第62回 勝兵塾月例会レポート

塾長・最高顧問 元谷 外志雄

塾長・最高顧問 元谷 外志雄

 第62回勝兵塾月例会が、7月21日(木)にアパグループ東京本社会議室で開催されました。
 冒頭のアパグループ代表元谷外志雄塾長によるご挨拶では、「アメリカ大統領選では、共和党大会でトランプ氏が共和党の大統領候補になった。これからの大統領選は組織対組織の戦いになってくる。民主党はいち早く結束を示し、一時期ヒラリー氏の支持率がトランプ氏を上回ったが、今は互角の戦いをしている。私は副大統領候補が重要だと指摘し、トランプ氏とは真逆の有色人種の女性にすべきだと主張してきた。トランプ氏の物議を醸す発言は多数派である金持ちではない人々、エリートではない人々の支持を得るための戦略であった。結局副大統領候補は共和党主流派に通じるペンス氏にしたが、おそらくトランプ氏と真逆の、より適切な候補に断わられたからではないだろうか。しかし、最終的にはトランプ氏が当選するだろう。そうなれば、日本が真の独立国家となるチャンスである。先の参院選では改憲勢力が三分の二を確保し、憲法改正の発議が可能となった。いきなり全面改正ではなく、まずは合意しやすい部分から発議して国民投票を通し、憲法改正の実績を作るべきである。中国は南シナ海をめぐる判決を紙屑だと言ったが、次は東シナ海へ進出してくるだろう。残された時間はあまりない。トランプ氏は日韓に核保有を認める発言をしているが、現実的にはニュークリア・シェアリングで核バランスを取るべきだ。東京都知事選では、鳥越氏が公開討論を逃げたため自滅、増田氏は、自民党が親族も含めて他の候補を応援すれば除名するという通達を出したことで自滅したため、小池氏が有利である。」「明日の日経新聞に1頁広告を出す。上段には現在開発中の大型ホテルのみを並べ、これらだけで1万室を超えている。『今から始まる世界戦略』と掲げているが、北米でアパホテルを増やし、全ての部屋にアップルタウンを置く。また今般英文が併記された『やすくにの遺書』をアメリカのホテルに置く予定である。これまで保守は英語での発信は弱かったが、左翼は海外に出て行ってでたらめなことを広めている。懸賞論文も今年で第9回となるが、第1回の田母神論文騒動がなければ日本の保守化がここまで進まなかっただろう。」と、アメリカ大統領選や東京都知事選の情勢分析を披露されるとともに、アパグループの世界戦略によって保守の主張を海外に発信していくことを宣言されました。

衆議院議員・自由民主党広報本部長 木村太郎様

衆議院議員・自由民主党広報本部長 木村太郎様

 衆議院議員・自由民主党広報本部長の木村太郎様は、「党7役の一つである自民党広報本部長の立場から、自民党の広報活動についてお話しする。先の参院選は与党としては良い結果だったが、東北では1勝6敗であり、中身を分析する必要がある。広報活動のコンセプトは、『アベノミクスを推進、まだ道半ば』である。野党は批判するだけで対案を出していない。そこで、『この道を。力強く、前へ。』というキャッチコピーを掲げた。アベノミクスを逆戻りさせてはいけないという思いを込めている。『野党統一』ということが言われていたが、民進党と共産党の政策には違いがあり、『野党統一』は安倍政権を倒すことだけが目的であった。通常国会で53本の法案が成立したが、うち26本は民進党と共産党とで態度が分かれていた。共産党は未だに革命を起こすと謳い、公安の監視対象となっている。こうした点を踏まえて広報戦略を進めた。共産党は自衛隊を憲法違反と言いながら、災害のときだけは必要だと言っている。『人殺し予算』発言があったが、自衛隊を批判するなら選挙の時だけでなく、憲法審査会で堂々と主張すればよい。結果的に参院選報道の割合が思った以上に低く、東京都知事選やイギリスEU離脱の報道の割合が大きくなったため、近年にない選挙報道の少なさだった。また、18歳選挙権への対応として、アニメを利用してポスターや冊子を作製し、全国の若者と意見交換をした。当初連立で61議席を目指したが70議席を確保した。アベノミクスを一層加速させよという国民の皆様の声である。私も含めて完璧な人間などはいないが、報道などでは自分が完璧な人間かのように立派なことを言って人を批判しながら、裏ではいろいろやっている者がいる。こうしたことを踏まえて、判断する媒体としてメディアを利用してほしい。」と、先の参院選を中心に自民党の広報戦略について語られました。

朝鮮近現代史研究所所長 松木國俊様

朝鮮近現代史研究所所長 松木國俊様

 朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊様は、「先日、『韓国よ、「敵」を誤るな』という本を出版した。2013年に朴槿恵大統領が就任して以来、韓国経済は中国に傾倒した。GDP比50・4%を占める輸出のうち、31%が中国向けであり、日米向けを合わせても18%に過ぎない。また対外投資の30%以上が中国向けである。そのため中国バブルがはじけた場合の韓国経済への影響は大きく、貧富の差が絶望的なまでに拡大し、自殺率がOECD諸国で断トツ1位である。4月の総選挙では過半数を左翼政党が占めた。全国民主労働組合総連盟に70万人加盟しているが、各地でゼネストを呼び掛けている。このように韓国社会が左翼化している。一方、北朝鮮は核兵器の小型化を進めている。これは中国が許さぬ一線であるが、圧力をかけると暴発して南進するおそれがあり、そうなると韓国が北を統一してしまう。そこで中国は金正恩を排除し、金正男に変えて傀儡政権を作り、核施設を破壊させるだろう。中国の狙いは朝鮮半島を太平洋進出の拠点とすることであり、南北平和条約を締結させて米軍を韓国から撤退させ、一国二政府二体制の『高麗民主連邦』という緩やかなかたちで南北統一を果たし、国民投票で北主導の完全統一を実現するということである。朝鮮半島の次は沖縄である。中国はまず第一列島線を確保し、次に第二列島線を確保して、太平洋を米国と分割管理することである。沖縄の米軍を追い払うため、反基地、独立運動をけしかけている。なぜ中国がこんな野望を持ったのか。それは日本国憲法が交戦権を認めていないからである。すなわち日本は相手の基地を攻撃できないため、抑止力がないのである。日米同盟を堅持していかなければならないが、日本は核アレルギーが強いため核保有は難しく、可能なのは核シェアリングくらいだろう。まずは日米同盟を片務的なものから双務的なものに改定し、憲法9条を改正して自衛隊を軍隊にして、交戦権を持たなければならない。そうすれば中国は野望を放棄し、東アジアの恒久的平和が実現する。」と、韓国社会の左傾化と中国の野望について語られ、朝鮮半島の今後の動向について想定されるシナリオを披露されました。ルーマニア商工会議所会頭の酒生文弥様より、「在日の方の中には素晴らしい方もたくさんいるが、そうした方々を通じて韓国とうまくやっていけるのではないか。」という意見が出され、松木様は、「在日だからといって一括りにして反日だと言うのではなく、日本に対して愛国心を持った素晴らしい方もたくさんいる。彼らと一緒になって韓国にモノを言っていくことが大切である。」と答えられました。

元衆議院議員 早川久美子様

元衆議院議員 早川久美子様

 元衆議院議員の早川久美子様は、「30歳で脱サラして区議会議員を2期務め、2009年に国政の場へ出て衆議院議員を1期務めた。その後は日本の素晴らしいサービスや技術を海外に紹介したいという思いから、海外事業のコンサルティングをやっている。また、この4年間はスポーツコンプライアンスにも取り組んでいる。スポーツも相手が世界であり、政治が絡むものであり、スポーツコンプライアンスを広めていくため、第三者機関としてスポーツコンプライアンス協会の設置を目指して活動をしている。JOCのオリンピック招致に関するコンサルタント料について、日本国内ではその支出が不正だと問題にされているが、世界が日本を叩いているのは支払いの意思決定プロセスが明確でないことである。慣例ということでは通用しない。この問題の背景には、コンサルタント料に関する問題の直前に安倍総理がプーチン大統領と会ったことを面白く思わない国の意図があったという面もある。スポーツコンプライアンスが欠けていることで日本が世界から責められ国益を失っているのは許せないという思いから、日体大とスポーツコンプライアンス協会をつくりたいと活動を続けてきて、ようやく立ち上がりそうになったところで官僚が横槍を入れてきた。利権が大きいことから官僚主導にしようとしているが、国益にかかわる問題であるから政治家が主導権を取るべきである。この4年間、日本のスポーツ界は世界から突っ込みどころ満載だった。2020年のオリンピック後は経済が落ち込むと言われているが、私は2020年が観光立国日本のスタートだと思っている。」と、スポーツコンプライアンスの意義と取組について語られました。塾生から「スポーツ選手の賭博や麻薬の問題が報じられているが、スポーツコンプライアンスで扱うのは選手個人の問題か組織の問題か」と質問が出され、早川様は、「競技のルール変更などに代表されるように、世界と戦っていくためには、組織全体を教育していく必要がある。そして組織が責任を持って選手を教育していくことが、スポーツの発展につながる。」と答えられました。

元大阪市北区長で東京都知事選にも立候補されている中川暢三様

元大阪市北区長で東京都知事選にも立候補されている中川暢三様

  元大阪市北区長で東京都知事選にも立候補されている中川暢三様は、「15年前に鹿島建設に在職したまま参議院に立候補して以来、無所属無党派でお金をかけずに政策討議だけで選挙を戦ってきた。都職員の生産性を2%上げれば一人当たり2万円の減税が可能であり、都知事の権限を区や市に移譲していくべきだと考えている。また、公民連携として江戸城を、税金を使わずに復元することも公約に掲げている。中央の政党の対立が都に持ち込まれているが、都知事選はあくまで都民のためのものである。」と、選挙に対する考え方について語られました。

日本戦略情報研究所所長 林文隆様

日本戦略情報研究所所長 林文隆様

 日本戦略情報研究所所長の林文隆様は、「日本はなぜ不況から抜け出せないのか。それは大企業が生産拠点を海外に移転させて成長を維持したが、中小企業と非製造業が成長から取り残されたからである。景気には波があるが、今はコンドラチェフ波動の底にある。日本は輸出主導での成長は無理であるが、国民が欲するモノやサービスを登場させ内需を拡大させればよい。例えば高齢者の医療・介護分野や地熱発電所を中核とする食糧工場の建設などである。地熱発電所は、建設費は500億円程度であるが、ランニングコストが原発と同様に安い。地熱発電機のシェアは日本製が80%である。またバイナリー発電で50度の蒸気を温泉街に供給すれば共存共栄できる。さらに硫化水素を精製すれば水素を取り出すことができる。また、完全密閉型の食糧工場では若者や高齢者の雇用創出にもなる。これまで電気代が高かったが地熱発電でエネルギー問題が解決されればコストは削減される。生産できない農作物はないので輸入農産物を量産すればよい。100%無農薬、有機野菜であるため、日持ちがする。雇用を創出して人が大勢働けば周辺に第三次産業が生まれる。」と、日本の経済再生のための内需拡大について提言をされました。

慶應義塾大学経済学部教授 塩澤修平様

慶應義塾大学経済学部教授 塩澤修平様

 慶應義塾大学経済学部教授の塩澤修平様は、「内需拡大にあたり規制緩和はどこから始めるべきか。コンドラチェフの波は技術革新によるものだが、今度どのような技術革新が期待できるか。」と質問があり、林様は、「地熱発電が普及しないのは環境規制によるためである。ほとんどが国立公園内にあり、この規制を緩和しなければならない。期待できる技術革新はゲノム、ナノテク、情報通信であり、ロボットも有力である。自立支援用のロボットスーツは日本製の性能が最も良いが、普及率が低い。補助金を出すと共に介護関係者の意識を変えていく必要がある。」と答えられました。

勝兵塾事務局長 諸橋茂一様

勝兵塾事務局長 諸橋茂一様

 勝兵塾事務局長の諸橋茂一様は、「6月26日に『日本が世界の植民地を解放した』を上梓した。かつて私は、河野談話、村山談話の正当性を問うために両名を東京地裁に提訴するとともに東京地検に告発した。お二人が御健在なうちに村山・河野談話及びそれらを背景にしたアジア女性基金の正当性を改めて世に問いたいという思いで、本書を書いた。さらに経済活性化のために、人、モノ、情報の移動を活発にするため、羽田沖を埋め立てて世界一のハブ空港を建設するとともに、都市景観の整備という観点から全国主要都市の電線の地中線化を主張している。リニア新幹線の建設に3兆円の政府支援を付けるという話があるが、既に計画のある新幹線の整備も前倒しで進めていくべきである。平成5年8月4日に河野談話が出されたが、女性を強制連行して性奴隷にしたとは書かれていないにもかかわらず、韓国が曲解して嘘を喧伝したのである。これは国益を損なうだけでなく、先人の誇りを損なうことでもある。村山談話で『侵略戦争と植民地支配によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました』と言っているが、日本が大東亜戦争を戦っていなかったら欧米の植民地支配は今も続いていただろう。昭和14年7月26日にアメリカが日本に対して日米通商航海条約を一方的に破棄し、昭和16年7月25日には日本の在米資産を凍結、その後アメリカは石油の完全禁輸を行った。日本は生存のためにやむを得ず戦ったのである。当時日本は欧米と戦う力のあった唯一の有色人種国家であった。アジア女性基金は河野、村山談話を背景に設置され、慰安婦が申し出れば首相のお詫びの手紙を添えて200万円を支給したが、285人が名乗り出た。慰安婦は日本人が4割、朝鮮人が2割であったが、285人の中には日本人は一人もいなかった。我が国は、支払う必要のないお金を支払い、謝る必要のないことを謝り続けてきたが、国際社会では謝ったり金を払ったりしたら非を認めたことになる。」と、大東亜戦争の意義について語られると共に、河野・村山談話や日本政府の対応を批判されました。

 

 最後に塾長より、「天皇の生前譲位が話題になっているが、この背景は天皇家の自然消滅を狙った意図があるのではないかと考えられる。日本には昔から天皇が職務を全うできなくなれば摂政を置く制度があった。かつてアインシュタインが、『武力や金の力ではなく、あらゆる国の歴史を超越した、世界で最も古くかつ尊い家柄である』と言ったように、世界が仰ぎ見る天皇制を守っていくのが民族の誇りにつながる。」と、天皇の生前譲位論の背景にある意図の存在を指摘され、会を締め括られました。