第172回 勝兵塾月例会レポート
公開日:2025/10/29

塾長・最高顧問 元谷 外志雄
勝兵塾第172回月例会が、10月16日にアパグループ東京本社で開催されました。
冒頭に塾長は、「テレビや新聞が全く報じない『本当はどうなのか』ということを知って頂く機会として勝兵塾を開催している。より多くの方にこの会を広めていき、講師の方々の話や質疑応答を通じ、ここでしか知ることのできない真実について考えるきっかけとしてほしい。」と述べました。

参議院議員 塩入清香様
参議院議員の塩入清香様は、「先日の参議院選挙で『さや』という候補者名で出馬し、当選させていただいたことに、この場でまずは心からの御礼を申し上げたい。前回ここに登壇した際は、『君が代』の歌い方を僭越ながらレクチャーさせて頂いたが、その後出馬した際には、日本を真に愛している元谷塾長より推薦状を賜り、それを多くの方に好意的に受け止めて頂いたことで当選することができ、今こうして議員バッジをつけて勝兵塾月例会の場に立つことができている。そして選挙で獲得した約67万票の責任を実感しながら、国会での活動準備を進めている。私が選挙で訴えた政策の一つである消費税の廃止にも関連して、参議院財政金融委員を拝命している。私は就職氷河期世代として、当初はシンガーソングライターとして活動しており、疲弊する生活を送ってきた。音楽芸術の分野もやはり、日本が豊かにならなければ大きな発展は望めない。その日本の凋落、国民が疲弊する原因は多大な国民の税・社会保険負担にあると考え、消費税の段階的な廃止、社会保険料の減免を行い、国民負担率を35%に引き下げようとしている。そして、プライマリーバランスの黒字化を目指す財務省にも、増税ではなく経済成長で税収を増やす方向に転換して頂こうとするのが、参政党の経済政策である。現在、財政金融委員会で財務省の方からレクチャーを受けているが、彼らはやはり財政支出の減少、つまり緊縮財政の考えに傾倒している。緊縮財政の結果、あらゆる人件費が削られてきた30年、官僚の給料も合わせて引き上げる形で、財政支出の増加に対する抵抗をなくしていきたい。とにかく日本は現在、積極的な財政支出が足りないと考えており、それを高市氏は推進しようとしている。日本は国と企業のいずれも投資が足りていない状況である。2021年時点での各国の政府債務残高(対2007年比)を見ると、オーストラリアが9.5倍、アメリカが3.2倍、韓国も3.3倍なのに対し、日本はわずか1.3倍である。このように政府債務残高が増えない、財政出動が足りない結果、例えば東京藝術大学では運営費が削られており、光熱費の支払いのためにピアノを売却するような事態になっている。オーストリアの財務大臣で、積極財政の先駆者であったシュンペーターも、経済発展の原動力となるイノベーションにはフロンティア精神だけではなく、財政出動が必要と提唱している。企業が発展するための資金調達には銀行による信用創造により預金通貨を生む必要があることに、日本は早く気付かなければならない。マスメディアは高市氏の支持率が上昇していることを不自然なほど報道していないが、私は日本を豊かにするためであればメディアや財務省、グローバリズムと戦っていきたい。」とお話しされました。

慶應義塾大学名誉教授・公益財団法人アパ日本再興財団理事 塩澤修平様
慶應義塾大学名誉教授・公益財団法人アパ日本再興財団理事の塩澤修平様は、「経済活性化に必要な要素の一つが有効需要の促進だと思うが、消費税の段階的な廃止が消費需要にどういう行動を与えるか。」と質問され、塩入様は、「消費税について、消費行動に対する罰、消費意欲を減退させる悪影響があると考えている。タバコ税がタバコの消費を減らすのと同じく、消費税は消費を減らす作用があると認識している。また企業にとっても第二法人税のような負担となり、価格に消費税を転嫁できない中小企業が倒産の危機に迫られており、設備投資や賃上げもできない。こうした状況の打破に消費税減税が大きな役割を果たすと考えている。」と答えられました。

健康・環境デザイン研究所所長 中村恵子様
健康・環境デザイン研究所所長の中村恵子様は、「アパ日本再興大賞優秀賞を受賞した『江戸幕府の北方防衛』は、江戸時代の蝦夷地を統治していた江戸幕府松前藩について体系的に著した本であった。その基となった商人たちの活動を紹介するため、この度最新刊の『北方防衛と開拓の魁』を出版する。本書ではまず江戸時代に至るまでの北方貿易史を述べており、旧石器時代から蝦夷地と日本、そして世界とつながりがあったことを記している。擦文時代では北海道だけでなく、樺太および東北北部まで蝦夷地の文化が広がり、またオホーツク人とも共存し大陸や本州との交易も盛んであった。鎌倉時代には安藤氏が日本海交易の影響で大きな力を得るようになる。13世紀以降、安藤氏の力が弱まるとともにアイヌも元の攻撃から逃れ、樺太から南下し、アイヌの砦であるチャシがこの時期から見られるようになってくる。彼らは非常に狂暴で、蝦夷管領となった安藤氏を1268年に殺している。その後15世紀にはコシャマインの戦いがあったが、これを鎮圧したのが花沢館主の蠣崎季繁によって派遣された武田信広であった。彼は現在の檜山郡上ノ国町周辺に住み、日本海交易で財力をつけ、蠣崎家の養子となり、のちに勝山館を築城し、上ノ国に八幡宮を建立した。その後、子孫である蠣崎慶広が秀吉のところまで赴き蝦夷の支配を陳情したことで、蝦夷地の支配を確立した。ここで重要なのは、アイヌへの非道禁止を命じられていることであり、白人の先住民に対する扱いとは全く異なることが分かる。その後、家康がアイヌ交易の独占権を公認し、松前藩が成立した。この商いの形態は商場知行制として、米の収穫が乏しい松前藩において、家臣に対し蝦夷地の特定の区域を「商場」として、アイヌの人々との交易権を知行地として与えた制度である。松前藩藩主および上級藩士の知行地が全部で80か所以上存在した。江戸時代に人口が増加して米の需要が増加すると、松前の効率的な航路として西廻り航路と東回り航路が整備され、西廻り航路を利用した北前船の商人が台頭するようになった。やがて商場知行制から場所請負制と呼ばれる、商人が知行地を分譲される形に移行した。その中でアイヌへの撫育が進んでいくが、これはすなわち衣食住といった日用必需品の供給であり、アイヌの狩猟で得た毛皮等と物々交換を行うほか、貴重なナマコ・アワビの輸出も行っていた。それだけでなく、通行の管理や休憩・宿泊施設も担っており、公文書運送に人馬継立、難破船救助や米の備蓄といった事業を担っていた。場所請負人として活躍した柏屋は近江の出身であったが、東北・道東の発展に寄与した。飛騨屋は悪名高いが、林業を蝦夷地に根付かせた山林開発の先駆けである。栖原角兵衛も樺太・択捉で漁場の開拓および警備を行うなど、彼らは開拓や経済活動だけでなく防衛活動も担うこととなった。さらに彼らは、開拓の安全・繁盛を願うため神社をそれぞれの開拓地で創始している。また彼らの交易を通じ、例えば昆布が和食として根付くといった文化への影響も多大なものがある。しかし、彼らの功績は教科書から排除されるだけでなく、アイヌへの搾取・殺戮として紹介されている。今回出版する本はそうした歪んだ歴史を正すため、日本の領土と誇りを守るための必読書となっているため、是非お手に取って頂きたい。」とお話しされました。

株式会社HAYAコーポレーション代表取締役会長 小塩一様
株式会社HAYAコーポレーション代表取締役会長の小塩一様は、「世界の動向について雑多にお話ししたい。まず、ビルゲイツが軽井沢に6,600坪もの大邸宅を建て現在住んでいる件について、ビルゲイツは一連のコロナ禍にCDCと組んでいた噂もあり、彼が日本に来ていることが気になる。また、移民問題がヨーロッパ各国で深刻な問題となっている。イギリスにも移民の波が押し寄せており、現在イギリスの4割近くはイスラム教徒と言われており、ロンドン市長もイスラム教徒である。昨年、イギリスの新生児(男児)で1位だった名前はモハメッドだった。15年前のアラブの春を受け、エジプトではムスリム同胞団というテロリストが政権を掌握したが、その流れを汲んでいるのがハマスである。今年の9月にはロンドンで大規模な反不法移民デモが開催され、NHKは11万人と報道していたが実際には300万人が参加した。こうした移民、オーバーツーリズムの懸念は日本にもある。私が世界で一番綺麗と思う北海道・美瑛は朝もやや夕暮れ、ラベンダー畑が非常に美しい。しかし、観光バス需要などによりこうした街並みがコンクリートの駐車場に変わってしまっている。次に、シオニストの動向について、イスラエルのレヴィン副首相、スモトリッチ財務大臣、ベン・グヴィル国家安全保障大臣が過激シオニストであり、彼らはナイル川からチグリス川・ユーフラテス川までを領土と主張している。彼らがカタール爆撃を主導しているが、ネタニヤフ政権は汚職が明るみに出る懸念から彼らを解任できない。そこでトランプが先日自らイスラエルに赴き、お灸を据えたと考えている。トランプは第一次政権の際にオバマ元大統領から、ロシアとの密約によって当選したという嫌疑をかけられていたが、FOXニュースの『ロシアおよび犯罪者が、アメリカの選挙インフラに対し、悪意のあるサイバー攻撃によって選挙結果に影響を与えたことはない』という放送を受けて賞賛の意を表し、反対にオバマを国家反逆罪で告発しており注目が集まっている。ユダヤ人の話に戻ると、キッシンジャーの師匠にあたるアイゼンバーグ家のショール・アイゼンバーグは、かつてナチスの迫害を受け、日本へ亡命してきた。ユダヤ人のコミュニティは強大で、彼も戦後、くず鉄などを八幡製鉄に売り莫大な利益を確保した。アイゼンバーグ家の表札は現在も軽井沢に残っている。最後に、アジアの半導体企業について私は各国を訪れ調査した。台湾の半導体が強い理由として、台湾政府が1971年、工業技術研究院を設置し、日本が手を出さなかった半導体に台湾政府は目を付け、1984年にTSMCが設立された。TSMCはモリス・チャンのというよりも国策の賜物である。半導体関連のサプライチェーンでは、前後の工程がほぼ日本企業の独占・寡占に近い状況であり、日台合弁の企業が福岡に投資を集中させている。ラピダスは2ナノ試作品に成功し、京大大学院では1ナノ半導体量子細線に成功している。半導体や関連産業を含め、日本の技術は世界を凌駕しており誇るものであると認識頂きたい。」とお話しされました。

神道学博士、元ジャーナリスト 東郷茂彦様
神道学博士、元ジャーナリストの東郷茂彦様は、「消費税を廃止させると同時に、かつて贅沢品にかかっていた物品税を復活させるべきではないか。」と質問され、塩入様は「アメリカでは特定の商品・サービスに課される物品税となっており、日本はあらゆる取引に課税される点が悪質である。こうした課税がまた仕入税額控除の側面で、業務委託契約等の非正規雇用を促進してきた側面もあるため、物品税に戻すという方向性には個人的には賛成である。」と答えられました。また、東郷様は「中国製のソーラーパネルを日本農村部に敷くことについて、日本の農耕文化の破壊と見る向きもあるがどうお考えか。」と質問され、小塩様は「太陽光委員会という政府組織の副議長を務めていた経験がある。中国政府はとにかく大量の資金を投じて太陽光メーカーを乱造し、どれかが残ればいいというやり方だった。問題なのは、中国製のソーラーパネルの粗雑なパネル部品が、数十年経つと溶けてきて土壌を汚染してしまうところにある。しかしながら経済産業省は規制をせず、野放しにしている。」と答えられました。

一般財団法人日本安全保障フォーラム会長 矢野義昭様
一般財団法人日本安全保障フォーラム会長の矢野義昭様は、「トランプ大統領が近年、グローバリズムに妥協しているという見方もあるが、どのようにお考えか。」と質問され、小塩様は「NHKを含め、真実を報道しているニュースはない。NHKはABC以外の情報を流してはいけないというアグリーメントがあり、そうした民主党系のニュースしか流れてこない。前提として、アメリカ人を信用してはいけないと考えている。たった約80年前まで、中国のマーケットを手に入れるため、日本が邪魔だというだけで戦争をふっかけてきた国であり、用心しなければならない。」と答えられました。

グリーンネット予備校代表、攻玉社高等学校講師 鈴木勝明様
グリーンネット予備校代表、攻玉社高等学校講師の鈴木勝明様は、「私は予備校・高校講師として、1週間で多いときは32時間ほど講義をしており、累計で考えると約1万人に講義してきた。私の専門は漢文ではあるが、本日は日本の深刻な問題である少子化問題について提言する。アンコンシャス・バイアスという、『無意識のうちの思い込み』という言葉がある。確かに無意識の思い込みが評価や判断に影響を及ぼすことには注意が必要である。しかし、何でも過剰にアンコンシャス・バイアスに絡めて批判することもまた問題であり、特にジェンダーの問題にこのような傾向があることに警鐘を鳴らしたい。内閣府男女共同参画局が実施したアンコンシャス・バイアスに関する調査結果がある。ちなみにこの調査について約1万人を対象としているが、性別を『その他』としている人が70人いた。彼らはXジェンダーと呼ばれ、男女のいずれにも属さない性同一性障害を持つ人を指す。こうしたXジェンダーが増えたのは、男性らしさ、女性らしさについて過剰に配慮しすぎる学校の教育現場が原因ではないか。また、同調査結果の『性別役割意識』の項目を見ると、『女性はか弱い存在なので、守られなければならない』という項目があり、こうした考えが女性の役割を固定化することにつながるとされている。しかし、これは女性を守って戦うということの逞しさを否定することにならないか。そもそも男性らしさ、女性らしさというものは伝統によって培われてきた日本の文化であり、万葉集や古今和歌集では『ますらおぶり』という直線的で力強い男性らしさ、『たおやめぶり』という繊細で優美、女性的な様子が歌風として評価される。このような日本の文化である男性らしさ・女性らしさを解体するような動きに危機感を覚える。決して男女に優劣をつけるというわけではなく、男女の性差を尊重し、認め合うことが重要なのではないか。近年、男子校に女子が入学できないことが差別というような主張も多くなってきた。男子校の生徒は攻撃的になる傾向にあるようだが、これも悪いことではない。あらゆる生物は異性を獲得するために競争するものであり、ごく自然な振る舞いである。論語にも『惟仁者のみ能く人を好み、能く人を悪む』とある通り、戦うことができなければ深く人を愛することもできない。もちろん平和は大切であるが、戦いも平和と表裏一体に存在している。しかし、学校現場では勇敢さや闘争心というものが徹底的に排除されている一方、戦争の悲惨さばかり過剰に教えられているのではないか。教育勅語には『一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ』とあり、国に異変が起きた際には立ち上がることが必要である。ある程度の攻撃性を取り戻すことが、一番の少子化対策だと考える。」とお話しされました。

一般社団法人シベリヤ抑留解明の会理事長 近藤建様
一般社団法人シベリヤ抑留解明の会理事長の近藤建様は、「多くの日本人は男女共同参画局とは違い、『男は男らしく、女は女らしくあるべき』と考えているということを広めたいが、どのようにすればよいか。」と質問され、鈴木様は「特に手ごわいのが一部の教師であり、男性と女性が同じであると本当に信じ込んでいる教師もいた。それは共学校での話だったが、おそらく男子校や女子高の教師は男女の違いが分かっていると思うが、共学校の教育が最初に手をつけるべきところではないか。」と答えられました。
最後に塾長は、「本日、交わされた様々な講義や議論は、テレビや新聞では報じられないことばかりである。そうした報道を鵜呑みにすることなく、自身で情報を得てそれを精査することが重要である。今後とも勝兵塾がこうした議論を交わす場となることを期待している。」と話し、会を締め括りました。