第168回 勝兵塾月例会レポート

公開日:2025/6/26


株式会社KBM代表取締役会長 諸橋茂一勝兵塾事務局長

勝兵塾第168回月例会が、6月19日にアパグループ東京本社で開催されました。
 冒頭に株式会社KBM代表取締役会長の諸橋茂一勝兵塾事務局長は、「昭和23年のこの日、6月19日、当時、占領下にあった日本はGHQの命令により、『教育勅語等排除に関する決議』が衆議院で、『教育勅語等の失効確認に関する決議』が参議院でそれぞれなされた。明治時代以降、日本人が生きる大きな指針として大切にされ、小学校の低学年で暗唱するなど教育の入り口で教えられてきた教育勅語は、GHQによって、日本が欧米の脅威とならない腰抜け国家となるよう、日本人に対する弱体化政策の一環として排除された。教育の根本は人間を育てる人間教育にあり、それに関連して偉人や真実の歴史を教え、日本人としての自信と誇りを持てる教育をすることが重要であるが、それを戦後長期間に亘り怠ってきたと言わざるを得ない。人間教育を軽視し、受験教育に特化した戦後教育や、さらにはLGBT法案(や夫婦別姓法案)といったものを通じて、日本の家庭、社会ひいては国家を破壊しようとしており、これは我が国の危機である。」とお話しされました。その後、6月2日に明治記念館で開催されたアパグループ創業祭並びに会長バースデーイブの会にて放映した、アパグループの言論・事業活動をまとめた特別ムービーを視聴しました。


元陸上自衛官で参議院議員 佐藤正久様

元陸上自衛官で参議院議員の佐藤正久様は、「自衛隊や政府内に今なお自虐史観のような思想が残っていることを問題に思う。故吉田茂氏が防衛大学校第1期生に対して述べた、『君たちが国民から感謝されるときは日本国民が困窮し国家が困難に陥っているときであり、逆に君たちが日陰者であるときは、日本は幸せである。どうか耐えてもらえたい。』という訓示を言い伝える部隊長も未だにいるが、これは間違った考え方で、自衛隊や警察のような公安職は尊敬される存在にするべきと私は考えている。私もイラクで一緒に仕事をした外交官の奥克彦氏が、2003年に凶弾に倒れたことを受け、日本国内ではイラクへの派遣に対し死人が出る、と反対する声が非常に大きくなった。しかし、湾岸戦争で資金のみを出して人を出さなかったために国際的に評価されなかったことを踏まえ、イラク戦争では自衛隊を派遣すると小泉政権は決断した。派遣時に悲しかったこととして、市ヶ谷駐屯地から出発する際に、当時の石破防衛大臣の命で裏門から出るよう指示があったことである。命がけの派遣として遺書を書いた隊員もいる中、反対派のデモを避けるように裏門から出ろという指示であったが、これは自衛官の名誉を全く考えていない。当時自民党国防部会長であった今津寛氏がこれに反発し掛け合い、正門から出られるようになった。苦難はそれだけでなく、成田空港に行く際には制服からスーツに着替え、さらに航空機も日本のJALやANAではなくノースウエスト航空で行くこととなった。しかし、機内でCAの方からメッセージ付きのキャンディーを渡していただき、機長からも自衛隊員の搭乗をアナウンスしてくれ、機内は拍手に包まれ、自衛隊員も号泣した。アメリカではこうした公安職への尊敬の念は強く、飛行機でも優先搭乗などがあるが、日本はこうした精神面で劣っている。それどころか、飛行機関連の話で言えば、今年で40年を迎える日航機墜落事故について、同事故は自衛隊の対空射撃による墜落事故で自衛隊はそれを隠蔽しているという陰謀論の本が出回り、学校でも推薦図書にされるような状況である。近年ではSNSによるフェイクニュースの拡散が多く、韓国の大統領選挙では選挙管理委員会が手に負えないほどのディープフェイク動画が出回っていた。しかし、国会でこの質問を私がすると、各部署が押し付け合って、担当部署が防衛省文書課だという。しかし、文書課は総務課のようなもので、この部署では対処できない。最後に、一つ救いがあると感じたエピソードとして、参議院選挙の公示日が近づいてきているため、2ショットポスターを石破首相、中谷防衛大臣、小野寺政調会長、高市衆議院議員と撮ったところ、高市氏のポスターが最も人気があり、石破氏が最も不人気だった。日本人にもそういうまともな感覚があるので、そういう部分を伸ばしていくことが大事だと考えており、今回の参院選でも力を振り絞って頑張りたい。」とお話しされました。


健康・環境デザイン研究所所長 中村恵子様

健康・環境デザイン研究所所長の中村恵子様は、「日本最古の国宝は北海道紋別郡の遠軽町白滝の遺跡から出土したものだ。旧石器時代の白滝遺跡群出土品が1,965点、当地の埋蔵文化財センターに展示されており、2023年6月27日に国宝となった。町内の赤石山という黒曜石を大量に埋蔵している山麓近くの100カ所以上の遺跡から出土したものであり、ここは後期旧石器時代、約3万5千年~1万年前の新人類の遺跡である。旧石器時代の特徴は石を打ち砕いて作られた打製石器や、動物の骨や角を用いて作られた骨角器を使い狩猟や採集活動を行っていたことである。当時は氷河期の寒冷な気候で、さらに火山活動も活発で、頻繁に火山灰が降り注ぐ環境の中、土器ではなく全て石器類を使用していた。衣服や食事も狩猟したものが中心で、住まいは洞窟や岩陰であった。石器の種類は動物の種類や人類の進化に応じて変遷・移り変わりがあるが、この白滝遺跡群では、特に全長36・2cmの超大型の尖頭状石器をはじめ、北海道内にあるほぼ全ての種類の後期旧石器時代前半~後半の石器群が出土しており、黒曜石を埋蔵していたその場所が石器工場であることが分かる。さらに大事なこととして、赤石山では原産地の山間から低地に運び、原石を完成品として加工し、それを他集落の人々と物々交換していたことが知られている。この時代にこれだけシステム化しているということは、言葉があったに違いないと推測できる。白滝遺跡から出土された、湧別技法を用いた細石刃は北海道だけでなく、日本列島から朝鮮半島、シベリア、中国北部、アラスカまで広がっており、それだけ広範に交易・交換されていたことが分かる。また、青森県の大平山元遺跡にも湧別技法の細石刃に関する説明があり、さらに北海道式土器として擦文土器の展示もあったことから、大平山元遺跡との間で旧石器時代から擦文時代に至るまで絶え間なく人々の交流があったことの証左になる。白滝遺跡群の父である遠間栄治氏は、日本の旧石器時代の存在を証明した岩宿遺跡を相沢忠洋氏が発見する23年前の1923年に、赤石山で黒曜石を発見した。1927年には北見市郷土研究会遠軽支部を結成し、遠軽町郷土博物館の開館に合わせて石器約3,000点を展示したこれらの石器は、のちに北海道大学に寄贈されている。その後遠軽町議会議長を務めた遠間氏は、台風の影響で出土した幌加沢遺跡の石器を公開するために私財を投じて遠軽町郷土資料館を設立し、自ら館長を務めた。こうした活動の結果、2023年に白滝遺跡群の出土品が国宝指定されたが、これは奇しくも遠間氏が黒曜石を発見してからちょうど100年後であった。遠間氏のような昔の日本人の活動が日本を支えてきていると感じており、未来に向けて私たちのような普通の日本人が、日本をより良い国にしていくために活動することが大事だと考えるようになった。」とお話しされました。


一般社団法人世界のための日本のこころセンター代表理事 土居征夫様

一般社団法人世界のための日本のこころセンター代表理事の土居征夫様は、「私の父は土居明夫で、陸軍でロシア課長を務め、上海で終戦を迎えて戦後復興に貢献した。母方の祖父は日露戦争の生き残りで、そうしたバックボーンを経て現在の私がいる。私は当時通産省の官僚として、安倍晋太郎氏が通産大臣の時に主幹を務めており、退職後に安倍晋三内閣の教育再生会議事務局の責任者も経験し、日本特有の調整ばかりで進まない教育改革に手を焼いた思いもした。私がオンラインで主催する自啓共創塾の第1期塾長であり、元野村ホールディングスCOOで駐リトアニア日本国大使の尾崎哲さんも本日ご同席いただいている。本日は私が事務局員となっている、教育改革国民運動についての話をしたい。日本の政治は10年~20年の中期計画しかできておらず、国家百年の大計のようなものは見えてこない。例えば人口対策一つとっても、予算や制度に関する議論ばかりされているが、日本は他国に比べて国民の人生に対する価値観、祖先から未来の子孫に向けて自分がどのような役割を果たすべきかという立脚地、スタンドポイントを確立できていない。それがなければ出生率は上昇せず、安易に移民に頼ることで、グローバリズムによって日本の固有文化が消えることに私は断固反対である。かつての数学者・哲学者である岡潔氏は、『ものよりこころを、分別智よりも無分別智を、知より情を、認知能力よりも非認知能力を』とおっしゃった。やる気の部分が人を動かすということだが、これが岡氏死後40年経った今も状況は変わらず、完全に無視されている。そうした中で、国民運動のキックオフとして、5月12日に『若者が未来に希望を持てる明るい日本を創るシンポジウム』を開催し、定員200名のところ280人にお集まりいただき、人口戦略会議 議長・日本製鉄名誉会長・東商名誉会頭の三村明夫氏や東京大学名誉教授の坂倉健氏に、国づくりの基本である教育についての講演や記者会見を実施した。現代の教育はペーパーテスト対策に傾倒しており、特に旧帝大の大学入試では認知能力しか問われず、面接のような非認知能力を見る試験を実施していない。また大学での研究も縦割り社会で完結しており、岡潔が提唱していたような非認知能力を磨く教育ができていない。最近ではAIを作るための人材養成に躍起になるあまり、その後にAIをどう使うかという教育は一切できておらず、例えばラピダスでも日本人ではなくアメリカ人やインド人を重用するような状況にある。知識や論理ではなく、直観や豊かな人間性・人間力を問われる非認知能力は、ペーパーテストだけでは評価できない。全く新しい発想やビジネスモデルがひらめき出るような非認知能力を持つ人材の育成を行わなければならず、そのためには国民やマスコミからこうした声を広げる必要がある。多くの賛同者を募り、国民の声を政策立案の当事者や教育現場に届けられればと考えている。」とお話しされました。


作家、ジャーナリスト、「岡野龍太郎塾」塾長、日本記者クラブ会員(元時事通信ニューヨーク特派員) 岡野龍太郎様

作家、ジャーナリスト、「岡野龍太郎塾」塾長、日本記者クラブ会員(元時事通信ニューヨーク特派員)の岡野龍太郎様は、「海南島にある、東インド会社の白人と現地の華僑が話している銅像をご覧いただきたい。この構図は実は現代でも変わっておらず、アングロサクソンとアジア人の対立構造を象徴したような像である。私はちょうど半世紀前の1975年にニューヨークに行き、ベトナム戦争の帰還兵による銃乱射事件が多発している現場を見てきた。今思い返すと、そこからアメリカの分断が始まったという印象を持っている。アメリカの現状はマスコミでは南北戦争の再来と呼ばれているが、私はむしろ第二の独立戦争だと考えている。このようなことをベースに水戸学についてお話ししたい。私は岡野龍太郎塾という勉強会を行っており、これは政治評論家・森田実氏の『森田塾』を継承し2年前に立ち上げたものだが、その基本にも水戸学がある。私が水戸出身と言うと、アメリカ国内でも少し変な空気になったが、桜田門外の変や五・一五事件などの影響で、水戸学はテロリストのイメージが強い。思想家である徳富蘇峰が、昭和14年6月に水戸市立三の丸小学校で講演した際の内容の中に、日中戦争は支那が相手ではなく、その背後にいるソ連の共産主義とアングロサクソン資本主義を相手にしているという内容がある。次に水戸学は過去の学問ではなく、今日において我々が研究すべき学問であり、水戸学は日本の心であると徳富氏も言っていた。水戸学は古くより日本国を精神的に支え、皇国史観の確立に寄与し、当時の日本人の心を一つにまとめ上げた。藤田東湖の『正気の歌』は尊王志士を鼓舞するものとして全国の志士に愛唱された。このように水戸学は日本人の心に根差してきたわけだが、水戸学は遡ると、やはり水戸光圀公に行き当たる。彼は日本中から書物を集めて読み漁り、その結論として人生は他の人との交流や知識を深めることにあると碑文に書いてある。また、水戸は司馬遼太郎氏によると尾張と紀州と同じ役割・御三家ではなく、お目付け役であり、水戸光圀が生類憐みの令を批判したり徳川斉昭が日米修好通商条約調印に反対したのは決して感情論ではなくお目付け役の役割を果たしたからであり、これが幕末まで続く水戸の真髄である。しかし、明治維新政府はそれまでの幕末の志士によるものではなく、そこで日本は文化的に分断されている。それ以降の日本は歴史のスパンが短く、100年200年といった長いスパンで物事を考えられなくなっている。私も色々と海外でいろいろな話を聞くが、特にアジアの人から水戸の弘道館は我々の聖地だと言われる。弘道館の思想に基づいて日本が動いたことで、アジア諸国が植民地からの脱却に動いたわけであり、水戸の思想についていま一度スポットライトを当てていくべきである。」とお話しされました。


歴史認識問題研究会研究員、麗澤大学国際問題研究センター客員研究員 長谷亮介様

歴史認識問題研究会研究員、麗澤大学国際問題研究センター客員研究員の長谷亮介様は、「昨年の7月に佐渡金山が世界遺産に登録されるという大変喜ばしい出来事があったが、そこに至るまでに、佐渡金山は韓国から大変不名誉な批判をされていた。ひと言でいえば、佐渡金山では戦時中に朝鮮人を強制連行させた現場として批判されていたというわけだが、そうした学説に一切根拠がないことをお伝えしたい。昨年の11月に『朝鮮人「徴用工」問題 史料を読み解く』という本を出版し、その中に佐渡金山に関する話題を記載しているためそこから引用して展開していくと、まず当時のことを示す一次資料の中に強制連行に関する話題がなく、韓国側が主張する朝鮮人強制労働の主張には根拠がない。例えば、佐渡金山は落盤事故が多発する現場だったという主張は、佐渡が地層的に地盤の固い土地であることと矛盾しており、契約更新が強制的だったという主張に対しても、更新せずに帰郷した者たちの名簿が存在している。また戦後、元労働者の多くは珪肺症、つまり鉱山病に苦しんだとあるが、朝鮮人が佐渡金山で働いていた期間は3年弱で、当時佐渡の病院で働いていた齋藤謙氏の研究によれば、珪肺症の発症には最低4年11カ月を要するとある。極めつけは、平井栄一氏の『佐渡鉱山史』によれば、待遇は日本人労働者と同一であり、独身者へは味噌や米が安価に販売され、ラジオや将棋の娯楽もあったとされている。しかしながら、日本にも強制動員真相究明ネットワークという日本人団体などが韓国の民族問題研究所と連携し、強制労働を糾弾している。私の調査によれば、この強制動員真相究明ネットワークの供述が限りなく嘘に近いことが分かった。先述の帰郷した者がいる一次資料について、彼らが佐渡市に提出した要望書にはその名簿が削除されていた。さらに、珪肺症患者についての証言内容を勝手に変更した事例もある。韓国の李宇衍氏という方が調べたところ、遺族証言の改変についても明らかになり、労働者が出金した金額を過小に説明したり、終戦後に貯めたお金で広大な田んぼを購入した労働者のエピソードも書かず、反対に『田んぼを手放して貧乏になった』というエピソードを紹介していたりする。このように、自分たちに都合の良いような解釈、歪曲、隠蔽を行い、学術的に問題のある状態にある。李在明氏が韓国の大統領となり、戦時労働者問題について言及される点を危惧される風潮にあるが、仮に問題がある主張であれば、私はむしろこれを奇貨として明確に反論すれば良いと考えている。私もこうした事実を広められるよう今後も活動を続けていきたい。」とお話しされました。


一般社団法人シベリア抑留解明の会理事長 近藤建様

一般社団法人シベリア抑留解明の会理事長の近藤建様は、「茂木弘道氏が先日、『反日レイシズムの狂気 ジャパンズ・ホロコーストの正体を暴く』という本で、ブライアン・マーク・リッグ氏が主張する旧日本軍の虐殺に対する反論を述べた。長谷氏の佐渡の話もそうだが、おかしな情報に対しては国際社会において毅然と対応しなければならない。勝兵塾を通じ、何か大きな声を世界に届けられる機会ができればよいと感じる。」との意見を出されました。