第51回 勝兵塾月例会レポート

20150627_1111383

塾長・最高顧問 元谷 外志雄

 第51回勝兵塾月例会が、8月20日(木)にアパグループ東京本社会議室にて開催されました。

 冒頭のアパグループ代表元谷外志雄塾長による開会のご挨拶では、「8月14日から4泊6日でインドを訪問し、交通インフラ大臣や観光大臣、元副首相でキングメーカーと呼ばれているL.K.アドバニ氏や映画関係者、ホテルオーナー達と対談をしてきた。その中で私は、『最大の親日国家であるインドと日本は連携していくべきだ。』と主張してきた。冷戦時代、インドはソ連側に属しており、中国に対抗して核開発を行ったことでアメリカとの関係が悪くなり、そのため日本もアメリカに追随させられインドを冷遇してきた。インドは世界最大の英語圏であり、人口の約4割は日常的に英語を話しており、平均年齢が若く人口が増えているため、今後大きく成長、発展する可能性が高い。核を持つインドと、先端科学技術を持ち、通常兵器でも高い技術力を持つ日本が連携を図るべきである。アメリカは毎年5兆円ずつ軍事費を減らし、膨張する中国と撤退するアメリカの間で、日本はアメリカ、インド、オーストラリア、台湾等、親日国家とヨーロッパにおけるNATOのような集団安全保障体制を構築して中国の海上覇権に対抗すべきだ。」「歴史問題はボタンの掛け違いから始まっている。専門家と呼ばれる人達は日本による中国侵略の原点は張作霖爆殺事件であると言っている。しかし実際にはソ連の特務機関GRUの犯行である。英国情報部の文書が公開され、列車の爆破にソ連製の火薬が使用されていたと報告されていたことからも明らかである。日中戦争と言われるが、当時「中国」という国はなく、軍閥が割拠して争っていて、日本は一つの纏まった国と戦争していたわけではない。アメリカは原爆投下の呪縛に今尚捉われている。原爆を投下したアメリカが良い国であるためには日本が悪い国でなければならない。だから、中国や韓国が南京三十万人大虐殺や従軍慰安婦二十万人強制連行説などを捏造しても、アメリカは黙認してきた。さらに日本の戦後敗戦利得者である反日日本人がこれらに同調してきた。私は歴史の真実を明らかにするため『理論近現代史学』を出版した。また来月号のエッセイでは、2009年に私がサンクトペトロブルグに行き、張作霖爆殺事件ソ連犯行説を著書で明らかにしたドミトリー・プロホロフ氏との対談を一部紹介している。是非皆さんにも読んで頂きたい。」と、日印関係の戦略的重要性を指摘されるとともに、日本の中国侵略の原点とされる張作霖爆殺事件の真相とその根拠について語られました。

原田義昭様

衆議院議員 予算委員会常任理事 原田義昭様

 衆議院議員で予算委員会常任理事の原田義昭様は、「8月7日から12日までフィリピンを訪れ、防衛大臣や外務大臣と会談をしてきた。南シナ海が中国に席捲されれば、日本のシーレーンは極めて危なくなるので、『南シナ海の問題は日本人も関心を持っている。もっとしっかり対応してほしい』と申し入れてきた。彼らの中には半ばあきらめもある。フィリピンやベトナムは、いざとなると中国を名指しで批判しない。ただ、フィリピンは国際仲裁裁判所に訴えている。相手が出てこないのでまだ裁判は始まっていないが、私は訴えたことは大いに評価している。日本では外務省に対して尖閣や東シナ海の問題を国際仲裁裁判所に訴えろと言っているが、外務省はやろうとしない。フィリピンの防衛の歴史を振り返ると、1947年に米比軍事基地協定、51年に米比相互防衛条約が締結され、フィリピンに米軍基地が置かれていたが、92年に期限満了で失効したため米軍が撤退した。すると95年には中国がミスチーフ礁を奪取した。安保法制を議論する上で頭に入れておくべき事実である。」「安倍総理の戦後70年談話は中国、韓国をはじめ諸外国からの評価は非常に良かった。また国内でも総括して肯定的な評価だった。1月の月例会では『こんなものを出すべきじゃない。』とあえて申し上げた。相当な議論があり、21世紀懇談会を設置して学者に議論をさせて作った。結論的には事なきを得たが、そもそも何のためだったのかとも思う。本当は自由闊達に渾身の気持ちを込めて出すつもりだったのだろう。しかし植民地、反省、お詫び、侵略の四点セットが必要であり、さらに村山談話を踏襲する必要がある。これらを全て入れると長くなる。長過ぎてよくわからなくなったのは作戦上の勝利である。ただ、談話を読み上げる安倍総理を見ていて痛々しかった。中国も韓国も外交的に日本と争うタイミングではないと考えたのだろう。今後は全ての歴史認識問題を打ち切り、将来ビジョンだけを議論するべきである。」と、フィリピンの防衛に関連して日本の安保関連法制の必要性を説かれると共に、安倍談話の評価に関して持論を述べられました。

田母神俊雄様

第29代航空幕僚長 田母神俊雄様

 第29代航空幕僚長の田母神俊雄様は、「最近、韓国の軍関係者と話したが、日本には日本の弱体化を狙う反日勢力がいるが、韓国は日本よりも酷く、朴槿恵大統領は周りを北の工作員に固められていて自由に発言できなくなっているという。日本は国を守ることを真剣に考えなければならない。日本を取り戻すということは、経済だけではなく、軍を取り戻すことだと思う。戦後日本は日本弱体化のための法律ばかり作ってきた。自民党の歴代幹事長の顔ぶれを見れば、とても保守には見えない。戦後占領軍によって日本は壊された。特定秘密保護法ができたが、これは画期的な法律だ。これまで採用する際に、家族構成や親の職業を聞くことができなかった。しかし自衛隊の採用では背景調査が必要である。安保法制も画期的な法律であるが、日本では抑止ということがなかなか理解されない。戦争できる国ほど戦争にはならないのが世界の軍事の常識である。警察について、事情聴取の可視化が進められているが、これでは警察は犯罪捜査がやりにくくなる。権力側を弱体化しようとしているが、『日本は悪い国』だから国を叩かなければならないということになってしまう。しかし、あまり権力側の手足を縛ることをしない方が良い。中国は20年以上軍拡をしており、日本も自衛隊の戦力を強化しなければならない。中国に戦争をする気を起こさせないことが必要である。心配なのは、日本が攻められたときに、政府が自衛隊を使って撃退することが本当にできるのかということである。韓国は北から攻められてももう反撃できなくなっているという。」と、韓国の内情から、日本が反日勢力に支配されることへの不安を示唆されました。

塩澤修平様

慶應義塾大学経済学部教授 塩澤修平様

 慶應義塾大学経済学部教授の塩澤修平様は、「歴史問題が外交カードとして使われている。それは使う側にとっては安価な手段だからである。このカードを無力化するには我々がこれに動じなければ良い。そのために歴史認識を共有する必要がある。まず欧米における制度・国策としての人種・民族的差別として、絶対的排日移民法やナチスドイツのユダヤ人政策があった。パリ講和会議では日本が国際連盟規約中に人種差別撤廃条項を挿入することを提案したが、米大統領ウィルソンがこの案を潰した。白人による植民地化は二つに大別され、一つは先住民を殲滅して新たな白人国家を建設した場合、もう一つは先住民を過酷な条件で働かせ資源を収奪した場合である。日本と台湾、朝鮮半島との関係は植民地化ではなく『合邦』である。ブロック経済化は自給自足(アウタルキー)が不可能な日本の存立条件を否定するものであった。マッカーサーは1951年5月3日の米国上院軍事外交合同委員会において『日本が戦争に突入したのは自衛のためにやむを得ないことだった』と証言している。1943年に東京で大東亜会議が開催され、大東亜宣言では人種差別、植民地化、ブロック経済化に堂々と反論している。日本はポツダム宣言を受諾して降伏したのであり、無条件降伏ではあり得ない。サンフランシスコ講和条約では、東京裁判の諸判決を受諾したが、裁判そのものを受諾したわけではない。戦争の責任と敗戦の責任は別のものであるがこれが混同されている。1972年の日中共同声明で『内政に対する相互不干渉』が謳われているが、靖国問題は明らかな内政干渉である。」と、否定できない歴史的事実を列挙して、これらを共有すべき歴史認識として解説されました。

デヴィ・スカルノ様

デヴィ・スカルノ様

 デヴィ・スカルノ様からは、「塩澤先生のお話は大変すばらしかった。中国、韓国は世界中で運動しているが、日本政府は対抗するものを持っていない。」とコメントを頂きました。衆議院議員で自民党広報本部長の馳浩様は、「政府が高校の日本史と世界史を合わせた歴史総合をやろうと議論しているが、このことについてどう思うか。また、歴史や公民の教科書についてどう感じているか。」と質問され、塩澤様は、「日本の歴史は日本だけを見てもわからない。そのとき世界でどういったことが起こっていたかを合わせて理解する必要がある。また、現在の常識が当時の常識ではなかったことにも留意する必要がある。歴史を立体的に見るのが理想である。教科書の問題については、そこに何が書かれているのか周りの大人が見て意見を言えるようにするべきである。」と答えられました。ハーバード大学Igノーベル賞受賞教授のサー・中松義郎博士は、「先週中国に行って感じたことは、日本が完全に無視されていることである。」と、日本の地位の低下について発言され、新しい歴史教科書をつくる会会長の杉原誠四郎様は、「外務省を変革しないと日本を取り戻せない。慰安婦問題については朝日が32年間誤った報道をしてきたが、外務省がもっと早く正しい情報を流すべきであった。霞ヶ関外交と呼ばれるが、外務省の事務官僚を責めてもダメである。官邸がやれと言えば官僚はやる。そこは政治家が頑張るべきである。」と外務省の変革を政治家に訴えられました。

阿部洋己様

阿部経済研究所所長 元キリンビバレッジ株式会社社長 阿部洋己様

 阿部経済研究所所長で元キリンビバレッジ株式会社社長の阿部洋己様は、「28年前にキリンビールの北陸支社長として金沢に赴任し、アップルタウンのBig Talkで代表と対談させていただいた。そのときから代表は、高い志を持つともに、日本の国を憂いていた。キリンビバレッジの社長時代、大きなリストラをした。これが従業員にとって良かったのか、忸怩たる思いを持っていた。そこで社長退任後は、中小企業を活性化させるため、中小企業の経営塾を主催し、あわせてベンチャーで成功した社長の経営塾も主催している。そこでは3つの心を教えている。一つ目は『情』である。人間は感情の動物であり、情がないと人は付いてこない。二つ目は『心』である。人として持っていなければならない社会のルールやマナーのことである。人は会社のこととなると、個人では良くないと思っても会社の利益を優先してしまうことがある。三つ目が『志』である。トップは志の高さゆえにトップである。中小企業は大企業と比べて給料等は良いとは言えないが、夢が働き甲斐に繋がるのである。もう一つ教えているのが『マーケティング発想』である。日本で経済を動かそうとすればマーケティング発想が必要だ。マーケティング発想とは顧客満足度そのものでありユーザー志向である。お客様にどれだけ満足して頂けるかが全てであり、アパホテルはお客様の立場に立って考えている。『モノからコトへ』である。例えばオートバイではハーレーダビッドソンだけが日本で販売を伸ばしているが、それはオートバイに乗る楽しさを売っているからである。アパホテルは大浴場を設置し、ホテルに泊まる楽しみを演出しているのが繁栄の秘訣だと思う。」と、中小企業経営の要諦について語られました。

諸橋茂一様

勝兵塾事務局長 諸橋茂一様

 勝兵塾事務局長の諸橋茂一様は、「日本が世界にアピールすべきだったことが数多くある。パリ講和会議で日本が人種差別撤廃条項を提案したことは当時の世界では画期的なことであったが、過半数の賛成があったにもかかわらず、ウィルソン米大統領が全会一致でなければダメだと言って潰された。また、アメリカは1939年に日本に対して日米通商航海条約の破棄を通告し、40年には屑鉄を禁輸、41年には石油を禁輸した。世界のメディアを通じて日本はいかに理不尽なことをされたかアピールするべきであった。イギリス人であるヘンリー・ストークス氏はその著書の中で、日本がこれまでどれだけ世界史的貢献を果たしてきたかを記している。また、ペリリュー島では戦力で圧倒的に劣勢な中、中川州男大佐率いる日本軍は77日間も勇戦を続けて玉砕したが、その4ヶ月前に民間人を全員安全なパラオ本島に避難させていた。日本軍は国際法に則って戦っていたのに対して、米軍は無差別に多数の無辜の民間人を虐殺した。こうしたことを正しく伝えていかなければならない。」と、日本の素晴らしい歴史をアピールすることの必要性を訴えられました。

 

第51回月例会

 最後に塾長より、「日本が今日このようになったのも、ボタンの掛け違いから始まっている。未だに多くの人々は、張作霖爆殺事件は関東軍の河本大佐の犯行だと思っている。謀略とは単に人を暗殺するだけでなく、最もダメージを受ける者の仕業であるかのように見せかけるものである。張作霖爆殺事件はソ連の特務機関が日本軍の犯行に見せかけて行ったものである。そもそも張作霖は親日的な軍閥であり、ソ連と敵対していて、その2年前にもソ連による暗殺未遂事件が起こっている。張作霖爆殺事件が日本の中国侵略の原点とされており、ここから日本が貶められてきた。英国情報部の文書が公開されているのであるから、国会内に歴史検証委員会を作って検討すべきである。張作霖爆殺事件が日本の犯行でないとわかっていれば、張学良が西安事件を起こして第二次国共合作が実現することはなかった。ドミトリー・プロホロフと特別対談をし、さらに日本に招いて記者会見を行ったが、全ての歴史学者は定説に固執して新事実に目を向けようとせず、ほとんどのメディアは無視した。張作霖爆殺事件の一点だけでも真実を明らかにすれば、歴史の問題を一つ一つ紐解いていける。盧溝橋事件についても、日本軍は合法的に盧溝橋に駐屯していたのであり、中国共産党のパンフレットには劉少奇の指示で事件が起こしたと書かれている。コミンテルンが謀略によって漁夫の利を得ていたのである。明らかになった証拠に基づき、本当はどうなのかを突き詰める必要がある。アメリカはポスト世界大戦で覇権を握るために原爆を投下する必要があったのであり、日本はその必要性を認め、原爆投下の呪縛を解いてあげる必要がある。中国や韓国が言っていることも国益に立って考えれば当然のことであり、本当のことを知らないのは日本人だけである。来月号の座右の銘は『過去は暗記できても 未来は暗記できない 洞察力を磨け』である。これは偏差値エリートへの批判でもある。」と、歴史検証委員会の設置を提言されて、会を締め括られました。