第160回 勝兵塾月例会レポート

公開日:2024/10/28


塾長・最高顧問 元谷 外志雄

勝兵塾第160回月例会が、10月17日にアパグループ東京本社で開催されました。
 冒頭のアパグループ元谷外志雄会長による塾長挨拶では、「勝兵塾を東京・大阪・金沢の3会場で毎月開催しており、今回は東京で160回目の月例会となる。各メディアが報じない『本当はどうなのか』を知る機会となる場として、今回も様々な意見を活発に交わしていただきたい。」と述べました。


国際歴史論戦研究所会長で「新しい歴史教科書をつくる会」前会長 杉原誠四郎様

国際歴史論戦研究所会長で「新しい歴史教科書をつくる会」前会長の杉原誠四郎様は、「家庭連合、いわゆる旧統一教会に関する裁判、『念書の有効性裁判』における、最高裁判事の驚くべき判決についてお話ししたい。この念書とは、既に死亡した信者が納めた献金について、『返金や賠償を求めない』としたものである。最高裁がその念書を無効とした判決を出したのだが、法学的に稚拙にして誤った判断に満ちている。まず判決文には、『(亡Aは)被上告人家庭連合の心理的な影響の下にあった。そうすると、亡Aは、被上告人家庭連合からの提案の利害損失を踏まえてその当否を冷静に判断することが困難な状態にあったというべきである』としている。特定の宗教を信仰する者は、その宗派や宗教集団の心理的影響下にあると考えることは妥当ではある。しかし、判決文はそのことだけを根拠に何の追加条件も付さず、亡Aが冷静に判断することができない状態であったと断じている。これは全ての宗教・信仰を否定したことと同じであり、非常に乱暴で浅薄な宗教観である。また、念書が無効であるとすれば、亡Aが欺罔、強迫されているか、念書が摘発されるべきほどに公序良俗に反して作成されている必要があるが、念書作成時にビデオが撮影されており、欺罔・強迫は否定され、摘発されるほどに強い公序良俗違反であることも指摘していない。さらに、判決には、『法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律』という令和4年12月に制定された法律を引用し、本念書の正当性に疑義を呈しているが、亡Aが献金をした時点、および念書を書いた時点はいずれも上記法律の制定前であり、これを引用することは法学の初歩的原理である遡及禁止の原則に反している。加えて、そもそもこの訴訟は有効なのかという疑いもある。亡Aは平成16年~27年に献金を行い、平成27年に念書を書いたのち、翌年に認知症により成年被後見人となり、成年後見人となった長女によって訴訟提起に至ったわけだが、長女は信者ではなかった。そして長女は訴訟提起に当たり亡Aから携帯を取り上げ隔離し、信仰の紹介者であった三女との連絡を遮断した。その後、三女が亡Aに話を聞いたところ、長女によって強制されていると発言している。すなわち亡Aの信仰はなくなっておらず、返金訴訟の意思は本来なかったと推定できないか。以上のように最高裁の判決は稚拙な過ちをしていると考える。最高裁が稚拙な判決を下した他の例を挙げると、トランスジェンダーの経済産業省職員が、自身の生物学上の性別と異なるトイレを使用することを最高裁が認めた判決だが、一方で同様の扱いは公衆トイレ等、その他のケース全てに適用されるものではないとしている。しかし一般化できないことを本事案にのみ強制するのはおかしいのではないか。これは特定の人物に過剰に味方した判決であり、裁判の使命から大きく逸脱している。」と、最高裁の判決が孕む問題点について解説されました。


一般社団法人シベリヤ抑留解明の会理事長 近藤建様

一般社団法人シベリヤ抑留解明の会理事長の近藤建様は、「旧統一教会に関して、一様に悪だとする風潮が広がっているが、こういった風潮は、社会党が伸長していた時代には旧統一教会が自民党を強く支援していた時期のことを軽視しているのではないか?」と質問され、杉原氏は「岸田前首相は旧統一教会について、今後の接触を禁じるだけでなく過去に接触した人物まで一様に処分してしまったことに問題がある。また関連して、政治資金パーティーの問題について言うと、我々が純粋に支援しようとしただけなのに、今回例えば杉田水脈氏が出馬できなくなってしまったのは大きな矛盾であると考える。」と答えられました。


健康・環境デザイン研究所所長 中村恵子様

健康・環境デザイン研究所所長の中村恵子様は、「勝兵塾月例会でお話しするのは4回目であり、これまでは江戸幕府の北方防衛や蝦夷地に関する教科書表記の問題等についてお話しした。今回は先住民族の権利に関してお話ししたい。2007年9月、先住民族の権利に関する国際連合総会決議が採択された。当初オーストラリアのアボリジニやアメリカのインディアンが想定されていたが、これらの国々は反対し、日本は秀吉、家康がアイヌに対する非道な行いを禁止し保護してきたにも拘らず、これに賛成した。これを受けてその翌年には、アイヌ民族を先住民族とすることを求める国会決議が鈴木宗男衆議院議員(当時)の主導により、衆参両議院全会一致で可決された。この決議は、日本が近代化する過程において、多数のアイヌの人々が法的に等しく国民でありながらも差別されてきたという、事実無根を前提としている。これは歴史教科書による国民洗脳の影響だと考えられる。その後、アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会が開催されるが、その報告書には先住民族を『日本国が蝦夷地を統治する以前から先住する民族』と定義している。しかし実際には、鎌倉時代には安藤氏が蝦夷管領となっており、その後蠣崎氏を経て江戸時代の松前藩、その後江戸幕府千島・樺太を含む蝦夷地を幕府直轄地として統治しており、鎌倉時代から継続して蝦夷地は日本人が統治してきたわけだが、鎌倉時代以前の史跡にもアイヌ文化の片鱗が見られず、アイヌの人々は先住していたのかは分からない。さらに民族とは言語・人種・文化などを共有し、同族意識によって結ばれた人々と定義できるが、アイヌはいくつかの部族に分かれて戦っており、そこの定義とも相違が生じる。つまり、アイヌは日本の先住民族ではない。しかし、アイヌの人々への過剰な保護はさらに進んでおり、札幌アイヌ協会からの提案書には自治権・政治権の要求、さらにはアイヌ新法では保護されていない真の先住権を求めている。先住権とは伝統的に所有・占有し、使用してきた資源・土地・領域への権利であり、アイヌの場合は伝統的に捕獲してきたサケが資源の権利に該当すると主張している。そして実際にあった先住権の確認を求めた訴訟では、札幌地裁はアイヌ団体の請求を退けている一方で、判決には事実とは異なる、アイヌの人々が先住民族であると認める記述もある。アイヌの人々は先住権獲得のためにアボリジニやインディアンと交流をしてきたが、先住権啓発の参考にするため、白老アイヌ協会は来月、台湾の先住民であるタロコ族が暮らす花蓮県卓渓郷を視察するという。タロコ族は18年間に亘って日本による統治に抵抗してきた部族である。さらに、郷土資料館でアイヌが旧石器時代から先住していたような改ざんされた年表が使用されていたり、北海道百年記念塔を解体したりという動きがあるが、これらは侵略を呼び込む布石となる危険性がある。2018年にロシアはアイヌをロシアの先住民族に認定している。ロシアのウクライナ侵攻は領土内のロシア系住民の保護が名目であったが、同様の事態に発展する惧れもある。先住民族国連決議賛成および、アイヌ先住民族国会決議の撤回を強く求める。」と、アイヌ民族に対する日本国政府の対応に警鐘を鳴らされました。


慶應義塾大学名誉教授・公益財団法人アパ日本再興財団理事 塩澤修平様

慶應義塾大学名誉教授・公益財団法人アパ日本再興財団理事の塩澤修平様は、「ひと言に先住民といっても、オーストラリアやアメリカのケースとアイヌの人々は大きく状況が異なる。その誤解を解くにはどうすればいいとお考えか。」と質問され、中村様は「アイヌ、そして蝦夷地が明治以前にどのように扱われてきたかについて教育すると共に、そのことに関してメディアを通じて発信し、アイヌとアボリジニやインディアンは違うという認識を形成することが重要である。」と答えられました。


株式会社キャリアコンサルティング代表取締役社長 室舘勲様

株式会社キャリアコンサルティング代表取締役社長の室舘勲様は、「初めての機会となるので、自己紹介を含め自身の活動についてお話させていただく。今まで3度ほど人生の転機があった。1971年に青森で生まれ、高校卒業後スーパーの店員をしていたところ、友人からの誘いで『戦後の日本のような驚異的な成長をするためには社長が日本を引っ張る必要がある。だからこれから1,000人の社長を作るんだ。』という教えに共感を受け、社長を志すこととなったのが1つ目の転機である。そのちょうど10年後、先輩から靖国神社の存在を教えられ、初めて知ることとなり、70人の仲間を連れて靖国神社に初めて参拝したことが2回目の転機である。当時はその意味も深くは分かっていなかったが、とりあえず感謝をしなければいけないと思い参拝していた。それを今まで継続しており、毎年1月3日に社員のほぼ全員で参拝している。羽織袴や着物を着て参加し、日本文化を伝えることにもなっている。その後、33歳で社長となり、何とか軌道に乗ってきた38歳の頃、自分よりも若い20代に日本を良くするための活動機会をと考え、20代限定で行う『くにまもり演説大会』というものを始め、今年で16回目となった。最初は約200名だったエントリー数も現在は1,500名となり、年々拡大している。国を良くするために、私は若者たちにまず知識やスピーチ能力を含めた説得力、そして社会における実力をこの大会で学び、官僚や国防といった要職に就いて欲しいと思っている。アパグループの社訓に『誠実』というのがあるが、まさに若者が実力をつけ要職につき、誠実に働くことが日本発展にとって重要である。私は若者が日本を好きになれば、自然と日本を守る意識につながると思っている。ではどうすれば日本を好きになるか。それは歴史を学ばせることだと思っている。信長や秀吉、家康といった戦国武将が皇室をいかに守ろうとしたか、さらに過去の偉人である渋沢栄一が500の会社を作った、二宮尊徳が615の村を再建した、デンソーがQRコードの特許を、坂村健がTRONの特許をそれぞれ無償で公開するなど、過去の偉人から『格好いい』という言葉の定義を、歴史を通じて学んでもらいたい。また、人物だけでなく国家の良さを伝えるために、日本の国家理念についても若者達に伝えている。昭和天皇が開戦と終戦の詔書に記されていた『萬邦共榮ノ樂ヲ偕ニスル(万邦共栄の楽しみを共にする)』という理念を述べておられたことを伝え、世界中の平和に我々がどのように寄与できるかと伝えている。そうして若者への意識形成を念頭に置きながら、キャリアコンサルティングという会社を通じ、人材育成や大学生の就活支援を行い、日本を復興・再興できるように微力ながら尽力していく。」と力強く話されました。


朝鮮近現代史研究所所長 松木國俊様

朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊様は、「若い方へ日本の歴史を教え、日本を好きになってもらうために、具体的にどのような方法でアピールをされているのか?」と質問され、室舘様は「皇居勤労奉仕へ社員を連れていき、そこで陛下自らご会釈賜ることなどを通じ、皇室への意識を高めてもらっている。また、歴史を体系立てて学ぶためにリーダーシップ講座として過去の偉人について学ぶ授業を行っている。最近『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら』という映画をはじめ、多くの若者が国を守ることの意識を持つ機会が増えている。教育にあたっては極端に右傾化しすぎず、親しみやすく学んでもらうことを意識している。」と答えられました。


一般社団法人笹川経済支援機構理事長 笹川能孝様

一般社団法人笹川経済支援機構理事長の笹川能孝様は、「私の祖父の兄である、笹川良一がどういう人物であったのかについて申し上げたい。まず、笹川良一の大きな遺産として日本財団が現在まで存続している。笹川良一は世界初のモーターボート競走による公営ギャンブル事業を立ち上げ、自治体財源を確保した。また、笹川良一の政治姿勢であるが、彼にとって保守や革新ということはさほど問題ではなく、強い愛国心を持って生涯1人の個人として政治家や大企業、メディアと闘い続けた人間であった。国防については生前にあるインタビューで、『日本は今後共産主義が増加し、中国との関係性も悪化していく。家屋を守るためには戸締りが必要だが、国家もそれは同様である。戸締りによって外国の襲来を防ぐ必要があるが、日本は国防省による防衛ではなく、国防の志を持つ日本人によって国防社というものを立ち上げる必要がある。』と答えている。その発想から彼は思想活動を行い、純日本主義の思想団体を主導していく。国を愛する大衆右翼であり、一方で国会議員に対しては、利権によって事実を捻じ曲げ、優勝劣敗を進めるものと批判していた。そしてまた彼は投資家としての側面も持ち合わせており、株や先物を通じて柔軟に逆張りの発想で収益を上げ、活動資金としていた。彼は事業家・経営者だけではなく投資家としての抜群の感性を持ち合わせており、なかなか実行には移せない逆張りの発想で利益を上げ続けており、その収益を自分のポケットマネーとはせず、世界のため社会のために使っていた。また、私が今年1月に河合保弘氏と共著で出版した『非暴力&非服従の人 笹川良一物語 日本人最後のファンタジスタ』という本についてご紹介したい。今回、特にターゲットとしたのは10代・20代の方。その層へもアプローチしやすいように、若い女性に表紙の笹川良一像を、敢えてプロフィールを渡さず顔写真のみで書いてもらい、マンガチックな表紙にして出版した。そして、中身も宝塚歌劇団の舞台のように、会話調の文体として分かりやすくまとめている。その結果、約30%が20代以下の若い方に読んでいただけることができた。」と、故笹川良一氏について解説されました。


英霊の名誉を守り顕彰する会会長 佐藤和夫様

英霊の名誉を守り顕彰する会会長の佐藤和夫様は、「ワクチン接種について。現時点での厚生労働省のデータによれば、2021年2月以降の新型コロナワクチンによる、予防接種健康被害に認定された件数は7,994件となっている。一方で、それを除く1977年2月以降の全てのワクチンでの同件数は3,676件であり、ここ数年だけで倍以上の数となっている。死亡認定数も新型コロナが777件、それ以外が158件と約5倍となっていることをはじめに知っていただきたい。当時のコロナ禍では治験が完全ではないワクチンを子どもたちに接種させる動きがあり、それに反対するデモ行進を2021年に日比谷、新宿で計3回実施した。また超党派勉強会として、政治家へのワクチンに関する勉強会も実施した。その後、パンデミック条約という、WHOの宣言によって主権を制限できる条約に反対するため、厚労省前と日比谷でのデモを実施した。その後、池袋で集会を開くと2万人近くの人数が集まり、健康被害を受けた方の家族たちが気持ちを共有する場にもなった。その後も国会周辺や日比谷でデモを行い、またワクチン接種は日本が真の独立を果たしていないために強制されているとしたデモや、条約だけでなく政府でも新型インフルエンザ等、感染症対策行動計画の閣議決定を行っており、それに反対するデモも実施した。さらに新しいレプリコンワクチンに対する国会での議論を求める街頭演説や、製造するMeiji Seikaファルマ株式会社前での演説も実施した。ちなみに米国大統領選挙でトランプ氏はワクチン問題をシビアに見ており、選挙の結果がワクチン問題を大きく左右するだろう。また、9月には第6回国際危機サミットとして、レプリコンワクチンの接種を阻止すべく20名の専門家が国際会議を日本で開催し、その様子を黒船ならぬ『白船来る!』と題して無料配信を行った。レプリコンワクチン問題については産経新聞が10月に記事にしていたが、OECD統計局によればコロナ禍での感染死亡者数は世界各国と比して少ないにも拘わらず、超過死亡は欧州各国と比べ多く、コロナ禍全体で40万人近くが超過死亡している。それだけの問題があるにも拘らず、こうした議論がほとんどスルーされていることは問題だと感じている。ワクチン問題のほか、今回の衆院選のポイントは男系の皇統を守ること、そして夫婦別姓を否認することだと思っている。また、英霊の名誉を守り顕彰する会では今後、林文隆氏や宮脇淳子氏、小塩一氏、小山和伸氏、鈴木荘一氏、マックス・フォン・シュラー・小林氏とジェイソン・モーガン氏による対談と、様々な講演会を予定している。」とお話しいただきました。


在日本ルーマニア商工会議所会頭 酒生文弥様

在日本ルーマニア商工会議所会頭の酒生文弥様は、「笹川良一氏は愛国心の非常に強い方だったと思うが、人類や世界全体についてはどのように展望されていたのか。」と質問され、笹川様は「笹川良一は幼い頃、両親によって2年間、近くのお寺へ修行に行かされていた。そこで共産主義が芽生えないような教育を受け、自身の正義感を強く発揮していく。戦後彼は自らA級戦犯であると名乗りあげ、獄中での交流を通じて世界人類が皆兄弟であるという思想が定まり、ボートレースや日本船舶振興会という団体を通じ、政府の外交とは違うルートでの海外との関係性も模索していた。」と答えられました。

最後に塾長は、「第17回真の近現代史観懸賞論文の受賞者が発表された。最優秀藤誠志賞が500万円、社会人部門・学生部門優秀賞が50万円、佳作10名は20万円となっている。これだけの懸賞金を出す懸賞論文制度はなかなかないと思うので、本日お集まりの皆様は、来年は奮ってご参加いただきたい。12月6日金曜日に表彰式と受賞記念パーティーを開催するので、是非ご参加いただきたい。勝兵塾月例会も東京・大阪・金沢の3会場で実施しており、講義をしたい方はぜひ申し出ていただきたい。今後も『本当はどうなのか』を知る機会となるような会を開催していく。」と話し、会を締め括りました。