第119回 勝兵塾月例会レポート

公開日:2021/05/27


塾長・最高顧問 元谷 外志雄

勝兵塾第119回月例会が5月20日にアパグループ東京本社で開催されました。
冒頭のアパグループ元谷外志雄代表による塾長挨拶では、「勝兵塾を創設して、6月で十年になる。これまで、東京、大阪、金沢の3カ所で延べ327回の例会を開催してきた。その結果如何ほどの成果があったかと考えると、まだまだ不十分だと言わざるを得ない。中国の脅威は今後益々大きくなってくるが、日本が有効な対抗策を持っているのか、いささか不安である。今後日本は、国益を守り、屈服することなく、独立自衛の国として中国と対峙していかなければならない。しかしもっと力を付けなければ、いずれ日本は中国に飲み込まれてしまうだろう。是非とも多くの人々に本当のことを知ってもらいたいし、そのためにも勝兵塾に多くの人々に参加してもらいたい。」と、中国の脅威について警鐘を鳴らしました。


衆議院議員 藤原崇様

衆議院議員の藤原崇様は、「出身は岩手県で、弁護士をやった後、衆議院議員を8年ほどやっている。国会では、農業や道路、復興などの問題に取り組んでいる。その一方で、法律にまつわる仕事もしている。最近法務省の仕事を手伝っていて感じるのは、法務省外局の出入国在留管理庁や公安調査庁の役割が非常に重要だということである。先程中国のことが話題に出たが、経済的安保の中で、海外への技術流出をどのように防ぐかという問題では、最後のところでは、怪しい人物を国外に退去させ、入国させないようにする必要があるが、それは出入国在留管理庁の問題である。また、外国人の土地取引の問題は内閣官房で取り組んでいるが、実際に調べるのは公安調査庁である。外国人の土地取引の問題は重大な問題だと思っていたが、今まで良くなかったのは、こういうことがあるらしいという話を聞いても、公に実際にそうなのかを網羅的に調べたことがなかったことである。国が何かをやろうと思ったら、実際に問題となるような事例があるのかをしっかり調べた上でやっていかなければならない。現在取り組んでいる重要土地等調査法案では、重要施設の周辺の土地が実際にどのような利用状況になっているか所有者に尋ねる権限を国に与えることを議論している。皆様から見れば遅いと思われるかもしれないが、やはり事実がまだまだ分かっていないのが現状である。『技術流出があるらしい』、『中国への軍事協力があるらしい』といったことも、実際にどのくらい広がっているのかを今まで網羅的に調べていなかったが、国として対処するために、しっかりとエビデンスを取っていかなければならない。そのために、重要土地等調査法案では、公安調査庁が経済安保班で、内閣官房と連携して専門的に調べる動きが出てきている。こうしたことをやった上で、日本に入ってはいけない人には出て行って頂くのは在留資格の問題となるので、入管庁が対応する。このように、法務省の仕事が経済安保にとって重要である。憲法改正もずっと議論をしてきたが、憲法改正をする必要があるかどうかについて、憲法学者の話と国際政治学者の話が全くかみ合っていない。理屈の話をすると変えてはいけないという話になり、今の世の中の動きを見れば変える必要があるという話になる。大事なのは、理屈だけ、現実だけではなく、理屈と現実の両方を見て、現実に対応するために憲法を変えるのか、解釈で乗り切るのかを考えることである。20年前であれば日本はまだまだ経済力があったが、今は残念ながら少しずつ落ちてきている。中国が台頭する中で、日本という国が生き残っていくために、足元で出ている様々な噂や情報に対してしっかり証拠を固めて対応していく必要がある。」と、経済安保への取り組みや憲法改正について語られました。


「史実を世界に発信する会」会長代行 茂木弘道様

「史実を世界に発信する会」会長代行の茂木弘道様は、「憲法を改正しなくても『国軍』を持てる、というテーマで話をしたい。まず現行憲法について、占領下では憲法改正は絶対にできないはずであり、それが人類普遍の真理である。占領されているということは国に主権がない状態であり、憲法の制定は最も重要な主権行為であるから、主権がないのに憲法改正をできるはずはない。したがって、現行憲法には憲法の資格はなく、占領基本法である。ところが、占領基本法が憲法として認められているのが現実であり、悪法であってもこれを廃止しない限り有効である。有効であることを前提に、どうすべきかを考えていかなければならない。しかも、ただ有効なだけではなく、『平和憲法』だという詐欺が横行してきたため、これを覆すことはなかなかできない。すぐにでも現行憲法が無効であることを論じていかなければならないが、現実的には今すぐ無効にすることはできない。戦後70年以上が経ち、与党が三分の二以上の議席を持っていても憲法改正ができてない。この状況で自民党の改憲案は、第9条第2項をそのままにして第3項で自衛隊を明記するというものであるが、一番肝心の問題を回避している。肝心な点とは、自衛隊が法的に警察であって、軍ではないということである。警察は『ポジティブリスト』に基づいて行動する。一方、軍隊は『ネガティブリスト』、すなわち国際法で禁じられていること以外は何でもできる。だから戦闘力を発揮することができる。自衛隊は警察であるから、軍隊ができて自衛隊ができないことが色々とある。しかも、交戦権を認められないと、捕虜になる権利も認められない。さらに、敵国領土で戦う権利や、占領地行政の権利、突撃する権利、奇計を用いる権利、空爆の権利、海戦における敵国私有財産没収の権利、中立国に対する諸権利などが認められない。そうすると、尖閣で紛争が起こったときに、相当の戦力を持っていたとしても、とても中国軍には敵わない。したがって、憲法に自衛隊を明記したとしても、この問題は何も解決しない。現行憲法はマッカーサー・ノートの3原則に沿って英文で作成され、それを日本語に訳したものである。マッカーサー・ノートの第2原則で戦力保持について、『自己の安全を保持するための手段としてさえ』戦争を放棄するとしていたが、実質的な責任者であるケージス大佐が『自己の安全を保持するための手段としてさえ』という部分を削除した。削除しなければ人間が生きるための自衛権をも否定することになり、人類に対する敵対的な悪法になることに気付いたからである。さらに、衆議院憲法小委員会で芦田委員長が『前項の目的を達するために』という条句を挿入することを提案した。この芦田修正の意味を極東委員会が気付いて、内閣に軍人が居座る機会を持たせることになりかねないとして、66条に文民条項が加えられた。つまり、GHQも極東委員会も、芦田修正によって日本が自衛のためには軍隊を持てると解釈していたのである。しかし、日本国政府が平和憲法という建前、幻想に縛られている。昭和27年11月吉田内閣の下で内閣法制局見解が出され、『1)侵略の目的たると自衛の目的たるとを問わず、「戦力の保持を禁じている。2)保安隊は戦力ではない。その本質は警察上の組織である。したがって戦争を目的として組織されたものではないから、軍隊ではない』とされ、この解釈がいまだに続いている。憲法を押し付けたのはGHQであるが、その当事者が日本は自衛のためなら軍隊を持てると考えていたのに、日本が自ら軍隊を持てないと言っているのである。しかし、憲法製作者による正統解釈が世界標準であり、日本はこの解釈を取るべきである。そうすることによって、自衛隊は国軍となり、国際法に基づいた軍事行動がとれるようになるのである。この解釈変更には国民投票も国会決議も必要ない。内閣法制局長官の解釈を変えれば済むことである。」と、現行憲法の成立経緯から、解釈の変更による国軍の保持を主張されました。


東京国際大学学長・慶應義塾大学名誉教授 塩澤修平様

東京国際大学学長・慶應義塾大学名誉教授の塩澤修平様は、「外国人の土地所有の制限について、一部には反対の声もあるが、反対派の論点はどのようなものがあり、どのような論拠で対応していくべきか?」と質問され、藤原様は、「そもそも日本では土地取引について戦後ずっと自由だったため、これに枠をはめることに対して反発がある。さらに、沖縄では基地反対運動の規制に利用されるのではないかという懸念を持っている人もいる。ただ大事なことは、あくまで重要な施設の周りの土地については、利用方法について答えて頂いて、それができない場合は一定の制裁を受けるというのが、今の時代では当たり前の事だろう。」と答えられました。


内閣官房beyond2020ホストタウン事業2020年度 国歌アドバイザーで、声楽家二期会会員 新藤昌子様

内閣官房beyond2020ホストタウン事業2020年度 国歌アドバイザーで、声楽家二期会会員の新藤昌子様は、「国歌について、次のようにまとめてみた。1.国旗と共に国家の象徴である。2.建国や独立など歴史的出来事の際に作曲されるもの。3.愛国的な内容で主権の存在をうたう。4.特別な役割を持つ音楽であり、来賓への歓迎の気持ちを敬意と威厳と品格を持って伝える。5.音楽の効果は連帯感や一体感をもたらす。6.本来は自国の国歌を聞き、歌うものである。日本人はおもてなしの心遣いで、他国の国歌を歌うが、これは非常に珍しく世界から称賛されている。7.国歌の学びは国際理解の第一歩であり、マナーを守って大切に扱う心を育てる。1868年(明治元年)に明治時代が幕を開けたときには、まだ『国歌』が存在していなかった。君が代の歌詞は古今和歌集の読み人知らずの歌が原典だと言われている。これは世界最古の歌詞である。なお、世界最古の曲はオランダの国歌とされている。1870年にイギリスの軍楽隊教官のジョン・ウィリアム・フェントンが、エジンバラ公が来日した際に、日本にはまだ国歌が存在していなかったので国歌の制作を薩摩藩の大山巌に進言し、琵琶歌の『蓬莱山』に引用されている『君が代』を選び、その作曲をフェントンに頼んだ。こうして初代『君が代』が誕生したが、現在のものとは違う。フェントン作曲の『君が代』は、6年でメロディーが奇異に聞こえるということになり、現在の『君が代』は、宮内庁雅楽課でコンペが行われ、奥好義の作品が選ばれ、林廣守が補作して、中村祐庸の協力の下で1880年に発表された。その後1893年に文部省が小学校用儀式唱歌用歌詞並びに楽譜として認め、同時に祝日や祭日の儀式で歌われることに決まった。1999年にようやく国旗国歌法が制定され、『君が代』が日本の国歌として認められた。『君が代』の歌唱ポイントは、まずレの音で始めなければならないという決まりがある。次に、『さざれ石の』の部分を息継ぎで切ってはいけないことになっている。さらに、歌う姿勢は気を付けの姿勢で国旗を注視することになっている。『君が代』は暗いと言われることがあるが、心穏やかに集中できる美しいメロディーであり、宝石のような和歌の響きを持っていて、非常に民族色の濃いカテゴリに入る。君が代は雅楽の流れを持っているため、西洋人には音の予測がつかず、非常に歌うのが難しい曲である。つまり、日本人ならではの音調である。世界の国歌を学ぶことで日本が見えてくる。美しい音には魂が宿る。これからも美しい歌を歌っていきたいし、世界の国歌の成立の歴史や言語文化、音楽の学びは自国の『誇り』を認識する道となる。自ら起立し、姿勢を正し、日の丸を注視し、君が代を歌う心を育てたい。」と国歌の意義や君が代の成立経緯を解説され、他国の国歌を紹介されました。


自由インド太平洋連盟副会長 石井英俊様

自由インド太平洋連盟副会長の石井英俊様は、「自由インド太平洋連盟は、ウイグルの母、民族のリーダーであるラビア・カーディルが会長で、副会長として、南モンゴルの民族リーダーであるテムチルトとチベット亡命議会議員が一人いて、私も世話役として副会長をしている。この団体は、中国に弾圧されている諸民族の抵抗運動の国際ネットワークをつくっている。『香港解蜜(リークス)』というホームページで3、400人にも及ぶブラックリストが掲載されており、そこには個人情報が詳細に書かれている。AFP通信によると中国政府が関与していると言われている。3、400人のうち外国人が22人含まれているが、日本人で唯一載っているのが私である。私のページには日本右翼反中国分子と書かれ、出生地や出身大学、生年月日のほか、Twitterやウエブサイトが記載され、私の活動として、2017年に『日本はアジアの自由の砦になるべきだ』と言ったことが載っている。これまで何度も香港の新聞に名指しで載ってきたが、そのときには『五つ(チベット、ウイグル、南モンゴル、香港、台湾)の独立を煽る日本の典型的右翼』という枕詞が付けられた。アメリカの下院議長のナンシー・ペロシが北京オリンピックについて外交的ボイコットをすべきだと発言してニュースになっている。北京オリンピックは来年の2月4日が開会式予定日である。一つの都市で夏と冬のオリンピックを開催されるのは北京が初めてである。北京オリンピックに対する反対運動が世界中で盛り上がっている。ボイコット論も出ていて、ペロシは外交的ボイコット、すなわち選手は送るが外交団は送らないと言っている。日本でもこの運動をやっていて、2月4日に外国特は委員協会で記者発表を行った。この日は北京オリンピック開会式の丁度一年前に当たるのでこの日を選んだ。しかし、この日は森喜朗前会長いわゆる『逆切れ』会見のあった日であり、我々の会見はニュースになりにくいと思ったが、逆に森前会長の発言を批判した人達が、オリンピック憲章に違反していると論理を振りかざしたことから、北京オリンピックの開催の是非の議論に火が付いた。『森前会長の発言がオリンピック精神に反するなら、ウイグルでのジェノサイドはどうなるのか?』『習近平はオリンピック精神にふさわしいのか?』ということが大きな問題となった。国際的な反対運動が非常に盛り上がっていて、昨年の10月には世界160の人権代替がIOCにオリンピック開催地変更を求める共同書簡を出し、今年の2月3日には世界180の人権団体が各国政府首脳に対してオリンピックボイコットを求める共同書簡を出した。来月6月23日には国際オリンピックデーということで、世界的にもう一度大きな声が上がるだろう。しかし、残念ながら日本では、東京オリンピックが終わらないと北京オリンピックのボイコットは盛り上がらない。日本では東京オリンピックが終わった後に盛り上げていきたいと考えている。日本もフル参加というかたちでの参加は認められない。なぜなら、2008年の北京オリンピックの際に中国は人権状況の改善を約束したのに、状況が悪化したのは明らかであるからである。この問題については声を上げていくべきだろう。今の国会で大きな問題が、人権弾圧国家への非難決議である。チベット、ウイグル、南モンゴル、香港、ミャンマー等における人権問題について国会で非難決議をすれば画期的なことである。G7の中で中国に対して制裁を課していないのは日本だけである。このままG7サミットが開かれれば日本は恥をかく。いきなり行政府で制裁を発動することができなくても、せめて立法府で非難決議をするべきである。現在のところ、公明党以外は賛成している。公明党も反対はしていない。現在も水面下で調整を続けている。非難決議にミャンマーが入ったのは、立憲民主の意向で、対中非難の色を薄めるためである。大東亜戦争で西洋列強から植民地を解放するために戦った英霊の志を継承するという意味においても、中国の人権弾圧問題については日本人の問題として取り組んでいかなければならない。」と、中国の人権弾圧問題に対する取組について語られました。

最後に塾長は、「今日の勝兵塾も非常に内容のある会であった。年々様々な方がいろんなはなしをして段々本当のことがわかってきた。勝兵塾を皆が本当のことを知る機会としていきたい。」と語り、会を締め括りました。