関して、近隣諸国条項がまだ残っているが、こんなものが残っていたら良い教科書ができるはずがない。」と発言されました。
最後に塾長は、「日本がこのままではいけない。膨張する中国が力を付ければ、いずれ中国日本自治区になってしまう。本当のことを知れば皆保守になる。」「毎年2回行っている海外視察研修は、6月3日からブルネイを訪れる予定であったが、新型コロナウイルスの影響で全ての施設が閉鎖されているため延期し、9月9日から、もしくは9月16日からのいずれかの日程で実施したいと考えている。」と、会を締め括られると共に、海外視察研修の延期を発表されました。