勝兵塾第89回月例会が、10月18日(木)にアパグループ東京本社で開催されました。
冒頭のアパグループ元谷外志雄代表による塾長挨拶では、「勝兵塾月例会が第89回を迎え、東京、金沢、大阪でこれまでに延べ18、000人以上の方々に参加して頂いた。27年間に亘って月刊誌『Apple Town』を発刊し、その中で毎月エッセイを連載してきた。こうした活動が日本の保守化に貢献してきたと言えるだろう。今月号のエッセイは『中国バブル崩壊に日本も備えるべき』というタイトルだ。内容を中タイトルのみ紹介すると、『米中貿易戦争で危機を迎える中国経済』『今回の米中の貿易摩擦の争点は米国労働者の賃金抑制と失業率上昇の阻止である』『債務超過に怯えて中国から離反するアジア』『覇権米中攻防長い対立の始まり』『北朝鮮を潜在核保有国とするな』である。近日中に皆さんには先行配信するので、是非読んで頂きたい。また、『座右の銘カレンダー』を製作中であるが、そこに載せる座右の銘を31編選ぶ。現在人気投票を募集しており、投票結果の上位10編をカレンダーに載せる。すでにアパグループ社員から集まってきているが、勝兵塾の皆さんにも投票して頂きたい。」と、今月のエッセイの紹介と、座右の銘人気投票募集の告知をされました。
駐日モンテネグロ名誉領事、ニューヨーク大坪不動産社長の大坪賢次様は、「ニューヨークに渡って今年で50年になる。来年の4月末日を以って平成が終わるが、この30年間、日本はどうだったか。30年前の世界の企業の資産価値の1位はNTTであり、2位が日本興業銀行、3位が住友銀行、4位が富士銀行と続き、上位50社中32社が日本企業だった。しかし、今はアップルやアマゾンが上位に並び、日本企業は上位50社の中にトヨタが35位に入るのみである。この間に中国が伸びてきて日本の国際社会における地位は停滞した。トランプ大統領は貿易赤字を問題にしているが、日本企業はアメリカで86万7千人を雇用し、製造業だけでもこれまで5兆円の利益をアメリカにもたらしてきた。しかし、アメリカ人はこういうことをほとんど知らない。トランプ大統領でさえ、日本のことは全く知らない。これは、日本がこれまで言うべきことを言ってこなかったからである。私も幼少期には『男なら黙っていろ』と教えられてきた。日本人の中ではそれでも通用するが、外国人の中で自分の意見を言わなければ無知だと見なされる。自分の意見をはっきり言えるようにならないと、国際社会で生きていけない。日本は中国や韓国、その他のアジアの国々に取って代わられてきた。日本には素晴らしいものがたくさんある。いかにして日本を良くしていけるか皆さんと取り組んでいきたい。」と、国際社会の中で日本が主張していくことの必要性を説かれました。
衆議院議員の馳浩様は、「アメリカに50年おられて、どのようなことで日本人であることを誇りに思われたか」と質問され、大坪様は、「アメリカに渡って10年間は大学院に通い、その後ビジネスコンサルタントを経て1983年から不動産を始めたが、『日本人は契約の有無にかかわらず約束を守る』と信用された。日本人であることで信用してもらうことができ、人種差別を感じたことは全くなかった。ニュージャージー州のフォートリーにも慰安婦像が建てられた。韓国人は役所や議員、ボランティアとしてアメリカ社会に広く入り込んでいるが、日本人のほとんどは日本を向いて生活しているため、韓国人に勝てない。」と答えらえました。
麗澤大学大学院特任教授の高橋史朗様は、「4月に韓国に初めて調査に行き、ナヌムの家も訪れた。そこに大変驚くべき元慰安婦の絵が絵葉書として販売されていた。ユネスコに世界記憶遺産として登録申請されている絵であるが、その絵は昭和天皇が木に縛り付けられて目隠しをして三丁の拳銃で狙いを定めて『責任者を処罰せよ』と書かれたものである。さらに同じ人物が描いた、慰安婦が日の丸を切り裂いて、そこから滴り落ちる血が土下座して謝っている昭和天皇の上に注がれているという絵や、二人の慰安婦と日の丸の上で土下座している、同じ軍服を着た、おそらく昭和天皇だと思われる男性の絵の3点を含む25点が絵葉書として販売されていた。しかも日本語で『ナヌムの家』と書かれており、日本人がたくさん買っていることがわかる。さらに、多くの慰安所や慰安婦の写真が展示されていたが、ほとんどが日本人、日本の研究者や活動家が提供したものである。私が歴史認識問題研究会を立ち上げたのは、『戦争責任研究』という研究誌があり、そのメンバーが30年前からジュネーブやニューヨークに行き、国連を味方に付けて議論を展開してきたが、日弁連や部落解放同盟がどのように国連の委員会と癒着し、彼らの出した意見書がどのように対日勧告に反映されてきたのかを、30年遡って検証するためである。韓国の国立日帝強制動員歴史館は韓国政府が52億円を出して建てられたものである。そこには『戦犯企業』として、日本企業273社を列挙しており、年末になると徴用工の訴訟が蒸し返される可能性がある。さらに、『過去を反省しない悪い日本人』として、椎名悦三郎、佐藤栄作、石原慎太郎、安倍晋三らの名前が出てくる。つまり、国立の博物館で日本の現職総理が批判にさらされているのである。こんなことに抗議しないで良いのかと感じた。2月28日に韓国紙が一斉に『旧日本軍の朝鮮人慰安婦虐殺映像資料を初公開』と報じた。朝鮮人慰安婦虐殺の19秒の映像を見て頂きたいが、映像では6体の遺体があり、これを朝鮮人慰安婦だと主張している。中心人物はソウル大学のチョン・ジンソン教授であるが、この方は国連女子差別撤廃委員会の委員でもある。これに対して反論している方が何人かいる。韓国のイ・ウヨン氏は、19秒の映像から『朝鮮人慰安婦虐殺』説を主張するには論理的飛躍があると指摘している。早稲田大学の浅野豊美教授は、既に映像資料の内容に関して論文を書いており、『騰越城が陥落してから撮影されたものだと考えられる。』としている。韓国人の教授も『死亡者が韓国人であるという断定的な根拠も、爆撃ではなく銃殺であるという断定的な根拠もない。』と言っている。さらに、日本側に明確な資料がある。『イラワジ会戦‐ビルマ防衛の破綻』『騰越玉砕記』『拉孟騰越‐玉砕の実相』の3冊の書籍を調べたが、この映像は朝鮮人慰安婦の虐殺というものではない。元自衛官の奥茂治氏が雲南省を訪れ、膨大なマイクロフィルムから韓国紙の報道を検証したが、フェイスブックで『韓国の言う日本軍が慰安婦を虐殺したとの記述は全く書かれていませんでした。』と述べ、3月14日付八重山日報も『現場とされた中国雲南省を訪れ、博物館や図書館を回り、関連書籍の入手やマイクロフィルムの確認、日本軍に虐殺されたとする朝鮮人慰安婦30人が生存し、国民党軍の捕虜になったとする当時の新聞を発見したという』と報じている。北海道大学の岩谷教授も中国側の資料を調べ、写真と30人殺害は無関係と結論付けている。最後に、トニー・マラーノ氏はNARA所蔵の虐殺映像の説明文には、『中国兵が死んだ日本兵から靴下を剥いでいる』と記述されていると指摘している。私もフィルムを確認したが、説明カードに指摘の通り書かれていることを確認した。つまり朝鮮人慰安婦虐殺映像というものではないということが、アメリカの資料からも明らかになった。私達は『新発見』ということをすぐに大騒ぎするが、検証して事実を示していかないと嘘が通ってしまう。」と、韓国における反日活動や「韓国人慰安婦虐殺」説の真相について語られました。
第29代航空幕僚長の田母神俊雄様は、「韓国における反日活動の資金はどこから出ているのか」と質問され、高橋様は、「全てはわからないが、例えば国立日帝強制動員歴史館は国が52億円も出して造り、そこでは日本の現職総理大臣が批判されているのだから、国を挙げてやっていると言えるだろう。」と答えられました。
大阪市立大学名誉教授・経済学博士で、「不当な日本批判を正す学者の会」(AACGCJ)理事・事務局長の山下英次様は、「来年は日本の人種差別撤廃提案100周年である。1919年2月13日にパリ講和条約の国際連盟規約起草委員会において、連盟規約第21条『宗教条項』に人種の平等を認めるように提案したが、『宗教条項』自体が削除され、日本提案は実らなかった。さらに4月11日には連盟規約の前文に人種平等を盛り込むよう草案の修正を提案し、採決の結果11対6の圧倒的多数によって支持されたが、議長のアメリカ大統領ウィルソンが全会一致にすべきとして、この提案を退けた。このウィルソンは反日親露の人物である。日本が人種差別撤廃を提案した背景には19世紀に有色人種として唯一国家の近代化と工業化に成功した日本に対する人種差別措置があったからである。日本が日清戦争に勝利した翌年の1895年からヨーロッパで黄禍論が起こり、20世紀に入るとカリフォルニア州で排日移民法が成立し、1924年7月には米連邦議会で絶対的排日移民法が施行された。これには新渡戸稲造や内村鑑三、芦田均といった親米の識者でさえも憤慨した。日本に対する人種差別が日米戦争の大きな背景である。一方、1942年1月の東條英機による国会演説では、開戦の理由を、アングロ・サクソンの植民地主義の桎梏から諸国の民族を解放することと共産主義との戦いと主張し、1943年11月の大東亜共同宣言では人種差別撤廃を宣言した。第二次世界大戦中、ユダヤ人を受け入れた国は日本ぐらいであり、1938年12月に五相会議でユダヤ人の受け入れを認める猶太人対策要綱が決定されていた。100年前に人種差別撤廃を提案したことは日本の外交政策上の遺産・資源であり、歴史問題に関する日本人の誇りを取り戻すきっかけとすべきである。さらに、このテーマを突き詰めると戦勝国史観を根底から覆し、近現代史の真実が見えてくる。」と、日本が戦前から国際社会に向けて人種差別撤廃を提案してきた歴史とその意義を説かれました。
山梨県立大学国際政策学部国際コミュニケーション学科教授・国際学博士の斎藤直樹様は、「10年以上北朝鮮の核・ミサイル開発と我が国の安全保障への影響について研究してきた。2018年6月12日に初の米朝首脳会談が行われ、共同宣言では完全な非核化に合意したとされているが、遅々として進んでいない。2013年3月、金正恩指導部は『経済建設と核武力建設路線』の並進路線を採択した。経済建設路線は失敗したが核武力建設路線は驚くべき進展を見せた。2016年1月以降、核実験と弾道ミサイル発射実験を繰り返し、米国本土に対する核攻撃能力の獲得を目指した。金正恩はICBMを完成させ、トランプに強硬な要求を突き付けようとしたのである。2017年7月にICBMの発射実験を、9月に初の水爆実験を行い、11月の火星15型ICBMの発射実験では射程距離約13、000㎞となり、金正恩は『国家核戦力の完成』を宣言した。しかしトランプは意に介さなかったが、マクマスター補佐官は『時間があまり残っていない』として、軍事的選択肢の発動を示唆し、一触即発の状態であった。『共同宣言』によって金正恩は非核化を示唆し、緊張緩和に向かったが、トランプが数週間以内の核リストの申告を求めたのに対して金正恩はこれを拒否し、核・ミサイル開発を継続している。9月の『平壌共同宣言』では『米国が相応の措置を取れば、寧辺核施設の永久的な廃棄のような追加措置を引き続き講じていく用意がある』と表明したが、4カ月前に合意していた内容から大きな後退である。そこで10月7日にポンペオ国務長官が金正恩と会談し、2つの点が明らかになった。つまり『相応の措置』とは、朝鮮戦争終結への同意と経済制裁の解除である。経済制裁解除に向けては中露や韓国とアメリカとの間で綱引きが行われている。トランプの立ち位置は明らかではないが、第2回米朝首脳会談に前のめりになっている。北朝鮮の核・ミサイルはいずれ完成するため、既存のミサイル防衛システムを改善強化してく必要がある。」と、北朝鮮の核・ミサイル問題について語られました。
最後に塾長は、「二度あることは三度あると言われるように、次の核戦争が起こるとすれば、その核は日本に向けたものになる可能性が最も高い。北朝鮮は潜在的核保有国として、核を隠しながらも持ち続け、韓国を併合して連邦朝鮮となり、中国は連邦朝鮮を支配して、核を持つ連邦朝鮮を日本に突き付ける刃として、日本を中国日本自治区へと誘導しようとしてくることが考えられる。トランプ大統領と安倍総理の政権のうちに、特に来年の参院選までに、日本が憲法改正の発議をしなければ、この後憲法改正ができるチャンスはない。ここで、発議できたとしても国民投票が不安である。北朝鮮危機をチャンスに、来年は統一地方選挙と参院選があるが、さらに衆議院を解散して、国民投票と合わせて一大選挙として、総力を挙げて憲法改正を実現させなければ、中国日本自治区へ転落する恐れがある。日本が独立自衛の国となるための第一歩として、自衛隊を憲法に明記して、改憲不可能と思われていた現行憲法が現行憲法の枠組みの中で改正が可能であるということを示さなければならない。東アジアの情勢は大変厳しいものである。またトランプ大統領は弾劾されて辞めることは考えられないが、2期8年やるのかどうかも確定したものではない。だからこのチャンスを逃すなと言いたい。」と、憲法改正の必要性を訴えられ、会を締め括られました。