勝兵塾第88回月例会が、9月20日(木)にアパグループ東京本社で開催されました。
冒頭のアパグループ元谷外志雄代表による塾長挨拶では、「自民党総裁選では安倍総理が553票を獲得して3選を果たした。メディアの報道では石破氏が善戦したと言われているが、安倍総理がダブルスコアで勝ち、圧勝であり、報道がおかしいのではないかと感じる。改憲勢力で三分の二を確保している今、憲法改正を発議しなければいつするのか。国民投票では厳しいという声もあるが、国会議員のみならず、県議会議員、市議会議員、首長に至るまで、憲法を改正しなければ大変なことになると国民に訴えていく必要がある。現行憲法を定着させるために、政府は何千万部もの冊子を作って国民に配布したのだから、まだまだ努力が足りないと言える。国民投票が厳しければ、衆議院を解散してダブル選挙とすることも考えられる。さらに、来年5月1日に向けて『新元号に合わせて新憲法を』と新しい日本を創るイメージを打ち出して国民に訴えていくことも考えられる。安倍総理のこれまでの実績は相当高く評価できる。他の人が総理になったらどうなるのかとても不安である。このままいけば安倍総理は日本の歴代総理の中での最長記録を更新する。安倍総理に代わる人が登場すればよいが、次の3年間で後継者が育っていなければ、4期やっても良いのではないか。小泉進次郎氏が最後に石破氏支持を表明したが、これで総理への道が断たれたのではないかと思う。10年前に懸賞論文制度を創設し、当時現職の航空幕僚長の田母神氏が最優秀賞を受賞して騒動となったことで、日本が覚醒した。そのことがなければ安倍総理の再登板もなかっただろう。さらに今年から『アパ日本再興大賞』を創設し、賞金を1、000万円とした。27年前に『Apple Town』を発刊して以来、言論活動を行ってきたが、これまでの活動が報われてきていることを感じる。憲法改正に関して、無効決議を主張する声もあるが、それはどうしても改正ができない場合の最後の手段であって、クーデターとも言える手法であるので、憲法改正の可能性がある今は、第96条の規定に基づいて改正を行うべきである。」と、憲法改正の必要性を強調され、実現に向けての戦略を披露されました。
第29代航空幕僚長の田母神俊雄様は、「2年半ぶりに勝兵塾に登場した。はじめは政治資金の横領容疑で捜査され、私が使った金額よりも補填した金額の方が多かったことから横領の罪に問えず、次は、私は全く知らないことであったのに、私が協力者に金銭を配ることを指示したということで、公職選挙法違反の容疑で逮捕をされ、証拠はないものの推認で有罪となった。拘置所の看守の中には私のファンもいて、お金を出してもなかなかできない良い経験をした(笑)。現在最高裁で闘っており、頭に来ることは多いが、覚悟を決めて頑張っていきたい。安倍政権になって、防衛費は7年連続で増え、現在5兆3千億円となったが、額面は増えているものの、実質的に増えているか、すなわち国内の防衛産業にお金が落ちているのかを見なければならない。すると、国内に落ちる金額は7年連続で減少しているのである。その分外国から高価な兵器を買っていることを意味している。そのため、様々な日本の企業が防衛産業から撤退している。これは、長期的に見れば、軍の弱体化に繋がる。こうした状況を政府が由々しき事態だと認識しなければならない。グローバルホークやオスプレイ等は政治主導で導入が決定されたが、政治主導は最悪なやり方である。政治家や官僚は細部がわからないから、細部を詰めようとすると、事務方は、既に導入が決定されているから交渉ができず、相手の言いなりになってしまう。例えばグローバルホークはリアルタイムで地上に情報を送ることができるが、現在航空自衛隊に入ってくるものはリアルタイムで情報が入ってこない。これは、政治主導で導入が決まったために、防衛予算が足りなくても相手が価格を下げてこないからである。兵器は最長で5年のローンで購入するが、その最後の年の支払いが大きくなる。航空自衛隊の7、000億円の予算のうち、5、400億円は人件費等の経費とローンの支払いで消える。つまり実質的に使える予算は1、600億円しかない。これでは技術基盤を維持できない。かつて、日本では戦闘機をライセンス生産していた。しかし中曽根氏の時代にF2の開発を日米共同開発としたことで、国産開発の機会を潰した。F35に至っては部品を買って組み立てるだけであり、日本に技術は残らない。アメリカの兵器を使えばアメリカの暗号を使うことになる。アメリカに全てを握られた状態で自衛隊が活動している。国の独立のためには軍の独立が必要であり、そのためには国内の防衛産業の発展が必要である。」と、国の独立のためには防衛産業が重要であることを説かれました。
元財務副大臣、自由国民党代表の小林興起様は、「私は生まれたときから父から政治家になれと言われ、東大から通産省に入り、知り合いに中川一郎先生のところに連れていかれて政界に出ることになった。ところが、中川先生が突然亡くなられて、私は選挙に落選し供託金を没収された。しかし、落選してからいろんなところから声が掛かるようになり、次の選挙では次点までいき、3回目の選挙で自民党の公認が取れて当選することができた。当時、政治改革として小選挙区制が良いようなことが言われていたが、私は中選挙区制でなければだめだと主張し、守旧派と呼ばれた。日本の政治をダメにしたのは小選挙区制である。小選挙区制では中央が力を持ち、人が育たないため、今人材がいない。この小選挙区制を最大限に利用したのが小泉純一郎である。郵政民営化はアメリカの要求であり、これは日本の金融を根こそぎ取るようなもので、当時まともな政治家は皆反対だった。しかし、衆議院を解散し、反対する者には公認を与えず、刺客を立てたのである。私は『なぜ自民党を出たのか』とよく聞かれるが、出たのではなく追放されたのである。郵政民営化の結果、郵便貯金300兆円のうち100兆円で米国債を買っており、地方でがん保険に入りたいと思って郵便局に行ってもアフラックしかない。アメリカは郵貯、簡保を握ったのである。アメリカに金を取られているから日本は経済成長しないのだが、誰もこのことを国会で質問しない。そこで私は自由国民党を立ち上げた。消費税は3%だったものがもうすぐ10%になろうとしている。税収が足りなく財政赤字が解消しないから消費税を上げると言っているが、これまで消費税を上げてきても税収が55兆円のままなのは、法人税の税率を下げているからである。日本の上場企業の株の2〜3割はアメリカの金融資本が持っており、減税によって増えた利益は配当としてウォール街に流れている。野党も支持母体が連合、すなわち労働組合であるが、組合の上層部は経営者と同じであり、子会社の社長等のポストが用意されているから反対しない。本当の野党はかつての自民党にいた党内野党である。トランプ大統領が来日した際、横田基地から入国したが、これに対して誰も非難していない。しかし、これはアメリカが日本を植民地と見ている証拠である。かつてソ連は2島返還に応じようとしたが、そのときダレスが来て4島返還を主張したため未だに北方領土問題が解決していない。アメリカは未だに『リメンバー・パールハーバー』と言うが、それなら『原爆や東京大空襲で皆殺しにした罪を問う』と言いたい。日本は日米地位協定を改定し、独立自尊の国とならなければならない。対米自立を主張する我々こそ保守本流である。」と、対米従属からの自立の必要性を訴えられました。
国際正道‐空手連盟 正道会館 正天會 会長の中川正秀様は、「『自衛隊は危険だ』『自衛隊があるから戦争が起こる』などと言う人がいるが、それでは『消防署があるから火事が起こるのか』と言いたい。三十数年空手道をやってきたが、私が武道をやっているから町で暴れるということはない。武道は過去の遺物ではなく、今も日本人の魂に根付いている。言葉や文化の破壊は国体の破壊につながる。稽古で着用する士道着が白いのは、稽古の時は右前(右側が手前)に着て、万一稽古の途中で命を落とすようなことがあれば、右と左を逆にすればすぐに棺桶に入れるという覚悟を持っていることを意味している。柔道でそうした根本理念をわかっていない外国人によって青い士道着を導入されたことは残念である。体を動かすことを『稽古』というが、この言葉は武道や華道、茶道などの芸道に使われえる。『稽古照今』という言葉があるように、過去を振り返って未来に繋ぐ意味合いがある。一方、スポーツでは『練習』という。また、『一生懸命』という言葉が使われることがあるが、正しくは『一所懸命』である。武士が天皇陛下から与えられた土地を命懸けで守るところから来ている。その他に、刀にまつわる様々な言葉がある。『反りが合わない』『元の鞘に戻る』『単刀直入』『一刀両断』『抜き打ち』『抜き差しならぬ』『真打』『伝家の宝刀』『切先争い』『鍔迫り合い』『鎬を削る』『切羽詰まる』『鍛錬』『相槌を打つ』『頓珍漢』などである。」と、武道の精神や武道に由来する言葉について話されました。
株式会社オフィスデヴィスカルノ代表のデヴィ・スカルノ様は、「日本語の由来を、武道を通じてお話し頂き大変勉強になった。小林さんや田母神さんの日本を思う気持ちに感銘を受けた。安倍総理が総裁選で3選し、憲法9条を改正して頂くことは結構だが、海外国に頻繁に行かれるのはモリカケから目を逸らすためのパフォーマンスではないかと感じている。また、トランプ一辺倒にならないでほしいと思う。」とコメントされました。
さらに一般塾生から、田母神様と小林様に対して「日本国が真の独立に向けて何をすべきか」という質問が出され、田母神様は、「自衛隊が自立しなければ日本は自立できない。自衛隊が自立するためには、アメリカに握られている暗号やデータリンクを取り戻さなければならない。そのためには主要兵器を国産できるようにしていく必要がある。」と答えられ、小林様は、「米ソ冷戦が終わり、アメリカに居てもらわなくても自衛隊がいれば他国が向うから攻めてくることはない。だから日米地位協定を改定すべきである。同じ敗戦国であるドイツ、イタリアもこのような不平等な協定はない。こういうことを言うと殺されるかもしれないが、政治は命を懸けなければならない。」と答えられました。
メトロポリス代表取締役のニール・パドラー様は、「私はメルボルン出身のオーストラリア人である。異国の地で、メディアマーケティングで成功してきた。1988年日本の牛肉が自由化されたことを機に、OGビーフの会社の日本支社に入り、その宣伝活動に携わってきた。その会社は、オーストラリアの企業で国外のマーケティングで最も成功することができた。私は日本人と結婚し、3人の子供がいる。現在は会社経営を行っている。『METROPOLIS』という英語で日本文化を発信する雑誌を発行しており、日本で最も人気のある英語情報誌となった。ラグビーワールドカップやオリンピックが近付き、日本の観光地としての魅力が高まっている。私は日本企業が提供している商品を外国に受け入れられるようアドバイスしているが、日本人は積極的に国際化することに戸惑いを持っているように感じる。なぜ日本は時代に乗り遅れているのか。それは国際社会で成功することを恐れているからである。日本人は国際化を拒み、孤立している。なぜ日本人のコミュニケーションスキルが上達しないのか。日本政府は英語を効率的に学べるカリキュラムを採用するべきである。また日本は少子高齢化が進み、移民が必要になる。その一方で伝統や文化を保存しなければならない。若い世代に伝統的日本を伝えていくべきである。伝統や文化を授業にも取り入れ、外国にも発信していく必要がある。今日本は時代に乗り遅れて取り残されているが、豊かになるためにももっと国際化しなければならない。」と、日本人が国際化の必要性を説かれました。
在日本ルーマニア商工会議所会頭の酒生文弥様は、バトラー様に対して、「オーストラリアの白豪主義はどう変わったか。」と質問され、バトラー様は、「かつて白豪主義というものがあったが、オーストラリアは人口が少なく輸出しないと金が入ってこない。だからグローバル化を進めた。」と答えられました。
最後に塾長は、「デヴィさんが言われたことに対して、安倍総理が世界中を回って地球儀俯瞰外交をしているのは、中国包囲網をつくっているのである。またモリカケがなぜ1年半も続いているのか。それは70周年の憲法記念日に、安倍総理がビデオレターで2020年までに憲法改正をすると、具体的なスケジュールを入れて憲法改正を明言したことをきっかけに、メディアの安倍叩きが始まったのである。私は2段階改正論を唱えている。まずは自衛隊を明記し、次に9条2項を削除するのである。今の問題の原因の全ては日本が戦争に負けたことにある。日本がどう負けたのかを見に行くために、ポツダムへの海外研修を企画した。ポツダム宣言は、当初国体護持が盛り込まれていたが、それを削除して提示された。原爆が完成する前に日本が降伏したら、莫大な議会機密費を使って開発した原爆を落とせなくなってしまうため、ポツダム宣言から国体護持を外し、日本を降伏できないようにした。広島、長崎の原爆と東京大空襲で30万人もの民間人が殺された。しかも、広島、長崎では、被爆者を治療せず、その影響を調査するだけであった。プルトニウム型とウラン型の二種類が間隔を空けずに落とされたのも、実験的な意味合いがあったからだろう。原爆投下の結果大変な犠牲となったが、もし原爆が使われなかったら、軍事モンスターとなったソ連が陸続きの国を全て占領し、第三次世界大戦は世界赤化との戦いとなる熱戦となり、世界で1、000万人の犠牲者が出たかもしれない。今の憲法の規定の下で憲法を改正して、日米同盟を対等な関係していくことが必要である。世界の軍事費の半分を占めるアメリカと敵対することは得策ではない。」と、秋の海外研修の告知をされるとともに原爆投下の意義を説かれて、会を締め括られました。