第83回 勝兵塾月例会レポート

塾長・最高顧問 元谷 外志雄

塾長・最高顧問 元谷 外志雄

 勝兵塾第83回月例会が、4月19日(木)にアパグループ東京本社で開催されました。
 冒頭のアパグループ元谷外志雄代表による塾長挨拶では、「5月10日がアパグループの創業記念日で、それに合わせて毎年産経新聞に見開き2頁の広告を出しており、今年は5月8日に広告を出すことになった。幸運にも恵まれて、これまで東京都心だけでも約70カ所のホテル用地を取得することができ、今年度の決算は売上高1、297億円、経常利益360億円と、増収増益を見込んでいる。この成功は、言論活動と事業活動を同時に行ってきたからである。普通の経営者は事業が拡大すれば言論活動を控え、中国との取引が大きいため、昨年の書籍問題のようなことが起こると自説を主張し続けることができない。アパは予め特定の国からの宿泊シェアを10%以下にする『10%ルール』を定めており、中国からの宿泊客は当時5%だったので、妥協せずに自説を主張し続けることができた。その結果、中国以外の国からの宿泊客が増えたり、国内からは2万通を超える応援メッセージを頂いた。この書籍問題で保守が団結することができたのである。2008年に私が懸賞論文制度を始め、第一回の最優秀賞に田母神俊雄氏が選ばれた。当時、現職航空幕僚長が政府見解に反する論文を書いたということで、メディアから批判され、麻生政権の下で更迭・解任された。そのことで、多くの人々が覚醒し、後の第二次安倍政権の誕生につながった。10年前は、『憲法改正』や『核武装』を口にしただけで大臣は辞任に追い込まれるような状況だったが、ようやくそれらに関する議論ができるようになった。米朝会談でトランプは変な妥協をしてはいけない。北朝鮮はこれまでも先に取るものを取って密かに核開発を続けてきた。即座に核施設やミサイル施設を破壊すべきである。2020年までに段階的に核を廃棄するなどと悠長なことを言っていると、実質的に核保有を認めることになってしまう。核を保有する北朝鮮はいずれ韓国を傘下に収めて連邦朝鮮国家となり、中国の尖兵として、日本に刃を突き付けることになるだろう。安倍総理は憲法改正の具体的な日程を明示したことで、メディアが安倍叩きを行っている。取るに足りないことで安倍総理を辞任に追い込み、日本を弱体化しようとしている。安倍総理は日米首脳会談でトランプ大統領に対して北朝鮮に妥協しないよう釘を刺したのではないだろうか。それでもアメリカが北朝鮮に妥協しないか不安がある。日本が中華圏に取り込まれて、中国日本自治区にならないよう団結して対処していかなければならないが、ほとんどのメディアはおかしなことばかり報じている。」と、日本に迫った危機とメディアの報道のおかしさを指摘しました。

衆議院議員の岸本周平様

衆議院議員 岸本周平様

 衆議院議員の岸本周平様は、「私は現在希望の党に所属しており、『Apple Town』5月号のBig Talkで元谷代表と対談させて頂いた。私は野党の政治家であるが、保守政治家であることを自認している。私の『保守』とは、エドマンド・バーグの『保守』である。エドマンド・バーグは、『人間は不完全であるからいろんな人の意見を聞き、間違わないようにしなければならない』、『伝統と歴史から学び、少しずつ変えていく』、『人間は愚かであり、権力の行使は抑制すべきである』と言っている。今年は明治維新150年の記念すべき年である。明治維新について、当時の国際環境の中で日本が独立を貫いたことは高く評価すべきである。一方、150年の歴史は勝者の歴史であり、敗者の立場に立てば辛いものである。戊辰戦争から150年でもあり、戊辰戦争では多くの方々が亡くなっている。歴史は相対化して見ていかなければならない。西郷隆盛は賊軍になったため、靖国神社には祀られていない。このことは日本の伝統的な保守の考えとは少し違う。日本では戦った相手ほど敬い、祀るものである。亀井静香先生が『賊軍を靖国に祀る会』の会長をしておられる。かつて国家神道を創るために廃仏毀釈が行われ多くの寺院や仏像が破壊されたが、当時の日本人はこれらを必死に守ろうとした。私は天皇陛下を戴いていることを幸せに思う。天皇陛下は平和を祈られるが、その祈りは必ず通じて私達を守ってくださると思う。」と、保守政治家の在り方と歴史の多面性について話されました。

衆議院議員・自民党政務調査会副会長の秋葉賢也様

衆議院議員・自民党政務調査会副会長 秋葉賢也様

 衆議院議員・自民党政務調査会副会長の秋葉賢也様は、「日米首脳会談では、北朝鮮に対しては非核化の実現、拉致問題と一体であることの確認ができたが、貿易分野では十分な成果という訳にはいかなかった。G7のメンバーで古いのはドイツのメルケル首相と安倍総理であり、各国の首脳は安倍総理の話を聞きたいと列をなしている。外務省も各国大使館から頼られており、日本の国際社会におけるプレゼンスが上がっている。河野外相は訪韓して拉致問題解決の協力を求め、韓国議員による竹島上陸に抗議した。韓国は未だに日本の農産物や魚介類の輸入を禁止しており、日本はWTOに提訴して韓国が敗北したが、韓国は上訴した。河野外相はこのことには触れていないが、外務省は韓国に上訴を止めるよう、しっかり言っていかなければならない。」「元谷代表からご指摘を頂いていたハワイの太平洋航空博物館のドゥーリットル空襲に関する展示の誤りについて、3月15日に変えることができた。当初『25万人近い中国人がこの爆撃に参加した特別攻撃隊員の逃亡を助けた処罰で日本軍によって殺害されました。』という記述があったが、これが『日本帝国軍は中国南東地区に於いて軍事活動の強化を図り、その結果多数の中国人が犠牲となりました。』に変更された。英文では『多数の』が『Countless(無数の)』と表記されているが、少なくとも25万人という根拠のない具体的な数字が消えたのは良かったのではないか。テキサス州の国立太平洋戦争博物館には、『1871年に日本は中国から沖縄と他の琉球諸島を手に入れた』という記述があったが、現地を訪れた青山繁晴参議院議員が修正を申し入れ『中国から』という言葉は削除された。さらに青山議員からは、『手に入れた』との記載の修正を再度申し入れている。外務省もジャパンハウスをロンドン、ロサンゼルス、サンパウロの3カ所に設置し、対外的な情報発信を行っている。これからも国益第一を見据えた政治をやっていきたい。」と、日本の国際社会におけるプレゼンスの向上と、海外での誤った展示を改めさせる活動について話されました。

在日本ルーマニア商工会議所会頭の酒生文弥様

在日本ルーマニア商工会議所会頭 酒生文弥様

 在日本ルーマニア商工会議所会頭の酒生文弥様は、「岸本先生のお話の中で、エドマンド・バークが出てきたが、彼はアイルランド人である。皆さんは、イギリスは一つの国だと思っているが、アングロサクソンはアイリッシュを弾圧した歴史がある。このように歴史を多角的に見る必要がある。」とコメントされました。

大阪市立大学名誉教授・不当な日本批判を正す学者の会(AACGCJ)理事・事務局長の山下英次様

大阪市立大学名誉教授・不当な日本批判を正す学者の会(AACGCJ)理事・事務局長 山下英次様

 大阪市立大学名誉教授・不当な日本批判を正す学者の会(AACGCJ)理事・事務局長の山下英次様は、「昨日(4月18日)、『正定事件の捏造を正す会』が発足した。1937年10月9日に中国河北省の正定という場所に日本軍が入ってその日のうちに平定したが、同じ日にカトリック教区に賊が侵入して略奪し、シュラーフェン司教を始め、西洋人9名を殺害するという事件が起こった。日本軍のような服を着ていたという証言があるが、その賊は中国語を話していたという証言もあり、さらに中国人は殺さず、西洋人のみを殺したことから、中国人、特に共産主義者がやったのではないかと考えられる。しかし、オランダのシュラーフェン財団は、犯人は日本兵であり、シュラーフェン司教は賊が慰安婦200名の提供を要求したのを拒否したために殺害されたのだというストーリーを創り上げ、2012年にバチカンに対してシュラーフェン司教を殉教者として福者に列福するよう申請した。慰安婦の提供を拒否したという話がなければ司教が福者に列せられることはないが、バチカンがこれを認めれば、南京事件や慰安婦問題のように、歴史が捏造されることになる。この事件には、『正定事件の殺人犯は誰か』ということと、『慰安婦問題とは何か』という2つのテーマがあり、相手はオランダ、バチカン、中国、日本のカトリック教会とその信徒の4つの正面がある。当会は2テーマ、4正面を念頭に置いて活動を展開していく。」と、正定事件の概要を解説され、その問題点を指摘されました。

戦争を風化させない会代表の芳賀健介様

戦争を風化させない会代表 芳賀健介様

 戦争を風化させない会代表の芳賀健介様は、「グアムに在住しているが、グアムでも博物館に、朝鮮人が日本軍によって強制労働させられたと書かれているが、領事館は何もしない。私がグアムで神社の建立を申請した時、米軍は、祖国のために命を捨てた人々は英雄だと言ってくれた。グアムは若者が来るところというイメージがあるが、そのために歴史が風化し、戦争が風化しようとしている。国を守るのは軍人であるが、日本では自衛隊を軍人として扱わない。私はジャングルのトレッキングツアーをやっているが、そこで数多くの生還兵と出会い、彼らは若者達に自分達の想いを伝えてほしいと訴えてきた。日本では『虐殺』はなかったと言うが、実際には現地で『虐殺』はあった。私は地元の人々と痛みを分かち合ってきた。だから慰霊祭をやろうと決めたのである。慰霊祭をやっていくうちに神社を造ることになった。地元の日本企業に話をしたら過去のものには金は出せないと言われ、悲しい気持ちになった。しかし、少しずつではあるが、地元の人々がお金を出してくれた。ある戦争体験者は、慰霊は気休めだが、神社は魂が集まるところだから賛成だと言った。さらに、副知事が公共の場を提供してくれて神社を建立することができた。戦跡めぐりツアーをしているといろんな人々が来るが、皆戦争のことを知りたいと言う。副知事は、『大砲は過去のものだが、神社はこれからのものだ』と言ってくれた。若い人を育て、若い人に力を与えていきたい。」と、グアムでの神社の建立の取り組みについて話されました。

サー中松義郎博士

サー中松義郎博士

 サー中松義郎博士は芳賀様に対して、「あなたの話の中で我が軍が『虐殺』をしたと言ったが、ここの参加者の中で『虐殺』があったとは誰一人思っていないだろう。何を根拠に『虐殺』したと言うのか。」と、「虐殺」という表現を非難されました。これに対して芳賀様は、「地元の方々から『虐殺』があったと聞いた。地元の方々は忘れてはいけないが許そうと言っている。だから私も地元の慰霊祭に参加して痛みを分かち合ってきたのである。」と答えられました。勝兵塾事務局長の諸橋茂一様からは、「旧日本軍が『虐殺』をしたという話には嘘が多いので、十分に根拠を確認した上で、慎重に話されるべきである。また、芳賀さんの話では『虐殺』の具体的な内容がないが、もし本当であるならば、いつ、どこで、どのような状況で、どれくらいの犠牲者が出たのか、次回以降にまたお話頂きたい。」と、具体的な内容と根拠を示すよう提案されました。

なでしこアクション代表・歴史の真実を求める世界連合会日本理事の山本優美子様

なでしこアクション代表・歴史の真実を求める世界連合会日本理事 山本優美子様

 なでしこアクション代表・歴史の真実を求める世界連合会日本理事の山本優美子様は、「なでしこアクションは慰安婦問題に取り組んでいる市民団体である。先日アトランタのストーン・マウンテン記念館を訪れた。そこには南北戦争の南軍の3人の英雄の彫刻があり、その一番左がジェファーソン大統領であるが、彼が1886年にミシシッピ州で行った演説に、『先の戦争に負けたからと言って 南部が間違っていたとか、悪かったとは絶対に思ってはなりません。なぜなら、我々の大義は 正しかったからです。』という言葉がある。この『南部』は『日本』に置き換えてもそのまま当てはまる。また、ジョージア州のブルックヘブンにアメリカで2番目の慰安婦像が建てられたので、その慰安婦像を見に行った。そこには、『日本帝国陸軍に奴隷にされた「慰安婦」』『推定数十万人の20世紀最大の人身売買』『殆どは第二次世界大戦中に殺された』『平均16歳の少女』と書かれた碑がある。この像のある公園では毎年桜祭りをやっている、そのような場所に『慰安婦像』が建てられたのである。またカリフォルニア州では昨年から高校で慰安婦問題が教えられるようになり、カナダではトロントやバンクーバーでも教えられている。このままでは誇れる国日本の復活どころではない。これは韓国が悪いのではなく、元々は日本人が言い始めて広めたのである。広める場が国連の人権委員会であり、日本から大挙して国連を訪れ、日本には差別がありいかに酷いかを訴えているのである。2014年からは我々も国連に行くようになったが左派は強い。そうした左派の訴えが国連勧告になり、それを中国や韓国が政治利用しているのである。国連人権委員会は、建前では公平であり、NGOの意見を聞いてくれるので、我々も国連に意見を言いに行けばよいし、メールでレポートを送ることもできる。ユネスコの世界記憶遺産では3年前に南京大虐殺が登録され、慰安婦も登録されそうになったが、日本の4団体の活動によってこれを阻止することがきた。次の世代の子供たちのためにも、今我々ができることをやっていく。」と、慰安婦問題の本質と日本の名誉を守るための取り組みについて話されました。

「空の神兵」顕彰会会長、元出光興産株式会社の奥本康大様

「空の神兵」顕彰会会長、元出光興産株式会社 奥本康大様

 「空の神兵」顕彰会会長、元出光興産株式会社の奥本康大様は、「義烈空挺隊の慰霊と顕彰を、祥月命日である5月24日靖国神社で行う。義烈空挺隊が降りた読谷飛行場跡を訪れたが、そこには粗末な木が立っているだけで、しかも実際に降りた場所ではなく、中学校を建てるために別の場所に移されたのである。正式な碑が建てられないのは読谷村役場の意向だと言う。今の沖縄がいかにおかしな状況になっているか訴えていきたい。」と、沖縄のおかしさを指摘されました。

 勝兵塾事務局長の諸橋茂一様は、「1910年4月14日に第六潜航艇事故が起こり、14名が亡くなった。日本以外の潜水艦事故では、引き上げてみると、全員が我先に逃げようと修羅場になっていたが、第六潜航艇の事故では乗組員の全員が最後まで持ち場を離れず、佐久間艇長は後世に活かすため鉛筆で事故の経緯を克明に書き残し、メモの中には『乗組員の家族の生活に支障なき様配慮願いたい。』との内容もあった。1898年にメイン号が沈没し、266名の乗員全員が水死したが、白人は事前に全員下船していた。アメリカはスペインの仕業だと非難し、スペインに宣戦布告して勝利し、フィリピンをはじめ大西洋の島々を奪った。」と、歴史の真実を紹介されました。

 

 最後に塾長は、「今月の座右の銘は『闘魂 それは諦めずに 闘い続けることである』である。反日日本人が国連で日本を貶めるようなことを言いふらすのはどうしてなのかと考えていたが、ソ連が崩壊して冷戦が終結し、左翼は共産主義を語れなくなった。そのため反日的な活動に入ったのではないだろうか。左翼は、労働組合が給料から組合費を天引きしているため、ふんだんに資金を持っている。だから日当を払ってデモに人を集めることができるのである。保守には組織だったものがないため、左翼に負けている。今や世界は新帝国主義の時代が到来し、民主主義を経験したことのない中国やロシアが再び帝国となり、力の論理で鬩ぎ合う時代である。日本人は『モリカケ』やセクハラなど、問題にならないようなことを問題にして、憲法改正を阻止しようとしている。憲法を改正する場合は、9条2項を削除してはじめて自衛隊を軍隊と位置付けることができるが、三分の二の賛成を得るためには現行の解釈を超えることができない。これまで改正のできない憲法を作ってしまったのだから、1回目の改正は妥協してもやむを得ないだろう。2回目はいつできるか不安ではあるが、二段階改正論で行くしかない。中国が膨張し、アメリカに勝つためには、日本を取り込まなければならない。北朝鮮は中国に庇護を求めた。日本人はもっと危機感を持って対処していかなければならない。かつて世界第2位の経済大国だった時代には何も言われなかったが、日本が疲弊してきたことで、中国や韓国からいろいろ言われるようになった。現実世界は弱肉強食であり、日本とアメリカが同盟関係を強化し、トランプ政権のときに憲法を改正し、非核三原則を廃止し、核バランスをとるため、ニュークリア・シェアリング協定を結ぶべきである。この北朝鮮危機を利用するべきである。そのためには、トランプが北朝鮮と手打ちするなら日本は独自に核武装すると言ってもよいのではないか。皆さんには勝兵塾をきっかけに自分で調べて、本当はどうなのかを知ってほしい。」と、新帝国主義時代における日本の危機に改めて警鐘を鳴らし、会を締め括りました。