勝兵塾第101回月例会が、10月17日(木)にアパグループ東京本社で開催されました。
冒頭のアパグループ元谷外志雄代表による塾長挨拶では、「皆さんに今月号のエッセイを配布しているが、冒頭の写真はファランクスガトリング砲全自動迎撃システムで、毎秒75発を発射することができる。これを全国の地方空港に配備し、さらに攻撃に耐えられる地下格納庫や弾薬庫を造って日本の防衛力を強化すべきである。日本を攻撃すれば痛い目に遭うと思わせることが抑止力になる。そのためには憲法を改正し、防衛費をGDPの2%程度にするべきである。」と、防衛力強化の方策を提言した後、「昨日、第3回審査会が開催され、アパ日本再興大賞の選考が実施されたが、ノミネート三作品のうち二作品について甲乙付け難いということで、いずれの作品もアパ日本再興大賞優秀賞として、賞金を各々500万円として表彰することになった。そのうちの一つが、本日講師をして頂く茂木弘道さんの作品である。懸賞論文の方はすでに発表済みだが、最近はレベルの高い方々からの応募が多くなり、応募総数は若干少なくなったものの、全体のレベルは上がっている。来年には皆さんにも是非応募していただきたい。今年は12月6日に明治記念館で表彰式と出版記念パーティーを開催する。」と、アパ日本再興大賞の選考結果を披露しました。
衆議院議員の三ツ林裕巳様は、「本日党本部の災害対策特別委員会に出席するため、ご挨拶をさせて頂いた後、すぐに退席しなければならなくなった。台風19号によって日を追うごとに大変な被害が発生している。この台風で亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りするとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げる。」とご挨拶をされました。
史実を世界に発信する会会長代行の茂木弘道様は、「アパ日本再興大賞優秀賞受賞と発表され、大変嬉しく栄誉に感じている。本日は『なぜ憲法改正が実現しないのか?』について話したい。『憲法九条は世界遺産』という書籍があるが、この書籍は『九条の会』が書いたものではなく、元自民党幹事長の古賀誠氏の著書である。古賀氏は先の大戦で父親が戦死し、苦労する母親の姿を見て、こういう考え方になったという。たしかに悲惨な戦争は二度としてはならないが、あの大戦から70有余年、九条憲法制定から72年が経っているが、世界遺産と呼ぶほど素晴らしい憲法なら、70年も経って、ただの1カ国もこれを取り入れた憲法を制定した国がないという事実を、古賀氏は一体どう考えるのだろうか? 日本だけが『世界遺産』と呼ぶべき素晴らしい憲法を持っているのに、ほかの『九条』憲法を取り入れた国がないということは、次のどちらかの場合である。『A.日本人は世界で最も優れた頭脳を持っている。つまり世界中の国は、こんな優れた「九条」憲法の素晴らしさを理解できない馬鹿である。』『B.世界中の人が馬鹿なはずはありえない。ということは、馬鹿なのは日本人である。』普通の常識で考えるなら、Bということになるはずである。しかし、古賀氏はAでもBでもなく、『九条』は優れていると思い込んでいるのだろう。これは論理的に矛盾しており、支離滅裂である。なぜこのような思い込みをしているのか? それは日本だけが犯罪的な戦争を引き起こしたという罪の意識を刷り込まれているからである。戦争は悲惨なものであるが、日本だけがやったわけではなく、相手がある。戦争の原因をつくり、戦争に引き込んだ国なくして、日本の戦争は起こったわけではない。ところが、アメリカの巧妙な洗脳政策であるWGIPによって、日本が罪の意識を持つことが当然であるかのように思い込まされたのである。その結果、『九条』という日本人のみが戦争犯罪人であるということを前提とした虚構がまかり通ってしまった。古賀氏はWGIPの犠牲者である。WGIPによって『九条』は『日本人差別宣言』であることに気が付かなくなってしまった。WGIPには表の報道準則(プレス・コード)と裏の検閲がある。1945年9月21日にプレス・コードが発布された。これは、GHQへの不当な批判は禁ずるが、公平な報道を行うことを前面に出したものであった。9月27日には『新聞言論の自由に関する追加措置』として、日本の戦時言論統制法令を撤廃し、言論の自由を保障すると宣伝したが、実際には、アメリカの戦時検閲法に代わっただけであった。占領軍は日本に言論の自由をもたらし、プレス・コードによって報道を正しい道に乗せたと宣伝し、我々もそう教育されてきた。しかし、徹底した事前検閲を実施し、検閲されているという意識を持たせずに情報統制を行った。30項目の検閲指針は裏の準則で、長らく秘密にされてきた。憲法について言えば、GHQが日本国憲法草案を起草したことに対する批判だけなく、起草したことに触れることも禁止された。そのため、いつの間にか国民の多くは『自主的に』民主主義を歓迎し、『平和憲法』を望んでいたかのように思い込んでしまった。憲法では検閲を禁止しているが、憲法議論、報道自体が、徹底的な検閲によって統制誘導されていたのである。つまり、現行憲法は検閲とそれに基づく誘導の下に成り立った憲法であり、基本的には虚偽が土台になっているということに対する理解を広めていかなければ、改憲は困難だろう。」と、憲法第九条の虚構と改憲が困難である原因について語られました。
朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊様は茂木様に、「『九条の会』に対して、『「九条」があれば戦争にならないと言うのであれば、なぜ世界中の国々は「九条」を採用しないのか?』『世界中に行って「九条」を普及すべきではないか?』と公開質問状を出せばよいのではないか。彼らは答えられないので、それでいかに彼らの主張がおかしいかがわかる。」と提言をされ、茂木様は、「全くその通りだと思う。スタートとして、まずは古賀誠氏に対して公開質問をすべきではないかと思う。」と答えられました。
早稲田大学ビジネススクール教授の相葉宏二様は、「私は実務家でビジネスパーソンとしてビジネススクールで教えている。子供の頃に3年間シンガポールで生活し、社会人になって2年間アメリカに留学、2年間ドイツで勤務するといった海外経験がある。なぜ私が歴史認識を変えたのかお話ししたい。8年前に中国語の勉強を始めて、その後中国の文化、社会、歴史などを学ぶと、自分の知っている歴史が現実と違うことに気付いた。その後、一般人向けの東アジアの歴史本(三部作)を書きあげ、電子書籍として出版した。いわば、本業と関係ないことを一人でやっている。さらに書籍の英語化、中国語化にも取り組んでいる。では、なぜ自分は長年気付かなかったのか? 学校教育の問題とメディアの問題がある。この二つが社会の左傾化を再生産し続けている。一方、私の周りでも日の丸を掲げている人は少数派であり、『右翼』のラベルを貼られるとコミュニケーションが難しくなるため、真実を知っていてもなかなか発言できない。さらに、多くのビジネスマンや学者、メディア関係者にはしがらみがある。幸い私は全く関係のないビジネスを教えているのでしがらみはないが、それでも早稲田大学には中国や韓国から留学生がたくさん来ているため、組織には迷惑を掛けたくない。自分にとって可能な選択肢は、あくまで客観的、中立的に事実を語ることであり、関心のなかった人に聞いてもらうことである。それもできるだけソフトタッチで語ることである。中国、韓国に重点を置き、日本語と英語で発信していく。電子書籍の利点はコストがゼロで本を出せることであり、ずっとデータが残っているので、いつでも宣伝ができることである。定年まで後4年半であるが、来年からもう少し本気で取り組もうと考えている。日経電子版にも広告を出して、興味のない人にも真実を知ってもらいたい。」と、歴史認識が変わったきっかけとその後の取り組みを語られました。
前環境大臣で衆議院議員の原田義昭様は、「1カ月前まで環境大臣を1年間務めてきた。気候変動によって各地で災害が起こっている。地球温暖化を何としてでも食い止めなければならない。そのためには化石燃料の使用を抑えて、再生可能エネルギーを活用する必要があるが、これまでうまく使われているとは言えない。再生可能エネルギーの国際会議に出席して感じたのが、ある時期までは日本は優等生だったのが、今は世界の動きに付いていけていないということである。太陽光発電や風力発電について、日本は技術では勝っていたが、商売で負けた。今は中国と韓国に市場を獲られている。また、プラスチックごみによる海洋汚染が進んでいる。大阪で開催された環境サミットでは、2050年までに全てのプラスチックごみを海に出さないと宣言した。環境大臣を辞める前に記者会見をして1年間を振り返った。福島第一原子力発電所跡地に直径20メートルのタンクが1、000個近く並んでいて、東電の担当者は水を溜めているだけでどうするかわからないと言っていた。そのことがずっと心に残っていた。専門家が議論をすると、最後は海に捨てるしかないが、それを言うと大変だと言う。そこで私は、最後に『海に捨てるしかない。』と発言した。ただ、福島の皆さん、漁業関係者の皆さんの風評被害に対しては、国が面倒を見ていかなければならない。世の中にはタブーがたくさんある。言わなければならないことはあるが、皆立場があるから言えない。処理済みの水を海に捨てても安全性に問題はないことは科学的に確認されており、原子力規制委員会の委員長も安全だから外に出しても良いと言っている。私としては、世の中を一歩進めるためにあのような発言をした。これまで勝兵塾で学んできて勇気を与えてもらったからできたことである。」と、環境大臣としての取り組みと、最後の発言に対する思いを語られました。
長野大学教授の山西敏博様は、「今年は童謡100周年である。童謡は日本の伝統文化であり、学校現場で積極的に採用し、復活してほしいと考えている。昭和・平成期における童謡学習の変遷を調べてみたが、昭和(1970年代)と平成(2000年代)とを比較すると、小学校1年生から6年生の平均で、音楽の授業で学ぶ童謡の数は4割以上減少している。つまり、日本の伝統音楽である童謡が学校内ですら学ばれなくなっている。また、1年生から6年生に共通して音楽の教科書に載っている童謡が『さんぽ』であるが、これは映画『となりのトトロ』の挿入歌である。体育科目では2012年度からダンスが必修になったが、創作ダンスやフォークダンス、現代的なリズムダンスの中から選択することになっている。しかし、日本文化の踊りである日本舞踊や盆踊りはない。幼少期である小学校は情操教育を施す貴重な場である。日本の伝統文化である童謡は詞の良さや歴史的背景を持っている。童謡を通じて心の豊かさや気持ちの穏やかさ、ゆとり、思いやりを持つようになれば、殺人やあおり事件、諍いを減らすことができるだろう。私は長野県から来ているが、先日の台風で千曲川が決壊した。早く地球温暖化を止めてほしい。昨年は北海道胆振東部地震で実家が被災した。さらに昨年の西日本豪雨では、1億円の義援金を寄付したアパグループに勇気付けられ、真備町でボランティア活動をした。被災してめげそうになった時に心の支えになったのが童謡である。」と、童謡の復活を訴えられました。
最後に塾長は、「本日の相葉さんのお話は大変良かった。学校で勉強ができた人ほど間違った歴史認識を持ってしまう。先生のこれからの活動に期待している。」と述べ、会を締め括りました。