第177回 勝兵塾月例会レポート
公開日:2026/3/27

株式会社KBM会長 諸橋茂一勝兵塾事務局長
勝兵塾第177回月例会が、3月19日にアパグループ東京本社で開催されました。
冒頭に、株式会社KBM会長の諸橋茂一勝兵塾事務局長は、「先月の月例会で東郷俊宏様より出産に関するお話しをいただいた。私は医学者ではないが、かねてより人間は母親の胎内で約10ヵ月かけて人間の姿に近づいていくが、その経過は人類の進化発展の歴史を再現しているという見方をしており、そのお話をしたところ、医学者の方から共感をいただけた。人類の先祖を辿れば、精子や卵子に近い状態だったのではないか。さらに原初に戻り地球の誕生に目をやると、太陽と地球は同じ約46億年前に誕生したと言われており、両者の誕生は大きく関連するところがあると思う。地球の誕生は宇宙の塵やガス、小さな隕石の衝突による説があるが、私は高エネルギーを持っていた原始の太陽から弾かれた火の塊が地球であり、そこから長年の間に冷え固まり海や大気ができ、稲光のエネルギーから生命が発展・進化を遂げてきたと独学で考えていたのだが、どうやら医学的にも『系統発生』という考え方で整理されているようである。胎内では胎盤を通じて酸素や栄養分を補給しているが、生まれる際にはじめて肺を使い、大変苦しい思いをして呼吸をする。そのために、刺激を与えて泣かせてでも呼吸させないといけないということを、先祖代々、経験的に理解されていたのではないか。また、2月15日付の産経新聞で、日教組の偏向教育に関する報道があった。日教組は自習教材などで日本軍の加害行為を強調した資料を配り反日思想を植え付け、それを教育研究全国集会で誇らしげに発表している。感想文で、日本人であることを恥じる文章を多くの学生が書くという。このような出鱈目な教育をしていては、将来の日本が非常に危ういと考えざるを得ない。」とお話しされました。

衆議院議員・国民民主党石川県連代表 小竹凱様
衆議院議員・国民民主党石川県連代表の小竹凱様は、「石川県金沢市で活動しており、金沢勝兵塾へは何度も伺っているが東京では初めての登壇となる。20代の衆議院議員ということで前回の選挙までは最年少であったが、今回の衆院選で20代の議員が多く当選し、国会でも平成生まれの集まりができるようになり、党派関係なく同世代での議論ができることを期待している。本日のテーマはイラン情勢に加え、所属する国民民主党が提出した『インテリジェンス法案』の必要性をお話ししたい。イラン情勢についてペルシャ湾内で待機する日本籍の船は、実際には日本の組合に加盟していないものも含めると59隻あり、船員は約1,430名で、うち日本人は24名であるように、実際の状況と報道に齟齬がある現状である。また、かつてのイラン・イラク戦争では、船員がほとんど日本人であり信頼も厚く攻撃されずに通航できたようだが、現在はほとんどが外国人ということで、通航が叶わず待機しているようである。このような情報が錯綜している現代の戦争において、かつての武力の衝突ではなく、『情報戦』が主戦場になっている。そこで、国民民主党はインテリジェンス法案を提出した。よくスパイ防止法として紹介されるが、そうした人的情報に限らない、衛星画像や電波情報を含めた広義でのインテリジェンスという概念での法案となる。インテリジェンスという言葉の定義として、インフォメーションが単純な情報であるのに対し、国家にとってのインテリジェンスは、その情報に対する有効な手段を指す。例えば『雨が降っている』という情報に対し、『傘を差す』という手段がインテリジェンスにあたり、これを分析し政策に結び付けるセクションを日本に新設することが、緊迫した世界情勢において必要である。今回の法案は罰則を設けるのではなく、スパイであれば顔を公表することで無力化すること、また選挙の不正など、民主主義の根幹を揺るがす偽情報や誘導への対策や、大河原化工機事件のような冤罪事件を防ぎ人権を守ることも盛り込んでいる。また、情報を取扱う方は命を狙われるリスクもあり、退職後の保護にも留意した法案となっている。こうした国家と人権のバランスをとりつつ、情報を判断する質を高める素地を整えていきたい。日本がスパイ天国と言われないように、今後法案をもとに国会で交わされる議論を通じて、国民の皆さまが安心安全に暮らせ、日本の国益に資するような環境を整えられるように取り組んでまいりたい。」とお話しされました。

麗澤大学特別教授・元空将 織田邦男様
麗澤大学特別教授・元空将の織田邦男様は、「1996年、一等空佐として航空幕僚監部の防衛班長を務めていた際、日中防衛交流の会に参加し、陸海空の一等空佐と外務省・防衛省局長、防衛駐在官とで臨席した。当時の中国は、軍事力こそさほどでもなかったが、尖閣の領空侵犯は既に頻繁に行われていた。酒を交えて話すうちに中国の将校から本音の会話が出てきた。彼らは日本のパイロットについて、女性のタイプや好きな食べ物まで調べていた。さらには、自衛隊が日本国内の様々な法律に縛られており、尖閣の領空侵犯に対して射撃できないことを指摘してきた。しかし最後に将校は、『だが、それでも君たちは撃つだろう』と衝撃的な発言をした。理由を問うと『だって特攻隊の国じゃないか』と言った。その際にハッとして、中国は自衛隊に特攻隊を重ね、我々は先人のそのイメージに守られていると気づき、先人への感謝の念を強めた。その後、イラク派遣の航空部隊指揮官から撤収する際に、現地の参謀長から日露戦争と特攻隊のエピソードを聞かされた。やはり日本人には国のために尽くすというイメージがある。教育勅語には、『一旦緩急あれば義勇公に奉ず』とあり、世界的に見れば何らおかしなところはないが、国への奉仕の精神は、自衛隊における服務の宣誓に、『事に臨んでは危険を顧みず』というかたちで残っており、海外からリスペクトされている。こうした英霊のご加護を忘れず、教育の現場においても『公の復活』のために、自衛隊教育を参考にすべきである。軍法も軍法会議もない自衛隊は、海外の軍隊からはなぜそれで脱走兵がでないのか、と驚かれるが、それは自衛隊教育によって日本人の素晴らしいDNAを体現しているからである。一方で、日教組の教育はそれを潰そうとしてくるが、自衛隊教育ではそうした戦後教育の否定を行い、有事には国のために尽くすことを徹底させる。そうした人や国を助ける喜びは日本人のDNAに通じるところがあり、個を重視するのではなく『公の復活』が重要である。日本は国際世論調査で『国のために戦う』と答えた人の割合が断トツ最下位の約13%であり、分からないと回答した人が40%ほどあった。大学でも同様のアンケートを取ると1回目の授業では同様の結果になったが、最後の授業では90%が戦うと答え、分からないとした人は0であった。その結果から、いかに日本の教育が間違っているかと実感した。」とお話しされました。

慶應義塾大学名誉教授・公益財団法人アパ日本再興財団理事 塩澤修平様
慶應義塾大学名誉教授・公益財団法人アパ日本再興財団理事の塩澤修平様は、「日露戦争のような、先人たちがどのように戦ってきたかという基本的な歴史的事実を、これからどのように若い世代へ伝えていくべきか。」と質問され、織田様は「防衛交流で韓国に行った際、空軍将校の必読書に『坂の上の雲』が入っていたことに驚いた。私は教育では日本の栄光の歴史を教えることが大事だと思う。イギリスの将校が言うには、義務教育ではアヘン戦争は教えないと言い、義務教育は、歴史教育を通じて国民としての一体性を育み、将来国のためにどう尽くすかと考えさせることが目的だと言っていた。日本人は文字離れしている傾向にあり、坂の上の雲も司馬史観という批判もあるが、私は全体として非常に面白く、先人の歴史を伝えるものだと考えており、かつて部下には必読書として勧めた。義務教育では日本の栄光の歴史を教え、歴史に興味を持たせるべきだと思う。」と答えられました。

一般社団法人シベリヤ抑留解明の会理事長 近藤建様
一般社団法人シベリヤ抑留解明の会理事長の近藤建様は、「日本人は国のために戦うと答えた人が少ない一方で、自分の生活の安定のために国が責任を持つべきだと答える人はとても多いが、どのようにお考えか。」と質問され、織田様は「それは戦後教育の誤りに原因がある。東京外郭環状道路は大泉周辺で工事が止まっており、美濃部都知事が『私は一人でも反対があったら橋は架けない』と言った。これはヨーロッパの諺であるが、実際には『だから冬でも泳いで渡れ』という下の句がある。つまり日本では権利や自由は教えても、義務や責任を教えておらず、これは戦後教育の誤りである。自衛隊教育を通じ、表裏一体にある権利と義務や自由と責任を教えていく必要がある。先人たちが築いてきた現在を生きている我々の責任として、子どもたちにそれを引き継がなければならない。」と答えられました。

朝鮮近現代史研究所所長 松木國俊様
朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊様は、「国を守る意識調査とは別に、『生まれ変わるならどこの国に生まれ変わりたいか』という調査でも日本は世界でトップクラスである。これは天皇陛下の下での国民の一体感、大和魂が根っこでは残っているのではないか。しっかりとした教育を施せば、防衛に対する意識は改善するのではないか。」と質問され、織田様は「その通りだと思うが、世の中の流れが激しくなり、戦後の国際社会秩序が音を立てて崩れつつある現代において、教育の正常化を急ぐ必要がある。」と答えられました。

作家・軍事評論家 マックス・フォン・シュラー小林様
作家・軍事評論家のマックス・フォン・シュラー小林様は、「イラン情勢について、当初アメリカとイスラエルは、指導者を暗殺すれば体制は崩壊するという単純で甘い予測を立てていたが、実際には空襲による犠牲がイラン国内の団結を強める結果となっている。さらにミサイルの在庫がアメリカとイスラエルにはなく、イラン側の軍備が優勢になっている。また、米軍の士気も低いものとなっており、アメリカの空母であるジェラルド・R・フォードは現在火災で離脱しているが、水道管の問題というよりも軍人のサボタージュで、自分のTシャツを脱いで便所を詰まらせているそうである。空母フォードはオバマ政権時代に、多様性重視の観点から女性の水兵のために男性の小便器を廃止したが、実際には8割が男性のため効率が悪い。また、寝るスペースも食堂のテーブルや床などで十分に確保されていない。火事も水兵の仕業ではないかと噂されている。私はアメリカの崩壊というテーマで何冊も本を書いているが、中でも私がアメリカ国内の問題として考えているのは技術者不足である。LGBTや多様性の問題ばかりクローズアップされているが、それ以上に技術者不足は深刻である。日本製鉄とUSスチールの合併に際しても、日本から技術者を送らないと最新の製品を作れない。戦争用の砲弾もトルコと連携しているが、アメリカ人の技術者がいない。TSMCの半導体もアリゾナ州に工場があるが、働けるアメリカ人が不足している。若い世代が金融関連に傾倒しているため、技術者が不足している。また、米国内のシェールオイル生産も減産となる見通しである。一方で、国内では不法移民を巡る対立から『内乱』が始まっている。民主党および極左勢力は不法移民を守ろうとしている。今年1月にミネアポリスで入国管理局捜査官が市民を射殺する事件が短期間に複数発生し、極左勢力による抗議デモが激化している。トランプの発言も過激化している状況で、私は日本がアメリカから少しずつ中立の立場になり、ロシアやベトナムをはじめとしたBRICSとの連携や、日本自体の軍備を強化する必要があると考えている。また軍事だけでなく各産業においても、農業や漁業、介護において、国のために奉仕する若者を育てるようにすることが重要である。」とお話しされました。
塾生の方より、「ナチスドイツのユダヤ人虐殺、そして広島・長崎への原爆投下は許してはいけないと痛感している。戦後のアメリカ人は原爆投下やインディアンの抹殺をはじめとする、有色人種に対する過去の歴史について、アメリカではどのような教育を受けているのか。」と質問があり、小林様は「原爆は『日本の早期終戦に必要だった』という教育をしており、私もそうした教育を受けた。しかし日本が降伏したのはソ連の満州侵略によるところが大きい。アメリカでは、原爆だけでなくその他の大空襲での死者数も多いことから、あまり原爆の使用自体について反省する風潮は少ない。したがって、今のイランでも原爆を使用する可能性があることは恐ろしい。有色人種については、第二次世界大戦期には日系人の部隊として442連隊というものがあったが、彼らは信用されておらず日本人相手には戦わせなかった。アメリカでは有色人種に対する差別は根強く、それを極左勢力は利用して共産革命を起こそうとしている。インディアンの抹殺や黒人の奴隷制度といったアメリカの罪は根深く、なかなか直すのには時間がかかる。」と答えられました。

一般社団法人空の架け橋代表理事・株式会社HighRate代表取締役 前川宗様
一般社団法人空の架け橋代表理事・株式会社HighRate代表取締役の前川宗様は、「私は約20年間航空自衛官として勤めた。入隊して6年後、一般幹部候補生学校というところで織田先生の話にも出てきた『坂の上の雲』を読んだことを記憶している。入隊した当時は自衛隊にとりあえず入り、人命救助ができるなら飛行機に乗りたいという程度の動機で入隊した私も、自衛隊教育や訓練を通じ、受動的ではあるものの少しずつ我が身を顧みず国民や国を守る意識が醸成されていった。昨年12月に中国軍機が、沖縄の那覇基地から発進したF‐15戦闘機からレーダー照射を受けた際に、統合幕僚長である内倉浩昭氏が、会見で『冷静・厳格』と述べた。この事件を振り返ると、遼寧という空母から大東島西270㎞をはじめ、沖縄本島南、宮古島東から、ほぼ同距離の各地点からF‐15戦闘機が発着艦を行った。270㎞はマッハ1であれば十数分で飛べる距離である。全国7ヵ所にある戦闘機部隊は常にスクランブル待機しているが、緊急発進命令から離陸までに最速でも5分弱かかることから、この距離での発着艦がどれほどの脅威がご理解いただきたい。さらに今回は、レーダー照射が30分もの間断続的に続き、これは過去に例を見ない事態であった。戦闘機パイロットは防衛大学や一般大学を卒業しているA幹部と航空学生のB幹部に分かれる。私は航空学生、B幹部として戦闘機に15年間乗っていたが、A幹部、B幹部いずれも国を守るという使命のもと、覚悟を持って飛んでいる。戦闘機は必ず2機以上で飛ぶが、上空で指揮官の指示を逐一タイムリーに受け取ることはできないため、パイロットは指揮官の意図を汲み取る訓練を日々行い、こうしたスクランブル発進時に的確に対処する心得を体得している。スクランブル発進の回数推移を見てみると、2016年の1,168回が最多となっている。この年、那覇基地の第九航空団という航空団が新編され、800回以上が那覇基地からの発進である。領空近辺の中国、ロシアの飛行を図にし、2010年と昨年を見比べると沖縄より東側の太平洋に中国が大きく進出をしていることが分かる。そのように中国の軍機経路が十数年で大きく変わっている状況の中で、最初にお話しした『冷静・厳格』、そして覚悟をもって日々勤務に就いている自衛官がいるということを、一人でも多くの国民の方に理解していただくことが自衛官・自衛隊のためになると思う。」とお話しされました。

作家・都市プランナー・元市川市議 深川保典様
作家・都市プランナー・元市川市議の深川保典様は、「現在、『ネオ中世』と言える時代に我々は生きているのではないか。大体8世紀から15世紀くらいまで、ヨーロッパではイスラム勢力が支配しており暗黒の時代だったと言われており、レコンキスタと言われる失地奪還運動が1492年に完了して終了した。この暗黒の時代の特徴は、イスラム・中国・宗教・分権化と言えるのだが、現代にもこの特徴はしっかりと受け継いでいるのではないか。ニューヨークの新市長にゾーラン・マムダニ氏というイスラム教徒が就任しており、ニューヨーク市民の約12%はイスラム教徒となり、ニューヨークはイスラム教徒に侵食されている。ロンドンも約10年前にイスラム教徒のサディク・カーン市長が就任し、ニューヨークに近い状況となっているが、排斥運動が激化している。日本ではイスラム教徒の代わりに、中華系の勢力が侵食している。東京大学合格者の1位は長年開成高校だが、現在開成高校の生徒の1割は中国人だという。日本も他人事ではなく、中国が日本中枢に浸透している。中国はかつて明が鄭和の航海でインド洋まで支配していた。習近平は毛沢東の真似をしているという風に言う人も多いが、実は一帯一路計画も含め、むしろ明の初代皇帝である朱元璋を模倣しているように感じる。次に宗教について、キリスト教のような教義の厳格な宗教はなく、私たちの神道のような信仰が台頭している。そして社会の構造として分権化、分散化が挙げられる。冷戦時代の米ソといった二大軸があった時代とは違い、いくつもの核がある中で、旧来の日米同盟がどこまで安全を担保してくれるのか、懐疑的な目で見ている部分もある。またサプライチェーンの面でも、今まさに日米首脳会談で話されている部分だが、リスクの低減のために分散化する必要がある。私は都市プランナーとして、こうしたネオ中世の時代にどのようにすれば日本が強くなれるかという提言として、昨年の9月に『ザ・日本国論』という本を出版した。その中でリスク分散の観点から、憲法に有事の際に大阪や京都に副都を制定することや、事業官庁を地方へ分散すること。そして新屯田兵として、支度金を国民へ支給し全国の耕作放棄地や未間伐の森林へ派遣することを提言している。以上のように、現代がネオ中世に近い状況であるという認識をお持ちいただければ幸いである。」とお話しされました。