第159回 勝兵塾月例会レポート
公開日:2024/9/27
塾長・最高顧問 元谷 外志雄
勝兵塾第159回月例会が、9月19日にアパグループ東京本社で開催されました。
冒頭のアパグループ元谷外志雄会長による塾長挨拶では、「今日は東京で159回目となる勝兵塾月例会で、金沢・大阪と合わせると443回目となる。新聞やテレビだけでは分からない真実を知る機会として勝兵塾を開設した。講義だけでなく質問タイムも設けているので、様々な観点から多様な意見を交わす場となることを期待している。」と述べました。
消費者問題特別委員長・衆議院議員 秋葉賢也様
消費者問題特別委員長・衆議院議員の秋葉賢也様は、「最近これまで以上に多くの方々から、尖閣諸島について船溜まりを造るなどの対策を行い、実効支配を強めるべきだとご指摘いただく機会が増えた。東海大学の山田吉彦教授が10年ぶりに海洋環境調査を行い、今年稲田幹事長代理ら国会議員5名が尖閣諸島の周辺海域を訪れ、ドローンを用いて生態系の調査を詳細に行ったところ、川の減少やシカの増殖による植生の破壊、中国からの廃棄物の漂着などが確認された。さらに、海上保安庁の職員が灯台のメンテナンスのために年1、2回魚釣島に上陸をしており、事実上実効支配しているということをぜひ知っていただきたい。また、私は衆議院の消費者問題特別委員長を務めている。消費者庁ができてから15年、所管する法令関係も30以上となっているが、最近の関連トピックスについてご説明したい。1つ目は、SNSなどを通じた『もうけ話』などの消費者トラブルが急増していることである。ちょうど今週も私の選挙区である仙台市の方が、SNSで6,300万円もの投資詐欺被害に遭われたことが報じられた。加害者と一度も対面することなく、ネット上のやり取りのみで被害に遭った。SNSでのそうした話は、まず疑ってかかるのが肝心である。心当たりのある方は消費者ホットラインへご相談をいただきたい。2つ目は、機能性表示食品制度の見直しについてである。安倍首相の時代に緩いルールを策定したために被害が拡大したという批判があるが、大きな誤りである。もともと健康食品に対しては、特定保健用食品を除けばほとんどルールがなかったため、当時の安倍首相がアメリカの例を参考に、科学的根拠となる論文を提出することで機能性表示食品として認める制度を作った。これはそれ以前のことを考えると大きく前進した制度であり、その証拠に先般の小林製薬の紅麴問題についても、機能性表示食品制度に基づいて問題発生から1ヶ月と経たずに健康被害調査の絞り込みが可能になったのである。ただし、健康被害についての報告を義務付けていなかったという反省点を踏まえ、内閣府令・告示に健康被害情報の保健所等への情報提供を遵守事項として位置づけ、今年の9月1日より適用している。最後に、公益通報者保護法の現状と課題についてである。兵庫県議会の事例でも話題となっているが、直近のビッグモーターやダイハツ工業の事例はいずれも内部告発であり、消費者庁による是正指導件数は令和4年度の0件に対し、令和5年度は24件と急増している。企業の不祥事もしくは企業内の問題点をあぶりだす重要なツールとして本制度が厳格に適用されるように、今後もしっかりとルールの見直しを含め検討していく。」と、尖閣諸島問題および消費者問題について話されました。
衆議院議員 下村博文様
衆議院議員の下村博文様は、「現在自民党総裁選の最中であるが、これが自民党にとって終わりの始まりかもしれないと懸念している。先般の裏金献金問題に関連し、清和研の安倍派会長代理や事務総長をしていた経緯から、甘んじて党員資格停止を受けている身として改めて自民党について振り返ると、自民党は保守政党ではなく現状維持政党に過ぎないのではないかと切実に感じた。私は高市氏を応援しているが、それは国家観・愛国心を持ち、日本が祖先から子孫に向け、弛みなく素晴らしい歴史をつむげるよう努力できる方だと思うからである。一方で、日本が未だにこの戦後の自虐史観から脱却できていない中で、本当の日本の独立はどのようにすれば達成されるのか? これには元谷会長がまさに取り組んでおられる課題で、そのために真の近現代史を見直すことが重要だと思う。本日は山下英次先生もいらっしゃるが、『日本の9割の人が洗脳されているが、そのことに気が付いていない』と以前仰っていた。私も大学生の時分にアメリカへ行き、大リーグの試合前に全員が起立して国歌を斉唱する光景にカルチャーショックを受けた。その後、30手前で青年会議所の会議で国旗の掲揚と国歌演奏する様子を見て、正直なところこの団体は右翼かと違和感を受けてしまった。つまり、私も戦後教育を無意識のうちに受け洗脳されていたのである。数年前に衆議院に傍聴に来た一般の女性から、『国会はWGIPの影響を受けていて、そのことの自覚がない』と指摘された。しかしこれは、アメリカの占領政策が現在も続いているというより、日本人自体が覚醒していないためであり、正しい教育を受けていないためである。その経験から、私が文部科学大臣になった際に色々な教育改革を行った。それ以前の教育では、日本史が選択科目であることや近現代史を十分に教育できていないという問題があったが、これを改善するため、日本史と世界史を統合し、『歴史総合』として明治以降の近現代史について学ぶ教科を2022年高校教育に新設した。しかしながら歴史学界はほとんどがマルクス主義歴史観の先生ばかりであり、教育の現場は正しい歴史を教えられる環境にない。そうした状況ではあるが、真の意味での近現代史を学び、自虐史観から脱却することで、はじめて本来の日本について考え直し、日米安保条約や地位協定の議論を深掘りできるようになる。最後になるが、高市氏の支援層は都知事選で石丸氏を応援していた層と近い。石丸氏は既存の政治家に対する批判の受け皿となっていたが、今回高市氏が受け皿となっているのは、野党である立憲民主党が十分に成熟しておらず助かっている側面もあると考えている。早急に自民党を立て直さなければ日本自体が衰退してしまう、という危機感を持ちながら日々職務に励みたいと思う。」と、自虐史観からの脱却の重要性について話されました。
朝鮮近現代史研究所所長 松木國俊様
朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊様は、「自民党総裁選において、夫婦別姓問題に対する各候補の回答に危機感を持っている。夫婦別姓は国家の最小単位である家族を破壊してしまう制度であり、それを保守党である自民党が率先して推進しようとしているが、自民党の岩盤支持層はその様なことを決して望んでいない。支持層の思いに反する政策を平然と提出する候補に対し、党内部では危機感を持っているのか?」と質問され、下村様は、「選択的夫婦別姓は読売新聞の調査によると、国民のうち推進派が20%、現状維持が25%。残りの約半数は旧姓使用の拡大で対応すべきと考えている。小泉氏は総裁選当初と比べ国民の支持が低下しているが、これがその答えではないかと思う。高市氏は総務大臣の際に総務省所管の旧姓使用を拡大させた。しかし他省庁管轄ではこれが徹底できていない。まずは旧姓使用できる範囲を増やすことが重要で、その後に選択的夫婦別姓の議論をするのが筋ではないか。それを十分に党内議論せず、性急に選択的夫婦別姓を推進することは非常に危険だと考えている。」と答えられました。
新しい歴史教科書をつくる会副会長 藤岡信勝様
新しい歴史教科書をつくる会副会長の藤岡信勝様は、「リーフレット配布問題に関し、選挙管理委員会から既に口頭注意が済んでいるにも関わらず、岸田首相自らも協議している件について。高市氏のリーフレット配布は選対による通知前のもので全く問題がなく、また石破氏と他候補も配布を行っているにも拘わらず高市氏のみが不当にバッシングされている状況に対し、選挙自体の公正性も含め不信感を抱いているがどのようにお考えか。」と質問され、下村様は、「総裁選挙については、かつては複数の派閥から買収を受けた議員をニッカ、サントリーなどと揶揄したりもしたが、今はそんなことはない。一方で選挙活動に対しては規制がなく、告示前の党員への郵送やオートコールといった活動は自由であり、それが今回規制となった。ご指摘の通り高市氏のみに批判が集中するのはフェアではない。多くのマスコミは偏向した報道をしているが、ネットでは他候補に関する報道もあるので、高市バッシングで潰すということにはならないし、そういう動きがあるとすれば逆に反作用が出てくるだろう。普通のマスコミは報じなくてもネットでは正しい情報が出ているので、国民の皆様にはぜひ正しい情報を得てSNSなどで拡散して頂きたい。」と答えられました。
NPO法人歴史人物学習館長 安達弘様
NPO法人歴史人物学習館長の安達弘様は、「以前に横浜市内で公立小学校の教員として勤務し、現在はNPO法人の歴史人物学習館長および新しい歴史教科書の理事を務めている。本日は戦後歴史教育の三大欠陥の改善、という話題でお話ししたい。三大欠陥とは、①人物を教えない、②天皇を教えない、③戦争で殉じた英霊を無視する、という3点である。②について実例をご紹介すると、大山古墳について教えるが、仁徳天皇については教えない、奈良の大仏は教えるが、聖武天皇は教えない、終戦・戦後は教えるが、昭和天皇は教えないというように、戦後教育はコトを中心に教える『歴史学モデル』になっている。そこで、コトではなくヒトを中心に教える、『歴史物語モデル』に変えることを提案したい。以下は全て私が小学6年生の授業で行っていた内容である。例えば仁徳天皇。いわゆる『民のかまど』と言われる仁徳天皇の治世について、子どもたちにこんな課題を与える。当時の大和朝廷の役人や工事に参加した人に、『なぜ仁徳天皇の巨大なお墓づくりに参加しようと思ったのか?』と聞いたら、どんな答えが返ってくるかを考えさせる。すると、『仁徳天皇が国を豊かにしてくれたから、その恩返しがしたいからです。』というような答えがあった。つまり自分の意見として考えることで、当時の天皇と国民の関係性を自然と理解することができたのである。次に聖武天皇について。当時の役人の気持ちになって、大仏建立に多くの民を参加させるためのキャッチフレーズを考えようという課題を出すことで、自然に天皇とともに国のために行動する精神を学ぶことができた。最後に昭和天皇について。終戦後の荒廃した日本において、自分からマッカーサーに会うことを決めた昭和天皇が、マッカーサーに対してどのようなお話をしたかという課題を出した上で、実際に天皇がどんなお話をしたのかを簡単に伝えた。その後に感想を書かせると、『昭和天皇がどれだけ国民を愛しているかわかりました。』『国民を心配していることを伝え、天皇の財産まで渡して、そこまで国民を大事にしてくれる人物だったとは驚いた。』という意見があった。つまり考えるステップを通じて、天皇陛下と国民との関係を自然に子どもたちが学ぶことができるところが人物学習の優れた点である。最後に宣伝であるが、私が館長を務めるNPO法人・歴史人物学習館は歴史学習サイトを運営しており、こちらでは人物をキーワードに、様々な良質なサイトへのリンクを掲載している。ぜひ教育現場の先生方にも授業で使っていただきたい。」と、人物学習が子どもに与える好影響について話されました。
皇室コメンテーター、キャスター 高清水有子様
皇室コメンテーター、キャスターの高清水有子様は、「以前、元谷会長に日本を語るワインの会にお招きいただき、そのご縁で勝兵塾でもお話しする機会をいただけて光栄に思う。本日は皇室に対する報道バッシングの現状についてお伝えしたい。昭和の時代には『開かれた皇室』という言葉で、皇室に対し親しみを持つことを好意的に捉えてきたが、令和の現在はバランスが崩れている。その原因はメディアおよび一部国民の皇室に対する敬意の欠如にある。皇室の方々はどんなに名誉棄損や侮辱を受けても裁判に訴えることはできず、その結果一部のメディアが野放しになっている。しかし、刑法232条2項には、『告訴をすることができる者が天皇、皇后、太皇太后、皇太后又は皇嗣であるときは内閣総理大臣が、~(中略)~代わって告訴を行う。』とあり、国家観を持ったリーダーとして適切な対応をしていただきたい。また、ここ数年秋篠宮家に対する誹謗中傷が、特に旧眞子内親王様の皇籍離脱後エスカレートしている。しかも、そうした声が保守の方からも発信されていることも嘆かわしい。誤った風説として、これまで皇室特権で筑波大附属高校に高下駄を履かせて入学した悠仁殿下が、母である紀子殿下の希望で東京大学を目指しているとされている。私は日本テレビにて皇室関係番組のメンバーとして皇室取材に携わり、その後フリーになり現在まで35年間皇室取材を行ってきた。一昨年に紀子殿下と直接お話をさせていただいた際には、紀子殿下は長男を東京大学に入れたいとは公に言ったことはないとお話しされ、マスコミの報道に心を痛められていたことが印象に残っている。また、週刊誌の匿名報道についても問題がある。よく宮内庁関係者・幹部の発言として記事に取り上げられるが、もし実際に情報を発信している職員がいるとすると、国家公務員法100条1項の守秘義務違反となる。国民の皆さまにはフェイクニュースには惑わされないでいただきたい。このような誹謗中傷に遭いながらも、悠仁殿下は生まれながらの皇位継承者としての覚悟を強く持たれ、ご立派に成長されている。皇位継承順位第2位である悠仁殿下の代わりはいないわけで、護衛の強化、そして報道の鎮静化を願っている。今報道されている不敬な皇室報道とは正反対にあるものが、我が国唯一の皇室の専門雑誌である季刊誌『皇室』である。私も編集・発行の日本文化興隆財団の役員として編集に携わっており、当財団は公益認定を平成30年7月1日付で取得しており、季刊誌発刊のほかに日の丸小旗の頒布事業を年に二度、1月2日および天皇誕生日の一般参賀の際に実施している。年間約10万本を無償でお配りしているので、ご支援のお願いも併せて申し上げる。」と、皇室を巡る報道の問題について話されました。
在日本ルーマニア商工会議所会頭 酒生文弥様
在日本ルーマニア商工会議所会頭の酒生文弥様は、「日本国民、特に若い世代には天皇陛下というものに対する確固とした認識がない。国民に対しどのようにアプローチすれば現状の認識を変えられるか。」と質問され、高清水様は「今日お集まりの皆さまは確固たる国家観を持ち、また天皇陛下・皇室や神話について関心を強くお持ちの立派な日本人の皆さまだと思う。そうした方を一人でも増やすために、正しい日本の国家観や神話について教育していく。最近の若い方も御朱印巡りを自発的になされる方も多く、そうしたDNAは決して途絶えてはいない。根気強くそうした教育を続けることが重要である。」と答えられました。
江東区児童家庭支援士 近藤倫子様
江東区児童家庭支援士の近藤倫子様は、「今回の自民党総裁選で争点となっている選択的夫婦別姓について、特に小泉進次郎氏が早急に改革を実施しようとしていることに危機感を覚えている。私は児童家庭支援士として、子どもの視点を忘れないでほしいと講演やYouTubeで発信している。その点から考えると、両親の姓が別となると子どもはどちらかの両親とは別姓を名乗ることになるが、これは子どもにとって不幸なことになる。離婚の場合に子どもがどちらの姓を名乗るか選択できるのとは違い、選択的夫婦別姓の場合は子どもに意志がなく別の姓を名乗ることになる点が問題である。選択的夫婦別姓でなくても旧姓使用の拡大で対応できることが多く、実際に私も旧姓の近藤を仕事上は使用している。先ほど下村先生からお話いただいたように高市氏が総務大臣の際に旧姓使用の拡大を実施されたことに加え、本日の産経新聞の田北真樹子氏の署名記事には、内閣府の資料によると今年5月末時点で320の国家資格で旧姓使用が可能(うち3資格は資格取得後の改姓のみ可能、それ以外は資格取得時から可能)であり、また銀行の約7割、既存口座の約6割が旧姓名義による口座開設、および婚姻などで改姓した場合、既存口座の旧姓名義による取引を認めていると回答している。推進論者による、改姓された女性が困っているという考えは、調査不足による思い込みに過ぎないと考える。家庭は国家の最小単位であり、選択的夫婦別姓は家庭の破壊から地域共同体の破壊、そして最終的に国家の破壊につながる危険性がある。また、夫婦間で子どもの姓をどちらにするか、ということでいざこざが起こることも十分に考えられる。子育てとは体を大きくするだけでなく、日本の心や歴史を含めて教えることだと思っており、そうしたいざこざで親子の絆が失われかねない選択的夫婦別姓には反対である。こうした家庭から国家の破壊を目指すのは共産主義的な手法であり、選択的夫婦別姓を推進している団体は、いわゆる共産主義的な考えを持つ人権派弁護士がバックについていることが多い。保守、そして愛国者の方は今こそ一枚岩になることが重要である。私もあまりガラスの天井や女性だからという言葉は使いたくはないが、女性初の首相に高市氏が就任することを熱望しているし、リーダーとして正しい国家観を持つ方がふさわしいと、子どもの理想のリーダー像のためにも考えている。」と、選択的夫婦別姓の問題点について話されました。
最後に塾長は、「今回の月例会も多様な議論が交わされる、大変意義のある会となった。ご意見のある方は質問としてどんどん発言していただきたいと思う。今後とも積極的に議論が交わされる場となることを期待している。」と話し、会を締め括りました。