第145回 勝兵塾月例会レポート

公開日:2023/7/26


塾長・最高顧問 元谷 外志雄

勝兵塾第145回月例会が、7月20日にアパグループ東京本社で開催されました。
 冒頭のアパグループの元谷外志雄会長による塾長挨拶では、「言論活動だけをやっているわけではなく、事業の方は、ランチェスターの法則の西側拠点説に基づき、皇居の西側である新宿から皇居を取り巻く池袋、渋谷、品川、銀座、上野と展開している。東京都心で現在展開中のホテルは、設計建築中を含め、99ホテル23、406室となり、断トツNo・1のホテルチェーンと言えるところまできた。勝兵塾を始めたときは、金融機関から勝兵塾が事業にとってマイナスになるのではないかと言われたが、実際には益々事業もうまくいった。言論活動と事業活動を、『二兎を追う者は二兎ともを得る』という思いで、毎月東京、大阪、金沢ですべて私が参加して月例会を開催している。議論を通じて、『本当はどうなのか』を見付け出す機会として勝兵塾を開催している。」と述べました。


衆議院議員・元復興大臣 今村雅弘様

衆議院議員・元復興大臣の今村雅弘様は、「今は国内より海外の事情が目まぐるしく動いている。だからこそ、ビスマルクの『賢者は歴史に学ぶ』という言葉のように、戦前の我が国のリーダーがどこで間違ったのかを検証していく必要がある。当面の大きな課題は国防力の強化と少子化対策である。昔はまず上陸部隊が攻めてきたが、今はミサイルが飛んできて、あっという間にやられてしまう。どうやって国を守るかを考え、さらには、一国だけでは難しいので、NATOのように東南アジアで連携して、中国に対抗していかなければならない。そのためには、まずは国民の意識を変え、危機意識を持ってもらう必要がある。今の日本の企業は、大企業病に罹り、リスクを取ろうとしない。経営者にも危機感をしっかりもってもらって、必要な予算をしっかり付けて応援していくことが求められているのではないか。硫黄島で栗林中将と共に戦った市丸利之助中将は、玉砕間際にアメリカのルーズベルト大統領に宛てて手紙を書いた。その手紙は、日米開戦の間違いやスターリンの台頭などを的確に指摘した内容だった。手紙は日本兵の遺体から発見され、米軍に渡って公開され、現在はミネアポリスの海軍士官学校に展示されている。『ルーズベルトニ与フル書』とネットで調べて頂きたい。私たちは先輩たちがそうやって国を守ってきたのだということをもう一度思い起こして、後世のために、日本がおかしな国にならないように、外国にやられないよう、頑張っていかなければならない。」と、日本の課題について述べられました。


麗澤大学特別教授・モラロジー道徳教育財団道徳科学研究所教授 高橋史朗様

麗澤大学特別教授・モラロジー道徳教育財団道徳科学研究所教授の高橋史朗様は、「今はSDGsやウェルビーイングが大きなテーマになってきているが、教育界では確実にウェルビーイングが中心になる。5年毎に教育振興基本計画が作られるが、新しい計画の柱は二つに絞られた。一つは持続可能な社会の作り手の育成、もう一つは日本社会に根差したウェルビーイングの向上である。2年後の大阪万博のテーマは、『SDGsからウェルビーイングへ』である。SDGsは2015年に国連で採択されたが、2030年には確実にウェルビーイングにシフトする。国連は2年後に国際未来サミットを開くが、ここでの議論が大事なポイントになる。世界と比べて日本の幸福度が低いと言われているが、それは幸福度の尺度が間違っているからである。西洋の幸福度は個人の幸福度であるのに対して、日本人は皆が幸せにならなければ幸せになれないという集団的幸福感が基準となる。こうしたことを発信しないと誤解を受ける。石清水八幡宮の権宮司が国連の事務総長からSDGs文化推進委員長に任命された。SDGsには哲学が足りないため、神道の精神で補ってほしいということである。私は東京、大阪、埼玉、福岡で10年以上『師範塾』という教師の人間力を育てる指導をしてきたが、その2期生で入ってきた原田隆史氏が大谷選手を指導した。掲載されている目標達成シートは大谷選手が高校1年生の時に書いたものであるが、その中の『メンタル』で大事にしたのは、『難があることは有難い』という精神である。堂安選手は『逆境が大好き』と発言しており、大谷選手の『難があることは有難い』と同じ意味だろう。そういうことをSDGsやウェルビーイングと関連させて世界に発信していきたい。自民党のある県連会長に、LGBT法案が、反対多数なのになぜ可決されたのかと聞いたところ、総理から直接指示があったからだと言っていた。総理の指示で多数決に反することが通ることを認めてしまったらこの国の政治はどうなるのか。男女共同参画は10兆円、こども家庭庁は5兆円の予算が付いているが、実際に中身を作っているのが、日本学術会議をリードしているような学者と、革新派の官僚達である。官僚と審議会の委員たちはほとんど左派で固められている。私は地方におけるLGBTの影響を精査している。一番気になっているのは、子供の性は自分で決めるという性自認の教育が始まっていることである。さらに、性はグラデーションということが教科書に入ってきて、性の多様性条例というものが71の自治体でできている。国が議論をする前に地方ではどんどん浸透している。ここで間違っているのは、性別とジェンダーを並列していることである。性には5億年の歴史があり、雄と雌とで命の連続性を繋いできた。これが縦軸の共通性である。一方、ジェンダーは横軸である。縦軸の共通性と横軸の多様性をごっちゃにして、子供たちが性は多様だと教えられたら混乱する。アメリカでは、性的自己決定権と親の養育権が対立した。性はあなたが決めるのだと性教育で教えられ、学校の先生は親にそのことを言うなと言う。フロリダでは幼稚園から小学校3年生までLGBT教育をしてはいけないことになった。これから学校と親の対立が日本でも起きてくる。LGBT教育が目指しているのは性規範の解体であり、異性愛の解体である。それは結婚制度にも関係してくる。家庭科の教科書には、レズビアンでもゲイでも子供を作る権利があると書かれている。しかし、そこには子供の立場がない。子供の最善の利益を第一に考えなければならないのに、子供の幸せやウェルビーイングの向上に本当に役に立つのかという視点が完全に抜け落ちている。性とジェンダーを区別するとともに、性教育に歯止めが必要である。しかし、こども家庭庁を推進した人達が、今度はLGBT理解増進法と一緒に包括的性教育推進を決めて、ここに公的資金が下りてくるようにしている。利権構造もしっかりチェックしていかなければならない。」と、ウェルビーイングの潮流とLGBT教育の危険性について語られました。


議員立法研究所代表 宮崎貞行様

議員立法研究所代表の宮崎貞行様は、「今月1日から中国の改正反スパイ法が施行された。中国の改正法ではスパイ行為の定義を拡大しており、新たに国家の安全や利益に関わる文書やデータ、資料の摂取を対象としている。ところが、国家の安全や利益の定義は不明であり、中国共産党の好きなように解釈できる。現在17名の日本人が、理由も明らかにされずにスパイ行為で拘束されている。我が国もこれに対抗して、中国人スパイを17人以上逮捕し、拘留しうる法律を早く制定しなければならない。中共の工作活動は単に国家機密の摂取だけではない。外国での警察活動、経済的脅迫による内政干渉、賄賂による政治家への影響力の拡大など多岐に亘っている。オーストラリアが2018年に制定した『スパイ活動及び外国の干渉を防止する法律』は、大変参考になる。この法律では、国家の安全保障の定義が明確に定められており、国家の安全を阻害する行為に対して最長20年の禁固刑が科される。イギリスでもこれと類似した法律を制定する動きがある。この法律を参考にして、我が国における法律案を作ってみたので紹介したい。第一条にも目的を明記し、第二条の定義で、外国主体と外国代理人の2つの定義を設けている。外国主体とは『外国政府、政党、法人、団体又は国民』を意味し、代理人は『その外国主体から活動資金その他の便宜を受けて活動する者又は外国主体の指示により若しくはその意向を反映して活動する者』としている。さらに第三項で、『我が国に居住する外国人で当該国の法令により我が国における情報収集又は我が国に対する国防協力の義務を負っている者は、前項の代理人とみなす。』と定めているが、これは中国に国防協力法というものがあることを考慮したものである。第三条では各項で禁止行為を定めている。第一項は、防衛業務の運用状況に関し情報を収集し又はその円滑な運用を妨害し若しくは円滑な運用に支障を及ぼす干渉工作。第二項は、警察業務の運用状況に関し情報を収集し又はその円滑な運用を妨害し若しくは円滑な運用に支障を及ぼす干渉工作。第三項は、政令で定める機微技術の研究開発に従事し、または当該技術に関する情報を収集し若しくは移転する干渉工作。第四項は、通信機器又はソフトウエアを用いて、その利用者に関する情報を収集し又は移転する干渉工作。第五項は、我が国の政治、行政又は経営上の自主的な意思決定に影響を及ぼすことを目的として資金を提供し、便宜を供与し、虚偽の宣伝を行い又は精神的若しくは経済的威圧を加える干渉工作。第六項は、我が国の教育研究組織又は報道組織に関する情報を収集し又はその自主的な運営に影響を及ぼすことを目的として資金を提供し、便宜を供与し、虚偽の情報を与え、外国主体に有利な情報を流し又は精神的若しくは経済的威圧を加える干渉工作。例えば孔子学院などがある。第七項は、我が国の条約上の権利の行使または義務の履行を妨害し又はそれに対し支障を及ぼす干渉工作。第八項は、原子力、通信、交通、水道又は電力にかかる施設の運営を監視し、妨害し又はそれに対し支障を及ぼす干渉工作。第九項は、中国警察による越境弾圧などである。第十項は、安全保障重要地域として政令で定めるものを売買、賃貸、保有又は管理する干渉行為。国の安全保障は商取引の自由に関する国際条約に優先する。第十一項は、少数民族の居住する地域において強制労働によって生産されたものでないという立証のない商品を輸出し、輸入し又は販売する干渉工作。強制労働による安価な商品が、日本の商品を駆逐するのは不公正であり、経済安全保障上も許せないものである。このような叩き台を作ってみたが、LGBT法案を岸田総理の一声で作るのであれば、それよりも前に外国干渉工作防止法を作らなければならない。日本は優先順位を間違えているように思われてならない。」と、外国干渉工作防止法の試案を示されました。


京都大学大学院経済学研究科特任教授 内藤克彦様

京都大学大学院経済学研究科特任教授の内藤克彦様は、「戦国時代に、日本がたまたま世界の外れにあったから植民地にならず生き残ったのではなく、合理的な理由があった。オルガンティーノはルネッサンスのイタリアから日本に来たが、彼は『日本人と比較すると私たちの方が野蛮である。私は毎日日本人から何かを学んでいる』と書いている。イエズス会も東アジアで布教するときに、江戸時代の初期頃までは日本を拠点にしていた。日本は識字率が高く、多くの人々が聖書を読むことができたからである。1582年に宣教師がフィリピン総督に宛てた手紙には、『日本国民は非常に勇敢で、しかも絶えず軍事訓練を積んでいるので征服は困難だ。』と記している。そこで内部から切り崩しを図るため、キリシタン大名を育成して利用しようと考えた。具体的には、硝石貿易を宣教師が仲介していたため、硝石を利用してキリシタン大名を育成し、彼らを梃子に傀儡政権を建てようと考えた。さらにスペインから来た宣教師は、明の攻略に日本の力を利用しようとも考えた。そこで秀吉を焚きつけたが、秀吉もそのことはよくわかっていて、朝鮮出兵の時に、スペインのフィリピン総督に対して朝貢しろと言っている。そこでフィリピン総督は慌てて秀吉に使節団を派遣した。さらに日本からの浪人がマニラに住みついていて、マニラを何度も攻撃して陥落しそうになった。そのためスペインは、日本が本気になって本国から1万の軍隊を送ってきたら、マニラの拠点を落とされてしまうと考えていた。実際、山田長政がタイで日本の浪人部隊を率いてスペインの正規軍と闘い、打ち破っている。当時の日本は強かった。家康の時代に大坂の陣が起こるが、この時が宣教師の最後の抵抗で、大坂側に多くのキリシタン大名が付き、これを宣教師が応援した。最終的に大坂の陣で一掃され、スペイン、ポルトガルによる侵攻の危機は去る。秀忠の時代になるとオランダ、イギリスも強くなり、スペイン・ポルトガル連合軍対オランダ・イギリス連合軍による極東での植民地争いが行われた。英蘭の10隻の連合艦隊のうち8隻が平戸に集結して勝手に軍事行動をしようとしたため、秀忠はこれを追い払った。家光の時代に、オランダ船がケープタウン沖で拿捕したポルトガル船から密書を発見したが、その密書は、キリシタンがポルトガル国王に対して、自分たちが反乱を起こすので軍隊を派遣してほしいと要請したものだった。オランダはそれを幕府に報告して、ポルトガル人が全員追放され、その数か月後に島原の乱が起こった。これで完全にイエズス会系の信仰が絶たれた。米ダートマス大学のペリン教授によれば、1575年の長篠の合戦では織田側が3、000丁、武田側が500丁の銃を撃ち合ったが、その20年後にイギリスがフランスに侵攻するとき、英国中の鉄砲を集めても1、100丁だった。日本が武力侵攻をされなかったのは、それだけの力の差があったからであり、それを支える経済力もあった。OECDのThe World Economy Historical Statisticsによれば、1700年の日本と欧米各国のGDPを比較すると、日本が154億ドルに対して英国107億ドル、オランダ40億ドル、スペイン75億ドルで、日本は経済大国だった。幕末になるとこの武力差を維持することができなかったが、その一番の理由が蒸気機関である。ただ、幕府は参勤交代をやめて各藩に軍艦を造らせ、幕末時点で砲付蒸気船を33隻保有していた。これはかなりの軍事力であった。1850年時点で、米国海軍の蒸気軍艦は8隻で、そのうち5隻を日本開国のために派遣した。当時アヘン戦争で英国が使った軍艦は16隻、下関戦争で17隻、薩英戦争では最新鋭の軍艦7隻を派遣したが、引き上げている。当時のニューヨーク・タイムズに、薩英戦争の後、『英国は最新鋭の軍艦を派遣したのに日本を負かせなかった。日本は侮れない。』と書かれた。これがもし将軍が元寇のときのように連合艦隊を組んで戦ったら、欧米側はただでは済まず、コストが高すぎるということで、内部から切り崩そうという作戦に出て、長州、薩摩を手懐けようとした。」と、戦国時代から江戸時代にかけて日本がいかに強かったかを語られました。


作家・軍事評論家 マックス・フォン・シュラー・小林様

作家・軍事評論家のマックス・フォン・シュラー・小林様は、「本日はLGBTのうちTについてお話ししたい。トランスジェンダーに関連して、アメリカ国内では共産主義者による革命が進んでおり、すでに内乱になっている。私が日本に来たのは1974年で、山口県の米海兵隊の岩国基地に配属され、アメリカの共産主義スパイのグループからスカウトされて、共産主義者の仲間のふりをしながら逆スパイをしていた。当時はトランスジェンダーという言葉はなかったが、これを共産主義者が推していた。共産主義者がなぜトランスジェンダーを推すのか。それはフランクフルト学派に遡る。彼らは第一次世界大戦で、労働者クラスの人たちの部隊が10分以内に9割も死ぬような戦争を平気でやっているのを見て、共産主義革命のために労働者を使うことができないと考えた。そこで、彼らは、セックスマイノリティーと民族マイノリティーを使おうと考えた。1930年代にドイツでヒトラーが政権を取ると、共産主義者はアメリカに逃げたが、それがアメリカの共産主義の源流になっている。今、アメリカでは幼稚園や小学校で子供たちを改宗させようとしている。アメリカの学校では子供たちが秘密のアイデンティティーを持ち、親に隠している。学校に行くと男の子が別の女の子の名前を使ったり、女の子の服に着替えたりするが、このことを親には言わない。カリフォルニア州では親がこれに反対すると犯罪になる。学校がこのようなことを奨励しているが、これを製薬会社と組んでやっている。女の子に男性ホルモンを、男の子に女性ホルモンを与えると、思春期が止まってしまう。こうしたことをすると子供を産めなくなる。もうひとつの大きな動きとして、日本にも上陸しているのが、ドラァグクイーン・ストーリー・アワーである。元々は女装によるセクシー・ショーだったが、2015年からアメリカ全土で組織化され、派手な女装をしたドラァグクイーンが図書館で小学生向けに、トランスジェンダーは素晴らしいという内容の絵本の読み聞かせを行っている。軍ではトランスジェンダーの兵士が優遇されている。昇進が早く、肉体訓練が免除され、戦地へ派遣されることもない。アメリカの高校の図書館に、『ゲイ・セックスの楽しみ』という本が置かれていた。LGBTの児童書には改宗して幸せになったと書かれているが、実際には悩みは深くなる。次の日曜日(注‥7月23日)に東京都現代美術館でドラァグクイーン・ストーリー・アワーが開催されるが、小池知事はわかっているのだろうか? LGBTを理解するのではなく、日本の子供たちを改宗させる革命が起こっている。日本の将来の家族を潰し、共産革命を行おうとしている。私は日本に49年間いて、日本を愛しているし、日本を守るべきだと思っている。だから、日本の親たちが、子供たちに手術をさせたり薬を与えたりするのではなく、正しい知識を広めて、子供たちを守って行ってもらいたい。」と、LGBT問題に警鐘を鳴らされました。


作家 仁平千香子様

作家の仁平千香子様は、「最近『故郷忘れた日本人へ―なぜ私達は「不安」で「生きにくい」のか』という本を書いた。日本人は故郷を忘れ、故郷を忘れることがどれだけ私達の不安を助長しているのか話したい。私は2児の母で、もうすぐ3児の母になる。毎晩布団の中で絵本を読み聞かせているが、大好きな絵本の一つが『もじもじこぶくん』である。子豚のこぶくんは、いつももじもじしている。ある日こぶくんはアイスクリームを買いたくてお店に行ったが、恥ずかしくて注文ができず、ずっともじもじしていた。他のお客さんがどんどん抜かして買ってしまい、アイスがなくなってしまうと不安になるが、それでももじもじしてアイスを買えなかった。すると足元から小さな声が聞こえてきたので見ると、小さな蟻が一生懸命声を張り上げてアイスクリームを注文するが、声が小さくてお店の人に届かなかった。それを見たこぶくんは突然勇気を出して、『蟻さんの分も注文するから一緒に食べようね』と言って、大きな声で、『アイスクリーム二つください。』と注文し、それで仲良く2人でアイスクリームを食べたという話である。私が大好きな理由は、こぶくんは自分のためにアイスクリームを買うことができなかったが、助けを必要としている人を見つけた瞬間に勇気が出て、行動したことである。その結果、自分もアイスクリームを食べることができた。つまり、誰かのために動いた結果、自分にも幸福が訪れた。誰かのために役立ちたい、誰かに喜ばれると嬉しい。これは人間の本能だと思う。しかし、現在の教育はほとんどが競争に勝つための教育である。つまり、自分の幸せのために勉強しなさいと教えられる。最近また、ある芸能人がSNSの誹謗中傷を苦にして亡くなったというニュースを聞いた。彼らが命を絶つのは、自分の命を大事だと思えないからであり、今の教育が失敗であることを証明しているのではないかと思う。さらに、歴史教育については、教えられている内容にも問題はあるが、教え方に大きな問題がある。学校で教えられる歴史は、情報の羅列でしかなく、それを試験の前だけ一生懸命暗記する。しかし、それでは歴史という素晴らしい物語を体に落とし込むことはできない。歴史とは、私達のご先祖はこう生きてきた、あなたはどう生きるか、というように体の中に落とし込む学問だと思う。私の祖父は、戦時中フィリピンにいたが、フィリピンで食べ物がないときに、自分の金歯と引き換えに現地人から食べ物をもらったという話を聞いた。私はそれを聞いたときに、その現地人の方に感謝した。私達は無数の奇跡の結果として、今ここにいる。歴史を学ぶことは、お陰様を学ぶことだと思う。どれだけの存在によって支えられて今自分がここにいるのか、それを知れば、自分の命を軽んじることは決してできない。自分が奇跡の塊でしかないと知れば、感動し、自分に価値がないなんて決して思わず、自己肯定感、自己信頼感が上がる。日本の歴史には感動が多く、かっこいい偉人がたくさんいる。そういう偉人の物語を知ると、かっこいい、自分も近づきたいと、多くの子供たちは思うものである。このように、歴史というものは、人を励まし、命を輝かせるために勉強するものだと思う。現在の日本人の多くは、不幸であるというよりも、不幸だと思い込んでいると思う。自分がここにいる奇跡を感じるために想像力は必要だと思う。それができれば、自分を不幸と思い、命を軽んじる人は減ると思う。幸せというものは、人に与えられるものではなく、自給自足するものだと思っている。SNSに依存してしまう人たちがたくさんいて、それで誹謗中傷で亡くなるという話がある。しかし、元々SNSという不確かな空間に居場所を求めてしまったところが病の始まりである。つまり、他人の言葉を通じてしか自己肯定できないことが問題である。そうではなく、お陰様について考えれば、自然と自分がどれだけ恵まれているかを感じることができる。つまり、幸福を自給自足できる。そうなれば、自然と人間は強くなる。そういう国民が集まって、初めて国も強くなるのではないかと思っている。」と、感謝の気持ちの大切さについて話されました。

最後に塾長は、「本日も講師の方々から様々な観点でお話し頂いた。『本当はどうなのか?』を知る機会にして頂きたい。」と述べ、会を締め括りました。