
塾長・最高顧問 元谷 外志雄
勝兵塾第71回月例会が、4月20日(木)にアパグループ東京本社にて開催されました。会に先立ち、「真の近現代史観」懸賞論文制度の創設時から審査委員長を務められ、勝兵塾の特別講師・顧問でもあった上智大学名誉教授の渡部昇一様が、4月17日にご逝去されたことに哀悼の意を表して、出席者全員で黙祷を捧げました。
冒頭のアパグループ元谷外志雄代表による塾長挨拶では、「先日扶桑社より『【増補版】理論近現代史学』を出版し、今週発売された新潮45にも執筆した。そのため取材が相次いでいる。本書の巻頭には、日本の中国侵略の始まりと言われる張作霖爆殺事件が、関東軍の河本大佐ではなくソ連の特務機関の犯行であることを示す、爆破された列車の写真と、いわゆる『南京大虐殺』が国府軍による『漢奸狩り』だった写真、慰安婦が月300円(現在の約300万円)で募集されており、性奴隷ではなく高給売春婦だったことを示す写真をカラーで掲載した。当初出版社は、巻頭にこの3つの写真を掲載することに反対したが、私が『掲載しなければ自費出版にする』と言ったことで、ようやく掲載することができた。私は『理論近現代史学』を提唱し、歴史はあり得ることかあり得ないことかを検証すべきであると主張してきた。しかし、日本はこれまで押されたら引き、脅されたら金を払ってきた。その背景には、アメリカが原爆を投下しても良い国であるためには、日本が悪い国である必要があったからである。この呪縛を解くためには、アメリカが大戦後に世界覇権を握り世界赤化を止めるためには、原爆の使用はやむを得なかった、と日本が認めてあげればよい。アメリカは日本が講和を求めていたことを知りながら、ポツダム宣言から国体護持の条件を削除して原爆完成まで戦争を引き延ばしたのである。世界は正しいか正しくないかではなく、力の論理で動くものである。先日渡部昇一先生が亡くなられたことは非常に残念である。渡部先生の後任として、懸賞論文の審査委員長を加瀬英明先生にお願いした。今回から賞金が増額されたので是非応募して頂きたい。」と、先日出版された書籍の紹介とその意義について語られました。

カザフスタン共和国大使館特命全権大使 イェルラン・バウダルベック・コジャタエフ様
カザフスタン共和国大使館特命全権大使のイェルラン・バウダルベック・コジャタエフ様は、「カザフスタンの面積は世界9位で、人口は約1、800万人である。北はロシア、東は中国、南は中央アジア諸国、西はカスピ海を挟んで、アゼルバイジャン、イランと接している。昨年12月に独立25周年を迎えた。ナザルバエフ大統領の下で改革が進められ、25年間で貧困率は40%から5%へ低下し、GDPは23倍に増え、外貨準備高は950億ドルに達した。2016年の世界銀行によるビジネス環境ランキングでは、日本に次いで35位であり、海外からの直接投資は2、600億ドルに達した。1997年から実施している『カザフスタン2030』戦略では世界で最も競争力の高い50ヵ国に入ることを目指したが、2013年には達成した。そこで次の『カザフスタン2050』戦略では、世界の先進国の30位に入ることを目標に掲げた。世界第4位の核戦力を保有していたが、ナザルバエフ大統領は1991年に核実験場を閉鎖し、核兵器のない国を目指した。カザフスタンには130の民族が存在するが友好に共存している。1997年からアスタナ新都市の開発が始まり、人口が30万人から100万人に増えた。都市の基本設計は黒川紀章氏が担当した。日本との国交樹立から25年であり、日本は世界で最初に独立を承認した国の一つである。ナザルバエフ大統領はこれまで4度来日し、小泉元総理は2006年に、安倍総理は2015年にカザフスタンを訪れている。2016年11月に大統領が来日した際には天皇陛下に拝謁した。安倍総理との首脳会談では、戦略的パートナーシップに関する共同声明に署名した。さらに大統領は、旧ソ連諸国の首脳として25年振りに日本の国会で演説した。広島を訪問して核兵器廃絶を世界に向けて訴え、『特別名誉市民』の称号を贈られた。2017年6月10日から9月10日までアスタナ万博が開催されるので是非来ていただきたい。」と、カザフスタンの取り組みと日本との関係を紹介されました。
エルサルバドル共和国大使館特命全権大使 マルタ・リディア・セラヤンディア・シスネロス様
エルサルバドル共和国大使館特命全権大使のマルタ・リディア・セラヤンディア・シスネロス様は、「2015年に日本との国交樹立80周年を迎え、眞子様がエルサルバドルを訪問された。エルサルバドルは中米の中心に位置している。スペインの植民地だったが、1821年に中米全体が独立を果たし、その中でもエルサルバドル人が活躍した。しかし、その後中米は分裂していき、最後に残ったのがエルサルバドルであったため、小さな国になった。1980年からの内戦で多くの国民が北米へ移民し、その数は300万人とも言われている。日本に長くいるが、日本人の中に国歌や国旗を拒む人がいることが信じられない。エルサルバドルではたとえ内戦が起こっていても、国旗があると一つになることができた。1992年に平和協定が結ばれたが、対話で解決したことで国際社会から高く評価された。小さな国でありながら大きな課題を乗り越えたことは誇りである。政治面では、2大政党があるが、どちらも過半数を占めていないため、法律を成立させるのが大変である。平均年齢が25歳と若い国で、ロスから飛行機で4時間半、マイアミから飛行機で2時間のところに位置している。日本の円借款で主なインフラが造られている。国内では自国通貨もあるが米ドルが使われている。火山が多く、日本語の『防災』『減災』という言葉がそのまま使われている。」と、エルサルバドルの歴史や日本との関係を紹介されました。
衆議院議員・災害対策特別委員長 秋葉賢也様
衆議院議員・災害対策特別委員長の秋葉賢也様は、「通常国会が終われば災害対策特別委員長としてエルサルバドルやペルーを訪れたいと考えている。エルサルバドルには火山が20以上もあり、地震国である。2001年には地震で1千名近い死者が出た。大使からも話があったように、『防災』『減災』という日本語がそのまま使われている。安倍総理は2年前にエルサルバドルを訪れている。」「12月26日に避難勧告等に関するガイドラインを改定した。昨年、岩手県岩泉町が台風による集中豪雨による被害に遭い、グループホームで21名の方が亡くなった。避難準備情報は施設にも伝わっていたが、施設長がその意味を分かっていなかったのが問題だった。避難準備情報は、『お年寄りや体の不自由な方は避難を開始してください』という意味であるのだが、準備だけで良いと思ってしまったのだ。このような誤解を無くすため、名称を変更し、『避難準備・高齢者等避難開始』とした。津波対策推進法では11月5日を津波防災の日と定めている。これは1854年11月5日の安政南海地震で和歌山県を津波が襲った際に、濱口梧陵が自分の稲に火をつけて暗闇の中で人々を避難させた『稲むらの火』の逸話に因んだものである。平成27年12月の国連総会で、11月5日を『世界津波の日』として制定する決議が満場一致で採択された。また、ハザードマップの作成に対して国の財政支援を義務付けている。5年間の期限が付いていたので、改正によりさらに5年間延長した。」「無主の離島の国有財産としての登録がようやく完了した。491島の離島のうち有人離島が60島、無人離島が431島ある。名前のない島にはできるだけ名前を付けようと進めている。最近、北方4島の周辺の岩にロシアが名前を付け始めた。これに対抗していくべきではないかと党で議論している。また、尖閣諸島、竹島を『我が国固有の領土』として新学習指導要領に明記した。」と、災害対策への取り組みと離島の国有財産登録について語られました。
近現代史研究家兼ジャーナリスト 水間政憲様
近現代史研究家兼ジャーナリストの水間政憲様は、「現在女系天皇を認める流れになっているが、私が天皇の家系図を調査したところ、旧皇族の中に現在男系男子が120名おられる。こうした事実を知れば女系天皇を認める議論にはならないだろう。戦後GHQが皇室典範を改正して11宮家を皇籍離脱させたが、憲法を改正して女系天皇を認める前に、皇室典範を改正すれば良いことである。日本は言論の自由度が世界で72位となっているが、国の根幹に関わる情報を出していないから低い順位になっているのである。中山恭子先生から聞いた話であるが、皇室会議の中で女性宮家を認める文言があり、40数名のメンバーのうち、反対したのは中山先生を含めて2名で、自民党の議員はだれも反対しなかった。これは問題である。また、秋篠宮には『皇太子』の名称を付けないという。これが日本の現実である。GHQが皇統の断絶を目指して皇室典範を改正した。また、天皇退位後は天皇と皇太子がお住まいを交換するという話になっているが、これでは次の皇位継承者である秋篠宮の扱いが粗末である。京都には京都迎賓館という素晴らしい建物がある。天皇の退位後は京都にお住まいになられれば、皆が喜ぶのではないか。」「南京のことでアパも大きな話題になったが、南京の問題ははっきり言ってもうケリがついた。詳しくはWiLLや別冊宝島の記事を読んで頂きたいが、南京城内で30万人が虐殺されたとされているが、南京城内で埋葬された遺体の数は1、793体という記録がある。」と、皇室の家系図について解説され、皇位継承問題の解決策を提言されました。
日本ディベート研究協会会長 北岡俊明様
拓殖大学国際学部教授 呉善花様
新しい歴史教科書をつくる会前会長 杉原誠四郎様
勝兵塾事務局長 諸橋茂一様
最後に塾長より、「6月に恒例の海外視察研修を実施する。今回はグアム島への戦跡巡りである。特別料金での席も残り少なくなってきたので早めにお申し込みいただきたい。」と告知をされて会を締め括られました。