勝兵塾第92回月例会が、1月17日(木)にアパグループ東京本社で開催されました。
冒頭、アパグループ元谷外志雄代表は塾長挨拶において、「ラスベガスのベラージオで開催される毎年恒例のニューイヤー・パーティーに参加した。ラスベガスの賑わいを見て、アメリカ経済の良さを感じた。トランプ大統領に対して様々な論調があるが、あのまま民主党政権が続いていたら、大変なことになっていただろう。トランプ大統領と安倍総理がいるうちに日本が真っ当な国にならなければ、いずれ日本は中国日本自治区になってしまう。日本は核保有国に囲まれており、三度目に核を落とされるとすれば、それは日本である可能性が最も高い。日本が核攻撃を受けた場合、誰が反撃してくれるのだろうか。アメリカも国益に沿わなければ助けてはくれない。特に自国が核攻撃を受けるリスクを冒してまで、日本のために反撃してはくれないだろう。憲法改正は二段階ですべきだと思うが、二段階とも安倍政権の間にやらなければならない。まず、衆参で改憲勢力が三分の二以上を占めている今発議できなければ、参院選挙後に三分の二以上を占めるのは困難であり、憲法改正は絶望的となる。衆参ダブル選挙を嫌がる公明党や野党に対して、『憲法改正の発議に賛成しなければ衆参ダブル選挙をするぞ』と説得して、現有議席のうちに発議をすべきである。さらに、北朝鮮が核武装をした現実を踏まえ、非核三原則という愚かな国会決議を廃止し、アメリカとニュークリアシェアリング協定を締結すべきである。この参院選の前後で日本の方向性が正しい方向に定まらなければ、この先が危うい。ラスベガスのパーティーでは毎年同じテーブルで会う元アメリカ空軍将軍から、『12月号のアップルタウンを持ってきてほしい。』と頼まれたので持参すると、サインをして『これをトランプ氏に渡して政策の参考にするよう伝えたい。』と言っていた。」と、日本が置かれた危機的状況と憲法改正の必要性を訴えました。
ウズベキスタン共和国雇用労働大臣のグドビエフ・シェルゾッド・ダウリャヒビチ様は、「本日ウズベキスタンについて紹介できる機会を与えて頂き、大変感謝している。ウズベキスタンは1991年に旧ソ連から独立した国で、中央アジアの真ん中に位置し、サマルカンドなどの都市が有名である。人口は330万人で国土は44万㎢である。人口の約50%が田舎に住んでいる。ウズベキスタン人は日本人と似ているところがあり、自分の国を誇りに思うとともに、年長者を大切にしている。2年前から新しい歴史に向かって、政治や経済に関する新しい戦略が始まっている。世界に対してオープンになったウズベキスタンでは、70カ所の日本語学校があり、21の大学で日本語を学ぶことができる。日本では労働力不足が10年続くと聞いている。この問題を一緒に解決するために、私もウズベキスタンの労働大臣として取り組んでいきたい。2019年4月から日本は特定技能者として外国人労働力を受け入れると聞いている。ウズベク人は日本のことを良く知り尊敬しているので、ウズベキスタンの人材を是非受け入れて頂きたい。戦後日本人の捕虜はウズベク人と一緒になってウズベキスタンの発展に貢献してくれた。これからもウズベキスタンと日本の関係を深化していくために一緒に取り組んでいきたい。」と、自国の紹介とともに、日本での人材受け入れに期待を示されました。また、本日は駐日ウズベキスタン共和国大使館特命全権大使のガイラト・ファジロフ様も参加されました。
ダウリャヒビチ様に対して、慶応義塾大学経済学部教授の塩澤修平様は、ウズベキスタンの産業構造について質問され、ダウリャヒビチ様は、「ウズベキスタンの主な産業は、エネルギーや鉱業、農業等である。失業率は9・3%であるが、これは毎年多くの労働人口が増えているからである。」と答えられました。
内閣総理大臣補佐官・参議院議員の衛藤晟一様は、「今年は己亥(つちのとい)の年で、御世代わりの年である。日本に新しい転換が起こる予感がする。第一次安倍政権では教育改革に取り組み、59年ぶりに教育基本法を改正した。改正によって、道徳教育や自然を尊ぶ心、公共精神、地域や国を愛する心を養うことを盛り込んだ。これは大転換だった。平成8年には歴史教育について、中川昭一さん、安倍総理とともに歴史教育を考える若手議員の会を立ち上げ、いわゆる従軍慰安婦や教科書問題について勉強した。『従軍慰安婦』という言葉は新しく作られたものであり、『慰安婦』や『慰安所』という言葉はあったが、調べても強制連行されたという事実は出てこなかった。そこで教育基本法の改正に取り組んだのである。転換期である今、憲法改正が大きな課題である。日本国憲法には天皇陛下が行う行為として多くの事が国事行為として残っている。占領下のドタバタの中で、当時の方々が憲法の中に書き入れて立憲君主制が維持されたのである。憲法の中に日本の文化や伝統をかろうじて残すことができたのは再評価すべきだと思う。憲法第9条については問題が大きい。かつては第9条を全部変えたいと考えていたが、4年前の平和安全法制のときのことを考えれば、今は自衛隊を明記する以外にないと考えている。9条1項では国際紛争の解決手段として戦争を放棄しているが、この条項は多くの国が持っているものである。9条2項について、今までの運用では、自衛隊を軍と呼べないが自衛力は持っているとされてきた。交戦権がない点も、国際法上は侵略のための交戦権は保持しないが、自衛権の行使はできるとされている。もし9条2項を削除すれば、軍隊と交戦権を持つことができるが、それでは4年前の平和安全法制の議論に戻ってしまう。当時は憲法学者の三分の二が平和安全法案は憲法違反と言った途端、野党は憲法違反、戦争法案、徴兵に繋がるとレッテルを貼って反対した。そこで、まずは憲法に自衛隊を明記して、自衛隊を正式に認めることにしたい。憲法を改正するには、国会議員の三分の二以上の賛成による発議と国民投票で過半数の賛成が必要である。憲法を全部変えろという意見もあるが、とてもできる状況ではない。憲法を改正するために、自公や維新だけでなく、野党にも丁寧に説明していく。25年前の自公さ連立政権や20年前の自自連立政権のような政界再編をやってでも新しい国をつくる。新しい日本の道筋をつける年にしたい。」と、憲法改正の難しさと実現に向けての取り組みを語られました。
衛藤様に対して、新しい歴史教科書をつくる会顧問の杉原誠四郎様は、「よく現行憲法は占領軍が押し付けたと言われるが、占領軍は再検討しろと言ったのに、再検討しなかったのは吉田茂である。しかも、第2項について、本来であれば自衛権は持っていると解釈すべきであるのに、吉田茂はそうしてこなかったのである。このことについてどう思われるか?」と質問され、衛藤様は、「第2項に『前項の目的を達するため』という芦田修正があることで、自衛権は持っていると解釈すべきであったが、吉田茂はそう解釈しないと国会で答弁した。交戦権がないということは、侵略的交戦権はないということであり、自衛権は行使できる。したがって、現行のままでも実質的には困らない。一方、第2項を外すと、PKOだけでなくPMOまで出ていくことができるようになる。しかし、欧米がぐちゃぐちゃにした世界に、なぜ日本が出て行って自衛隊員が命を賭けなければならないのかと思う。米中新冷戦の中で、日本の自衛力を高める必要があるが、自衛のために必要なものは何かを考えていかなければならない。交戦権を認めると言うと戦争を認めるのかという批判が必ず出てくる。平和安全法制での苦労を教訓にして、憲法改正では勝たなければならない。」と答えられました。
朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊様は、「憲法は解釈によってかなりの部分は修正できるとあったが、一番の問題はポジティブリストとネガティブリストの違いである。自衛隊は警察と同じ位置付けで、ポジティブリストに基づいて行動することになっており、危機の際に臨機応変に対応できない。一方、海外の軍隊はネガティブリストに基づき、自由に行動できる。自衛隊もネガティブリストに基づいて行動できるようにすべきではないか。」と質問され、衛藤様は、「完璧を求めるより、まずは勝てるところで憲法改正を進めるべきではないか。今回の改正では、自衛のための力をはっきり持とうと訴えていく。そして『自衛隊を否定するのか』という、我々が勝てるような選択を国民に迫っていく。」と答えられました。
慶應義塾大学経済学部教授の塩澤修平様は、「強い経済は国際社会における日本の立場を強め、国民の誇りと気概を高め、安全保障を強化し、独立自尊の精神に繋がる。少子高齢化の実態を見る上では、年齢による生産人口比率を見るのではなく、元気な65歳以上は生産人口に含めるなど、実質を見ていく必要がある。持続可能な社会システムでは、社会保障費に関して長期的に収入が支出を上回る必要がある。そのためには健康年齢を延伸して歳入を増やし、歳出を減らすことが求められる。心身の状態は健康と病気の間を連続的に変化するものであり、健康と病気の二者択一ではない。既存システムでは、健康な生活習慣を持つ人が不健康な生活習慣を持つ人の医療費を負担する社会であり、不公平感があるだけでなく、危険な状況を放置し、悪化してから対処する非効率性がある。そこで、健康寿命延伸の努力が報われる制度が必要となる。そのためには未病の状態の時の行動を評価できることが前提となる。この未病概念の活用は、個人にとっては健康寿命の延伸や積極的な社会参加、幸福感の最大化に有効であり、企業にとってはビジネスチャンスの拡大、政府・自治体においては医療介護費用の削減や産業の創出育成などのメリットがある。技術進歩は不可能を可能にする。AIやロボットなどの新技術を有効利用することで生産性が向上する。さらに、差別化された価格付けが可能となり、経済的誘因を付与しやすくなる。福澤先生は『学問のすすめ』の中で、『貧富強弱の有様は天然の約束に非ず、人の勉と不勉とに由りて移り変わるべきものにて…我日本国人も今より学問に志し、気力をたしかにして先ず一身の独立を謀り、隋て一国の富強を致すことあらば、何ぞ西洋人の力を恐るるに足らん。道理あるものはこれに交り、道理なきものはこれを打ち払わんのみ。一身独立して一国独立するとはこの事なり。』と言っている。」と、持続可能な社会保障制度を構築するための新たな仕組みを提案をされました。
塩澤様に対して衆議院議員の木村次郎様は、「安倍政権では全世代型社会保障改革に取り組んでいるが、どのように進めていけばよいと考えるか。」と質問され、塩澤様は、「社会保障改革は教育の問題でもある。現行制度ができたときと今とではモラルが違う。生活保護は、かつてはもらうことは恥ずかしいという意識が強く、自力で何とかしようとしたものであるが、いまでは最低賃金より高いということで受給することに抵抗感がなくなっている。これでは制度が破綻してしまう。健康に対する意識も同様である。格差社会といって税金を取るだけでなく、富を創る人を大切にし、努力する人が報われる制度にしていくべきである。」と答えられました。
ハーバード大学Igノーベル賞受賞教授のサー・中松義郎博士は、「未病の評価はどのような項目に対してどのように行っていくのか。」と質問され、塩澤様は、現在はスマートウォッチや家の中のセンサーによって健康状態に関する情報を集めることができるので、それらを収集・分析することで評価ができるようになる。」と答えられました。
環境大臣・衆議院議員の原田義昭様は、「勝兵塾に参加したことで環境大臣になっても堂々と、気候変動から地球を守ることは大変重要な問題であると語ることができる。環境問題に関して国際会議に何度も出席して、日本の立場を主張している。今年は6月に大阪と長野でG20が開催される。日本は議長国としてしっかり取り組んでいかなければならない。」と発言されました。
「空の神兵」顕彰会会長で元出光興産株式会社の奥本康大様は、「私は正しい戦争の歴史に関する講演を行ったり、顕彰を行う傍らで、千葉で家裁の調停員と保護司をやっている。日本には三千年の素晴らしい歴史と文化があるが、戦後核家族化が進み、それらが正しく受け継がれていくのか危惧している。日本では家庭内や親族間の揉め事は、調停前置主義といって、まず双方の話し合いで合意を目指すことになっている。合意すれば調停調書が作成されるが、これは確定判決と同じ効力を持っている。調停員をやっていて感じるが、あまりにも多くの日本人の未熟な男女が、できちゃった婚をして、紛争を起こして離婚している。その結果、居場所のない子供がたくさんいる。両親が離婚した場合、多くの子供は母親に引き取られるが、母親が朝から晩まで働く結果、子供は居場所がなくなり、非行に走るという、負のスパイラルに陥っている。貧困家庭の問題も、派遣法による非正規雇用者がなかなか上に行けず貧困に陥っている。また共働き家庭では子供がきちんと育てられているのかという問題もある。0歳から保育所に預けて健全に育つのか疑問である。愛情を持って子供を育てることをもう一度考えてほしい。また、保護司として、出所した人の面倒も見ている。底辺にいる人がだんだん悪くなっていくのを何とかして良くしたいと思っている。そうしなければ伝統や文化が受け継がれない。私が出光興産に勤めていたときは、共働き禁止だった。日本を良くするためには子供を育てることが大切である。」と、今の家庭と教育の在り方について問題提起をされました。
勝兵塾事務局長の諸橋茂一様は、「国会では、与党、野党ともLGBTに関する法案を提出しようとしている。電通の調査ということで、国会内で、国民8・9%がLGBTで、8割がLGBT法案に賛成であるという数字が広まっていると聞いたが、周りを見てLGBTがそんなにいるのか疑問に思う。憲法改正をはじめ、今取り組むべき重要な問題は他にあるのではないかと思う。現行憲法は、国内法的にも国際法的にも違反して作られたものであり、衆参の過半数の賛成で現行憲法の無効決議を行い、大日本帝国憲法に基づき改正する方法もある。昨年11月30日から12月4日まで、アパグループ・勝兵塾・ACC・FC・PH海外視察研修旅行として、ドイツのベルリンとポツダムを訪れた。主たる目的は、『ポツダム宣言』が発せられたポツダムを見ることにあった。国土、人口、GDPのいずれも日本はドイツを上回っている。ドイツはヨーロッパの中心国であり、経済力も第一位であるが、それを上回る日本は実は大きな国である。ドイツがヨーロッパ戦線を勃発させたことで第二次世界大戦が始まった。その背景には、第一次世界大戦後のベルサイユ条約で、1、320億マルクという当時のドイツのGDPの2・5年分の過大な賠償金を課したことで、ヒトラーの台頭を許したことと、ドイツのラインラント進駐とズデーテン地方の割譲を、英仏が宥和政策で認めたことにある。その結果、ヒトラーの暴走に歯止めがかからずポーランド侵攻につながった。これは宥和政策が大きな仇になった例である。今の日本も同じであり、中国や韓国、北朝鮮及びロシアに対して毅然とした態度を取るべきである。」と、第二次世界大戦の英仏の宥和政策の失敗と日本が置かれている状況の共通点から、日本が取るべき姿勢を説かれました。
最後に塾長は、「多くの日本人は憲法9条があるから日本は平和であると思っており、さらに多くの日本人は日米安保があるから日本は外国から攻められることがなかったと思っている。しかし、同盟は双方にメリットがなければ破られるものであり、平和を維持するためにはバランス・オブ・パワーが必要である。そのためには、やられたらやり返すという強い意志を示す必要がある。日本が戦わないのにアメリカが日本を助けるはずもなく、日本が戦い、アメリカにとって助ける必要があると判断すれば助けるかもしれない。しかし、どの国も自国第一主義であり、他国のために自国民が血を流すことを、国民に納得させることはできない。日本は、やられたらやり返す、取られたら取り返す、そのための装備を持たなければならない。核は1個でも100個でも同じである。北朝鮮は核を持ったからアメリカ大統領と対等に話ができるようになった。日本が自国で核を開発すると今は不利益の方が大きいため、まずは憲法を改正し、非核三原則を廃止して、アメリカとニュークリアシェリング協定を結ぶべきである。日本の潜水艦技術は世界最高であり、潜水艦に核兵器を搭載して、いざというときに指揮権をアメリカから日本に渡すようにしておけば、そう簡単に日本に核攻撃はできなくなり、日本の独立は保たれる。過去の中国は経済的にとても貧しかったが、ここ25、26年の成長は目覚ましいものがある。この背景には、多くの貧しい国民からの搾取がある。13億人中、9・4億人が農民戸籍であり、残りの都市戸籍の国民も一部を除いて貧しい。一部の人間に富が集中し、経済的に発展したのである。アメリカはアフリカの黒人奴隷を使い、ヨーロッパは植民地支配によって経済的に発展してきた。どの国も格差を利用して経済的に発展したのであり、日本のように平等な国はない。そのような不条理なことはこれからも起こる。その中で日本が真っ当な国として存続し続けるためには、平和憲法があるから、日米安保があるからといった寝ぼけたことを言っている場合ではない。もう時間がだんだん無くなってきている。チベットや内モンゴルやウイグル自治区のようになってはならない。今最も危ないのが台湾である。先日、習近平が台湾に対して、一国二制度で統合しないかと言った。トランプが大統領であるうちに日本が真っ当な国になるように憲法改正に取り組み、やるだけやってダメだった時にはじめて憲法無効論を考えるべきである。」と日本が置かれている危機的状況を改めて強調、日本の取るべき施策について提言し、会を締め括りました。