勝兵塾第103回月例会が、12月19日(木)にアパグループ東京本社で開催されました。
冒頭のアパグループ元谷外志雄代表による塾長挨拶では、「本日の日経新聞夕刊の一面に『アメリカ大統領弾劾訴追』という記事が出ていたが、あくまで下院での話であり、上院では否決されるだろう。来年の大統領選挙ではトランプは再選されるはずだ。安倍・トランプ政権でなくなったら、憲法改正はできない。このままではチャンスを逃すことになってしまう。日本でも安倍総理が自民党の党則を改正して総裁4選を認めるべきである。これまでも憲法改正を急げと言ったり書いたりしてきたが、本当に改正できるのか最近不安に感じる。中国は膨張し、アメリカと太平洋を二分しようと言うくらいであり、そこに日本が組み込まれようとしている。香港のデモでは、習近平はデモ疲れで収束するのを待っているのだろう。習近平の国家主席の任期が2期10年を超えると、中国は習近平帝国になってしまう。」と、中国の脅威と憲法改正の必要性について述べました。続けて12月6日に明治記念館で開催された第2回アパ日本再興大賞・第12回「真の近現代史観」懸賞論文受賞記念パーティーの模様を動画で視聴しました。
新しい歴史教科書をつくる会顧問で、第二回アパ日本再興大賞優秀賞を受賞された杉原誠四郎様は、「私が今回アパ日本再興大賞優秀賞を受賞したのが『吉田茂という反省』である。私は平成9年に『日米開戦以降の日本外交の研究』という書籍を刊行したが、国立公文書館で現在公開中のインターネット特別展『公文書に見る日米交渉‐開戦への経緯』の中の『参考文献』において多数の研究者の研究書が掲載されているが、私が平成9年に刊行した『日米開戦以降の日本外交の研究』という書籍は掲載されていない。この受賞を受けて、私は国会公文書館の館長に対して、不掲載に対して責任者の開示と謝罪、掲載の要請を書面で行った。憲法改正について、占領期に日本の憲法学者はどうすべきであったか? 現行憲法はアメリカが押し付けたとは言え、曲がりなりにも大日本帝国憲法の改正手続を経て成立したものである。当時公職追放で約21万人が職を失ったが、東大法学部の宮澤俊義は、英文の憲法草案を入手し、南原繁に報告した後、憲法研究会を作り委員長になって占領国による憲法に忠誠を誓うことで公職追放を逃れた。新憲法は旧憲法の改正手続を経てできたものであるから、できるだけ旧憲法に近い解釈をするべきであるが、宮澤は新憲法の主権在民について、主権が天皇から国民に移った革命であるとする『八月革命説』を唱え、旧憲法から離れた解釈をするようになった。主権とは国家の政治のあり方を決める『力』であると定義されるが、『力』だけで説明してはならない。すなわち、力は平和と幸福のために行使されなければならないのである。国民主権とは、政治的責任が国民に名実ともにあることを意味する。戦前は天皇主権と言われているが、旧憲法の改正条項では、帝国議会において三分の二以上の議員の出席で、出席議員の三分の二以上の賛成が必要としており、戦前も実質的にはずっと国民主権だったのである。さらにクビを恐れた宮澤は、皇室典範についても女性天皇を認めろと主張した。吉田茂のつくった内閣法制局は、宮澤の解釈を受け継いでいる。憲法9条の解釈について、芦田修正によってアメリカも日本が自衛のために戦力も交戦権も持つと考えていたが、吉田はそれが正しい解釈であると知っていながら、警察予備隊をつくるときにも自衛のための戦力も持てないという解釈をした。こうした解釈を元に戻せば、安倍総理の言うように憲法に自衛隊を明記することに反対する理由はなくなるのである。」と、現行憲法の解釈の誤りの原因が宮澤俊義にあることを指摘されました。
自由民主党副幹事長で衆議院議員の坂井学様は、「これまで11年間国会議員をやってきて、政務官、副大臣として省庁を代表して何度も海外に出張した経験がある。先日シンガポールを訪れた際に、ちょうど前日にシャングリラホテルで安全保障会議が開催され、それに安倍総理も出席されたが、そこでの安倍総理のスピーチが高い評価を受けて拍手喝采を受けたと聞いた。しかし、日本では安倍総理がシンガポールで高い評価を受けたことは全く報じられず、中国の代表が嫌味な質問をしたことだけが報じられたことは残念である。日本がアジアの人々に歓迎されていることを日本人は知るべきである。国際会議では各国の代表者が安倍総理と写真を撮りたくていつも列をつくっているが、このことも日本ではほとんど知られていない。安倍総理の国際社会における存在感が大きくなり、日本の存在感も大きくなっている。私が小中学生の頃は、日本は小さな島国だと刷り込まれたが、人口では第11位、排他的経済水域(EEZ)の面積では第6位、国土面積でも第60位くらいで、経済規模は第3位と、日本の存在感は大きい。私は松下政経塾出身であるが、松下幸之助塾主は、日本の特徴として、①衆知を集めること、②和の精神、③主座を保っていること、を挙げられた。日本は長く皇室を戴き、今年はちょうど平成から令和に時代が変わった節目であったが、国民の奉祝の意識が強く感じられた。日本はこの3つの特徴で世界平和に貢献していく。憲法改正については、現在副幹事長という立場で、取り組みを始めており、党が費用を負担して、各議員に憲法改正に関する情報を掲載した新聞をつくって地元で配布させたり、30人以上の集会をどれだけ開いたかを報告させたりして、憲法改正のムードを盛り上げようとしている。また、本日お集まりの皆さんの熱意を党に伝えていきたい。」と、国際社会における日本の存在の大きさと憲法改正に向けた取り組みについて話されました。
国際歴史論戦研究所(iRICH)所長で大阪市立大学名誉教授・経済学博士の山下英次様は、「9月の終わりから10月にかけてニューヨークに出張して、リバタリアン・スカラーズ・コンファレンスで、GHQ史観を根底から覆すようなプレゼンをしてきた。終戦直後の日本人は、戦争について罪悪感を持っていなかった。そのことは、鳩山一郎の1945年9月15日の朝日新聞への寄稿で、原爆投下は国際法違反でありアメリカに責任があると書いていたことからもわかる。しかし、それで朝日新聞が48時間の発行停止処分を受けて変わった。GHQは、WGIPと徹底した検閲によって、日本列島全体を『洗脳の檻』にした。あらゆるメディアが検閲の対象となり、大規模な公職追放が行われた。GHQによる洗脳には4つの方策があり、①伝統的な歴史と修身の教育の禁止、②ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム、③完全なる言論統制、④東京裁判、から成る。GHQによる占領統治は間接統治であったが、洗脳作戦だけは直接なされた。一方でGHQが事実上強制した日本国憲法が発効し、他方で憲法第21条に違反する完全なる言論統制を実施するという、アメリカによる完全なる欺瞞であった。これが検閲の事実を日本人だけでなく世界中の人々に対して秘匿した理由である。1952年にGHQが日本を去った後も、日本人の教育者やジャーナリストたちによって、GHQの洗脳が再生産され、現在もなお継続中である。日本人の中で、小野田寛郎さんだけがGHQの洗脳を逃れた。小野田さんは戦後29年間、フィリピンのジャングルにいて、1974年に日本に戻ってきたが、僅か半年後にブラジルに移住した。それは、戦前の頭の小野田さんが戦後の日本に深く失望したからだろう。小野田さんの行動で、戦後GHQによって日本人がいかに完全に洗脳されたかがわかる。」と、戦後のGHQによる洗脳の方策を明らかにされました。
なでしこアクション代表の山本優美子様は、「フランクフルトにある聖バルトロメウス大聖堂の向かいにあるハウスオブドームという協会の施設の玄関のすぐそばには、いわゆる慰安婦像と慰安婦に関する冊子が置かれている。その像のプレートには、『この“平和の為の少女像”は、第二次世界大戦時、全アジア太平洋地域に於いて日本軍から所謂慰安婦とされ軍の売春宿で性奴隷を強制された、数十万の少女と若い女性達の苦しみを追想するものです。』『女性に対する暴力がいつの時代にもあり際限がない様に、記憶と戒告にも際限を与えてはならないのです。 この記念碑は、非人道的な制度化された戦争犯罪の被害者を偲び、世界中の全ての性暴力被害者との連帯と平和を呼びかけるものです。』と書かれている。冊子にはドイツ人のベンジャミン・オートマイヤー教授による序文があり、その序文の中で日本がファシスト国家であることを執拗に強調し、天皇の下で日本軍による組織的な残虐行為があったと説明されている。さらに冊子では、元慰安婦と抱き合うシュレーダー元首相やトランプ大統領の絵や、慰安婦をお見舞いする文在寅大統領の絵、河野談話についても書かれている。昨年夏にはハンブルグで展示されたものであり、次もドイツのどこかの教会で展示されるだろう。フランクフルト周辺には韓国企業がたくさんあり、韓国人が増えている。ドイツ人は教会に行かなくなっているため、韓国人が教会から歓迎されている。こうした状況に対して、日本は十分な抗議をしていない。」と、ドイツにおける慰安婦像の展示の実態を披露されました。
勝兵塾事務局長で株式会社KBM代表取締役会長の諸橋茂一様は、「戦後日教組主導の教育が続けられてきている。教育問題について真剣に論じているのは産経新聞くらいである。配布したのは産経新聞の2007年9月8日付の『道徳教科書に不採択運動』という記事であるが、道徳の教科化が昨年は小学校で、今年は中学校で始まったが、教科書の採択で教育出版が発行する教科書を選ばないよう日教組や都道府県教組の関連団体が各教育委員会に要請したという。親が子を、子が親を殺める事件が相次ぎ、神戸の東須磨小学校では教師4人が後輩教師に対していじめを継続的に行っていたという信じられない事件が起こるのも、日教組による誤った教育が行われてきたからである。小学校の道徳教科書は8社から出版されているが、私はそのすべてを通読して評価したが、教育出版のものが最も優れていた。しかし、日教組、都道府県教組による不採択運動によって昨年は採択がゼロだった。道徳教科書では、生徒一人一人の人生における目標とすべき人物像を示すために、多くの偉人を教えるべきである。中学校の道徳教科書でも教育出版が最も優れており、各都道府県とゆかりのある人物とその人物が発した言葉をはじめ、百数十人もの偉人を掲載している。しかし、初年度の採択はゼロだった。今年になって、石川県の加賀市と愛媛県の松山市が教育出版の小学校用の道徳教科書を採択した。中学校用の歴史教科書は、自由社のものが内容が最も優れているが、公立中学校における採択はゼロである。現在日教組の組織率が二十数%だから影響力が低下していると思われているが、この団結した二十数%とばらばらの他の人々とでは、団結している方が強く、未だに日教組は強い影響力を持っている。さらに問題なのは、こうした事実を多くの国民が知らないことである。」と、戦後教育の問題と教科書選定で行われた不採択運動について話されました。
最後に塾長は、「本日も様々な話があったが、こうした数々の情けないことが起こった理由は、日本が戦争に負けたことである。アメリカが日本を洗脳して自虐史観を植え付けたのも、それだけ日本が強大な敵で、再び立ち上がり、広島・長崎の復讐をされるのを恐れたからである。今月号の座右の銘は『時代を超えて 妥協無き進化を求め 信じる道を突き進め』である。この『突き進め』という部分が多くの人々にはなくて、無難に話し合って妥協しようとする。真っ当な国になるように頑張ってほしいし、その第一歩が憲法改正である。」と、目標に向かって突き進む強い気持ちの大切さを強調して会を締め括りました。