勝兵塾第94回月例会が、3月21日(木)にアパホテル〈東京潮見駅前〉で開催されました。
冒頭のアパグループ元谷外志雄代表による塾長挨拶では、「先日『独ソエストニア戦線』という映画を観た。第二次世界大戦では悲惨なことが行われていたが、エストニアでは、エストニア人がドイツに占領されてはドイツ軍に徴兵され、ソ連に占領されてはソ連軍に徴兵され、同じ国民が2つに分かれて戦わされた。最も悲惨な戦争は内戦であるが、占領されたことで同じ国民が2つに分かれて戦わざるを得なかったことは、より悲惨なことである。平成8年にBig Talkで陸上自衛隊金沢駐屯地の基地司令と対談したときに、陸上自衛隊に防弾チョッキがまだないという話を聞いた。先日ワインの会で元陸上自衛隊東部方面総監の渡部悦和氏とお話ししたときに、防弾チョッキのことを尋ねたら、まだ全員に行き渡っていないと話されていた。今時、どこの国の軍隊も自国兵を大切にするものであり、防弾チョッキくらい全員に与えなければならないと思う。さらに、公開演習では未だに10年前、20年前と同じことをしており、バイクを使って偵察をしていたが、今なら偵察はドローンでできる。自衛隊は、装備では第二次世界大戦のソ連やドイツより劣っているのではないかと思う。日本の防衛予算はそれなりに多いが、そのかなりの部分が人件費に費やされている。人員を半分にしてでも装備を最新鋭にすべきではないか。そうすれば士気も能力も上がるだろう。また、日本の技術が最も進んでいるのが海上自衛隊であり、特に潜水艦の技術は世界最先端である。日本は周囲を海で囲まれていることが最大の防御である。周囲が全て核保有国となった今、憲法改正が時期尚早であるとか、非核三原則だとか言っている場合ではない。核は威嚇のための兵器であり、対抗するためにはやられたらやり返す姿勢を示さなければならない。NATO4か国が結んでいるニュークリア・シェアリング協定を日本も締結し、核バランスを取ることが東アジアの安定につながる。先日、スティーブ・バノン氏と対談したが、その時に彼は『中国は最悪の敵』だと言っていた。ここまで言い切った人はバノン氏が初めてである。」と、自衛隊の装備の後進性を指摘され、装備の近代化と核バランスの必要性を説きました。続けて、3月19日に行われた、アパホテルプライド〈国会議事堂前〉の開業披露式典の模様を視聴しました。
衆議院議員の逢沢一郎様は、「代表は国益を念頭に置いて外交や安全保障などに関して強い発信力で世論を形成していかれている。北東アジア地域を見ると、日本は核保有国に囲まれている。北朝鮮も核保有国となった。核の運搬技術はまだ高くないと言われているが、それでも認識していた以上のレベルである。我が国は、日米同盟と自衛隊の組み合わせで安全が保たれてきた。中国は技術開発力が上がり、金融大国、経済大国となって、一日も早く米国に追いつこうとしている。我々は相当な緊張感を持って向かっていかなければならない。先日ある新聞に、米中高官の会話として、『日本の沖縄は中国のものだった』という認識を中国から米国に対して発言したことが記事になった。こうした動きにも神経を使っていかなければならない。歴史的に沖縄は日本のものであることは明らかであるが、高官レベルで中国が米国に対してあのような発言をしたことが、大手新聞の記事になったことは問題である。アメリカでは、共和党だけでなく、民主党やメディアからもトランプ大統領が再選される可能性が高いという声が大きくなってきている。オバマが世界の警察官の役割を放棄し、その方向性は今後も変わらない。日本の安全保障について正面から国民に働きかけていく時期に来ている。また、世界の安定や平和のために日本がどれだけのコスト負担をしているか考えなければならない。国連分担金はこれまでアメリカに次いで2位だったが、中国に抜かれた。世界全体の中で日本のプレゼンスの低下に危機感を持っておくべきである。現在PKOはゼロであり、難民の受入も欧州に比べて極めて少ない。感染症対策では技術的な支援はしてきたが、グローバルファンドへの支援は補正予算の中でやりくりしながら工面している状況である。」と、外交と安全保障の視点から日本の課題を指摘されました。
日本国史学会代表理事で東北大学名誉教授の田中英道様は、「先日国立劇場で行われた天皇陛下在位30年記念式典に参列した。二階の一番前の真ん中から天皇皇后両陛下のお姿を拝見して大変感動した。陛下のお言葉の中で『30年戦争を経験せぬ時代を持った』とあったが、日本人全体の平和志向が世界にも影響を与えてきた。しかし、世界の左翼化した言論に対して戦っていかなければならない。天皇陛下は『象徴としてどうあるべきかを考え、行動してきた』とお話しされたが、『象徴』という言葉が果たして天皇の理想的な姿を規定しているのか?『象徴』はOSSが規定した言葉であり、OSSは対日占領政策の中で『天皇を象徴として利用する』としていたのである。OSSを支えていたイデオロギーグループがフランクフルト学派であった。社会を分析するマルクス主義から社会を破壊する方向に向かった。現在、世界の文化が中性化、空虚化している。グローバリゼーションは世界を同一化し、文化や伝統を忘れさせようとしている。教育においても文化や伝統を忘れさせようとしている。最近の若者は近くに神社仏閣があっても何の事だかわからない。しかし、天皇の存在は大きく、そこに日本の文化の中心がある。記念式典には、天皇陛下がいて総理や三権の長がいて、そうした人々が集まっている姿を見て国体を感じた。マスコミが何を言っても、国体がしっかりしていれば125代続いた日本の強さは揺るがない。式典の後のお茶会でも、国家という家というものが日本の根幹であり、家族としての結びつきの要因であることを感じた。これは契約国家とは違う伝統である。」と、伝統と文化の大切さを説かれました。
朝鮮近現代研究所所長の松木國俊様は田中様に対して、「フランクフルト学派は旧来の価値観を壊してきたが、この先にどんな世界を創ろうとしているのか」と質問され、田中様は、「労働者革命は不可能だとわかったため、マルクス主義者が方向転換し、権威権力を批判し続けることだけが目的となった。朝日新聞は一貫して権威を批判してきた。現代芸術にはごみを並べて芸術だと言っているものがあるが、あらゆる精神性を剥奪するものである。これに対抗するためには、文化伝統を守ることが必要である。日本では全ての文化が並立する。市民主義は本来であれば天皇の存在を否定するだろうが、日本ではそうはならない。これが日本を守っているのであり、今後も守り継いでいくべきものである。」と答えられました。
「空の神兵」顕彰会会長・元出光興産株式会社の奥本康大様は福井様の話を受けて、「出光興産に努めていたとき、三菱商事との合併話があり、岩崎弥太郎記念館の館長と話す機会があった。当時『龍馬伝』というドラマが放映されていたが、龍馬と岩崎弥太郎が友のように交流していた様子が描かれていたが、それは全くの嘘で、その館長がNHKのプロデューサーに誤りを指摘したら、そのプロデューサーは『大河ドラマはフィクションだ』と言って却下した。」と、NHKの大河ドラマの捏造に関するエピソードを披露されました。
元銚子市長・新しい歴史教科書をつくる会副会長の岡野俊昭様は、「先日、ジュネーブの国連に行ってきた。国連は公平なる場所でも権威のある場所でもなく、勧告が出されても無視しても良いものである。左翼が国連を権威付けして利用しているだけであり、国連は各国が国益を追求する場である。日本人がもう少し誇りを持てるような発言、報道をしなければならない。義和団事件では、日本軍が先頭に立って義和団を駆逐したが、駆逐した後、各国は略奪したが、日本軍は整然として略奪は一切しなかった。このことをイギリスが大きく報道して日英同盟となった。過去に立派な日本人がいたことをもっと知らなければならない。私は35年間教員をやり、市長を3年弱やったが、真実を語り、社会主義と闘ってきた。左翼にとっては嘘をつくことがまともなことである。国連に行くのは反日日本人であり、国連人権委員会は反日日本人の巣窟である。左翼は現地に拠点を持ち、活動している。私達は寄附金を募り、自腹を切って行っている。本来国が戦う姿勢を見せなければならない。国連に加盟するためには、日独伊に対して宣戦布告をしなければならない。国連憲章に敵国条項があるからである。理事会は国家の代表であるが、委員会は民間の政治組織がやっており、そこには左翼しか選ばれていない。国連は公平ではなく、大国が言いたいことを言っているだけである。非道なことをしている中国は拒否権を持っており、人権問題にならない。憲法前文に『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して』とあるが、日本以外に公正で信義のある国があるだろうか。」と、国連の問題を指摘され、戦うことの必要性を訴えられました。
慶應義塾大学経済学部教授の塩澤修平様は岡野様に対して、「国連で反日日本人が活動しているが、これに対抗していくためにはどこから始めていけば良いか」と質問され、岡野様は、「活動に大切なのは資金調達である。左翼には2、000億円の資金があり、本当は政府が動くべきことである。」と答えられました。
さらに、大阪市立大学名誉教授・経済学博士の山下英次様は、「資金はこれまでは何とかなってきたが、これから楽観できる状況ではない。資金だけでなく、ジュネーブ(国連)に行く人も増やさなければならない。左翼は35年間活動してきたのに対して、我々は5年間である。まだ成果はあまり出ていない。左翼が嘘を吹き込んできてそれが蓄積されてきたからである。」と補足されました。
第11回「真の近現代史観」懸賞論文最優秀賞藤誠志賞受賞、文明工学研究家の草間洋一様は、「西洋に『ダチョウの平和』という慣用句がある。ダチョウは天敵に狙われて生命の危険が迫ると、その恐怖を見まいとして砂に頭を突っ込むという。真実から目を逸らす偽りの平和を『ダチョウの平和』と言うのである。この『ダチョウの平和』を地でいって滅んだ人間の種族がいた。南太平洋の孤島に住んでいたモリオリ族である。滅ぼしたのは同じポリネシア人のマオリ族である。1835年11月から12月に、ニュージーランドの北島に住むマオリ族が武装して、モリオリ族が暮らしていたチャタム諸島に侵攻した。モリオリ族は、話し合って必要なら食料なども分けてやるつもりだったが、マオリ族は聞く耳を持たず、次々と虐殺した。モリオリ族が一丸となって立ち向かっていけば勝てたかもしれないが、彼らは『ダチョウの平和』を選び、絶滅したのである。これを遠い世界の薄気味悪い昔話として片付けるわけにはいかない。呆れるほど愚かな現代日本版モリオリ族が、いたるところにはびこっているからである。『戦後ずっと平和であったのは、平和憲法第九条のお陰である』などと言っている人達のことを、私は『モリオリ症候群』と呼んでいる。GHQが国際法に違反して日本に押し付けた憲法を聖なる経典とする日教組などによる洗脳教育と、日本の再生復活を阻止しようとする反日護憲左翼のマスメディアによるプロパガンダによって、モリオリ症候群は発症する。悪質なのは、確信犯的モリオリ症候群患者、すなわち日本国家の再生復活を阻止しようとする敗戦利得者である。彼らを厳しく糾弾したのは渡部昇一先生だった。さらに日本復活を阻む障壁は、植民地根性丸出しの拝米保守派である。しかし、『核の傘』ははじめから神話に過ぎない。間もなく御代替わりとなるが、平成の三十年間、最悪最低のテロ独裁国家北朝鮮から特定失踪者を含む数百人の拉致された同法を救出することができなかった。国家間の条約、約束も平気で反故にし、従軍慰安婦や徴用工など歴史の捏造で日本を貶めながら金を強請り取ろうとする韓国も同じである。中共も地下資源の存在が明らかになるや尖閣諸島の領有権を主張し、さらに琉球新報や沖縄タイムスなどの地元紙を操り、多くの工作員を動員して沖縄の日本からの分離独立の謀略を着々と進めている。『古来、戦うことを忘れた民族、国家はみな滅んでいった』」と、平和ボケした日本人に対して警鐘を鳴らされました。
最後に塾長は、「これまでいろんな国を訪れてきたが、日本の大使は国益を主張せず、国会議員などが来た時の接待係となっており、問題を起こさないように誤ったことを言われても反論しない。昨日エルサルバドルの駐日大使と会食をしたときに、南京大虐殺や従軍慰安婦などは全くの捏造であるといった話をした。中国が非道なことをしながら日本でほとんど報道されないのは、日中記者交換協定があり、中国にとって都合の悪い報道をしない前提で日本のメディアの記者の駐在が認められているからである。しかし、日本の中小企業が中国に行って悲惨な目に遭って全てを奪われ、さらに日本に戻ってからも請求書を回されている現実がある。現在の中国、韓国をつくったのは日本のお金と技術であり、それも日本から盗み取ったものである。このような不平等協定は国が関与して撤廃すべきである。エルサルバドル大使はこの日中記者交換協定のことを知らないと言っていたし、他の駐日大使もほとんど知らないので、まずは駐日大使を啓蒙する。外務省も勉強すべきである。外務省もほとんど東京裁判史観に囚われて、謝罪ばかりしてきたから日本は誇りの持てない国になっている。私は誇れる祖国日本の再興を目指す活動の一環として、この勝兵塾を主宰している。さらに、懸賞論文制度をつくり、この10年間で日本の保守化に大きく貢献してきたと自負している。」と、日中記者交換協定の問題を指摘され、誇りを取り戻す運動の意義を唱え、会を締め括りました。