勝兵塾第93回月例会が、2月21日(木)にアパグループ東京本社で開催されました。
冒頭のアパグループ元谷外志雄代表による塾長挨拶では、「自民党総裁外交特別補佐の河井克行代議士の紹介で、3月8日にスティーブ・バノン氏の講演会をこの会場で開催することになった。バノン氏はトランプ大統領に解任されたと言われているが、今でもトランプ大統領とは親しく、政権運営の助言をしたり、安倍総理の考え方をトランプ大統領に伝えていると言われている。」「韓国が日本に対して出鱈目なことばかり言っているのは、北朝鮮が核を保有することをトランプ大統領が容認すると考え、韓国が核を持つ北朝鮮に擦り寄って連邦朝鮮になろうとしてからだろう。核を保有する連邦朝鮮は日本の脅威となり、さらに完全に中国の支配下に入れば、日本に突き付ける刃となり、いずれ日本は中国日本自治区に成り下がってしまうだろう。これに対抗するためには、憲法を改正し、非核三原則を撤廃して、アメリカとニュークリア・シェアリング協定を結ぶ必要がある。メディアは憲法改正を全くニュースにしないし、国会議員の中には急ぐ必要はないと言っている人もいるが、次の参院選で改憲勢力が三分の二を下回る可能性が高く、今憲法改正を実現できなければ、この先改正は不可能になるだろう。憲法無効論という考え方もあるが、これはクーデターのようなものであり、国民の支持は得られない。あくまで現行憲法の条項に基づいて改正すべきである。私は本当のことを知ってもらうために勝兵塾を立ち上げた。本当のことを知り、日本は韓国に対して毅然とした態度を取っていかなければならない。」と、日本が置かれている危機的状況に警鐘を鳴らしました。
衆議院議院運営委員長・衆議院議員の高市早苗様は、「昨年12月に『サイバー攻撃から暮らしを守れ!「サイバーセキュリティの産業化」で日本は成長する』という本を出版した。私は32歳で初当選し、今は57歳となり、人の上に立つ立場になることが増えてきた。自民党が野党だったとき、広報本部長として『日本を取り戻す』というキャッチコピーで活動を行い、政権復帰後は政調会長を務めた後、総務大臣を2年11カ月務めた。総務大臣は総務省の4、5千人の職員のトップである。その時に常に考え方の物差しにしてきたことは、大学卒業後に松下幸之助から学んだ経営理念である。11月3日を『明治の日』にしようと取り組んでいるが、明治時代は五箇条の御誓文があり、富国強兵や殖産興業など国家理念が国民にまで浸透していた。昭和42年に松下幸之助と佐藤栄作が対談した時、佐藤栄作が自分のことを『公僕』と言ったことに対して、松下幸之助は『「公僕」は官僚のことを言うのであって、政治家は主権者の代表だ』と言われた。だから私も、決して自分を『公僕』だとは言わない。『君子豹変す』いう言葉があるが、実行の直前まで最善の方法を考えていた結果であり、リーダーは最善の手を打つためにはギリギリで方針を転換するものである。また、人のせいにしないということをいつも自分に言い聞かせている。失敗することもあるが、人のせいにしていたら、同じことが起きたらまた失敗する。それよりも失敗の原因を冷静に分析するべきである。様々な『不正』も話題になっているが、謝罪の効果は時間に反比例し、肩書きに比例する。何か起これば、まずトップが記者会見を開くべきである。」と、リーダーとしての心構えを説かれました。
内閣官房副長官・衆議院議員の西村康稔様は、「バノン氏は中国のことをよく理解しており、トランプ政権に対して今なお強い影響力を持っていると言われている。米朝首脳会談を前に、安倍総理とトランプ大統領が電話会談をして、核やミサイルの他、拉致問題についても話したが、トランプ大統領は拉致問題について協力すると約束した。昨年11月に来日した際には、拉致被害者のご家族に声を掛けて気遣い、拉致問題に対して理解がある。安倍総理は、自分の手で拉致問題を解決するという強い決意を持っている。北方領土についても、自分とプーチン大統領との間で決着を付けたいと考えており、これまで26回にわたって首脳会談を行い、そのうち多くの時間を二人きりで話してきた。その間に相当突っ込んだ議論をしていたし、信頼関係ができている。憲法改正についても、この機会でないと難しくなるので、安倍総理には是非道筋をつけて頂きたいと思っている。参議院では野党第一党がどこか決まらない状況であるが、しっかり審議を進めていきたい。安全保障に関して、日本の自衛隊に対する評価が国際的に高く、イギリスやオーストラリアとも準同盟国と言えるような緊密な関係である。さらにフランス、ドイツ、インドも日本と協定を結ぼうとしている。日本は世界の中でも政権が安定しており、人口が減少しても成長してきた安定した国家であるため、安全保障でも貿易でも、日本と一緒にやっていきたいと思っている国がたくさんある。国連改革を進めて、日本が国際社会の中でリーダーシップを発揮していけるようにしていきたい。」と、安倍総理の決意や国際社会の中での日本の評価の高さについて語られました。
リベリア共和国大使館臨時代理大使のズコリレイ・ジ・コンゴ様は、「リベリアは西アフリカの小さな国であり、アメリカから黒人が移住してできた。18世紀に多くのアフリカ人が奴隷としてアメリカに連れて行かれたが、アメリカで黒人の人口が増えすぎたため、アメリカは奴隷を解放し、アフリカに戻った黒人によってできた国がリベリアである。この地は黒人が住むのに適した地であり、アメリカの思想や文化が持ち込まれてできた自由な国であり、国旗はアメリカの星条旗と良く似ている。アメリカの憲法に倣って自分達の憲法も作った。アフリカに対してポルトガルやフランスが重い税をかけてきたが、自分達はこれを拒否し、主権を守ってきた。日本とは1961年に国交を樹立して、1970年代にはマグロを日本に輸出した。戦争もあって苦労してきたが、日本は良いパートナーとして助けてくれた。2014年にエボラ出血熱が流行した時も日本は支援をしてくれた。今年の8月に開催されるTICADの際には大統領も来日するので、政府だけでなく民間の方々にも是非来ていただきたい。」と、リベリア共和国の成り立ちを紹介されました。
元陸上自衛隊東部方面総監の渡部悦和様は、「私は陸上自衛隊に36年勤務し、5年半前に退官した。退官後は米中の安全保障、特に中国人民解放軍について研究し、うち2年間はハーバード大学で研究を行い、『中国人民解放軍』という本を出版した。習近平は2016年から人民解放軍の大改革を行っている。その目的は『戦って勝つ人民解放軍の建設』である。3年が経過し、逐次改革の効果が出てきており、改革は2020年まで続く。習近平は『中国の夢』を頻繁に語るが、その夢とは『中華民族の偉大なる復興』である。つまり、まず米国と肩を並べ、最終的には世界の覇権を握ることである。その夢を達成する目標とする年は2049年、つまり建国100周年の年である。習近平の語る夢とは、海洋強国の夢、宇宙強国の夢、航空強国の夢、科学技術強国の夢であり、さらに、2030年までにAI強国になると宣言している。米中覇権争いの背景にはこうした習近平の夢がある。人民解放軍の総合的な評価をすると、2000年以前は2流3流の軍隊だったが、第3次台湾海峡危機を契機に、人民解放軍の近代化を推進してきた。現時点で米国が世界一であり、中国は2位争いをロシアとしている。近い将来2位になるが、米軍には勝てないだろう。しかし、台湾紛争が起これば中国本土に近いため、米軍は航空優勢の確保に苦労すると言われている。また、尖閣も中国本土に近いため、日米連合でも相当の努力が必要であり、防衛費がGDPの1%では足りない。人民解放軍は、陸軍、海軍、ロケット軍、戦略支援部隊から構成されており、このうち陸軍を削減し、海軍、空軍、ロケット軍を強化している。さらに、サイバー戦、宇宙戦、情報戦を行うのが戦略支援部隊である。最近中国は月の裏側に到達し、衛星を静止させる能力も持っている。中国の宇宙戦の実力はバカにできない。さらに、統一戦線工作部が非軍事的手法で平時から工作を行っている。これはコミンテルンを真似て創った組織であり、政治、経済、大学等あらゆる分野に影響を及ぼしている。したがって、目に見えない工作にも注意していかなければならない。」と、中国人民解放軍の実力と軍事戦略について語られました。
慶應義塾大学経済学部教授の塩澤修平様は、「中国に対抗するために、日本はまず何をすべきか。」と質問され、渡部様は、「防衛大綱と中期防衛力整備計画では、クロスドメイン・オペレーションが採用された。サイバー空間や宇宙における防衛体制を作らなければならない。」と答えられました。さらに、第29代航空幕僚長の田母神俊雄様は、「中国が尖閣諸島を獲ると決めてきたらどのような作戦で来ると考えられるか。」と質問され、渡部様は、「非軍事主体で来るだろう。海軍の下には海上民兵がおり、漁民に偽装して数百隻単位で尖閣に集まり、海上保安庁が上陸を阻止しようとしたら、中国公安の辺防海警部と中国海軍が妨害してくるだろう。」と答えられました。また、ハーバード大学Igノーベル賞受賞教授のサー中松義郎博士は、「ハーバードに2年いたと言っていたが、どこにいたのか。」と質問され、渡部様は、「アジアセンターにいた。これはかつて日本の経済界が作ったものであるが、今は中国、インド、アセアンなどアジア全般の研究をしている機関である。そこで研究した成果が防衛大綱や中期防衛力整備計画に取り入れられている。」と答えられました。
大阪市立大学名誉教授・経済博士で国際歴史論戦研究所(iRICH)所長の山下英次様は、「昨年8月にジュネーヴ国連人種差別撤廃委員会対日審査に向けた委員とNGOとの間の会合で、GHQ史観を根底から覆す内容のスピーチを行った。国連でこうした趣旨のスピーチをしたのは初めてだろう。さらにテル・アヴィーヴ大学におけるイスラエル日本学会の大規模な国際シンポジウム『明治維新から150周年』でも、左翼が多い中、同様の内容の報告を行った。これまで国連などでは左翼に対する受動的な反論を行ってきたが、はじめて脱GHQ史観を能動的に発信した。11月に国際歴史論戦研究所(iRICH)を設立し、国連での左翼の構成に対する受動的な反論に加えて、主要な国際会議において脱GHQ史観を積極的に発信し、さらには日本人の視点から歴史を書き換えることを目指している。1919年2月13日は、日本政府がパリ講和会議の国際連盟規約検討委員会において、国際連盟規約に人種差別の撤廃を盛り込むよう主張した日である。そこで2月13日を『脱GHQ史観の日』と定めて顕彰していく。」と、国際的な場での歴史論戦への取り組みについて語られました。
衆議院議員の山田美樹様は、「大学卒業後、通産省に入省し、内閣官房を経て、アメリカ系コンサルティングファーム、フランス系ファッションブランドで働いた。ファッションブランドでは4年間裏方のような仕事をしていたが、フランス本社に1か月間研修で行ったときにカルチャーショックを受けた。フランスでは、日本では考えられないくらいのんびり仕事をしていた。日本の産業政策はものづくり中心で、頑張れば頑張る程、利幅が小さくなるが、フランスのファッション業界は、技術的には難しくはないのに利益率が高い。日本もブランド価値を上げて効率的に稼ぐ必要があると感じた。フランスでは国家戦略としてブランドビジネスに取り組んでいる。私は日本発のスーパーブランドができないかと考えている。日本にも素晴らしいものがたくさんあるものの、日本のブランド品は単品が多く、ライフスタイル全般のアイテムを揃えていく必要がある。また、フランスにはコルベール委員会という、ラグジュアリーブランドの業界団体がある。日本では省庁が縦割りであることが問題であるが、ブランドビジネスについても民間と一緒にやっていくことが重要である。高いものを売ることは緊張するものだが、カリスマ販売員は、『お客様と会話をして、お客様にとってその商品が唯一無二になるようなストーリーを作る。』と話していた。私の座右の銘は、『ファンタジーがなければ生きていけない』である。高級品は生活必需品ではない。しかしただ住む所と食べる物と着る物があるだけでは、人間は幸せに生きることはできない。震災の時、自分達の仕事はどうやって世の中の役に立てるのか真剣に考えた。その答えを教えてくれた言葉である。」と、夢や憧れを持つことの大切さを訴えられました。
議員立法支援センター代表の宮崎貞行様は、「フランスは貴族社会でありブランドに対する需要もあるが、日本は戦後貴族がいなくなったため、ブランドに対する嗜好が薄いのではないか。」と質問され、山田様は、「バブル経済のときは、全世界の半分のブランド品を日本人が買っていた。ただ、それはブランドだから、皆が持っているから買うというようなものであった。値段が高いから、ネームバリューがあるからではなく、その人にとって本当に価値のあるものでなければならない。」と答えられました。
朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊様は、「韓国の文喜相議長が天皇陛下を侮辱する発言をして、日本人の82・5%が怒っている。このことに対して河野外務大臣は『残念だ』と言って韓国の康京和外相にシラを切られ、菅官房長官は『遺憾だ』と発言したが、これも空砲のようなもので意味がない。さらに二階氏は『無視』を表明した。日本民族が侮られているのであるから韓国に対してはっきり目に見える形で物を言わなければならない。日本の誇りを守り、この国を子孫に受け継ぐために、韓国に対して断固とした態度で抗議すべきである。」と意見を表明されました。第十一回「真の近現代史観」懸賞論文最優秀藤誠志賞受賞・文明工学研究家の草間洋一様は、「今の話に賛成である。自民党の偉い方々は何をしているのか。自民党の右に旗を立てて集まる人に日本を引っ張ってもらいたい。韓国をこのままにしておくわけにはいかない。」とコメントをされました。
最後に塾長は、「世界は混乱しており、新帝国時代とも言える状況になった。この原因を作ったのがオバマの8年間であり、シェールガスの登場である。アメリカは世界の警察官の役割を放棄し、原油輸入国から輸出国になったため、中東の重要性が低下し、中国の台頭や北朝鮮の核保有につながった。東西冷戦時は日米安保があり、日本は経済に専念して冷戦漁夫の利を得た。そのため冷戦終結後、アメリカの敵は日本の経済力になった。今アメリカは中国に対して貿易戦争を仕掛けているが、日本も油断してはならない。北朝鮮問題の本質は中国とアメリカの北朝鮮の取り合いである。アメリカ最大の敵は中国である。習近平は10年の国家主席の任期を撤廃し、中国を習近平帝国化した。日本が中国日本自治区に成り下がらないためにも、アメリカとニュークリア・シェアリング協定を締結して核バランスを取らなければならない。三発目の核爆弾が落とされる危険性が最も高いのが日本である。日中記者交換協定を結んでいるため、日本のメディアは中国にとって不利な報道ができないが、多くの人がこのことを知らない。この不平等協定を撤廃するためには政府が動かなければならない。憲法改正はまだ早いと言っている国会議員も多いが、参院選が終われば憲法改正はほとんど不可能になる。日本に残された時間は少ない。日本人が結束しなければならない時期に、野党は些細なことで政権を責めたてており、国賊的な国会議員が多すぎる。憲法改正を発議し、国民投票までの6カ月間で憲法改正の大国民運動を起こし、一般市民にまで広げて行く必要がある。この機会を逃せば永遠に憲法を改正することはできない。」と、憲法改正の必要性を再度強調されて、会を締め括りました。