第105回 勝兵塾月例会レポート

塾長・最高顧問 元谷 外志雄

塾長・最高顧問 元谷 外志雄

 勝兵塾第105回月例会が、2月20日(木)にアパグループ東京本社で開催されました。
冒頭のアパグループ元谷外志雄代表による塾長挨拶では、「日本におけるインフルエンザによる死者数は、昨年の1月から9月の9か月間で3、000人を超えるという。新型コロナウィルスによる肺炎で1人や2人が死んで大騒ぎしているが、大変なのは風評被害の方である。あらゆることが自粛、取り止めになり、そのことによる損失は大変な金額である。新型コロナウィルスは、感染力は強くても、致死率は低い。中国で最初に新型肺炎について警鐘を鳴らした医師の李氏が新型肺炎で亡くなったと言われているが、この肺炎で亡くなっているのは高齢者ばかりであり、まだ若い李氏が死んだのは、彼が習近平体制の初動の対応を批判することを政府が恐れ、口封じのために殺されたのではないかとも思える。日本人は中国を民主主義国と同じように思って商売をしているが、多くの日本企業が中国で全てを取られて撤退している。しかし、日中記者交換協定で日本のメディアは中国に不利なことは書かないと一方的に約束させられており、こうしたことがほとんど報じられていない。一方、中国は未だに南京大虐殺があったと主張しており、2017年の書籍問題では、『南京大虐殺を否定する書籍を客室から撤去せよ』とアパを批判し、最近では政府系のメディアが、『南京大虐殺を否定した日本企業が香港の暴徒を支持している』と報じている。国は引っ越しすることはできないのであるから、バランスオブパワーによって平和を維持しなければならない。しかし、力がなければこれは実現できない。だから、トランプ政権と安倍政権のうちに憲法を改正しなければならないのである。アメリカが民主党政権になれば、日本の改憲を認めなくなるだろう。安倍総理が2021年で退任すれば、次の政権が憲法改正に意欲を持って取り組むか不安である。九条について、今の自民党の改憲案では自衛隊を明記するだけであるが、これでは警察権でしか動けない現行解釈のままで不十分であり、さらに改正して、自衛隊を正式な軍隊とする必要がある。海外に行けば、多くの人々からアジアの平和のために日本に頑張ってほしいと言われる。1人や2人の死者を大々的に報じることによる風評被害は大きい。勝兵塾は本当のことを知るための場である。」と、新型コロナウィルスに関する過剰な報道を批判しました。

カリフォルニア州弁護士のケント・ギルバート様

カリフォルニア州弁護士 ケント・ギルバート様

 カリフォルニア州弁護士のケント・ギルバート様は、「日本国憲法の三大原則は、基本的人権の尊重、国民主権、平和主義であるが、このうち、平和主義とは何か? 多くの人々は戦争をしないことだと言う。3月10日に『プロパガンダの見破り方』という書籍を上梓するが、その中で紹介したことの一つとして、『光り輝く総論』というものがあり、具体的な例として、平和や平和主義がある。これらの言葉には誰も反対しないが、皆意味が分かっていない。平和主義はPacifismを日本語訳したものであるが、本来の意味は非戦主義、不戦主義である。つまり、たとえ自分が殺されても戦わないということである。これは誤魔化しだと思う。日本は平和だと言えるだろうか? ロシアや北朝鮮とは平和条約を結んでいない。『平和』は主観的な言葉で、客観的な意味はない。平和であることとは、秩序が守られていること、国内政治が安定していること、経済的に安定していること、戦争抑止力が十分にあることであるが、今の日本のどこが平和と言えるだろうか? Pacifismには大きな問題点が三つある。一つ目は、国際法だけでは安全を保護することは不可能なので国家の存続が危ないということである。トランプは、中国に対してきちんと対応している。トランプは、最初は中国と日本の違いがわかっていなかったが、当選してすぐに安倍総理と会って、安倍総理から中国の脅威について教わり変わった。アメリカでは、中国の報道機関をスパイと認定した。日本人は日米同盟があると言うが、アメリカが日本を守ると信じているのだろうか? 中国が尖閣に侵攻しても、アメリカは日本のサポートはしても、反撃の最初の一歩は日本がやらなければならない。アメリカが日本を守るときは、あくまでもそれがアメリカの国益に沿っているときである。つまり、日本の存続はアメリカの国益次第なのである。二つ目は、敵国に領土、国民、名誉を搾取されるということである。北方領土や竹島は取られたままで、尖閣も危ない。北朝鮮の拉致被害者もそうである。三つ目は、同盟国にただ乗りしていると批判されることである。日本の同盟国はアメリカしかない。アメリカから日本はただ乗りしていると言われているが、当然のことである。したがって、憲法を改正し、国民の意識改革が必要である。平和主義という言葉は誤魔化しであり嘘である。」と、憲法の三大原則の一つである平和主義の問題点を指摘されました。

東京国際大学学長・慶應義塾大学名誉教授の塩澤修平様

東京国際大学学長・慶應義塾大学名誉教授 塩澤修平様

 東京国際大学学長・慶應義塾大学名誉教授の塩澤修平様は、ギルバート様に対して、「Pacifismを国是とした具体例は歴史上あるか?」と質問され、ギルバート様は、「国ではないが、アメリカのクエーカーはPacifismを信条としている。彼らは政治に関心がなく、アメリカでは戦争があると徴兵されるが、彼らは信仰を理由に直接戦わない後援部隊に配属される。ただし、彼らにも国を守るという意識はある。」と答えられました。

衆議院議院の三ツ林裕巳様

衆議院議院 三ツ林裕巳様

 衆議院議院の三ツ林裕巳様は、「新型コロナウィルスは風邪のひとつであり、ほとんどの風邪には治療薬はなく自然に治るものである。日本ではインフルエンザで相当の方が亡くなっているが、なぜ不安にならないのか? それは抗ウィルス薬や検査キットがあり、多くの人々がワクチンを受けているからである。新型コロナウィルスは、感染力は強く、ダイヤモンド・プリンセス号で集団感染が起こったことで、皆不安に陥っているが、正しい情報を知ってほしい。ダイヤモンド・プリンセス号の船内の対応には専門家も入り、やれることはやっている。神戸大学の教授が船内に入って専門家もいないと言っているが、そのようなことはない。正しく知って恐れる必要がある。手洗いとマスクの着用で多くの風邪は防ぐことができる。ただし、政府の対応もきちんと検証する必要がある。どんな感染症でも、合併症を持っていると亡くなることはあるが、新型肺炎から8割の方々が回復していることがあまり知られていない。旅行に携わる企業や小売業などでは、かなり景気が低迷している。国が予算を費やして企業を守っていく。日本も感染症対策はしっかりやっているが、アメリカと比べると体制が脆弱である。アメリカのCDCは年間1兆円もの予算を使い、15、000人もの感染症専門医を擁している。日本も見習うべきことは見習い、CDCの規模まではいかなくとも、感染症対策の中心になるような機関が必要である。正しい知識を持ち、不必要に恐れず、企業活動が余り委縮しないようにしてほしい。」と、新型コロナウィルスに関して冷静な対応を呼びかけられました。

エルドリッヂ研究所代表・政治学博士のロバート・D・エルドリッヂ様

エルドリッヂ研究所代表・政治学博士 ロバート・D・エルドリッヂ様

 エルドリッヂ研究所代表・政治学博士のロバート・D・エルドリッヂ様は、「日米地位協定に含まれていないことで重要な問題がある。13年前に、神奈川県出身の女性が米軍関係者と日本女性とのトラブルを扱うNPO団体『沖縄ウーマンズプライド』を設立し、5年前からボランティアで顧問をしている。この団体に関われば関わるほど、アメリカに対して不満を感じる。日米同盟は、元々日本から提案したものであるが、旧安保条約の行政協定が今の地位協定になっている。地位協定の改訂については、私は論文の中で三原則を示した。基地の運用の透明性を高めること、互いの国のより高い水準のものを目指すこと、地方自治体が日米の合同会議に参加できること、である。米軍関係者が日本人女性と交際し、妊娠させた上で、突然連絡を絶ち、帰国したり、急にいなくなったりするケースが非常に多いことが問題である。これは単に男女の問題ではなく、生まれた子供の権利の問題でもある。現状は、子供の認知や養育費の請求についての制度がない。その結果、女性はシングルマザーとして子供を育てなければならなくなる。そうなると、貧困の連鎖を断ち切れないばかりか、生活保護によって最終的には日本の財政的な負担にもなる。逃げた米軍関係者を、米軍基地や総領事館が責任をもって探すべきである。これから思いやり予算の交渉が始まるが、交渉の中で、日本側から女性と子供の権利を持ち出してほしい。」と、米軍関係者との間で生まれた子供と女性の権利を守ることの必要性を訴えられました。

第二回アパ日本再興大賞優秀賞受賞作品の著者で南京事件研究家の阿羅健一様

第二回アパ日本再興大賞優秀賞受賞作品の著者で南京事件研究家 阿羅健一様

 第二回アパ日本再興大賞優秀賞受賞作品の著者で南京事件研究家の阿羅健一様は、「習近平は、2013年に国家主席に就任してから南京事件の宣伝をするようになった。2014年2月には外国メディアに南京記念館を案内し、12月13日を国家追悼日に決めた。3月にはドイツで南京事件について演説し、ホロコーストと南京を並べて印象付けようとした。4月にはデンマーク女王を南京記念館に案内し、12月13日の南京追悼式には自ら出席して演説した。この模様は全土で中継され、会場となった広場には約1万人が集まった。2015年10月にはイギリスを訪れ、女王陛下の晩餐会で南京事件に言及し、12月には抗日戦争記念館を開館した。2016年10月には南京事件がユネスコ登録された。2017年1月には中国外務省がアパを批判したが、これは習近平に忖度したものだろう。そして習近平は、同年12月にも南京追悼式に出席している。では習近平は本当に南京事件を知っているのか? 1949年に中華人民共和国が成立したが、1981年に南京事件が中学校の教科書に載るまで、中国の公式な文書のどこにも南京事件は書かれていなかった。習近平は1953年に生まれ、1979年に清華大学を卒業しているので、学校教育で南京事件を学ぶことはなかったはずである。それが、国家主席になって突然南京事件について言い始めたのである。世界中で南京事件を喧伝するような国家主席をなぜ日本が国賓として招待するのかと言いたい。」と、習近平の南京事件に関する行動を批判されました。

自民党政務調査会前審議役の田村重信様

自民党政務調査会前審議役 田村重信様

 自民党政務調査会前審議役の田村重信様は、「日本国憲法で一番問題なのは、平和時のことは沢山書いてあるが、有事や非常事態について全く書かれていないことである。非常事態とは戦争、内乱、大恐慌、自然災害、伝染病の蔓延などを含む。したがって、日本国憲法に非常事態の規定があれば、例えば武漢からチャーター機で帰国した人が検査を拒否することはあり得ないことである。憲法の前文では、『政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないように』とあるが、戦争は政府だけが起こすものではない。外国から攻めてきたらどうか? また、『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して』とあるが、周りの人々は皆いい人だから自分さえ悪いことをしなければ平和だ、なんてことはないだろう。北朝鮮や中国はどうなのか? 世界の憲法と比べて日本国憲法の一番の特徴は、第一章の天皇の規定である。そして、大問題なのは九条である。どう読んだって自衛隊は憲法違反と言われればそうである。少なくとも自衛隊を憲法に明記しようというのが安倍総理の考え方である。国民の権利義務について、十二条には自由及び権利は公共の福祉のために利用する責任を負うことが定められているが、このことは意外と忘れられている。また、十八条に、『何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。』と定められているが、日本に奴隷的拘束はない。LGTBの問題に関連して、二十四条には『婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し』とあり、同性婚を認めるためには、憲法を変える必要がある。さらに、第二項には『離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては』と、結婚より離婚が先に来ているのはおかしい。三十七条には罪を犯した人の権利は沢山書いてあるが、犯罪の被害者をどう守るかについては全く書かれていない。六十条には『予算』とあるが、成立する前であるから正しくは『予算案』である。七十九条六項に、最高裁判事の報酬について、『この報酬は、在任中、これを減額することはできない。』と定められている。八十条には下級裁判所について同様に定められている。裁判官だけ給料を減らされないのはおかしい。八十八条に『すべての皇室財産は、国に属する。』と書かれているが、そうすると八条の『皇室に財産を譲り渡し、または皇室が、財産を譲り受け、もしくは賜与することは、』という規定と矛盾する。八十九条は私学助成金の問題であるが、これもおかしい。九十六条には憲法改正の規定がある。にもかかわらず、憲法を一言一句変えてはいけないという主張は、それこそ憲法違反である。このように日本国憲法にはおかしなことがたくさんある。私の『ここが変だよ日本国憲法』という書籍に分かりやすく紹介している。」と、日本国憲法にある多数の問題点を指摘されました。

前環境大臣・衆議院議員の原田義昭様

前環境大臣・衆議院議員 原田義昭様

 前環境大臣・衆議院議員の原田義昭様は、「現在予算委員会をやっているが、与党側はしっかりした議論をやっている一方で、野党側は桜を見る会と検察庁の定年延長問題ばかりを朝から晩までやっている。それぞれ問題はあり、政府としてしっかり対応しなければならないが、予算案を来週早々には衆議院を通過させたい。私は習近平の国賓問題について、自民党の中で最も取り上げてきた。自民党総務会の会長代理をやっており、総務会や外交関係の委員会でこの問題について何度も発言してきた。外務省は、日中関係は過去にないくらい良好な友好関係だから習近平を国賓として歓迎すべきだと言っている。私も歓迎することを否定するわけではないが、日本固有の領土である尖閣諸島周辺への侵入は昨年秋から常軌を逸しており、さらに10名を超える邦人が故なく中国で拘束されているのであるから、国賓として日本に来る以上は、その前に中国にそうしたことを止めさせるべきである。半月ほど前に中国大使館から総務会のメンバーが食事に招待されたが、その席で大使に向かってこうしたことをはっきり言ったら食事の席は冷え込んだが、ありとあらゆる機会に、中国に対して直接言っていくことが大切である。外務省はいつも中国に言うべきことを言ったというが、結果を見なければならない。私は習近平が来るのは構わないが、やるべきことをやらせ、やってはいけないことを止めさせなければならないと思う。」と、中国に対して強く主張しない政府や外務省を批判されました。

 

 最後に塾長は、「習近平が国賓として日本に来る意図は、歴代の中国国家主席の任期が2期10年だったものを、その任期を撤廃し、2期を超えて国家主席を続けて、習近平帝国化を図ろうとしているところにあると思う。習近平が来日すれば、次は天皇陛下を中国に招き、自身の皇帝化のお墨付きを得ようとしているのだろう。かつて習近平が国家副主席だったときに、1カ月前までに申請するルールを破って天皇陛下への謁見を強行した。ここで習近平を皇帝化することは、この先の日本にとって大きな脅威になる。新型コロナウィルスを口実に、習近平の来日を一旦延期した上で、改めて断るという二段構えで進めればよいのではないか。」と、習近平の来日の意図を指摘され、会を締め括りました。