第78回 勝兵塾月例会レポート

塾長・最高顧問 元谷 外志雄

塾長・最高顧問 元谷 外志雄

 勝兵塾第78回月例会が、11月16日(木)にアパグループ東京本社で開催されました。冒頭のアパグループ元谷外志雄代表による塾長挨拶では、「配布した資料の中に、週刊ダイヤモンドの『「勝兵塾」に群がる保守人脈』という記事がある。『右派のパトロン』などと書いているが、私は政治献金もしていないし、車代も出していない。思想的連帯感で繋がっている。また、中国でアパホテルが予約できるようになったという記事がネットに出ていたが、その後すぐにその旅行代理店に批判が殺到して予約できなくなったという記事が出ていた。週刊ダイヤモンドのホテル満足度ランキングではアパホテルが1位だったが、同じような時期に発売された日経ビジネスではアパホテルは最下位でコスパが悪いと書かれていた。しかし、あえて部屋を狭く造り、ベッドで寝ながら全てのスイッチを操作できるようにしており、部屋は狭くてもベッドやテレビは大きい。12月7日にホテル社長が『強運』という本を出版する。12月8日には第10回懸賞論文の表彰パーティーがあり、最優秀賞の稻氏の講演がある。福島第一原発事故では、本来避難する必要がなかったにも拘らず、民主党政権は非科学的な根拠で避難させ、多くの方々が亡くなった。現在東京の地下鉄の200カ所でアパホテルの広告を出しているが、さらに100カ所追加することになった。新しい広告には日本最大客室の横浜ベイタワーを載せている。事業が順調にいっているからこそ、勝兵塾にこれだけの人が集まってくる。事業活動と言論活動の相乗効果があり、二兎を追う者は二兎共を得る。」と、アパグループや勝兵塾に対するメディアの注目度の高まりぶりを紹介しました。

衆議院議員の木村弥生様

衆議院議員 木村弥生様

 続いて、普段は関西勝兵塾に参加されている衆議院議員の木村弥生様よりご挨拶がありました。

ホンジュラス共和国大使館特命全権大使のアレハンドロ・パルマ・セルナ様

ホンジュラス共和国大使館特命全権大使 アレハンドロ・パルマ・セルナ様

 ホンジュラス共和国大使館特命全権大使のアレハンドロ・パルマ・セルナ様は、「ホンジュラスは発展途上にあるが、アメリカ大陸の中心に位置し、太平洋とカリブ海に面した恵まれた場所にある。1492年にスペインの支配者が来るまでは、世界で最も進んだ国だった。マヤ文明が育ったのはこの地であり、天文学や数学が発達した。植民地時代もヨーロッパ文化と交流した結果、素晴しい文化ができた。1945年から国連に加盟し、129か国と国交を結んでいる。日本との関係は、1937年に神戸に領事館ができてから続いている。当時の領事がとても美しい本を出版したが、その挿絵は日本人の藤田画伯が描いたものであった。日本からは主にJICAを通じて支援して頂き、経済開発を進めてきた。日本は大切なパートナーである。また、30年間に亘って金沢大学と提携して、国内の大学を発展させてきた。銀座や石垣島、京都にはホンジュラスのコーヒーとチョコレートの店があるので是非立ち寄って欲しい。ホンジュラスは地理的な有利性を利用して経済を発展させてきたが、近年は地球温暖化の影響で、ハリケーンなどの被害が酷くなっている。あわせてマラリヤなどの疫病も増えている。これらの環境問題にも対処していく必要がある。さらに、麻薬取引に巻き込まれている。マネーロンダリングや汚職などの犯罪に対処するためには警察力を高める必要があるが、まだまだ十分ではない。アメリカの支援を受けながら、エルサルバドル、グアテマラと3か国で協力して対抗していく。マッキンゼーが策定した戦略に従って、経済発展を目指していく。」と、ホンジュラスの歴史と経済発展への取り組みを紹介されました。

衆議院議員で自民党総務 自民党団体総局国土・建設関係団体委員長の中村裕之様

衆議院議員で自民党総務 自民党団体総局国土・建設関係団体委員長 中村裕之様

 衆議院議員で自民党総務 自民党団体総局国土・建設関係団体委員長の中村裕之様は、「アベノミクスの3本目の矢の効果がなかなか現れないと言われているが、ビザ発給の緩和や円安によって訪日外国人が増え、今年は2、800万人になる。北海道にはその1割が来ている。小樽運河周辺にはアジア人の観光客が多い。ニセコは世界中のスキーヤーの憧れの地となっている。9・11やイラク戦争などをきっかけに、それまでスキーをするためにカナダやスイスに行っていたオーストラリア人がニセコに来るようになり、ニセコのパウダースノーがカナダやスイスよりも素晴らしいという評判が広まった。オーストラリア人にとっては時差がなく、ニセコは光ファイバーを早くから引いていたのでインターネット環境が良かったことや、カナダやスイスが標高3、000mであるのに対してニセコは1、000mと、体への負担も小さいという利点もある。また、山から湧き出た名水があり、空気がきれいで食べ物もおいしいため、上海から来た人々は是非住みたい、別荘を持ちたいと思う。その結果、ニセコで売値が坪100万円の土地も出てくるようになり、富裕者向けの1泊100万円のホテルもできた。さらに地方創生交付金を活用して、バックカントリースキーができるよう森林を整備した。このように、インバウンド観光を地方創生に活かすことができる。良い観光資源を持っていたため、世界にマーケットが広がったことで大変な需要が生まれた。将来はルスツリゾートにIRを誘致して、日本版ダボス会議をやりたいと思っている。」と、インバウンド需要を取り込んだ地方創生への取り組みについて話されました。

参議院議員の石井苗子様

参議院議員 石井苗子様

 参議院議員の石井苗子様は、「昨年7月に初めて参議院議員となったが、その前はテレビに出演したり女優をやっていた。現在は心療内科を専門として病院にも勤めている。『病と向き合うことは自分を育て直すこと』という本を出している。疲れているだけで仕事から離れてしまう人に、元の元気を取り戻してもらうため、アンチエイジングに取り組んでいる。以前から代表に一度お会いしたいと思って努力をしてきたものの、なかなかその機会を得ることができなかったのが、先日私の友人であるデヴィ・スカルノさんのパーティーで、たまたま隣に代表ご夫妻がいらっしゃって、ようやくお会いすることができた。人生は偶然、ハプニングの連続で切り開いていくものである。父は転勤族で妹は難病に罹ってしまったため、高校から寮に入った。しかし、そこで勉強をしなかったため、父にアメリカのワシントン州立刑務所の教会牧師に預けられた。中高と6年間英語を勉強していたにもかかわらず英語が全くできず、最初は難民英語講座に入れられた。英語は学問ではなく生きるために使うものである。大学卒業後は両親が立て続けに癌になって亡くなった。そこで英語は生きるための道具となり、農林水産省で通訳の募集をしていたので漁業交渉の通訳になった。その後、アメリカのCBS局にスカウトされた。TBSで日曜日の夜中1時に放送される番組だったが、それをビートたけしさんや伊丹十三監督が見ていて、テレビに出たり映画に出たりするようになった。40歳を過ぎて聖路加で看護学を学んだが、日野原重明先生の『人生は何度でも何歳からでもやり直せる』という言葉が強く印象に残っている。東日本大震災が起こり、被災地の支援活動に参加したが、そこで出会った被災者の方々や自衛隊の方々のことがとても印象に残った。日本国憲法第9条を英語で書かれているものと日本語のものとを比較するとかなりニュアンスが違う。英語の方では日本語のような上から押し付けるものではなく、かなりやわらかい表現になっている。国民に憲法改正の是非を問うときには、私の想いを伝えていきたい。」と、これまでの生い立ちを含めてお話されました。

衆議院議員の原田義昭様

衆議院議員 原田義昭様

 衆議院議員の原田義昭様は、「『日本の国難を突破する』ということをスローガンにして、先日の衆議院選挙は、自民党全体としては勝利した。国難とは北朝鮮、経済政策、憲法改正、原発再稼働、災害対策などがある。選挙戦で憲法9条について議論をすると票にマイナスになると言われたが、私は正面から議論した。かなり国民の意識が変わってきたと感じる。今の自衛隊を憲法に合わせて無くすことはありえず、国民を守るためにも憲法できちんとした位置付けをするべきである。2年前には安全保障法制について大議論をした。その時に参考人として出てきた大学の先生に、『安保法制が違憲と言うのなら、どうすれば国民を守れるのか』と問うたところ、『それは私たちの仕事ではない』と答えた。学者が反対するから国民は不安になる。憲法9条についてはこれからきちんと議論をしていく。」と、憲法9条についての議論の必要性を訴えられました。

サー中松義郎博士

サー中松義郎博士

 サー中松義郎博士は、「石井議員の話の中で結論の部分が抜けていたが憲法についてどのようにお考えか」と質問され、石井様は、「日本維新の会としては憲法改正すべきという統一した見解を持っている。」と答えられました。

Tommy Beauty Studioメイクアップアーティストの山本智美様

Tommy Beauty Studioメイクアップアーティスト 山本智美様

 Tommy Beauty Studioメイクアップアーティストの山本智美様は、「メイクアップアーティストとして独立して10年になる。メイクアップアーティストというと一般にはきれいな仕事をイメージすると思うが、ゾンビなどの特殊メイクもしている。元々はデザイナーになりたかったが、ボランティアで小児病棟や特養に行って、そこで子供やお年寄りに化粧をして、化粧がこんなにも人の心を癒せるのかということを知った。小児病棟の子供達にドレスを着せて化粧をするとすごく喜んだし、普段は車椅子に乗って表情がなくほとんど話さないお婆さんに普通の化粧をするだけで、昔に戻ったかのような話を楽しそうにしてくれて、高度機能障害であることがわからないくらいだった。こうして化粧を通して命と向き合うようになり、特殊メイクをしたくてハリウッドに行った。海外ではアートの分野では日本人のブランドが高い。日本人の精神性の高さが評価され、信頼が厚い。海外に行ってはじめて先人達の素晴らしさを知った。特殊メイク以外で、セレブの化粧も任されるようになった。海外のセレブと接するようになって感じたのは、彼女達は、使う化粧品や飲むもの、食べるものに対してすごく気を付けていることだ。向うでは入っているものがとてもシンプルであるのに対して、日本ではよくわからない成分がたくさん入っている。経皮毒というものがある。いわゆる添加物などである。30年、40年と気を付けている人を見てきて、その違いの大きさを感じる。日本では乳児湿疹は当たり前だと思われているが、向うのセレブにはそういうものがない。私は経皮毒についての知識を広めようとしている。毎日身に付けるもの、口にするものはすごく大切であり、命にかかわってくるので、最愛の人を守るために知識を持ってほしい。そうすることでインナー、アウターの両方から美しさを取り戻すことができる。」と、化粧の持つ力の大きさや食の安全性について話されました。

元出光興産・保護司・家庭裁判所調停委員の奥本康大様

元出光興産・保護司・家庭裁判所調停委員 奥本康大様

 元出光興産・保護司・家庭裁判所調停委員の奥本康大様は、「義烈空挺隊は、米軍が沖縄に上陸して占領した飛行場を攻撃するため、130人の兵隊が12機の爆撃機に乗って強行着陸し、最後は玉砕した。私は慰霊のために11月の初めに現地を訪れたが、現地では玉砕の碑を撤去しようという動きがある。今ある碑も、本来の場所から移動させられたものである。沖縄では左翼の力が強いことを実感した。義烈空挺隊のことはあまり知られていないので、広めていきたい。」と、義烈空挺隊について紹介されました。

勝兵塾事務局長の諸橋茂一様

勝兵塾事務局長 諸橋茂一様

 勝兵塾事務局長の諸橋茂一様は、「先月27日から29日にかけて、旧長州藩の下関、長府、萩、山口を探訪した。昨日(11月15日)は旧暦で坂本龍馬が生まれた日であり、殺された日でもある。坂本龍馬は薩長同盟の橋渡しをした人物である。吉田松陰は27歳のときに松下村塾を始め、2年間のうちに50人余りを教育した。その中には明治維新の志士と呼ばれた人々がいた。木戸孝允や山縣有朋、高杉晋作、久坂玄瑞、伊藤博文等は皆、1830年から40年代初めに生まれている。1864年の下関(馬関)戦争では一方的に長州藩が負けたように思われているが、戦死傷者数を比較すると長州藩が戦死者18名、負傷者29名であったのに対して、英仏蘭米連合軍は戦死者12名、負傷者50名と、世界の強国を相手に戦死傷者数で見れば長州藩が勝っていたとも言える。なお、1863年の薩英戦争でも戦死傷者数で比較すると、薩摩藩が戦死者1名、負傷者9名であったのに対してイギリス軍は戦死者13名、負傷者50名と、戦死傷者数で見れば薩摩藩が勝っていたとも言える。約270あった藩のうちの1つの藩が世界の強国と戦って、相手に相当な被害を与えたことからも、当時の日本人はいかに凄かったかがわかる。1894年から95年にかけて日清戦争があり、下関で講和条約が締結された。当時の日本代表は伊藤博文、清の代表は李鴻章であった。6項目のうちの1番目が李氏朝鮮の独立であり、その他二億両(テール)の賠償金や遼東半島、台湾の割譲など日本の要求のほとんどを認めさせた。外交はスーツを着て戦う戦争であると言われるが、今の政治家にもそれだけの気概を持って臨んでもらいたい。」と、旧長州藩にまつわる歴史上の逸話を紹介されました。

山元学校学長の山元雅信様

山元学校学長 山元雅信様

 山元学校学長の山元雅信様は、「これまで65か国との間で学生団体を創ってきた。私は瀬島龍三さんから言われ、若者を育てるために自分の時間を使ってきたが、同じように若者を育てている高橋氏を紹介したい。」と、株式会社しるべ取締役の高橋紀如様を紹介され、高橋様は、「株式会社しるべで大学生に向けて実践的な教育を行っている。元々広告代理店をやっていたが、震災を機に、未来の日本のために生きていきたいと思い、これからの若者のために自分の時間を使っている。」と、人材育成のための取り組みについて話されました。

 

 最後に塾長は、「今月号のエッセイは、この半年を振り返っている。1994年に起こった第一次朝鮮半島危機では、北から『ソウルを火の海にする』と脅されて、当時の韓国大統領の金泳三はクリントンに北への攻撃をやめてほしいと懇談した。私は2度金泳三元大統領の自邸に招かれて会食をしているが、彼はあれは失敗だったと後に語っている。トランプ大統領は、北に対して公開限定空爆をやるべきである。北の核保有を認めると、北はいずれ韓国を併合するだろう。核は核保有国に対しては防衛のための兵器であるが、非保有国に対しては威嚇のための兵器である。今回のアジア歴訪でトランプは、初めは日本に来て安倍総理と上手くやっているように見えたが、その後中国に行ってニコニコしているようでは期待できない。いずれ中国は朝鮮連邦国家を尖兵として、日本を飲み込むだろう。アメリカ第一主義を掲げるトランプは再選戦略しか頭になく、世界を俯瞰してどうあるべきかを考えていない。このままでは、アジア全域が中国の傘下となり、アメリカは中国と太平洋を二分することになる。そうなると、かつて世界は白人による世界であったが、いずれ世界は中国中心の有色人種による世界になる。日本が飲み込まれないようにするためには、核武装するしかない。しかし、日本の核武装を最も恐れるのがアメリカであるから、敗戦国であるドイツやイタリアも結んでいる、ニュークリアシェアリング協定を結ぶしかないだろう。そこで障害となる非核三原則を廃止し、憲法を改正するべきである。憲法については、現行憲法は無効であり、国会決議で現行憲法を廃止し、大日本帝国憲法に基づいて新たな憲法を制定すべきであるという意見もあるが、現行憲法が施行されてすでに70年が経ち、70年間の重みがある。これを今更無効にするのはクーデターだとも言える。改憲勢力が衆議院で四分の三を超えた今、国民世論を高め、憲法改正を発議し、国民投票で問うべきである。トランプ大統領が北の核保有を認めて妥協することのないよう、安倍総理には頑張って頂きたい。」と、北朝鮮危機の影響を考察、日本が取るべき行動を指摘し会を締め括りました。