第82回 勝兵塾月例会レポート

塾長・最高顧問 元谷 外志雄

塾長・最高顧問 元谷 外志雄

 勝兵塾第82回月例会が、3月15日(木)にアパグループ東京本社で開催されました。冒頭のアパグループ元谷外志雄代表による塾長挨拶では、「今般、『アパ日本再興大賞』を創設した。賞金は1、000万円で、12月に懸賞論文とあわせて表彰する。過去5年間に出版された書籍や発表された論文が対象となり、勝兵塾講師特待生には推薦の資格があるので、一人一作品までで素晴らしい作品を是非推薦していただきたい。」「本日は、10年前に制作した動画を見ていただく。日本の危機はその当時から変わっていないし、国際情勢の推移は、当時予想した通りになっていることがわかる。前回の北朝鮮危機ではアメリカが北朝鮮を空爆しようとしたが、当時の金泳三大統領が『ソウルが火の海になる』と恐れて反対し、アメリカは北の空爆を断念した。トランプと金正恩との会談が予定されているが、北朝鮮がすでに持っている核兵器をどうやって廃棄させるかが問題である。核兵器は持っているだけで威嚇できる。トランプと金正恩との会談で、核兵器やICBMの実験をしないということで安易に話がまとまってはいけない。トランプ・金正恩会談の動向を注視したい。」と、新設された「アパ日本再興大賞」の告知と、現在の北朝鮮危機に触れた後、2008年に出版された『報道されない近現代史』のエッセンスを纏めた動画を視聴しました。

駐日タジキスタン共和国大使館特命全権大使のハムロホン・ザリフィ様

駐日タジキスタン共和国大使館特命全権大使 ハムロホン・ザリフィ様

 駐日タジキスタン共和国大使館特命全権大使のハムロホン・ザリフィ様は、「これまで元谷代表とは何度かお会いしたが、戦後50年で日本が世界でトップクラスの産業国になるために代表の世代の方々が大きな貢献をされてきたことを理解した。タジキスタンは小さな国で、国土は日本の本州より多少小さいくらいである。国土の93%は山岳地帯で、人口は約900万人である。25年前に独立して以来、近隣諸国や日本と強い関係を築いてきた。本日御出席の馳浩先生をはじめ、多くの日本の国会議員の方々と交流を深め、日本の外務省とも良好な関係を築いてきた。数年前に安倍総理がタジキスタンを訪れたことは大変有意義であった。タジキスタンは中央アジアに位置し、豊かな文化を持っている。また旧ソ連で最も標高の高い山のある国である。エコ・エネルギーが発達していて、水力発電では中央アジアの70%を占めている。40年前に建設された高さ300mのダムは、出力が3、000メガワットで、世界で最も高いダムである。現在さらに大きなダムを建設中であり、高さは335mで、今年の終わりに運用を開始する予定である。安いエコ・エネルギーを利用して、パキスタンへ電力を輸出する計画があり、アルミニウムの製造も盛んである。地下資源が豊富で、金、銀、レアメタルなど電子機器に使われる金属もある。私は若い頃は物理に興味があり、トランジスタや電子回路などの電子機器を通じて日本を知った。2度目の日本との出会いは、1973年から74年に旧ソ連のウラジオストークで兵役に就いていた際、日本の歌をたくさん聞いて日本の歌が好きになったことである。私はタジキスタンの歴史や伝統芸能に関する書籍を出版したが、日本の人々にも知ってもらいたいと考え、現在日本語版も製作中である。今村雅弘先生とは、先生が復興大臣のときにお会いしたが、その際に防災や復興について話をした。旧ソ連時代は綿の生産が多かったが、最近は野菜や穀物の生産が多い。是非皆さんにタジキスタンに来ていただきたい。」と、タジキスタンの産業や日本との関係を紹介されました。

サー中松義郎博士

サー中松義郎博士

 サー中松義郎博士は、ザリフィ大使に対して、「タジキスタンは日本に対してどのような貢献をしてくれるのか?」と質問され、ザリフィ大使は、「タジキスタンは地下資源が豊富であるが採掘、加工の技術はない。日本は優れた技術を持っており、協力関係を結ぶことができる。また国際社会の問題について、タジキスタンは日本と同じ立場を採っている。国連などで日本の立場をサポートしたい。」と答えられました。

衆議院議員の今村雅弘様

衆議院議員 今村雅弘様

 衆議院議員の今村雅弘様は、ザリフィ大使に対して、「以前お会いしたとき以降、タジキスタンの防災や水力発電についてどのようになっているか?」と質問され、ザリフィ大使は、「日本の企業と協力関係を進めており、すでに日本企業が地下資源について研究を始めている。JICAとは災害対策や復興について話を進めている。さらに、水力発電などへの投資家保護のための法整備も行っている。」と答えられました。

駐日ブルキナファソ大使館特命全権大使のパスカル・バジョボ様

駐日ブルキナファソ大使館特命全権大使 パスカル・バジョボ様

 駐日ブルキナファソ大使館特命全権大使のパスカル・バジョボ様は、「ブルキナファソは西アフリカに位置し、周囲はコートジボワールやマリ、ナイジェリア、ビニン、トーゴ、ガーナと6か国に囲まれている。面積は27万4千㎢で、人口は1、800万人、フランス語が公用語となっている。昨年の経済成長率は5・3%で、今年は6・7%を見込んでいる。平均寿命は56・7歳で、識字率は29%、初等教育の就学率は70%で、中等教育の就学率は15%である。伝統と文化に満ちた国で、国際的な文化や伝統工芸のイベントが毎年行われている。首都のワガドゥグーは、アフリカ映画の都と呼ばれており、毎年全アフリカ映画祭が開催されている。ブルキナファソは綿花の大生産地でもあり、金やマグネシウム、マンガン、亜鉛、リンなどの鉱物資源も豊富である。1960年にフランスから独立したが、その年から日本とは外交関係を結んでいる。日本に対しては綿花やゴマを輸出している。今後両国間で、投資や教育、政治の分野で交流を深めていきたい。」と、ブルキナファソの文化と産業について紹介されました。

米国籍弁護士・株式会社ワールドウィズアウトボーダーズCEOのジェームス・ニコラス・パパトネス様

米国籍弁護士・株式会社ワールドウィズアウトボーダーズCEO ジェームス・ニコラス・パパトネス様

 米国籍弁護士・株式会社ワールドウィズアウトボーダーズCEOのジェームス・ニコラス・パパトネス様は、バジョボ大使に対して、「アメリカや中国がトップ3に入るとは思うが、ブルキナファソへの投資の大きな国はどこか?」と質問され、バジョボ大使は、「フランスが最大の投資国であり、アメリカやドイツ、台湾からの投資も大きい。日本とも1960年以降緊密な関係を築いており、大きな投資国の一つである。中国とは国交を持っていないため、中国からの投資はない。」と答えられました。

株式会社TBIホールディングス取締役名誉会長・海外在住ネパール人協会国際本部会長のヴァッタ・ヴァバン様

株式会社TBIホールディングス取締役名誉会長・海外在住ネパール人協会国際本部会長 ヴァッタ・ヴァバン様

 株式会社TBIホールディングス取締役名誉会長・海外在住ネパール人協会国際本部会長のヴァッタ・ヴァバン様は、「20年程前に学生としてネパールから来日し、東海大学に在籍した。日本とネパールは昨年国交60週年を迎えた。ネパールは、GDPは低いが、ヒマラヤからの水力があり、水力発電では世界第3位である。ネパールはホスピタリティの国である。私は日本で数多くの飲食店で働いて経験を積み、2003年に1店舗目をオープンした。業態は居酒屋で、現在300店舗を展開している。経営に行き詰まった店舗を居抜きで引き継ぐことで開店費用を安く抑え、その分お客様に安く提供できる。TBIはTotal Business Instituteの略で、政治家の家に生まれた私は、学びながら経営をしていきたいという意味を社名に込めている。社員の99 は日本人で、私は常に日本の心を大切にしている。日本は戦後50年で、世界で最も強い経済大国になった国であり、私は松下幸之助や本田宗一郎から経営を学んだ。またHISの澤田氏がハウステンボスを赤字から黒字に転換させたことに刺激を受け、蓼科のリゾートホテルの立て直しにチャレンジし、2期目から黒字化に成功した。ネパールで2年前に大地震が起こったことをきっかけに、海外にいるネパール人で、ネパールのために何かやろうと海外在住ネパール人協会を創った。今は会社の経営は社員に任せて、私はネパールのための活動をしている。また、私は日本文化を大切にしていて、毎年正月には袴を着て社員を自宅に招いてお屠蘇を振る舞ったり、靖国神社に参拝したりしている。」と、日本での事業展開と、その中で大切にしている日本の心についてお話しされました。

米国太平洋戦争博物館日本事務局の岸田芳郎様

米国太平洋戦争博物館日本事務局 岸田芳郎様

 米国太平洋戦争博物館日本事務局の岸田芳郎様は、「私は博物館に関わっていて、アメリカにおける博物館の現状に危機感を持っている。ドゥーリットル爆撃隊はアメリカではヒーローであり、最も有名な爆撃隊である。ドゥーリットル隊は日本の都市を爆撃した後、中国の飛行場に着陸したが、日本軍は逃げたパイロットを探し、パイロットの逃亡を助けた中国人を25万人虐殺したという虚偽の展示がハワイの太平洋航空博物館にあり、同じ内容はWar History Onlineというサイトに投稿されている。その内容も、当初は虐殺されたのが5万人と書かれていたのが、今では25万人になっている。博物館は国立であっても費用の全てを政府が負担するわけではなく、博物館は財団を創って資金を集める必要がある。私がお手伝いをしている、テキサスにある国立太平洋戦争博物館ではB25の機体を展示しているが、それを維持するためだけでも莫大な費用がかかる。中国系の組織がはじめは何も言わずに資金を提供してくれるが、そのうちWar History Onlineにある記事を展示してほしいと言ってくるようになる。彼らには発言力があるため、やむを得ず、小さく展示をすることになる。私の関わっている太平洋戦争博物館には、国際歴史博物館協会を創りたいので加盟してほしいと誘いが何度も来たが、その本部は北京にあることから断っており、他の博物館にも加盟しないように言っている。また、国立太平洋戦争博物館には琉球処分に関する記述があり、『日本が(中国から)琉球諸島を含む沖縄を日本に帰属させた』とあったが、抗議をしてこの『中国から』という記述を削除させることができた。先日も青山繁晴参議院議員が来られていろいろ意見を述べて行かれたので、更に誤った表現が削られていくだろう。アメリカでは博物館は教育施設と位置付けられており、何か主張があれば博物館を創って教育しようとする。3月2日にはニューヨークにMuseum of Korean American Heritageが開設されたが、そこでは慰安婦が展示されている。」と、アメリカにおける博物館の現状の危うさを訴えられました。

在日本ルーマニア商工会議所会頭の酒生文弥様"

在日本ルーマニア商工会議所会頭 酒生文弥様

 在日本ルーマニア商工会議所会頭の酒生文弥様は、「『Apple Town2017年6月号』の『Big Talk』に登場した米国弁護士のジョー・オブライエン氏は、再度来日して代表と対談する予定であったが、昨年娘さんが亡くなられたため、今は来日できない状況になっている。今日はオブライエン氏からのメッセージを紹介したい。『日米関係は本年11月に全米50州で行われる連邦議会の選挙結果に大いに影響される。現在、上院100議席で共和党は僅かに2議席優勢であるが、11月に改選されるのは34議席で、うち民主党の議席は26議席あり、そのうち10議席は2016年の大統領選挙でトランプが勝った州からの選出である。そのため、民主党は11月の選挙では分が悪い状況にある。もし上院選挙が今日行われたら民主党は議席を5つ減らし、上院での共和党の薄氷の優勢は厚みを増すだろう。』」と、オブライエン氏による米国政治の分析を披露されました。

 パパトネス様は、酒生様の話を受けて、「私はレーガン大統領の下で働き、アメリカの歴代政権を見届けてきたが、大統領の発言がこれほど中傷され、ファースト・レディーや大統領の子供達が侮辱されたことはなかった。トランプのせいでカオスが起こったと嘆いている人々こそカオスを創り出している張本人であり、このようなことは直ちにやめなければならない。」とコメントをされました。

衆議院議員

衆議院議員 馳浩様

衆議院議員

衆議院議員 原田義昭様

衆議院議員

衆議院議員 木村次郎様

 

 最後に塾長は、「年2回行っている海外視察研修で昨年12月にハワイに行ったとき、太平洋航空博物館にドゥーリットル隊について怪しからん展示をしていたので、帰国後すぐに元外務省事務次官を通じて安倍総理にその写真を渡したり、秋葉賢也代議士にホノルル総領事から撤去の申し入れをさせた結果、90日以内に撤去すると回答があった。本日3月15日で丁度3カ月になるので、状況を確認したところ、今日、問題の個所を黒塗りし、3月末までに書き換えると外務省から秋葉代議士に連絡があった。私は常々3、000億円の予算と3、000人の人員で情報省を創って世界中の間違った報道や展示などを見付けたら直ちに抗議をして正していく必要があると主張してきた。昨年1月の書籍問題で私は、『日本には言論の自由がある。』とした上で、『事実に基づいて本書籍の記載内容の誤りをご指摘いただけるのであれば、参考にさせていただきたい』と言ったが、中国政府から何の反論もしてこなかった。これで『南京』は歴史カードとして使えなくなった。本来外務省がやるべきことを民間がやるのはおかしいのであり、外務省とは別組織として情報省を創るべきだと思う。」と、情報省の必要性を訴え、会を締め括りました。また、本日は、ご発言はありませんでしたが、衆議院議員 馳浩様、衆議院議員 原田義昭様、衆議院議員 木村次郎様を始め数多くの講師特待生の方々にもご出席いただきました。