第156回 勝兵塾月例会レポート

公開日:2024/6/26


塾長・最高顧問 元谷 外志雄

勝兵塾第156回月例会が、6月20日にアパグループ東京本社で開催されました。
 冒頭のアパグループ元谷外志雄会長による塾長挨拶では、「都知事選が本日告示となり、勝兵塾の講師特待生である田母神俊雄氏が立候補された。今回も100人近い方に集まって頂いた。勝兵塾では毎回複数の講師から多様なテーマについてお話いただき、その後に質疑応答の時間も設けている。聞いていて自身の考えと違うなと思われたら遠慮なく質問をして、意見交換をしていただきたい。」と述べました。続いて6月3日に明治記念館で開催された「アパグループ創業祭並びに会長バースデーの会」にて放映された、アパグループとアパ日本再興財団の活動をまとめた動画を視聴しました。


衆議院議員 逢沢一郎様

衆議院議員の逢沢一郎様は、「高村正彦元衆議院議員の後を引き受け、日露友好議員連盟の会長を務めている。ウクライナ侵攻以降も、オンラインで何度かロシアの連邦委員とやり取りしていたが、ロシアから個人の責任に基づく自由な発言が出てこず、現在はやり取りが消滅している。現在、世界で最も警戒しなければならない二国間関係がロシアと北朝鮮であるが、ロシアがその他の国とも関係を深めていることを危惧している。私は日本・ミャンマー友好議員連盟の会長も務めているが、ミャンマーが今や中国よりもロシアにより接近していることを注視しなければならない。また、ロシアがアジアのみならず、アフリカとも関係性を強化しようとしていることへも警鐘を鳴らしたい。というのも、アフリカはイギリスやフランスの植民地であった時代が長かったものの、近年はフランスの対アフリカ外交が失敗に終わり、フランス軍がマリやニジェールから撤退せざるを得ない状況になっており、米国軍も似た状況になっている。そこに、もともとアフリカ各国の独立運動をサポートするなど、軍事的なつながりが強かったロシアがその間隙を縫うような形で、民間軍事会社のワグネルなどを筆頭に勢力を伸ばしていることに注意する必要がある。アフリカは今後21世紀で最も人口が拡大する地域で、現在アフリカ大陸全体で約14億人と、インドや中国と同じ程度の人口が、2100年には40億人近くに増えると言われている。GDPで見ても、ゴールドマン・サックス・グローバル投資調査部によると2075年にはナイジェリアが5位に、エジプトが7位に来ると言われている。また、私は今後、アフリカがインドのようにジェネリック製薬の中心拠点となる可能性もあるのではないかと考えている。急速な人口増加による飢餓や水不足といったリスクもあり、見立て通りになるかは不確かだが、こうしたポテンシャルを秘めているアフリカに対して、日本政府も3年に1度のアフリカ開発会議をはじめとしたサポートを行い、上述した製造業に関してもアジア・アフリカ健康構想の中で推進役を務めていく。私もアフリカ54カ国のうち20カ国ほど、大統領の就任式やODA関係で訪問し、政治経済の要人と関係性を保ってきており、その他の山際大志郎衆議院議員や牧原秀樹衆議院議員、三原朝彦元衆議院議員らとともに活動している。8月にはアフリカへの派遣団を検討している。皆さまもアフリカの今後について是非注目をいただきたい。」と今後ますます存在感を増すアフリカ諸国について語られました。


神奈川大学経済学部教授・東京大学経済学博士、一般社団法人メディア報道研究政策センター理事長 小山和伸様

神奈川大学経済学部教授・東京大学経済学博士、一般社団法人メディア報道研究政策センター理事長の小山和伸様は、「文明は人間の知性が創ったとする主知主義的な見方があるが、私はむしろ文明は人間の無知からくる絶え間ない試行錯誤から創られたと考えている。無知と文明のパラドックスとして、何か新しい技術が生まれるとそこには必ず何かしらの問題が発生し、それを改良することでさらなる問題が発生してしまう。最初に技術ができたときから、いわば禁断の果実を食べたかのように人類は永遠の技術革新の道に入ってしまったのだ。しかし、問題があったとしても人類は技術そのものを使うことをやめない。これは熱力学におけるエントロピー増大の法則に似ており、技術の便利さゆえに手放すことができない不可逆性を有している。これらがもたらす最悪の帰結がデッドエンドテクノロジーであり、解決策によって、それ以前よりも深刻な問題が発生してしまう技術である。そこで、原発はデッドエンドテクノロジーなのかについて考えたいが、私は違うと考えている。ここで、原発に関する議論が成熟しているフランス政府の政策決定過程について考えてみたい。フリードリヒ・ハイエクは、国家を、自由主義と全体主義、民主主義と権威主義という2つの視点から4つに分類した。フランスの原発議論は権威主義的民主主義で、専門家の意見が先行しつつも、それに対して反対意見を述べることができる。フランスでは東日本大震災の影響を受け、2025年までに原発依存度を50%に減少する法律が2015年に成立した。しかしその後、急速な原発依存減少はエネルギー不足と電気料金の急騰を招くという専門家の反対意見から、時期目標を2035年に10年後ろ倒しにした経緯がある。また、フランスでは原発に関する国民投票や国民討論が実施されていた。一方で日本ではどうか? まず、福島原発事故はチェルノブイリ原発事故と同じ、最も深刻な事故であるレベル7と位置づけられているが、実際にはチェルノブイリと比べて放出された放射性物質は格段に少ない。また、被爆による早期の死者もチェルノブイリが数十名いたのに対し、日本は0である。こうしたことを専門家や日本政府がきっちりと説明するべきである。また、国民投票も実施しておらず、原発依存度の目標についても約20%の目標にすると発言したきりでロードマップが整備されていない点に疑問を感じる。また、最後に原子力技術における日本の貢献についてお話ししたい。フランスの原子力関連施設を見学し、『トカマク』と呼ばれる、約30mの大きさで許容される誤差がわずか0・4㎜という核融合炉で最も重要な部品を日本の三菱重工が造っている。原子力発電は、かつて石油や石炭を求めて戦争していた人類が化石燃料から脱却することができる技術であり、そこに日本の技術が大きく貢献している。」と熱弁されました。


計画哲学研究所所長・工博・元早稲田大学客員教授・新しい日本を創る会代表 三輪真之様

計画哲学研究所所長・工博・元早稲田大学客員教授・新しい日本を創る会代表の三輪真之様は、「日本の将来について考えるにあたり、まずは日本のどこに強みがあるのかを知ることから始めなければ、活力や情熱といったものは湧いてこないと思っている。世界から見た日本の強みについて、多くの人が異論なく認める2つの点がある。まずは『世界に冠たる高度の倫理観』である。日本は治安の良さはもちろん、国際的な信用も高く、世界の政府や企業から協力を仰がれる立場にある。もう1つは『世界に類例の無い良質な水』である。世界の常識からみると、水道から出る水を安全に飲めるのは日本くらいである。今後、石油よりも水の方が希少になる可能性も新聞等で指摘されている状況において、これは非常に大きな強みである。こうした2つの強みがあるにも関わらず、日本の未来を暗くしているものは、私は自由民主党ではないかと思っている。私は以前に日本公和党という保守政党を立ち上げている。別に自由民主党を倒そうとか、それに代わる政権を樹立しようとかいう意識はないが、自民党は歴史的に役割を終えており、内閣支持率が約2割という異常な事態にあっては、解党するか新しい党として出直すのが本来の好ましい姿である。実際に今の社会の状況を考えると、今後選挙で大敗して自民党から去ることになる議員が多く出てくると思われる。それにも拘わらず、自民党を存続させるという大前提が足かせとなっており、自民党が分裂するという説はマスコミを中心にタブー視されているように思う。しかし、今年の総裁選後に、惜しくも敗れた候補者を中心として自民党分裂の動きが出てくるのではないかと考えている。そして私は、その分党が新しい日本を背負って立つと思っている。勇気を持って自民党を分裂させる、割っていく政治家が新しい日本の保守のリーダーになる。日本公和党では国内外の懸案事項を着実に解決できるので、よろしければ本日お配りした冊子をご確認いただきたい。」と話されました。


慶應義塾大学名誉教授・公益財団法人アパ日本再興財団理事 塩澤修平様

慶應義塾大学名誉教授・公益財団法人アパ日本再興財団理事の塩澤修平様は、「『知』について著書に書かれているが、その真意についてもう少しご説明頂きたい。」と質問され、三輪様は「日本人の一番の強みは人間哲学にあり、目に見えない世界を大切にする国民性がある。それを欧米文化に対しどうアピールできるのかと考えていた。そのための土俵づくりとして、単純な言葉でかつ欧米のボキャブラリーにない語彙を設定したいと考え、『人間知』と『自然知』という、アカデミックな世界ではあまり使われない言葉を使っている。」と答えられました。


ジャーナリスト 大高未貴様

ジャーナリストの大高未貴様は、「先日もロシアの原子力潜水艦が大西洋でミサイル発射の軍事演習を行い、キューバ危機を想起させるような報道がなされている。世界にはどうやら戦争を望んでいる黒幕がいるようである。私はそうした黒幕は二重国籍を持っており、どちらか一方の国が滅びても、悠々ともう一つの国で逃げられる算段を持っている人達だと思う。今年3月20日に、ブライアン・マーク・リッグが『ジャパンズ・ホロコースト』という本を出版した。内容は、第二次世界大戦で日本軍はナチスドイツよりも残虐な行いをし、アジア人を3千万人虐殺したという、何の裏付けのないことを歴史的な事実の様に記したデタラメなものだが、この本はイェール大学やペンシルバニア大学の歴史学者に取材をし、推薦者には大学教授も名を連ねている点で無視できない。しかもこの本はユダヤ系の大手出版社から出版されており、日本への原爆投下を行ったアメリカの正当化を図る目的があるとみられる。また、今年の夏には中国が731部隊の映画をリメイクして上映する予定で、こちらもまた反日の機運を高めようとしている。こうした世界各地における悪意に満ちた反日運動を問題にして、東京裁判史観を繰り返させないためにも、日本は本腰を入れて情報省を設立し、毅然とした態度で戦わなければならない。また、岸田首相は核軍縮の議論促進のために海外の研究機関等に30億円拠出しようとしているが、それよりも日本に侵攻されないような安全保障の体制を確立させると共に、日本が唯一の被爆国であり核兵器を使うことは戦争犯罪だということをアピールしていく必要がある。」と主張されました。


シンガーソングキャスター saya様

シンガーソングキャスターのsaya様は、「ジャズボーカルからキャリアをはじめ、これまで様々な国の言語で歌を歌ってきたが、それにより世界各国の発声の仕方が身に付いた。ヨーロッパ、とくにラテン語起源の言語は子音が強い。言語学の世界では、話し方は思考にも影響すると言われている。日本語は母音の響きが豊かで、音韻を大事にする言語である。日本語の起源を辿ると、同じルーツを持つのは日本語とポリネシア語のみである。2011年に尖閣諸島中国漁船衝突事件があった際に、民主党政権の対応に反発する集会が日比谷で行われたが、そこで私は約5千人の前で蛍の光を歌わせていただき、改めて日本語の言葉そのものの美しさや優しさといったものを体感することができた。そこから私の愛国心のような思いが深まった。本日は君が代についてお話したい。日教組教育の影響で、私は学校では君が代は軍国主義の時代が千代に八千代に続くよう願う歌だから歌うなと誤って教わった。しかし、この『君』というのはイザナギとイザナミの『キ』と『ミ』という男女を表し、君が代は男女が支えあっているこの世が千年も幾千年もの間、さざれ石のように、小さな石が大きな岩となって、苔が生じるほど長く栄えるようにという歌である。この場をお借りして、皆さんで君が代を斉唱したい。」と話され、塾生一同で君が代を斉唱しました。saya様からはアドバイスとして、『君が代は』の『が』を鼻濁音で歌うこと、『さざれ石』の『さ』と『ざ』の区別について母音を切り離すようにすること、『苔の』が精神的なピークなので気持ちを高めて歌うこと、などをご教授いただきました。


勝兵塾事務局長・株式会社KBM代表取締役会長 諸橋茂一様

国歌斉唱の後、勝兵塾事務局長・株式会社KBM代表取締役会長の諸橋茂一様から「君が代の歌詞の中に、『さざれ石の巌となりて』という歌詞があるが、実際に自然界でも小さな石が石灰分によってくっつけられて大きな岩になっているものがある。石川県の妙成寺というところに大きなさざれ石がある。一時期、日教組はそんな事象はあり得ないとして君が代を批判していたが、それは大きな誤りである。国民一人一人の力は小さいかもしれないが、皆で力を合わせれば大きな力になる、皆で力を合わせて素晴らしい国造りをしていこうという思いが込められた歌でもある」と補足しました。


Temple University Hospital心臓外科主任教授 豊田吉哉様

Temple University Hospital心臓外科主任教授の豊田吉哉様は、「普段はアメリカで心臓外科医をしている。今回帰国して窓の外の景色を見ると、太陽光パネルが非常に多く見られた。森林を切ってパネルを置くというのは日本の伝統的な考えとは合わないのではないかと危惧しており、アメリカでも太陽光パネルはほとんど見かけない。私は小山先生と同じ考えで、原発を推進して太陽光パネルを撤去した方がいいと思う。また情報について、政府の会話ですらも傍受されているような体制ではなく、日本独自の情報統制機構を作るべきだと思う。最後に都知事選について、数多くいる候補の中でやはり田母神さんの言われていることが一番筋が通っていると思う。日本は保守勢力が団結しない傾向にあるが、ここは力を合わせて田母神さんを応援したら良いのではと思う」と語られました。


参議院議員 石井苗子様

参議院議員の石井苗子様は、「小山先生の自由主義と全体主義という議論に関連して、今国会は政治資金、裏金問題に関して野党が提出した法案が全て否決された。建前上は民主主義の国なのでいくらでも質問できるものの、最終的には全体主義的な多数決をもって全て否決されてしまう。本来であれば何が正しいか間違っているかを、国民の皆様の意見を吸い上げて法律や制度に変えていく国であるべきであるが、実際には野党が何をやっても多数決で否決されてしまい、最終的には本国会の争点であった改正政治資金規正法は、自民党が作った改正案がそのまま通った。憲法改正についても『やるやる詐欺』で結局やらない。ロシアと北朝鮮が新条約を結び、同盟のような関係性でロシアが北朝鮮に武器資金を提供している情勢だが、今国会は結局憲法改正の議論に至らなかった。これでは自民党総裁が変わらない限り、改憲の議論は本格化しない。現代の防衛はどんどん進んでおり、例えばアメリカの国防省はUFO、Unidentified Flying Objectという呼び方ではなくUAP、Unidentified Anomalous Phenomenaという呼び方で、未確認の異常現象に対する呼称として空中・宇宙の攻撃体への対策を強化している。このように宇宙や、それからサイバーを含めたあらゆる領域で戦争が行われる時代に、この国の財産と国土と生命を守るために、国民の皆様の力を借りて政治がどうあるべきかということをよく考えて頂き、都知事選とその先にある衆議院選挙に足を運んで頂きたい。」と熱く語られました。

最後に塾長は、「今回の勝兵塾月例会も非常に中身のある会となった。本当はどうなのかということを知る機会として勝兵塾を開催している。できる限り多くの人から意見を述べてもらい、意見を交換する場としてほしい。」と話し、会を締め括りました。