第164回 勝兵塾月例会レポート
公開日:2025/2/25

塾長・最高顧問 元谷 外志雄
勝兵塾第164回月例会が、2月20日にアパグループ東京本社で開催されました。
冒頭のアパグループ元谷外志雄会長による塾長挨拶では、「メディアでは必ずしも本当のことが報じられていない。『本当はどうなのか』ということを知るためには、議論の場を設けて多様な意見を積み重ねていく必要がある。議論を交わす場として勝兵塾が有意義なものとなることを期待している。」と述べました。

衆議院議員・元文部科学大臣 柴山昌彦様
衆議院議員・元文部科学大臣の柴山昌彦様は、「Apple Town 2024年9月号で、元谷塾長と日本の安全保障や教育問題について対談させていただいた。私は安倍元首相の下で首相補佐官(国家安全保障に関する重要政策及び選挙制度担当)、文部科学大臣を歴任しており、本日は教育をテーマにお話しさせていただく。私は現在自民党の教育人材力強化調査会長として、中長期的な教育ビジョンの政策の責任者を務めている。昨今大きな議題となっている教育無償化についても実務担当チームの座長を担当している。教育無償化については日本維新の会が積極的に推進しており、確かに教育の金銭的負担を軽減することは人材育成にとって大きなテーマである。一方で、教育無償化による教育の質の部分への影響については慎重に見極める必要があると考えている。特に教科書に関して私は長らく問題意識を持っており、戦後の理想主義的平和主義の価値観で記載された教科書では、現在の複雑化した国際社会に適合できていない。例えばリベラルが主張する、軍事力を保持すると戦争が起きるという考え方は誤りであり、軍事力のバランスが崩壊したところに戦争が起きることは、ウクライナ戦争をはじめ歴史的な事実から明らかである。また日本は先の大戦に敗れ領土が大幅に縮小したが、領土に関して日本と当時の紛争対象国が何を主張したかについても教える必要がある。学習指導要領については安倍政権時に正常化しており、国を大切にすることや国旗・国歌に敬意を表し、領土に関する日本の主張を教える方向に少しずつ変わっている。安倍政権では自派閥であった清和政策研究会から私を含む歴代の文部科学大臣が就任していたことからも、安倍元首相の教育に対する思いが窺える。現代は技術が目まぐるしく進化する時代であり、教育現場においても最新の生成AI等ICT技術を含め積極的に導入していくことが必要である。最後に、今の子どもたちはひ弱であるとよく批判されるが、それは子どもたちを取り巻く環境によるところが大きい。学校の先生だけでなく、家庭や社会全体を通じ、官民連携して個別最適化された教育を提供し、子どもが自信を失っているときにいかに居場所を作ってあげるかということが肝要である。こうした文化・行政・家庭のあり方について、皆さまのご指導もいただきながら展開していく所存であり、引き続き私から提言や情報発信をしていく。ご興味のある方は引き続きご支援いただけると幸いである。」と話されました。

慶應義塾大学名誉教授・公益財団法人アパ日本再興財団理事 塩澤修平様
慶應義塾大学名誉教授・公益財団法人アパ日本再興財団理事の塩澤修平様は、「高等教育について、国家の根幹をなす教育・研究の質を保つことが重要だと思うが、一部の私立学校では経営が厳しい側面もある。高等教育・研究の質の保持と、経営の保護を両立するために、政府支出はどのようにするべきとお考えか。」と質問され、柴山様は、「高校は事実上義務教育化しており、大学進学率は増加すると同時に一部大学では教育の質が低下している現状がある。そうした高等教育の再編を行うため『柴山イニシアティブ』という枠組みを大臣時代に提起し、現在も文部科学省で展開している。これは学校に対する手厚い支援と厳格な評価をセットにしたもので、学習意欲のある学生と改革に意欲のある学校双方に支援を行う一方で、評価として学生について支援継続のための要件を厳格に課し、学校についても評価機関のみならず生徒からも含めた360度評価を行う仕組みである。今後もこれに沿った取り組みを続けていく。」と答えられました。

英霊の名誉を守り顕彰する会会長 佐藤和夫様
英霊の名誉を守り顕彰する会会長の佐藤和夫様は、「私は2020年に習近平国賓招聘に対する反対デモを行い、その際に原田義昭氏にも登壇いただいた。しかし、安倍元首相が習近平国家主席をお呼びされたこともあってか、原田氏以外の方で自民党からご登壇いただける方はいなかった。石破政権となった現在、中国に対し自民党がどのようなスタンスなのか教えていただきたい。」と質問され、柴山様は、「清和政策研究会が昨今の裏金問題で解散し、解散総選挙の結果当選した議員は選挙前の3分の1になった。原因はそれだけではないが、中国やアメリカへのスタンスが崩れている懸念がある。一方で先日開催された自民党の外交部会では、外務大臣の行った中国へのビザ緩和措置に対して厳しい意見が出ており、党内にはまだそうした意見も残っている。」と答えられました。

日本の真の独立を目指す有識者会議(ECAJTI)創立者・副議長 大阪市立大学名誉教授・経済学博士 山下英次様
日本の真の独立を目指す有識者会議(ECAJTI)創立者・副議長で大阪市立大学名誉教授・経済学博士の山下英次様は、「本年の1月6日付で稲葉延雄NHK会長に対する公開書簡を提出し、同日に日本記者クラブにて記者会見を行った。公開書簡はNHKに対し、GHQの洗脳工作に加担させられた事実を告白・懺悔することを求めるものである。戦後すぐに当時の社団法人日本放送協会本部にGHQが乗り込み、民間諜報局(CIS)と民間検閲支隊(CCD)、民間情報教育局(CIE)といった部局がフロアに陣取ることとなった。つまりNHKはGHQにレイプされたも同然である。戦後、NHKがGHQに放送内容を強制させられたことを証明するものがある。NHK専務理事・放送総局長を歴任し、第1回紅白歌合戦の審査員長を務めた春日由三氏の著書『体験的放送論』(日本放送出版協会(現NHK出版))によると、春日氏は戦後『眞相はかうだ』というGHQのプロパガンダ番組を担当させられた。当番組はCIE企画課作成の『太平洋戦争史』を劇仕立てにしたものであり、後に春日氏はこの番組について、『私にとっては一種の罪滅ぼしといったものかもしれないが、ある意味での放送史の隠れた一頁であることは確かである』と振り返った。つまり本番組に対して告白、懺悔の意を表明していたのである。これはNHKの幹部自らがNHKの出版社からの書籍に記した歴史の一次資料であり、NHKはこれに反論できないであろう。GHQ側の責任者によると、放送当初は番組に対する抗議文が多く来たようであり、終戦直後の日本国民は洗脳に強く抵抗していたが、後続番組を含め7年ほど放送し続けたことで、次第に洗脳が浸透したものと思われる。日本が真の独立国でないのは、多くの国民がGHQによる洗脳から脱却できていないためであり、それはメディアが戦後GHQによる洗脳工作に加担させられた事実を告白・懺悔していないことが大きい。本書簡では、NHKに対して、春日氏の当時の認識と精神に戻り、この事実を認め、国民に対し率先して告白・懺悔する必要があり、複数回にわたる特集番組を定期的に報道することを求めている。本書簡に対するNHKの回答期限は、サンフランシスコ講和条約発効から73周年に当たる今年4月28日までとした。回答がなければ公開質問状としてなぜ回答がなかったのかを追及し、絶対に根絶やしにしないつもりである。皆さまをはじめとする国民の間で、『メディア批判の大合唱』が起こることを期待したい。」と話されました。

自衛官守る会会長・国防ジャーナリスト 小笠原理恵様
自衛官守る会会長・国防ジャーナリストの小笠原理恵様は、「ウクライナ戦争から見える近代戦の戦い方、中でも非致死性毒ガスとドローン攻撃について、ユーロサトリというフランスで隔年開催されている国際防衛・安全保障展示会での情報をもとにお話しする。化学兵器禁止条約で開発や生産、使用が禁止されている化学兵器は、化学物質を含む爆薬等で爆発することで人を殺傷する兵器であり、これに合致しない合法的な毒ガス兵器がウクライナ戦争で使用されている。近年で最も問題となっているのが窒息性の毒ガス兵器である。オピオイドと呼ばれる医療用麻薬性鎮痛薬のうち、フェンタニルというモルヒネの100倍近い毒性のある物質が、窒息性が高いガスとしても知られている。アメリカでは年間6万人以上が合成麻薬の過剰摂取で死亡しており、2020年からの2年間における米国内のフェンタニルによる死者数は、アフガニスタン・イラク・ベトナム戦争で殺された米国人の総数よりも多い。こうした事態を受け、トランプ大統領もフェンタニルに関しメキシコ・カナダからの流入を厳しく取り締まっている。一方、自衛隊の装備で最も普及しているのは防護マスク4型と言われるもので、ロシアの第4世代の毒ガス、ソマン型と言われる微粒子毒ガスには効き目がなく、これには最新型である18式個人用防護装備でないと対処できない。次にドローンについて、自衛隊でも令和8年に310機のドローンが導入される予定だが、ウクライナでは年間400万台のドローン生産能力があり、規模が桁違いである。種類も用途に合わせ様々なものがあり、特に強力なのが成形炸薬弾という、液体金属の高圧噴流により装甲車を撃ち抜き、同時に内部を燃焼させる爆撃である。他にも塹壕を見つけて自爆するものや、毒ガスがないか大気を調査するものもあり、ドローンによる省人化が戦場で進んでいる。また、ドローン対策として日本は無線のジャミング研究を行っているが、ウクライナでは有線で7㌔㍍飛べるドローンがあり、そうした研究はこの有線ドローンには通用しない。以上のような戦場の変化に対して情報を得てどのように戦うのかを真剣に考えなければいけない。最後になるが、Hanada新書から『こんなにひどい自衛隊生活』という本を出版しており、また月刊Hanada最新号(3月号)では元陸上幕僚長の岡部俊哉氏と巻頭で対談している。これらが自衛隊の待遇改善そして現代の戦場について再考いただくきっかけとなると幸いである。」と話されました。

一般社団法人シベリヤ抑留解明の会理事長 近藤建様
一般社団法人シベリヤ抑留解明の会理事長の近藤建様は、「『こんなにひどい自衛隊生活』を読み、自衛隊の現状について理解が深まった一方で、これを読むと自衛隊の悲惨さばかり強調され、自衛隊への入隊意欲が下がるのではと危惧していた。本日のお話を聞いて、小笠原さんが自衛隊について愛情を持って考えておられることを知り安心した。ぜひ自衛隊の良さについての本も執筆いただきたいが、どのようにお考えか。」と質問され、小笠原様は、「岡部氏もこの本の内容がご自身のご経験と合致するものの、この本で自衛官の募集が減ることを危惧されていた。岡部氏から自衛官の応募を増やすため自衛隊の良いことも書いてほしいと言われたので、次の著書について検討したい。」と答えられました。

株式会社日刊広島新聞社取締役編集部主幹・一般財団法人国づくり人づくり財団顧問 倉林宏平様
株式会社日刊広島新聞社取締役編集部主幹・一般財団法人国づくり人づくり財団顧問の倉林宏平様は、「勝兵塾の理念は自虐史観からの脱却、そして誇れる国『日本』の再興であるが、広島では終戦後現在に至るまで、その理念と対立するような言説が蔓延っている。まず広島平和都市記念碑に刻まれている、『安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから』という文字について。広島市の見解として建立当時の浜井信三市長は、この『過ち』とは人類全体の過ちを意味していると答弁しているが、あたかも日本が悪いことをしたというイメージを植え付けていることは間違いない。もう一つ、『はだしのゲン』というマンガについてご説明する。当初は週刊少年ジャンプに連載されていたが打ち切りとなり、その後共産党の『文化評論』、日教組の『教育評論』と掲載誌を変えて連載され、内容もそれに連れて左傾化していった。終盤には、主人公ゲンが原爆の破壊力と惨状がなければ昭和天皇や日本政府は戦争をやめなかったため、日本人は原爆に感謝しなければならないと発言している場面がある。しかし、日本は原爆投下のかなり前から和平交渉の打診をしており、これは誤りである。また、日本軍がアジアの各地で残虐な殺戮行為をし、3000万人を殺したと惨たらしい絵とともに掲載しているが、これも当然嘘である。日教組の機関誌での連載開始から、日教組は学校の図書館へこの本を入れるよう働きかけを行った。私は作者に悪気があったわけではなく、日教組に嘘を吹き込まれたと思っているが、実際にこうした嘘が惨たらしい絵とともに子どもたちに広まっている。島根県松江市の教育委員会事務局が市立小中学校に対して『はだしのゲン』の閉架措置を求めた際、左翼からの猛反発があったが、この抗議内容についてマスコミが一切報道しなかったことも疑問に感じる。広島は原爆投下という悲惨な運命に遭った場所であるが、平和や被爆を掲げた団体が発言すると誰も逆らえない風潮がある。昨年ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)も実態は極左活動団体であり、日本政府に対する抗議活動を行っている。例えば2014年には特定秘密保護法制定に反対する声明を発表している。被団協は、元は一つであったが、社会党派と共産党派が分裂し、2つの被団協が同名で存在しているような状況である。以上のように広島には自虐史観に基づいた主張が根強いが、それに対抗すべく色々と活動を行っている。」と話されました。

NPO法人日本ウイグル協会会長 レテプ・アフメット様
NPO法人日本ウイグル協会会長のレテプ・アフメット様は、「我々日本ウイグル協会は日本在住のウイグル人が運営しているNPO法人であり、日本国民やメディア、日本政府に向けてウイグル人の状況について情報発信し働きかけている。ウイグル問題について改めてここで情報を共有したい。ウイグルは清に間接統治されたのち、1949年に中国共産党に支配され、新疆ウイグル自治区として現在も占領下にある。ウイグル文化は中華文化とは全く異なる独自の伝統がある。中国共産党によりウイグル人の同化が試みられたが、自然同化することはなく、これを受け習近平がウイグル人を強制的に排除するため、300万人を超えるとされる強制収容や女性への不妊手術、強制労働や監視といった政策を推進している。この政策はアメリカをはじめ、世界11カ国の議会でジェノサイド認定がされている。国連も人道に対する罪が起きている可能性があるとする報告書を出し、日本を除くG7は一斉制裁を発動している。ウイグルには外向けには『職業機能訓練センター』という看板でありながら、何重もの有刺鉄線や監視塔で脱走を防ぐ収容施設があることが知られている。自治区首府のウルムチには13万人収容の巨大収容所があるという調査報告もあり、自治区内の総収容者数は、国連の報告では約100万人であり、さらに多いとする推定もある。中国共産党から流出した内部資料によると脱走者への射殺指示も含め、収容所経験者の証言と一致するような内容が書かれている。ウイグル協会のHPには経験者動画が字幕付きで掲載しているのでぜひご覧いただきたい。また国際社会から疑惑の目が向けられた収容所では、収容者を一斉に列車で移送することも確認されている。さらに子どもも専用の施設に収容され、洗脳教育だけでなく顔つきまで変えられる強制同化の懸念がある。ウイグルの伝統文化を研究してきた作家や知識人、学者も収容され命を落としている。強制不妊も近年強固に推進されており、出生率についても欧米のレポートによれば、地域によっては以前の1%まで落ちている。近年では日本のウイグル協会へも中国の監視や脅しが行われている。以前はスパイ防止法がないため日本の警察が取り締まれないとされていたが、昨年末に仙台で中国人が日本ウイグル協会に対する妨害行為で書類送検された事例もあった。我々だけで中国と対峙することは難しく、ぜひ皆さまにウイグルの現実を知っていただき活動を支援していただきたい。」と、中国におけるウイグル人の現状について話されました。

前衆議院議員・元復興大臣 今村雅弘様
前衆議院議員・元復興大臣の今村雅弘様は、「これまで衆議院議員を9期28年務めてきたが、この度勇退することとなったので勝兵塾月例会にご挨拶へ伺った。議員を卒業することとなったが、日本の将来については心残りなところが多い。最近NHKで『坂の上の雲』の再放送をやっているが、明治時代の先人が日本の存亡をかけて戦った熱心さを痛感する次第である。絶対に日本を滅ぼすことがないように、私も議員という立場を離れたためより自由に活動していく所存である。最後にはなるが、これまで皆さまに様々なご指導およびご支援をいただいたことを厚く御礼申し上げる。」と話されました。

元衆議院議員・元環境大臣・弁護士 原田義昭様
元衆議院議員・元環境大臣・弁護士の原田義昭様は、「トランプ大統領は就任後、早速関税やイスラエル問題、ウクライナ戦争に関する過激な意見を展開しているが、ウクライナ戦争の早期終結化については段々とトランプ大統領の主張に近い情勢になっている。政治家というのは周りから何と言われようと、自らの信念を貫いて実現に向けて動くことが大事であり、その意味で彼には優れた面があると思い直すようになった。」と話されました。