第138回 勝兵塾月例会レポート

公開日:2022/12/22


塾長・最高顧問 元谷 外志雄

勝兵塾第138回月例会が、12月15日にアパグループ東京本社で開催されました。
 冒頭のアパグループの元谷外志雄会長による塾長挨拶では、「本日は本年最後の勝兵塾月例会である。毎年この時期に発表しているが、来年の年頭所感は、『人間一生一回 鮮烈な意思と熱い情熱を持ち 悔い無く闘い 限りないロマンに全力でトライし 願望は自ら実現する』である。勝兵塾は東京、金沢、大阪の3ヶ所で私も自ら参加しながらずっと続けている。今回も講師の方々から素晴らしい話をして頂けることを期待している。」と述べました。続いて、12月8日に明治記念館で開催された、第5回アパ日本再興大賞並びに第15回「真の近現代史観懸賞論文」の表彰式並びに受賞作品集出版記念パーティーの模様を動画で視聴しました。v


衆議院議員 木村次郎様

衆議院議員の木村次郎様は、「ここ1ヶ月間ぐらい、防衛予算や防衛三文書の改定について連日報道されている。私は第二次岸田改造内閣で防衛政務官を拝命している。今回の防衛予算や三文書の改定は、戦後の安全保障の転換点に当たると受け止めている。」と挨拶をされました。


参政党代表で元衆議院議員 松田学様

参政党代表で元衆議院議員の松田学様は「参政党は『次世代の党』を復活させたものである。私は財務省を飛び出して、『立ち上がれ日本』の時から石原慎太郎さんや平沼赳夫先生らと共に政治活動をしてきたので、この参政党こそ真の保守政党であると自負している。できたばかりの政党ではあったが、2月頃から街頭演説を始めると、異常なぐらい人が集まるようになり、国民運動のようになった。マナピーの人形が子供達に大人気で、先日もまだ小学校に上がるか上らないかの女の子が自分でマナピーの人形を買ってきて、私の演説を一時間聞いてくれた。参院選の最終日には、芝公園に1万人以上が集まったが、これは前代未聞のことである。今の国会議員の最大の仕事が選挙で勝つことになっている。そこで、党員たちが選挙をして、選挙で選ばれた政治家は国政に専念する、近代型政党を日本に創ろうと考えた。最初の国政選挙で全選挙区に候補者を立てたが、国民からの寄付で選挙費用を全て賄った。我々は、普通の人が普通に選挙に出られなければ駄目だと考えている。志があり、能力があれば誰でも選挙に出られ、日常生活の中で当たり前のように国政が語られるようにしてこそ、真の民主主義である。単に一票を投じるだけではなく、我々一人一人が政策形成にまで参加してこそ真の民主主義である。これを仕組みとして創ったのが参政党である。我々は健全ナショナリズムと言っているが、本当の敵はグローバリズムである。90年代には第二の経済占領をアメリカから受け、今はどんどん中国に占領される状況になってきた。普通のお母さんが、『日本はこのままだと自分の子に残せない』と言って、ボランティアで参政党の運動に参加してくれた。その結果、比例で176万票を獲得して国政政党になった。我々のグローバリズム批判は陰謀論と良く言われるが、陰謀論と批判する人たちこそが世界を知らない。イギリスがEUから脱退し、アメリカでトランプ現象が起こり、イタリアではメローニが首相になった。ドイツではAfDが97議席を持ち、フランスのルペンが4月の大統領選挙で4割以上の国民の支持を得た。最初は皆、極右やカルトというレッテルを貼られたが、我々も今は同じ位置にいる。先日の中間選挙で私が注目したのが、フロリダ州のデサンティス知事である。最初の選挙では僅か0・7%の差で勝ったが、この4年間で、まずマスクを義務化せず、ワクチンも義務化せず、ワクチン接種証明を使わず、フロリダ州の経済を活性化した。さらに中国勢力を排斥し、教育改革を行い、脱炭素原理主義はやめようと言った。参政党が掲げる政策と同じことをやってデサンティス知事は圧勝した。つまり、参政党の政策が世界の潮流になりつつある。国民の決意がなければ憲法改正はできない。国民投票で否決されたらもう憲法改正ができなくなる。だから我々は、改憲ではなく創憲、すなわち憲法を一から書き上げようと言っている。積極財政について、今も防衛財源の話が出ているが、私は永久国債でやるべきだと思っている。松田プランでは、日銀が保有する国債を将来的にデジタル円に変換していく。次のデジタル基盤として、国産のブロックチェーン、すなわち今のグローバルプラットフォーマーが支配しているものとは違うものを作ることを考えている。その上で松田プランを実行すれば、国債はデジタル円に変わる。」と、参政党ブームの背景や参政党が掲げる政策について論じられました。


慶應義塾大学名誉教授・アパ日本再興財団理事 塩澤修平様

慶應義塾大学名誉教授・アパ日本再興財団理事の塩澤修平様は、「一番の問題は財政問題であり、財政法と国家の通貨発行権の問題を議論していく必要があると思うが、財務省はかなり保守的である。それに対してどのように説得していくのか?」と質問され、松田様は、「財務省も個人としてはいろんな考えを持っているが、GHQの占領下でできた財政法4条という法的な枠組みがあるため、役所としてはそれに従わざるを得ない。これは政治の責任である。制度を変えられるのは政治家なのだから、早く財政法4条改正して、国債発行の対象を公共事業から広げていく必要がある。さらに、積極財政が本格的にできないのは、国債が増えていく一方で、出口が見えないからである。そこで松田プランがある。日銀が持っている国債を永久国債に換え、さらにデジタル円に換えていく。これなら国債が減っていく道筋が描かれるので、積極財政を堅持することができる。」と答えられました。


国際歴史論戦研究所会長 杉原誠四郎様

国際歴史論戦研究所会長の杉原誠四郎様は、「宗教は、元々は人を幸せにしようと思う善意からできている。その活動のためにはたくさんの資金が要る。だから寄付を集めるわけだが、寄付する人の家庭が壊れるようなお金の集め方をしてはいけない。8月10日に発足をした第二次岸田内閣で消費者担当相となった河野太郎は、就任2日後に大臣会見で、岸田総理の了解のないまま、霊感商法等の悪質商法への対策検討会を設置した。この検討会に8人の委員を置いたが、そのうち4人が統一教会を批判する立場であり、この検討会は最初から偏ったものだった。その中の紀藤正樹という弁護士は、統一教会の解散をずっと主張してきた人物である。公正な検討会を作った上で紀藤弁護士などを呼んで事情を聴くのは構わないが、はじめから旧統一教会を解散させるための検討会になったのは、明らかに公正ではない。検討会は10月17日に報告書を出したが、その報告書で事実上、統一教会の解散を示唆した。消費者庁は消費者問題を提起する省庁であり、宗教法人を問題にする省庁ではない。岸田総理は検討会の報告書の前の8月31日に、統一教会との縁を切ると言った。特定の宗教に対してこう言うのは政教分離に反する。宗教がその理想を世の中に広げるために政治家に近付くのは当然の権利である。また、政治家も宗教家から政策について参考意見を聞くのは当然なことである。にもかかわらず、岸田首相は縁を切ると言った。それも審議した結果がまだわからない状況で、しかも過去に向かって縁を切ると言った。これが法治主義だろうか? 統一教会が政治と密着していることを問題にするのであれば、公明党も問題になる。公明党は創価学会の理想を背負って党ができ、それを政治に反映させようとして一生懸命努力している。それは今の日本国憲法の政教分離、信教の自由の下で許されている。それなのに、どうして統一教会だけは締め出されなければいけないのか。旧統一教会は、昭和30年から40年頃、今よりももっと共産党の影響力が大きかった時代に、勝共連合を創り、共産主義が人類を幸せにしないことを論理的に説明して攻撃した。そのために共産党、左翼の人は非常に困り、その恨みをずっと持っていた。だから今、左翼や共産党が喜んでいる。同時に創始者の文鮮明は、冷戦終結時に朝鮮が南北統一する機会だと思い、日本で集めたお金を北朝鮮に渡した。そのために日本の保守層は旧統一教会を突き放すようになった。その上で、日本人には、自覚的に特殊な信仰をしているように見える団体に対してアレルギーがある。だから、旧統一教会に対して誰も手助けをしようとしない。しかし、近代国家は思想信仰の自由を保障することで成り立っている。結論が出ないうちから、特定の宗教と接触を断つと総理大臣が言ったことは、河野太郎が引き起こした事件である。宗教は元々善意からくるものだから、家庭が壊れるようなお金の集め方をしてはいけない。だから、被害者救済法を作ることは良かったが、消費者庁はそれに限定すべきだった。」と、統一教会に対する政府の対応を批判されました。


諸橋茂一勝兵塾事務局長

杉原様の発言に対して、諸橋茂一勝兵塾事務局長から、「新興宗教は何かあると『地獄に落ちる』と脅してくるものであり、善意に基づいているとは言えないのではないか。また憲法第20条に定める信教の自由には、『政治上の権力を行使してはならない』とあり、宗教団体が政治に関与することはそもそも憲法違反ではないか。」と意見が出されました。また二宮報徳連合代表の藤田裕行様からは、「統一教会には問題があると思うが、世界日報などは良いことを書いているので、関連団体まで全てを否定するべきではないのではないか。」と意見が出されました。


日本経済大学経済学部准教授 久野潤様

日本経済大学学長 都築明寿香様

日本経済大学経済学部准教授の久野潤様は、「私が4月から務めている日本経済大学ではウクライナ人留学生を真っ先に受け入れ、現在70名が在籍している。留学生には勉強をしてもらうだけではなく、日本文化を体験してもらい、将来帰国する時には、親日派になって帰って頂きたいと思っている。」と挨拶があり、続けて日本経済大学の都築明寿香学長は、「日本経済大学は、福岡、神戸、渋谷の3キャンパスがあり、今回留学生を福岡キャンパスで受け入れて、全員が寮で暮らしている。受け入れた理由は大きく二つあり、一つは教育の機会を与えたいということ、もう一つは日本の学生に自分たちがいかに恵まれた状況に置かれているのかを直に理解して欲しいということである。日本は中国とロシアという大国に挟まれて非常に危機的な状況に置かれているが、日本の若者と話をしていると、皆が危機を理解していない。そこでウクライナの学生に、日本で生活しながら、今何が起きているのかを自分たちの言葉で同世代の人々に伝えて欲しいとお願いをした。」と、ウクライナ人留学生受け入れの経緯を話されました。さらに久野様は、「ソ連は満州や樺太には日ソ中立条約を破棄して不法に攻めて来たが、それに加えて、8月15日以降には占守島に攻めて来た。しかしこの侵攻を、日本軍は一度撃退した。教科書ではなかなか教えないが、ソ連の卑劣な侵略を受けた歴史的経験を日本人は知らなければならない。10月11日に淡路島の伊弉諾神宮で、樋口季一郎中将の銅像建立除幕式が盛大に行われた。その前日には、静岡県富士宮市の若獅子神社で祭典に参列した。ここは元々陸軍の教育施設である陸軍少年戦車兵学校だった。ここでも占守島の戦いでソ連軍を撃退した戦車兵たちが育成されたので、私も拝礼させて頂いた。今回のウクライナ侵攻は、日本が北方領土を取り戻す一番のチャンスだと思う。今のチャンスでロシアはとんでもない悪者だという国際世論を作り上げて、そのロシアが占拠している北方領土、さらには南樺太まで日本のものだと国際社会に思わせる大チャンスではないか。ウクライナが正しいかではなく、日本は国益のために動かなければならない。そのためにも、歴史的なことで共有できるものは共有していかなければならない。ウクライナと日本は、モンゴルと国運を懸けて戦った点で共通している。我が国は元寇でモンゴル帝国の侵攻を跳ね返したが、ウクライナは、当時はキエフ大公国だったが、残念ながら戦って滅亡した。近代においては、日本は日露戦争でロシアを倒し、その後ロシア革命が起きて崩壊した時に、周辺の共和国は独立するチャンスだった。しかし、レーニン、スターリンが周りの共和国を締め付けて抑圧体制を敷いてしまった。ウクライナでは、1932年にホロドモールという、ソ連が穀倉地帯の農作物を取り上げて大変な餓死者を出させたことがあった。当時日本共産党員で現地にいた正兼菊太はそれを目撃したが、日本共産党はそれを隠させた。ウクライナは大変な反ソ連感情を持ち、独立の動きがあった。日本の稲垣守克が独立を援助する動きもあったが、日本のエリートの中に容共主義者がいたため、実を結ばなかった。彼らはアメリカ、イギリス、フランスの植民地は解放しろと言うが、ソ連に抑圧されている民族を解放しろとは言わなかった。大東亜戦争末期の1945年1月に、当時ドイツ領のケーニヒスベルクの総領事だった高島與五蔵が、侵攻してくるソ連軍に捕まり、モスクワ経由でウクライナに抑留された。このように様々なところで日本とウクライナとは繫がりがある。1953年にノリリスク蜂起が起こったが、ノリリスクの収容所には1万人以上の収容者がいて、その大多数がウクライナ人政治犯だったが、日本人のシベリア抑留者も30名ほど残っていた。そのときは日本人もウクライナ人と共闘した。こうしたことを知った上で、ウクライナにアプローチできないかと考えている。大東亜戦争には二つ目的があった。一つは自存自衛、もう一つは東亜解放である。自存自衛を目的にしているということは日本も危うかったということである。東亜を解放するのはアジアが欧米勢力に植民地として支配されていたからであったが、もうひとつの脅威が共産主義だった。共産主義の脅威とは、日本が大東亜戦争を戦わなかったら、ソ連がアジアを解放していたかもしれないということである。つまり、アジアがすべて共産主義に染まっていたかもしれなかった。だから、日本がソ連に先駆けてアジアを解放したことに大きな意義がある。チャンドラ・ボースは、終戦直後に謎の飛行機事故で亡くなったが、日本が戦争に負けた場合はソ連に亡命したいと言っていた。どう見ても当時のアメリカは酷い国だったが、ソ連の方が余程酷い国だったと思う。しかし、アジアの独立運動家達はソ連に憧れた。日本の政府や軍の中にも、ソ連の計画経済で戦時体制をうまく乗り切ったという幻想を抱いた人がいて、終戦間際までソ連を仲介役にして和平交渉をしようとしていた。我々はこうした歴史を学び、ウクライナ情勢に目を向けるならウクライナのことも知らなければいけない。」と、日本とウクライナの歴史的な繫がりについて語られました。


山元学校学長 山元雅信様

山元学校学長の山元雅信様は、「プーチンはスターリンの真似をしているのではないかと思っている。終戦後なぜいきなりソ連が攻めてきたか。あのときは、スターリンから、シベリアに人がいなくなってきたから日本人を連れていけという指令が下ったという。今の北海道開拓記念塔を壊そうとする動きも、その背後にはロシアがいるのではないかと思っているが、その辺りはどうか?」と質問され、久野様は、「労働力の確保はロシアの課題の一つであるから、そういう可能性は大いにあると思う。さらに、我々自身もシベリア抑留の清算をしてないと思う。自民党が下野する直前に、三党合意でシベリア抑留者補償法案を出したが、補償法案というから私をロシアに補償を突き付けるのかと思ったら、日本政府に補償させるものだった。しかも民主党が政権を取ると、それを無視した。そのような無茶苦茶なことがまかり通ってきた。」と答えられました。


英霊の名誉を守り顕彰する会会長 佐藤和夫様

英霊の名誉を守り顕彰する会会長の佐藤和夫様は、「私は講演会を42回、イベントを10回、動画配信を12回やってきが、そのきっかけとなったのが、平成29年の参議院選挙で『日本の心』から出馬したことである。その選挙では、『日本の危機を見過ごすな』をテーマとした。北海道で立候補したが、北海道の土地が爆買いされていることや、樋口季一郎が北海道を守ったことが教えられていないことなどを訴えた。今年はサンフランシスコ講和条約締結70周年であるが、日本は本当に独立しているのか、アメリカの属国になっているのではないかという問題意識で講演会を実施した。さらに、日中共同声明50周年でもあり、真の日中友好を考えるため、仙台からYouTuberの張陽さんをお呼びして講演会を開催した。また、ロシアによるウクライナ侵攻があった。メディアでは圧倒的にウクライナがかわいそう、ロシアはけしからんとなっているが、私は報道が一色になったときは非常に危ないと思っている。参議院選挙では松田さんの参政党ブームがあった。安倍総理の国葬反対にメディアが一色になっていて、私はこれを許せないと思い、安倍総理の国葬を支持する街宣とデモを計画した。そして、令和4年には4名の巨星が亡くなられた。石原慎太郎さん、松本道弘さん、安倍晋三さん、加瀬英明さんである。加瀬先生との出会いは、私が北海道から帰ってきて『北の大地は大丈夫か』という講演をしたときである。それから、人種平等決定案100周年の時にスピーチを頂き、習近平国賓招聘反対デモや樋口季一郎の顕彰会にもご参加頂き、スパイ防止法にも取り組んで頂いた。安倍さんは、吉田松陰をものすごく尊敬していた。吉田松陰が亡くなったことで、多くの志士が立ち上がった明治維新が起きた。今年4人の巨星が亡くなられたことは日本にとって非常に大きな損失ではあるが、それを乗り越えて我々は令和維新を起こしていかなければならない。」と、日本の危機に警鐘を鳴らす活動について語られました。


近代歴史研究家 鈴木荘一様

近代歴史研究家の鈴木荘一様は、「私は会津若松ゆかりの者で、歴史の真実を明らかにして会津の無念を晴らすという立場で歴史の研究を行っている。大東亜戦争で310万人の犠牲者を出した結果敗北に至った。その天王山はガダルカナル島の攻防戦だったと考えている。アメリカ軍のヘンダーソン飛行場に対して、昭和17年10月24日に日本軍は総攻撃をかけた。このとき先鋒を務めたのが、連隊長古宮正次郎大佐率いる会津第29年連隊だった。大東亜戦争は、支那事変と太平洋戦争を合わせた用語であるが、このうち太平洋戦争はアメリカが日本を征服して太平洋を支配する目的のために、オレンジ計画を作って着々と日本を侵略した、侵略戦争である。侵略戦争と言っても、この主語と目的語を間違ってはいけない。日本の論壇は、陸軍が悪い、海軍が悪い、近衛が悪い、マスコミが悪い、新聞が悪い、国民全体が悪いと、日本中が悪いと主張している。しかし悪いのは、オレンジ計画に基づいて日本を侵略したアメリカのルーズベルト大統領である。オレンジ計画について書いた本を読めば、太平洋戦争とは何だったのかがわかるだろう。インドネシアは宗主国のオランダと戦って独立した。アメリカは宗主国のイギリスと戦って独立した。これが独立戦争である。しかし、我が日本は、独立戦争を戦うことなく、すでに独立国だった。このことは世界史の中でも滅多にないことであり、大いに胸を張って頂きたい。秀吉、家康の時代は、スペインが日本の征服を狙っていた。スペインは1571年にフィリピンを占領し、領有した。これは、日本では姉川の戦いで織田徳川連合と浅井朝倉連合が戦った翌年のことである。スペインは軍事大国であったから、我が国が独立を保つのは大変難しい問題であった。この難問を解決したのが徳川家康、徳川家光の鎖国政策だった。徳川政権が鎖国政策をとったことで、250年に亘る『徳川の平和』を樹立することができた。現在、経済発展している国は、日本や中国、韓国であるが、これらに共通するのは、17世紀の大航海時代に鎖国をしていたことである。だから鎖国は、非常に有効な外交防衛政策である。そもそも戦争は、グローバリズムが発展した結果起こる。自由貿易開放体制やグローバリズムを唱えていたアメリカは、トランプ大統領の頃から経済的に陰りが出てきたため、自国優先、保護貿易、アメリカ・ファーストいうかたちで、反グローバリズムへ舵を緩やかながら切り始めていた。我が国も国際情勢を見ながら改めて家康、家光の鎖国というものを再評価する必要があるのではないかと思っている。」と、グローバリズムの危険性に警鐘を鳴らされ、鎖国の再評価を提唱されました。

最後に塾長は、「本日の月例会も素晴らしい講演を頂き、非常に良かった。本当のことは報道されていることだけではわからない。いろんな人々の話を聴く中で自分の考えを掴むことが大事である。今日の話の中でも自分の思いと一致するものもあれば、違うものもあると思うが、そういうときには質問をして、自分の考えを深めていってもらえたらと思う。」と述べて会を締め括りました。