第169回 勝兵塾月例会レポート

公開日:2025/7/28


株式会社KBM代表取締役会長 諸橋茂一勝兵塾事務局長

勝兵塾第169回月例会が、7月17日にアパグループ東京本社で開催されました。
 冒頭に株式会社KBM代表取締役会長の諸橋茂一勝兵塾事務局長は、「参院選の運動期間も大詰めに入っているが、各政党の候補者が本来最優先で訴えるべきことがあまりにも主張されていないと感じている。自国の国民・国土を守り抜くための自主憲法の制定や、北朝鮮による拉致事件の解決、軍事戦略的な面だけでない総合的な安全保障に対する主張があまりにも少ない。また、少し前にインドネシアの女性と話した際、1955年の有色人種国家の国際会議であるバンドン会議で、日本の加瀬俊一代表に対し、各国の代表が列をなして握手を求め、自分たちの国が独立できたことについて、日本への感謝の意を表したことを、インドネシアでは学校で習っていると伺った。そうした『真実の歴史』が、我が国の戦後教育では殆ど教えられておらず、全く逆に、日本に多くの非があるかのように教えてきた。その結果、多くの日本人が、日本人としての自信と誇りを持つ事ができない現状にあるのではないか。」とお話しされました。


ジャーナリスト 葛城奈海様

ジャーナリストの葛城奈海様は、「日本において古来より米と並ぶほどに重要な存在であった『麻』についてお話をしたい。まず大麻は向精神作用のある『薬用型』、そうした作用のない『繊維型』、そしてその『中間型』に分けられるが、日本古来の大麻は『繊維型』であり、水に強くてしなやかな性質を持っている。速乾性があり、夏は涼しく冬は温かく、衣料としても幅広く用いられていた。また、かつての日本では、『命のバトン』という役割も麻は担っていた。棺桶を墓穴に下ろす際に用いた麻の紐をへその緒を切るために用い、安産の際のお礼参りにお供え物としていたそうである。また『お食い初め』という儀式でも、食べ物や排泄物に麻の茎を見立てていたり、お盆のお供え物に馬や牛に見立てた野菜に、やはり麻の茎を刺したりといった用途もある。赤ちゃんの産着にも麻の葉模様があしらわれていたが、これは大きく成長する麻のように強く丈夫に育ってほしいという願いが込められており、その理由から『麻子』や『麻実』など、麻を使った名前が多かった。また苗字や地名にも多く『麻』の文字が使用されていることからも、麻が大切にされていたことがわかる。特に、神事では麻が使われており、注連縄や鈴緒、御幣、さらに『神宮大麻』として、伊勢神宮の神札にも用いられている。世界的に見ても麻は20世紀以降、向精神性が問題視されながらも軍需用として世界各国で生産奨励されてきた。しかし敗戦後GHQは、日本の麻について、種子を含めて絶滅させるよう指令を出した。これに日本中から反対の声が挙がり、交渉の末に条件付きながら栽培許可の権利を勝ち取り、これが大麻取締法制定につながる。本来日本人にとって有用であった麻をGHQが躍起になって根絶しようとしたのは、日本人としての強さの源である精神性に大きく麻が関与しているとGHQがみなしたからではないかと考える。こうした経緯もあり、1948年の大麻取締法制定時に23,902人いた麻栽培免許取得者は、2014年時点で33人にまで減少してしまった。三重県では、伊勢麻振興協会という団体が設立されている。皇學館大学教授であり同協会理事の新田均先生は、麻の問題について、『敗戦によって失われたことすら忘れられているもの。占領政策の結果として男系男子がどんどん減って悠仁親王殿下おひとりになったことと同じこと。』と主張されている。日本の伝統を支えていた麻が人工的に消されつつある現状を知り、声を上げ行動していきたいと考えている。」と、日本の伝統に根ざしていた麻の現状についてご解説されました。


慶應義塾大学名誉教授・公益財団法人アパ日本再興財団理事 塩澤修平様

慶應義塾大学名誉教授・公益財団法人アパ日本再興財団理事の塩澤修平様は、「一般社団法人皇統を守る会を通じ、皇族について養子縁組を可能とし皇統に属する男系の男子を皇族とすること、皇統に属する男系の男子を法律により直接皇族とすることを目指す活動をされているが、具体的にどのようにその実現を目指していくのか。」と質問され、葛城様は「前提として、本来であれば旧宮家の方が皇籍に戻ることが望ましいとしながらも、課題が多いということで、次善の策として、皇室典範を改正し、旧宮家の男系男子の方を、養子縁組をして皇室にお迎えすることについて、国会に対して働きかけていきたい。」と答えられました。


国際歴史論戦研究所会長 杉原誠四郎様

国際歴史論戦研究所会長の杉原誠四郎様は、「日本の最高裁が近年、法治主義の原則から外れ司法の役割を超えた判決を連発し、日本を司法の面から崩壊させようとしている。かつて田中耕太郎という最高裁の裁判官がおり、彼は自然法を一番ふさわしい法律体系として、その観点から司法の限界を説いた。彼はかつて砂川事件と呼ばれる、日本政府が米軍の駐留を許容したことを日本国憲法違反として訴訟した事件で、政治に対する司法からの違憲判断を避け、統治行為者に対する特別な責任を説いた。しかしながら現在の最高裁ではそういった観点が抜け落ちていることに危機感を覚える。ローマ法の諺に、『法とは発見するものであって、つくるものではない』というものがあるように、司法とは訴訟を通じ諸法の最終解釈権を行使することで国家・社会に秩序を与える役割を担っており、政治に近づいてはならない。近年の最高裁判決を例に出すと、経産省のジェンダー女性職員に対し、省内に限り全ての女子トイレを使用できるよう人事院に命じた判決は、社会一般に適用できない方法で特定個人の利益に応じようとしており、司法の役割から逸脱している。また、性同一性障害者の性別変更につき、現行の規定を無効とする判決を下し、生殖能力をなくする手術を要しないとした。さらに犯罪被害者等給付金という、遺族に対して給付金等の援助をする制度の対象者に同性愛者も含まれると判決した。これらはいずれも新しい制度の創出であり、司法の役割からの逸脱である。さらに昨年この場でも取り上げた、特定教団の下の信仰に対し、信仰者を教団の心理的影響下のもと冷静に判断することが困難な状態にあるとした判決も、信仰の自由を脅かす判決である。これらは裁判官が司法の役割を考えていない証左である。次に韓国の憲法改正に関してお話ししたい。昨年、当時の尹錫悦大統領の宣布した戒厳令について、日本に今、戒厳令を出すことができる法律はないが、内閣不信任決議が出された場合、内閣が総辞職するか、衆議院を解散させ総選挙が行われ、国民の意思によって整然と解決されるが、韓国では決議を最高裁が違憲判断をする。これは国民の意思ではなく、最高裁の判事が政治的な判断を下すこととなり、法治主義から見て破綻している。また、韓国の憲法第84条における大統領の内乱罪の規定に基づき、尹前大統領が内乱罪で起訴されているが、内乱罪とは政権を奪取する目的をもって国内に争乱を起こす罪をいうのではないか。このように韓国の憲法は法学的に未熟なのであるが、日本でもお伝えした通り司法に大変な問題を抱えている。」と、日本の司法や韓国の憲法に関する問題点を鋭く指摘されました。


前横浜市立大学理事、元横浜市教育委員長 今田忠彦様

前横浜市立大学理事、元横浜市教育委員長の今田忠彦様は、「現代の法曹界に関するお話と対照的な判決として、1891年の湖南事件に際する時の大審院院長である児島惟謙による、司法の独立を堅持した判決を思い出したのだが、これに関してどうお考えか。」と質問され、杉原様は「戦前の日本の司法はご指摘の通り、三権分立および法治主義を理解した機関であった。また韓国も以前は法曹界がしっかりしていたものの、クーデターの乱発などにより憲法が本来の法意識から逸脱した内容となっている。日本もいま一度、法治主義とは何か、司法とは何かという原則について真剣に考えるべきである。」と答えられました。


史実を世界に発信する会会長 茂木弘道様

史実を世界に発信する会会長の茂木弘道様は、「昨年の3月に出版された、ブライアン・マーク・リッグの『ジャパンズホロコースト』における嘘や欺瞞について紹介したい。著者はケンブリッジ大学で博士号を取得し、アメリカの軍事大学やウエストポイントの陸軍士官学校で教鞭をとっており、また大量の脚注をつけ文献に基づいた学術本を装っていることから、この本が一定の信憑性をもって流布する恐れがある。まず彼は、日本は1927年から1945年まで、『劣等民族の絶滅を目論見少なくとも3000万の大量虐殺を行った』とあるが、日本は1919年のパリ講和会議で世界初の人種差別撤廃を国際会議で主張しており、その主張は1943年にアジアの独立7か国が集う大東亜会議にて採択された大東亜共同宣言に盛り込まれており、劣等民族の絶滅という言説は全くの誤りである。次に彼が唱える日本人観の根底は、日本人は神々の直系の子孫という考えから極端なエゴイズムを持ち、それが近代の如何なる権力も行ったことがない様な最もグロテスクな残虐行為を喜んで行う国民を生み出したという点にあり、彼はこの差別的な日本人像から各論を展開している。しかし、義和団の乱にて柴五郎中佐率いる日本軍が8か国の先陣を切って居留民保護のため尽力したという事実からも反論が可能である。次に3千万虐殺の内訳として、『中国2000万、インドネシア400万、ベトナム200万、ベンガル地方における飢饉150万、等々』と書かれている。しかし、1942年にジャワ島に上陸した日本軍が設立したインドネシア郷土防衛義勇軍(PETA)が戦後、独立軍の母体となり、PETA出身のスディルマン将軍の像を寄贈してくれたインドネシアで、そのような虐殺があったとは思えない。またベンガル大飢饉が起こった当時にはインドに日本は出兵していない。そして中国2000万であるが、まず中国国民党政府が1947年に、市民の死者は439万人と発表している。これも蒋介石の命令で行った黄河決壊作戦の死者を日本軍の空爆によるものとしており、日本軍による死者は実際には100万足らずと推定される。しかし、その後中国共産党は軍民死者2000万人と発表、1995年には3500万人と修正している。これらの虚偽を真に受けているのがリッグである。これらの問題に対し、藤岡信勝先生をはじめとする戦争プロパガンダ研究会による反論本が発売される予定のため、ぜひお手に取っていただきたい。」と、日本軍の残虐行為を喧伝する書籍に対する反論を熱弁されました。


一般社団法人空の神兵慰霊顕彰碑護持会代表理事 奥本康大様

一般社団法人空の神兵慰霊顕彰碑護持会代表理事の奥本康大様は、「はじめに、懇意にさせていただいている作家・ジャーナリストの門田隆将氏が、『大統領に告ぐ』という書籍を出版される。私も何度か本月例会でお話した、硫黄島の市丸利之助中将の『ルーズベルトに与ふる書』について読み取る内容である。元々私がこの本を書こうとして準備していたが、手が回らなくなっていたところに門田氏が引き取られ、私も色々と取材のお手伝いをさせていただいたので、ぜひお読みいただきたい。本題に入るが、皆さまの募金活動など多大なるご協力を得て、今年5月に義烈空挺隊顕彰碑を熊本の健軍神社に建立することができた。除幕式では前防衛大臣の木原稔氏にもお越しいただき、1100名を超える方々からの寄付金が集まり、それだけ多くの方の思いが顕彰碑に込められているということで感謝申し上げたい。また、それに合わせて『健軍の誓い』という鎮魂歌を、佐波優子さんと山口采希さんと私の3人で作った。国体・国民・家族を守るため、沖縄の米軍飛行場を目指し飛び立った彼らに向け、健軍神社で誓った決意や、義烈空挺隊として選ばれた覚悟、世話を欠かさなかった整備兵への感謝、熊本を発つ際の決意を歌にしている。この歌を通じて国民が彼らのことを思い出せるような愛唱歌になればよいと考えている。次に特攻隊について、駐日フランス大使だったアンドレ・マルロー氏の言葉を紹介したい。『日本は世界のどんな国も真似ができない、祖国と家族を思う一念で生への執念を乗り越え敵艦に体当たりした「特別攻撃隊」を生んだ国であり、そこに男の崇高な美学を見る。』と彼は高く評価している。特攻隊について闇雲に今の時代の価値観で無謀な作戦や犬死と批判するものではないと私は考える。私は8年前に沖縄県読谷村の義烈空挺隊玉砕の地に行った際、誰も行かないような場所にポツンと碑が建っており、これでは英霊が浮かばれないと感じて顕彰碑建立事業を始めた。特攻隊の基地だった場所には平和会館や資料館があるが、熊本の健軍神社には何もない。そこで自分は健軍神社に顕彰碑を建てることを計画した。『慰霊』と『顕彰』は似て非なると私は考える。慰霊祭ではみな『戦争の犠牲者』として、来賓の方が冥福を祈る挨拶をするが、彼らはみな英雄であり犠牲者ではない。英霊を肉体の死だけでなく、人々の記憶からも死なせることがあってはならず、彼らが今日の日本を守っていると顕彰する必要がある。」と、ご自身の活動についてお話しされました。


国際歴史論戦研究所上席研究員、テキサス親父日本事務局事務局長 藤木俊一様

国際歴史論戦研究所上席研究員、テキサス親父日本事務局事務局長の藤木俊一様は、「私は国連認定NGO国際キャリア支援協会として入管申請およびインテリジェンス活動をしており、そこで各国政府の公安関係者などから得た情報をお話ししたい。中国をはじめとする特定国が国際機関に対して行っている反日プロパガンダの問題がある。2014年に慰安婦が国連で性奴隷として扱われたことをはじめ、日本の左翼の人々および特定国の連合体による工作により、日本が貶められている。例えば、ロバート梶原という沖縄からの移民した日系4世で、ハワイ人を自称する男がいるが、彼は日本が琉球を不正に併合し、沖縄戦を利用し14万人もの琉球人を大量虐殺したと主張する。さらに現在も日本は軍事力を沖縄に集中させ、琉球を犠牲にしようとしていると話し国連人権理事会に支援を要請している。彼は、邦題で『侵略されたオキナワ』と題した映画を昨年作り、その概要をジュネーブプレスクラブへリリースするなど、国連に働きかけている。トレーラーを見るとあたかも琉球人が日本に自由を奪われたかのような内容を喧伝したものである。しかし、ロバート梶原氏はなんと玉城デニー沖縄知事を訪問し、知事はこれを歓迎したという暗澹たる状況である。また、とあるNGOの代表である方と話をしていると、彼は中国政府代表団から、あなたの組織の代表になりたいと持ち掛けられたという。国連では経済社会理事会との協議資格を持つNGOであれば国連会合への出席や政府代表団への直訴が可能となるが、中国共産党は色々なNGOを買い取って国連に介入し、日本の歴史問題について議論をしている。我々はその対抗策として、現在起きている中国の人権問題を突っ込んでいる。私も今年4月にジュネーブプレスクラブにてバングラデシュの人権問題に関しお話しする機会を得て、その中で共産主義者、赤軍による日本の分断について私見を述べた。国連の人権理事会顧問弁護士が告発したところによると、国連で中国に対して反対意見を述べている人の情報を中国共産党に渡している集団がおり、党がその人を脅したりするようである。今年4月の報道によれば国連に登録された中国系のNGO団体のうち、半分以上が中国政府・共産党と密接なつながりがあるとした報告がある。最後に、国際歴史論戦研究所では国連に興味のある方に対するセミナーを不定期で行っているため、興味のある方はHPをご覧になるか、お問い合わせいただきたい。」と国連における反日プロパガンダ活動についてお話しされました。


参議院議員 石井苗子様

参議院議員の石井苗子様は、「日本中回って選挙応援に励む日々であるが、今回の選挙は有権者の方がこれまで以上に候補者を見る目がシビアになっているように感じる。本日の月例会に来て、配られたチラシの中に男系天皇の歴代天皇系図がある。現在出ている女系天皇の議論は女性の人権や自由といった動きだけではなく、男系の継承者が少なくなっている現実の切羽詰まった状況がベースになっている。日本への思いについて想起したのは、我那覇真子氏が2017年に靖国神社の終戦集会で、当時20代だった彼女が英霊に対し祖国日本がまた立ち上がると自らの決意を述べている。こうした言葉が現代の若者の思いであり、そうした意見を汲み上げていける政治を目指していきたい。」とお話しされました。