
塾長・最高顧問 元谷 外志雄
勝兵塾第50回月例会が、7月16日(木)にアパホテル〈東京潮見駅前〉宴会場にて開催されました。
冒頭のアパグループ代表元谷外志雄塾長による開会のご挨拶では、「安保関連法案が本日衆議院を通過した。衰退するアメリカと膨脹する中国の間で力の空白域を作ってはいけない。日本が力をつけることは中国も歓迎することであり、逆に力の均衡が破れると戦争が起こる。集団的自衛権の行使を認めることで、片務条約である日米安保が部分的に双務的になるのである。」と安保法制の意義について説かれ、「現在起こっている問題の元凶は民主党政権にある。民主党政権が1ミリシーベルトを基準に除染をやると言い出し、津波対策として東北地方だけでも防潮堤を造ることに1兆円もの予算を使うことに決めた。その結果、東北からの出稼ぎ労働者が東北に戻り、東京では人手不足で建設費の高騰と工期の遅延に繋がっている。新国立競技場の建設費が大きくなった原因もここにある。私は震災の直後には、短期間で建設でき、普段は使用収益しながら、津波が来れば人々がそこに避難でき、人命を守ることのできる津波防災マンションの建設を提案したが、未だに造られていない。安保関連法案の採決と同時に新国立競技場の見直しを打ち出したのは、マイナスにマイナスをぶつけて打ち消そうという安倍政権の戦略だろう。キールアーチに逆三角形の柱を立てるなどのVE案を採用すれば500億円程度の費用を削減でき、工期も2ヶ月程度は短縮できると私は考えている。」と、新国立競技場の問題の元凶を指摘し、現実的な対策を提案されました。さらに、「新国立競技場のデザインは民主党政権下で決定されたものであるが、メディアはそのことを全く報道しない。杉田水脈氏が国会で質問し、政府はサンフランシスコ講和条約締結によりプレスコードは失効したと答弁したが、朝日はプレスコードの番人となって、これまで守り続けてきた。先日『理論 近現代史学』という本を出版したが、事実を積み上げてそれらの事実を矛盾なく説明できるものが真実である。中国や韓国が日本を貶めようとするのは自分達の国益のためであり仕方のないことであるが、日本人でありながら日本を貶めようとする反日日本人こそが一番の問題である。」と、メディアの報道の偏向と勝兵塾を始めとする塾長の言論活動への思いを語られました。

評論家 雑誌「表現者」顧問 西部邁様
評論家で雑誌「表現者」顧問の西部邁様は、「安保法制は当然のものであるが、使われるのが日米同盟の枠組みだというのが問題である。アメリカがこれまでやってきたことは全て侵略戦争である。イラク戦争については後に米国議会も間違いを認めたが、小泉総理は、『大量破壊兵器がないことを証明するのはフセインの責任だ』と、論理的におかしなことを言い、未だに日本は間違っていたと反省していない。私は日本人がちゃんとものを考えないことを批判している。私は日本人のことを『劣等人』と呼んでいるが、これだけの技術、金、情報、教育、その他を持ちながら、かくも劣等な状態に成り果てているのは、歴史上かつてないことだ。日本人は『デモクラシー』を『民主主義』と訳しているが、直訳すれば『民衆政治』である。多くの民衆が健全である証拠というのは、長い歴史を持った国がその経験を学んで常識を活かしていれば健全だろうと推定できるというだけにすぎない。日本人が劣等であるのは、たった一度戦争に負けただけで手のひらを返したからである。また、『主権』とは『崇高なる力』という意味であるが、長い歴史の中で閲した判断基準があってはじめて主権を認められる。日本人はそのようなことも考えずに民主主義という戯言を70年間にわたって言い続けている。また『モダン』を『近代』と訳しているが、本来は『モデル(模型)』や『モード(流行)』という意味である。一般に近代化を良いことのように捉えているが、モデルの意味を考えずに飛びつくのは堕落に繋がるということを、オスヴァルト・シュペングラーが『西洋の没落』で書いている。自由民主は世界の普遍的価値と言われるが、その前提となる専制、抑圧の現実は各国各様に違う。政治の中心価値は自由と秩序のバランスを取ることであり、これは日々刻々の状況の中での具体的な判断が各国に問われているのである。それを、アメリカは普遍的価値を広めるために恐ろしい武器で攻撃する。日本はおかしいと気付きながらもアメリカに追従している。アメリカは歴史感覚が乏しく、バランス感覚が不足した国である。『左翼』という言葉はフランス革命に遡るが、議会の左側にジャコバン派が座り、自由、平等、博愛、合理という四つの抽象的観念的価値を掲げ、ブルボン王朝に対して歴史的大破壊を仕掛けた。本来の意味でアメリカは左翼国家である。日本も左翼的傾向を70年間続けている。歴史なき国民の歴史の破壊が左翼の根本精神である。自民、民主、共産は哲学的には差異はない。」と、民主主義や近代化、左翼といった言葉の本来の意味を紐解きながら、日本人の精神性の問題について鋭く指摘されました。
衆議院議員 小田原潔様
衆議院議員の小田原潔様は、「沖縄返還で外交と政治の力がすばらしいと感じ、8歳で政治家になりたいと思った。東京21区から出馬したときは周りから反対されたが、人生設計や損得勘定は考えず、人生をつまらないものにしたくないという思いで挑戦し、当選することができた。日本は60年間、国連で世界第二位の拠出金を払ってきているにもかかわらず、安保理で議決権がなく、未だに旧敵国条項が残っている。日本が常任理事国となることと、旧敵国条項の改正、北方領土の返還を目指していきたい。これからは宇宙やサイバー空間、海中をも守らなければならないが、他国との連携で守るしかない。安保関連法案は真の独立国家となるためのスタートである。政府の議論がわかりにくいのは具体的な国名を言えないからである。」と、政治への思いと安全保障問題への取り組みについて語られました。
「新しい歴史教科書をつくる会」副会長 岡野俊昭様
「新しい歴史教科書をつくる会」副会長の岡野俊昭様は、「全ての行動が帰結するのは教育である。私は全国を回って歴史教科書の大切さを説いている。多くの人達の支えで『新しい歴史教科書』を世に出すことができた。元谷代表からも多大な御支援を頂いている。地方に行くと素晴らしい方々がたくさんいる。伊勢神宮の近くにある皇學館大学の附属中学では、系列の大学には育鵬社の教科書を執筆している方がいるにもかかわらず、我々の歴史教科書を採択してくれた。政治を実現するためには教育が必要であるが、現在は99%以上が社会主義者の作った教科書を採択している。かつて、イギリスの子供達がイギリスは海賊の国だと教科書に書かれて教えられるようになると、成績が下がり非行が増えた。そこでサッチャーは教育を改革し、教員を入れ替え、大きく改善した。20世紀最大の歴史学者のトゥインビーは、『歴史を失った民は滅びる』と言っている。7月25日からジュネーブに行き、そこでクマラスワミ報告は間違いであると主張してくる。命を懸けて取り組まないと日本の誇りを取り戻せない。」と、歴史教科書への取り組みと、歴史教育の重要性を説かれました。朝鮮問題研究家の松木國俊様が教科書検定について質問され、「新しい歴史教科書をつくる会」会長の杉原誠四郎様は、「検定の過程で調査官は理不尽なことを何度も言ってきたが、その背後にいる審議会の委員が左翼だったからである。マッカーサーが東京裁判を批判していることを書いたら削れと言われた。東京裁判について政府見解だけを書くと東京裁判を認めたことになってしまう。何度もやり合って、結局マッカーサー証言を正確に書くなら良いということになった。文科省には左翼が相当多く入り込んでいると感じた。」と答えられました。
一般社団法人メキキの会会長 出口光様
一般社団法人メキキの会会長の出口光様は、「日本精神の源流である大和魂とは何か。昨年10月にフランスのドキュメンタリー番組で、『このまま人類が進化すると地球に住めない環境を作ってしまう。この危機を乗り越えるヒントが日本の文化と精神にある。』と伝えていた。またサウジアラビアの『カイゼン』という番組では、原爆二発の投下から世界第二位の経済大国へと日本が復興した秘訣は何かを伝えているが、その番組の中で、日本の小学生が学校で雑巾がけをしているのを皇太子が見て、サウジアラビアでも取り入れようと言った。これらは戦前の日本の素晴らしいところを捉えているが、それらは今朽ち果てようとしている。日本書紀に『八紘為宇』という言葉がある。世界中隅々まで家族のように仲良く、という意味である。日本古来の魂の構造は『一霊四魂』といい、『荒魂(あらみたま)』、『和魂(にぎみたま)』、『幸魂(さきみたま)』『奇魂(くしみたま)』があり、その真ん中に『直霊(なおひ)』があり、もう一人の自分がコントロールしている、とされている。戦前の人々は皆これを知っていた。その証拠に1940年、皇紀2600年を記念して宮崎県の平和台公園に建てられた八紘之基柱には四魂像が彫られている。」と、日本古来の精神である大和魂について語られました。慶應義塾大学経済学部教授の塩澤修平様より、大和魂を教育していく取り組みについて質問があり、出口様は、「いきなり『大和魂』と言っても敬遠されるので、志教育プロジェクトを世界中に広げようとしている。」と答えられました。
衆議院議員 原田義昭様
衆議院議員の原田義昭様は、「今日は国にとって大事な日になった。安保関連法案が衆議院を通過した。これは極めて大事な法案である。新聞の扱いが左寄りではないかと思う。国家、国民、領土、主権をいかに守るかが大事であるが、そのことがわからない者がそんなものは要らないと言っている。与党として、国民に必要性をわかってもらうことが大事である。抑止力を持つことで平和を実現する。」と、安保関連法案の意義と理解を求めることの重要性を訴えられました。
ハーバード大学イグ・ノーベル賞受賞教授 サー中松義郎博士
ハーバード大学イグ・ノーベル賞受賞教授のサー中松義郎博士は、「先日イグ・ノーベル賞創設者のマーク・エイブラハム氏が来日した際には、代表に大変お世話になり、彼もアパホテルを大変気に入っていた。西部氏は、民主主義はダメだと言っていたが、私も民主主義に対して『賢主主義』を主張している。」と、コメントをされました。
グローバル・タンク株式会社法人営業部部長 坂本聡様
グローバル・タンク株式会社法人営業部部長の坂本聡様は、「海外では中国人や韓国人の留学生が増えている。文科省は若者の留学を増やし、グローバルに活躍できる人材を育てようとしているが、日本人が海外に留学して、反日教育を長い間受けている中国人や韓国人留学生から、無防備なまま歴史認識の論争を吹っかけられたら反論できない。日本人としてきちんと歴史を学び、間違いがあればそれを正すことを、自国語だけでなく外国語でできるようにしていくべきであり、海外に向けて外国語で日本の立場を主張していく必要がある。」「今後日本が経済的に復興していくには、技術と金とマーケティングパワーが必要である。この20年間日本はやられっぱなしである。この国には人も技術も金もあるのになぜベンチャーが出てこないのか。それは日本人同士が足を引っ張ったり、妬んだりして潰してきたからだ。そういうことはやめよう。日本には外国に頼らなくてもビジネスをリードする力がある。しかしそのためには教育が必要である。」と、歴史教育の必要性とビジネスにおける日本の潜在力について語られました。
愛媛県議会議員 菊池伸英様
愛媛県議会議員の菊池伸英様からは、「教育の問題、特に歴史教育に対して真剣に取り組まなければならない。安保法制を何があっても通すと信じて安倍総理を応援してきた。勝兵塾松山支部を是非立ち上げたい。」と、ご挨拶をいただきました。
初代タイガーマスクでプロレスラー 佐山聡様
初代タイガーマスクでプロレスラーの佐山聡様は、「海外にいると日本は素晴らしいと思う。日本人は高い民度を持っている。欧米は週一回教会に行き、牧師から道徳について学ぶ。格闘技の選手を育てているが、外国人の方が礼儀正しいと感じる。1848年に共産主義党宣言を出したマルクス、エンゲルス、さらに遡って1789年のフランス革命に影響を与えたルソーはユダヤ人である。アメリカやメキシコに行くと、仲良くなればなるほどユダヤ人の悪口を聞く。ボリシェヴィキも皆ユダヤ人であった。かれらがドイツに渡り、アメリカへ渡ってルーズベルト政権に入り込んだ。共産思想に侵された人々がGHQとしてやってきた。彼らが日本国憲法をつくり、WGIPやプレスコード、東京裁判で徹底的に日本を共産主義化しようとした。マッカーサーもハーグ陸戦法規やポツダム宣言を無視し、昭和20年9月3日には『軍票を作れ、公用語を英語にしろ、全権限をGHQによこせ。』、などと言い、日本をフィリピンのようにしようとした。さらに対日方針指令では、財閥解体や農地改革など共産主義政策を指示した。宗教を無くされて、優秀な日本人の精神基底が失われた。欧米ではイエスがトップにあり、平民は横の世界である。一方、日本は性善説であり、両親、先生、国が人を育てていくものであり、縦社会が必要である。アメリカでは16%が無宗教であり、この16%がすべて自由だと言っている。マッカーサーは昭和22年までこの国を共産主義化しようとしていた。共産主義者たちを解放し、彼らがこの国を乗っ取った。欧米では精神基軸をつくる取り組みをしているが、日本のマスコミはこの16%のことを取り上げ、日本を精神基底のないまま横社会にしようとしている。これを正すのは誰なのかと思っていたら勝兵塾のことを知り、大変驚いた。是非この塾の活動が日本人の精神基底を作る第一歩となって欲しい。」と、日本人の精神基底の必要性を訴えられ、勝兵塾の活動に期待を寄せられました。自民党広報本部長で衆議院議員の馳浩様は、メキシコ時代について質問され、佐山様は、「メキシコに2年間いたが、メキシコ人は日本人のことが大好きである。それはアメリカと戦ったからであり、正義の戦いだったと知っているからだ。カトリックが90%を占め、男らしさを求められるが、犯罪は多く、民度を見ると日本は素晴らしいと感じる。ただし、日本人男性は女性にもてる。」と、答えられました。
勝兵塾事務局長 諸橋茂一様
勝兵塾事務局長の諸橋茂一様は、自由社、育鵬社、東京書籍、帝国書院の4社の中学の歴史教科書を詳細に比較して、「自由社の教科書が最も優れており、同じ保守と言われる育鵬社は、東京書籍や帝国書院のものに比べると良いが、多くの点で自由社のものに劣っている。今金沢市を最優先に石川県内で自由社の教科書採択を目指している。」と、各社の歴史教科書を論評されました。
最後に塾長より、「これまで世界81カ国を回り、その国の有力者と話すと日本が素晴らしい国だとわかる。保守は英語での発信が弱い。私がアップルタウンに英訳を付けたことで、先日のパーティーには18カ国の大使が出席するようになった。本当のことを知れば、皆、保守になる。本当のことを知り、それを英語で発信していく。これまで勝兵塾に延べ1万人が参加した。勝兵塾の支部の開設についていろんなところから声が掛かっている。」と英語での発信の重要性を説かれ、さらにアパリゾート〈上越妙高〉で開催される次回の金沢勝兵塾の告知をして会を締め括られました。今回は第50回の節目となる月例会として、例会終了後には会場に隣接するレストラン「ラベランダ」で懇親会が開催され、塾生相互の親睦を深めました。