塾長・最高顧問 元谷 外志雄
勝兵塾第43回月例会が、12月18日(木)アパグループ東京本社会議室にて開催されました。
冒頭のアパグループ代表元谷外志雄塾長による開会のご挨拶では、「昨晩までブラジルを訪れ、ブラジル日本会議で講演をしてきた。ブラジルに行くと、日本人以上に日本精神を持っている人が多いことがわかる。現地の日系人の方からは日本人に是非頑張ってほしいとエールを送られた。今回の衆院選では、正しいこと、本当のことが広く一般にはなかなか伝わらずに残念だ。次世代の党は党名決定から時間がなく、厳しい結果となった。本当のことを知れば保守になる。ブラジルでは自虐的な教育は受けていないし、反日メディアもない。日本人を縛っている大きな要因はアメリカの占領政策にある。プレスコードについてメディアは取り上げようとせず、サンフランシスコ講和条約によって失効しているにもかかわらず、未だに自主規制している。これは戦後間もなくアメリカが検閲を行い、そのときに検閲官として雇われた戦後敗戦利得者から偏差値エリートに受け継がれ、ステレス複合体となって官界、法曹界、メディア界を支配しているからだ。朝日新聞は先日謝罪らしきことをしたが、全く反省していない。ここで朝日を追撃していくべきである。本当のことを広めていくために引き続き勝兵塾を開催していく意義があると感じた。党内少数派であった安倍政権にとっては、この選挙を機に強くなったことで長期政権となる可能性が高まった。安倍総理の評価は海外でも高い。」と、ブラジルの日系人と日本人との違いや、勝兵塾を通じた啓蒙活動の意義を語られました。
外交評論家 加瀬英明様
外交評論家の加瀬英明様は、「衆議院議員選挙で自公政権が圧勝した。日本にとって一番必要なことは周辺地域の安定であり、安倍首相の本音は憲法改正だろう。痛恨の極みは次世代の党が壊滅したことだ。今回の選挙で各党のポスターを比べたが、各党とも国民生活について大きく訴えていたのに対して、次世代の党だけが憲法改正を前面に出していた。アメリカではケネディの就任演説で『国に期待しないで国のために何ができるか考えよう』と呼びかけた。アメリカでは大統領がしばしば国民に対して奉仕を求めてきた。しかし戦後の日本で国民に対して国のために奉仕を求めた首相がいただろうか。清国との開戦から120年、ロシアとの開戦から110年経っている。あのころは日本で生活が第一と誰が考えただろうか。先の大戦で日本が敗れたとき、マッカーサーが日本人の精神年齢を12歳と言って嘲笑ったが、今は幼児化が進み、3歳程度だ。経済問題だけで国民が揺れ動くのは日本の民度の低さを表している。日本にとって一番必要なのは憲法を改めることである。日本が降伏した翌年にマッカーサーが作った憲法は、日本が永久に独立国とならないようにするためのものであり、憲法のかたちをした不平等条約である。安倍政権の4年間で憲法9条を含めて直さなければならない。私の父は、終戦時は外務省の北米課長で、敗戦後9月にミズーリ艦上での降伏文書調印のとき、重光全権の直ぐ脇に立っていた。私が中学生のときに父にミズーリ号の甲板にどのような気持ちで立ったかを聞いた。父は、『日本人は戦いに負けたが、数世紀にわたって白人に支配された有色人種が独立したことで、日本は勝利した。そのことを誇りに思った。』と語った。私は父が感じた誇りと悔しさを胸に抱きながら育ってきた。」と、今日の日本人の幼児性を鋭く指摘されるとともに、先の大戦での日本の誇りについて語られました。
駐日ホンデュラス共和国特命全権大使 マルレーネ・ビジェラ・デ・タルボット様
駐日ホンデュラス共和国特命全権大使のマルレーネ・ビジェラ・デ・タルボット様は、「ホンデュラスは中央アメリカの真ん中にあり、カリブ海と太平洋をつなぐ橋のような国である。スペインが来るまではマヤ王朝の一部で、コパン遺跡はユネスコ世界遺産に登録されている。1502年にコロンブスが来て、1524年にスペインに征服され、1537年から1821年までスペインの植民地となり、1821年にスペインから独立を果たした。政治体制は共和制で現在の憲法は1982年に制定されたものである。雨季と乾季があり、一年を通じて気温はあまり変わらない。GDP成長率は3%で、投資家にとっては投資しやすい状況にある。世界銀行の予測では今後成長率が上昇していく。農産物の輸出が産業の中心であり、コーヒーが主要な農産物である。世界中のコンテストで賞を獲り、多くの国民がコーヒー産業に携わっている。空港や港などの近代的なインフラも整備されている。観光も重要な産業である。」と、スライドを使いながらホンジデュラスの歴史や産業について紹介されました。
千葉県議会議員 宇野裕様
千葉県議会議員宇野裕様は、「千葉県は保守王国であり、私が県議になった平成10年当時は沼田さんが知事をされていた。平成13年の知事選で、公共事業悪玉論や自民の分裂などもあり、社会党の参議院議員だった堂本氏が当選し、革新系の知事が生まれた。堂本氏は8年続けたが、この8年間は『失われた8年』だと思っている。その間知事は、農業政策はせず、国体にも予算を付けず、ジェンダーフリーや障害者の差別撤廃、男女共同参画にばかり取り組んでいた。議会は自民党が多数であったが、こうした予算を認めてしまった。私はこうした法案を阻止するため堂本氏と闘ってきた。男女共同参画条例は、全国で千葉県だけがない。これは誇るべきことだと思っている。しかし、障害者の差別をなくす条例は可決されてしまった。これは障害者を差別した健常者が罰せられるというものだ。革新系の知事が出るとその県は落ちていく。保守というものがいかに大切であるかを痛感している。保守政治家とは伝統を大切にし、初来に責任を持つ政治家のことである。8年間闘ってきた副産物として、闘うためによく勉強したことだ。原発問題について、私は安全性の確認できた原発は再稼働させるべきだと思っている。現在本来必要のないLNGや石油を買って1日あたり100億円の出血があり、さらに科学者や技術者が海外に流出すると、日本の科学技術の根幹を揺るがすことになる。食品中の放射性物質の基準は、世界基準は1kgあたり1000ベクレルであるのに対して、日本はその10倍から100倍厳しい基準を課している。また、除染の基準を1ミリシーベルトにしているがこれは異常な状態である。」と、革新系知事との闘いや日本における放射線に関する規制の異常さについて語られました。
国際大学グローコム客員教授 青柳武彦様
国際大学グローコム客員教授で第7回「真の近現代史観」懸賞論文社会人部門優秀賞の青柳武彦様は、「経済学で税率と税収の関係を表したラッファー曲線というものがある。好況と不況とでこのカーブの形が変わり、不況時に税率を上げると税収は減り、好況時には税率を上げると税収は増える。現在景気が良くなければ、税率を上げると税収が減ってしまう。だから現在カーブがどこになるかを判断しなければならない。GDPデフレーターは2009年をピークに下がりっぱなしであり、このことからこの時期に税率を上げれば必ず税収は減ると言える。東大教授が『国の財政問題は長期的問題で景気対策は短期的問題だ』と言っていたが、経済で長期と短期の問題を分けることはできない。国の借金1,000兆円を減らすには景気を良くして税収を上げなければならないが、橋本政権のときから同じことをやっている。橋本政権で消費税率を2%上げたことで、その後4年間の消費税収は4.3兆円増えたが、所得税は3.6兆円、法人税は3.7兆円減っている。累積債務問題は政府紙幣を刷って通貨発行益(セイニアリッジ)を活用し、政府資産を売ればよい。さらにインフレによって政府債務が目減りする。インフレになっても同じペースで所得が増えれば問題ない。」と経済額の視点から、税率と税収の関係や財政問題について語られました。
月刊テーミス編集長 水田克治様
月刊テーミスの編集長の水田克治様は、「先日朝日新聞から12月22日に第三者委員会が記者会見をやるというお知らせが、限定されたメディアに配布された。参加人数も限定され、事前報道は控えるようにとも書いてあり、非常に閉鎖的な会見である。慰安婦問題の記者会見でもお知らせは限定されたところに配布している。朝日新聞の新社長に渡辺雅隆氏が就任したが、本来木村伊量前社長は政治部の持田周三氏を考えていたものの、内部や労働組合からの突き上げにより、大阪社会部出身の渡辺氏になった。そこで示された5つの改革方針は、①車座集会を全国でやる、②言論の「広場」機能を強化、③誤報防止の仕組み、訂正報道あり方の抜本的改革、④健全な批判精神を堅持、⑤調査報道の更なる強化、である。『健全な批判精神』と言っているが、朝日はあらかじめターゲットを決め、まず結論ありきで進めていくやり方であり、『調査報道』に関しては、吉田調書の誤報については全く反省していない。朝日新聞は10月で前年比50万部部数を減らしている。8月ごろから朝日に対する不信感が出ている。また、10月15日に行われた新聞大会朝日の木村社長が誤報に関して謝罪したのに対して、日本新聞協会の白石会長は『朝日を指弾できる立場ではない。』と発言し、逆に朝日に対して『行き過ぎた販売活動を通じてご迷惑をおかけしたとすれば、お詫びする』と『お詫び』合戦をしている。これは業界の談合ではないか。私は公明党を追っているが、どのメディアも追わない。朝日が公明に近づいている。ここに創価学会の先行きを見据えた朝日の戦略がある。」と、朝日の姿勢の問題と業界の談合について鋭く指摘されました。
第29代航空幕僚長 田母神俊雄様
第29代航空幕僚長の田母神俊雄様は、「今回飛び入りのようなかたちで東京12区から出馬した。公明党と戦うのはやめた方が良いと言われたが、何のために戦うのかと言えば公明党と戦うためである。小選挙区で4万票とったが、次世代は1万2千票だった。いま日本を悪くしているのは自公連立である。公明党が今まで何をやってきたか。中国や韓国からの留学生に対して毎月14万5千円を支給し、学費はゼロ、渡航費や家賃も政府負担として大変優遇されている。尖閣や小笠原では中国船との衝突を避けるため、日本政府は中国船に対してではなく、日本の船に入るなと言っている。公明党は中韓に対して異常なほどの配慮をしている。原発はゼロ、消費税は10%に引き上げると景気はどんどん悪くなる。景気が悪くなると、人々が創価学会に駆け込み、公明党に有利になる。さらに外国人労働者の受け入れや外国への地方参政権を付与も画策している。公明党は日本国民のための政治をやろうとしていない。また自民党も自ら公明党を切ることができない。だから次世代の党が立ち上がって『公明党をぶっ潰す』と言ってきた。今回は惨敗したが、次回の選挙に向けて準備をしなければならない。安倍政権の日本を取り戻すという点は私も支持しているが、公明党とくっついている限り実現できない。東京では私が太田国交大臣と、大阪では西村氏が北川氏と戦った。これまで選挙でこれだけ公明党を批判したことはなかったという。今回の選挙は妥当公明党の始まりである。今の政治体制では日本は前進できない。三分の二を獲っても何もできない。今後も政治的戦いを続けていきたい。」と、公明党の問題点を指摘され、今後の政治活動に向けての意気込みを語られました。
一般塾生より、憲法9条改正の是非について質問があり、これに対して青柳様より、「憲法とは文化の追認であり、慣習法という学説もある。ただし憲法の精神を追求しなければならない。日本国憲法の精神の基本は主権在民であり、自衛権の放棄は主権在民に反する。自然法に反しているのだから守らなくてもよいということになる。」と、憲法9条の解釈について自然法の観点から解説していただきました。また、勝兵塾事務局長の諸橋茂一様より、「日本国憲法はハーグ陸戦放棄に違反し、大日本帝国憲法の改正規定にも反している。しかも内容は矛盾だらけであり、即刻無効とするべきである。」と、現行憲法の問題点を指摘されました。
先の衆議院選挙で東京5区から出馬されたセントルイス大学教授のサー中松義郎博士は、「今回の衆議院選挙では都知事選の時の倍の票を獲って、民主党の候補が落選した。」と、選挙について発言されました。
最後の元谷塾長より、「日本の景気を良くするためには、需要を創り出さなければならない。民需が足りないときは官需を創るべきだ。前回の東京オリンピックではわずかの期間に首都高や新幹線が開通した。2020年の東京オリンピックに向けてインフラを整備するチャンスである。ブラジルではインフレが酷いと言われているが、インフレ率は8%程度でも、インフレに連動して給料が上がるようになっている。公務員だけでなく民間でも給料がインフレ率に応じて上がる制度になっている。日本は国債を発行してもインフレになれば消えていく。積極的な公共投資を行い、インフレ連動賃金アップ条項を付ければ景気はよくなるだろう。」と積極的な財政政策の必要性とインフレ対策について語られ、会を締め括られました。