第35回 勝兵塾月例会レポート

塾長・最高顧問 元谷 外志雄

勝兵塾第35回月例会が、4月17日(木)にアパホテル〈東京潮見駅前〉宴会場で開催されました。
冒頭のアパグループ代表、元谷外志雄塾長の挨拶では、「4月11日に杉田議員が衆議院議員内閣委員会でプレスコードについて質問した。私は3月12日に産経新聞に広告としてではあるが大手新聞紙上に初めてプレスコードについて掲載したが、杉田議員の質問もプレスコードについて国会内では初めての質問だろう。杉田議員は『プレスコードの30項目は日本の報道機関は報道してはいけないというような指針であったが、これは今も有効なのか?』と質問し、これに対して外務省の水島官房参事官が『サンフランシスコ平和条約の発効に伴って失効している』と答えた。そこで、杉田議員は『いまだに日本の報道や政府の対応がこれにとらわれているように思える』と発言している。さらに、政府は海外向け広報費が3倍になったと答弁したが、5億が15億になっただけである。私はエッセイで3,0000億円の予算と3,000名の人員で、日本の国益に反する誤った報道に対して24時間以内に反撃できる体制をつくるべきだと主張したのだから、これでは全く足りない。また、4月10日には上智大学名誉教授の渡部昇一氏がある勉強会で、『歴史問題が時事問題になっている』と発言されている。日本は歴史問題に関して海外に向けて論破し発信していかないと、この先追い込まれるだろう。」と、杉田議員のプレスコードに関する国会質問を紹介され、情報戦の重要性を訴えられました。さらに、4月1日付産経新聞広告で募集した藤誠志エッセイ読後感想文の最優秀作品についても触れられ、「レベルの高い作品が集まった。5月1日にも新聞広告にエッセイを掲載して感想文を募集する予定なので、積極的に応募してほしい。」と、冒頭のご挨拶を締め括られました。


駐日モザンビーク共和国大使館臨時代理大使のイルダ・ライヴォーゾ

駐日モザンビーク共和国大使館臨時代理大使のイルダ・ライヴォーゾ様は、「モザンビークは南部アフリカ開発共同体(SADC)に属しており、南アフリカ共和国やタンザニアの民主化に大きな役割を果たした。SADCは経済発展と貧困をなくすことを目的としており、防衛でも連携している。モザンビークは経済成長率が7.5%と高く、都市化が進んでいる。政治体制は大統領制で政治的にとても安定している。ポルトガルによる植民地支配が500年続いたが、1975年に独立した。経済の40%を海外からの支援に頼っているが、そこから自立するのが課題である。今年の1月に安倍総理がモザンビークを訪問して首脳会談が行われ、より強いパートナーシップを構築することで一致した。」とモザンビークの歴史や経済成長、日本との強い関係について語られました。

衆議院議員の鷲尾英一郎

衆議院議員の鷲尾英一郎様は、「尖閣諸島の問題について感情的な意見をよく耳にするが、手段として軍事力を用いることがどういう結果に繋がるかを戦略的に考えなければならない。海上自衛隊が武力行使をしたら、中国から『日本が先に軍事力を行使した』と執拗に非難されるだろう。現在は海上保安庁の船を24時間体制で派遣し、実効支配を維持している。現在は警察力で争っている状況であり、先に軍事力を行使すると日本の正義が世界に通用しなくなる可能性がある。戦略的失敗をした事例として慰安婦問題がある。これを挽回するのは大変なことである。韓国はアメリカで大規模なロビー活動をしており、日本は情報戦で劣勢に立たされている。戦前にカリフォルニア州で日本人移民の排斥が行われたとき、日本世論は激昂し、反米の機運に繋がった。一方、イギリスはアメリカとパナマ運河の運営で揉めていたが、現実的な解決としてイギリスの国益を考えて譲歩する戦略を採った。その結果、イギリスはパナマ運河の運営で相当の利益を得ることができた。」と、戦略的な外交の必要性について語られました。

軍事ジャーナリストの鍛冶俊樹

軍事ジャーナリストの鍛冶俊樹様は、先の東京都知事選で広報部長を務めた経験から、広報戦略という観点で先の知事選を振り返り、「青年会議所の公開討論会が、田母神陣営がキャンセルしたから中止になったと非難され、マスコミによって田母神陣営が逃げたという印象操作が行われた。しかし実際には、舛添氏も細川氏も欠席となったからキャンセルしたのだ。」「昨年12月26日に安倍総理が靖国を参拝したことについて、アメリカが『失望した』と言ったが、今年の1月2日に田母神陣営は靖国を参拝した。これをアメリカが喜ぶはずはないし、アメリカが喜ばないことを自民党がやるはずはない。だから自民党は舛添を推した。」と、選挙戦の裏側にも触れられました。

セントルイス大学教授のサー中松義郎

セントルイス大学教授のサー中松義郎博士からは、「勝兵塾において代表の座右の銘は教科書であり、私は何度も熟読した。その中に、『天道我にあらば 百万と雖も 我、行かん』という言葉がある。私はこの『天道』として、礼節が大切であるということを言いたい。」という発言がありました。

衆議院議員の原田義昭

衆議院議員の原田義昭様は、「私はこれまで選挙を9回やって6勝3敗である。その経験から言うと、選挙に当選するためには組織が重要である。東京都知事選挙中、私はネットで『舛添氏を応援する。田母神氏は受かる可能性がないから応援できない』と書いたら多数のメールが来た。そこで私は『この人は落ちても政治で必ず復活する。そのためのステップであれば、都知事選は最高の機会だ』と書いた。」と、選挙に関する持論を披露されました。さらに、「自民党内に国際情報検討委員会が発足し、私が委員長になる。日本のこれまでの情報戦略は決定的に劣っていたし間違っていた。日本政府は広報はやるが、広報と情報戦略とは似て非なるものである。12月26日に安倍総理が靖国参拝したのは当たり前のことだが、これに一番反応したのがオバマである。小泉元総理は靖国に7回行ったがアメリカは何も言わなかった。これは中国や韓国はアメリカという第三国の地で徹底的に情報戦をしてきたからだ。日中、日韓でローカルなことを言っても解決しない。そこで日本もヨーロッパやアメリカなどの第三国で情報戦をやっていく必要がある。」と、情報戦への取り組みについて語られました。

杉並区議会議員の松浦芳子

杉並区議会議員の松浦芳子様は、「約7年前にアメリカ下院で日本政府に慰安婦に対する謝罪を求める第121号議案が可決されたが、その決議文には『20世紀最大規模の人身売買』と書かれている。これを許せるだろうか?また、アメリカのグランデール市で慰安婦像が議会の決議によって設置されたため、アメリカ大使館へ抗議をしたところ、『これは国が決めたことではない。地方議会で決めたことなので地方議会に抗議することはできる。』とベネット一等書記官から言われた。そこで300名を超える署名を持って渡米した。アメリカでは、まず慰安婦像設置を否決したブエナパーク市を訪れ、議場でスピーチを行った。その後、グレンデール市を訪れ、慰安婦像を見て血が逆流する思いがした。現地の子供を持つ4名のお母様方とお会いし、子供がいじめられたり、日本人であることを隠して生活したりしているという話を聞いた。海外にいる日本人に思いを馳せなければならない。2月20日に山田宏議員が国会で河野談話について質問し、石原信雄元官房副長官がこれに真摯に答えていた。私は感動しながらこの映像を見た。河野談話をしっかり読めば、『性奴隷』とも『20万人』とも書かれていない。河野談話をそのままにしても、戦後70周年を機に新たな談話を出すべきだ。海外にいる日本人、戦争で散った若者、これから生まれてくる子供たちのために、慰安婦像を撤去すべきだ。」と、慰安婦像問題への取り組みについて語られました。

第29代航空幕僚長の田母神俊雄

第29代航空幕僚長の田母神俊雄様は、「日本だけが国際法に則って行動できない。人口2万人のパラオでも中国漁船が領海侵犯をしたら銃撃して沈めた。日本では『不測の事態を起こしてはいけない』とよく言われるが、その結果取られてしまったのが竹島である。尖閣も国際法に則って対処すれば外国から文句は言われない。中国との戦争を避けたいという心理の裏には中国の軍事力が強大であるという思い込みがある。しかし、中国軍が強大だと言っているのはアメリカであり、それは軍事予算を確保するためである。戦争は準備をしないとできないし、中国は日本と戦争をする気はない。あと10年は中国軍に日本を侵略する力はないだろう。軍事力が強くないと外交交渉が出来ない。今は、軍事力は話し合いで解決するための手段である。日本が自分の国を自分で守ることが必要である。武器輸出三原則が緩和されたが、これで少しずつ国産の武器に置き換わって行くだろう。」と、国際法に則った対応の必要性を訴えられました。

元衆議院議員の遠藤宣彦

元衆議院議員の遠藤宣彦様は、「私が大学を卒業して郵政省に入省したのは昭和63年でバブルの絶頂期だった。当時は終身雇用、完全雇用の下、防衛は思考の外に置かれ、冷戦終結の準備をしていなかった。冷戦がもたらしたものは宇宙開発と情報通信である。インターネットの普及により生産者とユーザーが直接結びつくようになると人が不要になった。また、ソ連という敵が消滅したアメリカは日本の保護者ではなくなった。人は惰性に流されるものであり、当時の日本人はまだまだ大丈夫だと思っていた。横軸に世界観、縦軸に歴史観を置いて見ていく必要がある。」「アメリカはご都合主義である。世界は国益のためにしのぎを削っており、アメリカは国益のために方針を変えてきた。日本は強かさを持たなければならない。日本のカードは中東とアフリカである。これらの地域で日本は信頼を勝ち得ている。さらに中国に対しては、インドネシアなどのアジアのイスラム国との友好関係が中国に対する牽制になる。政治の目標は『安心』、『豊かさ』、『誇り』である。そのためには正しい歴史認識が必要である。」と、歴史と国際情勢の中から日本の置かれている現状について語られました。

戦後問題ジャーナリストの佐波優子

戦後問題ジャーナリストの佐波優子様は、「最近『永遠のゼロ』が本や映画で話題になった影響で自分の祖父や親戚が戦争中にどんな戦いをしたかを調べる若者が増えている。私の知人の女性もビルマのメイショウで亡くなった大叔父について調べ、ビルマの戦友会の慰霊祭に参加した。そこで85歳の元看護婦の女性と出会い、大叔父と同じ時期にメイショウにいたことがわかった。その女性からは当時の様子を聞くことができたが、その女性が大叔父の名前を覚えていないことを深く詫びた。知人の女性は、患者全員の名前を覚えようとしてくれたことに感動していた。当時の写真を見ると看護婦の方々は皆とても優しい顔をしていた。知人の女性はその後ミャンマーへ慰霊巡拝に行った。戦地を訪れる人が増えれば、国を守るために亡くなられた方々に対する思いが受け継がれていく。」と、戦時中の元看護婦の方のエピソードを披露されました。

元衆議院議員の高邑勉

元衆議院議員の高邑勉様は、「2月26日に行われた山口県知事選に出馬したが、残念ながら次点だった。選挙中は、地域経済の活性化のために産業支援や企業誘致の必要性を一貫して訴えた。ある外国企業の日本進出を手伝っているが、立地の選定には電力の安定供給、安価な電力の供給が重要な条件であることがわかった。私は原発ゼロといった耳あたりの良い話ではなく、現実路線で地域再生に取り組みたい。」と、地域再生への取り組みについて語られました。

新しい歴史教科書をつくる会副会長の岡野俊昭

新しい歴史教科書をつくる会副会長の岡野俊昭様は、「国のやるべき一番の仕事は国土と国民の生命を守ることである。慰安婦問題には日本人の名誉、誇りがかかっている。私は日本人学校の校長をやっていたが、海外で日本人の子供がいじめられているという話が入ってきた。こうした問題をうやむやにしていて党利党略ばかりやっている政治家を恥ずかしく思う。日本の保守は立派なことを言うが互いに協力し合わない。だから私は田母神氏には期待している。」と発言されました。

勝兵塾事務局長の諸橋茂一

勝兵塾事務局長の諸橋茂一様は、「大東亜戦争で日本軍がインドネシアの青年達に軍事訓練を行ったことで、インドネシアはオランダからの独立を果たすことができた。インドネシアが国民的英雄であるスディルマン将軍の銅像を防衛省に寄贈したのは、このことに感謝しているからである。」と、インドネシアの独立に果たした日本の功績について語られました。

最後に塾長より、「『平和を望むなら、戦争に備えよ』という言葉がある。平和には『支配される平和』『支配する平和』『バランスオブパワーによる平和』がある。今は武力を戦わせる戦争から情報戦、経済戦へと変わっている。英語で発信し、相手の言語で即座に反論する体制をつくらなければならない。『テキサス親父』と呼ばれているトニー・マラーノ氏が来日し、対談する予定である。外国で日本の味方になる人脈を作っていく必要がある。アパグループの行事に多くの外国大使が来るのは、『Apple Town』のエッセイやビッグトークを英語で発信しているからである。予算が15億円では話にならない。3,000億円の予算で3,000人体制の情報省を作るべきである。今は公にされた情報を解析するだけで相当のことがわかる。国際社会は弱肉強食の騙し合いの世界である。日本も国際基準でどう戦っていくのかを考えていかなければならない。そのためには日本派の政治家が集結して真正保守の党を立ち上げるべきである。自公政権では公明党はアメリカにとってアンカーの役割を担っている。自公連立を解消し、安倍自民党が真正保守の党と連立することでアメリカからの軍の独立を果たすべきであるが、これは憲法改正以上の高いハードルがあるだろう。沈み行くアメリカと膨張する中国との間で、いずれアメリカは日本を必要とするときが来る。それまで時間を掛けて対等の関係にしていけばよい。5年半ほど前の田母神騒動から世の中は大きく変わった。私はこの勝兵塾から総理を出したいと思っている。」と、情報戦の重要性と真正保守の党の必要性を強調され、会を締め括られました。